トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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今回は少しだけ長いんじゃ。
お気に入り100人突破しました……唖然としています……登録してくださった皆様、そして、いつも見てくれてる皆様ありがとうございます。


第26話:見いだせ!自分だけのウイニングライブ!

 昨日レースがあったため今日はトレーニングを休みにした。そのうちに助っ人を探さなきゃいけないな。

 

 昨日のウイニングライブを見て、スズカのライブの改善を決めたのはいいんだが……俺はある程度指導はできるけど、本格的なことは分かんないからな。

 

 ウイニングライブはウマ娘が行うものだ。それなら助っ人にウマ娘を呼ぶべきなんだろうが……悲しいことに俺にそんな人脈はない。

 

(ウマ娘を紹介してくれる人物に、1人だけ心辺りがあるんだが……少しだけ気が引けるな)

 

 背に腹は変えられない。俺はその人物に会うために、生徒会室の前まで来ていた 。ウマ娘のことを聞くなら、ウマ娘の頂点とも言える彼女に聞くのが1番だろう。

 

「スズカのトレーナーか、一体こんなところに何の用だ?」

 

 生徒会室に入れずにドアの前で立ち往生していると、後ろから声を掛けられた。

 

「エアグルーヴか……シンボリルドルフに用があったんだが、如何せん生徒会室ってのは入りにくくてな」

 

 なんというか、お堅い雰囲気が少しだけ苦手なのだ。入口も妙に豪華な気がするし……

 

「会長なら中で業務中だ。用があるのなら普通に入ればいいだろうに」

 

 そう言うと、エアグルーヴがドアを開けて中に入って行く。俺はその背中を追うようにして生徒会室に入った。

 

「会長。会長に用があるというものを連れて来ました」

 

「おや、君はサイレンススズカの……柴葉トレーナーか。しばらくぶりだな。先日の彼女の走りは見事だった、不調から回復させよくあそこまで仕上げたものだ」

 

 スズカの走りを見てたのか。いや、当日はレース場にいるようには見えなかったが。テレビとかで確認したのかな?

 

「シンボリルドルフ自ら確認してくれるとは嬉しい限りです」

 

「学園のウマ娘のレースはできる限り確認するようにしているよ。あと、私を呼ぶ時はルドルフで構わない。堅苦しいのは嫌だろう?敬語じゃなくても構わんよ」

 

 スズカだけじゃなくて、学園内全員のレースを確認してるのか……何人もいる生徒のレースを全て。

 

「それで、今回はどういった用で来たのか聞いてもいいだろうか?」

 

「実は、スズカのウイニングライブを改善したくてな。その指導役を探してたんだが、ルドルフに聞くのが1番早いんじゃないかってな」

 

「貴様!わざわざそんなことを会長に聞くために来たのか!」

 

 エアグルーヴが怒鳴るのも無理もない。そのくらい自分で探せって話だからな。だが、スズカに俺が適当に探した指導役に指導させる訳には行かないんだ。

 

「まぁ落ち着けエアグルーヴ。わざわざ私の元を尋ねて来たんだ。それ相応の理由があるんだろう理由を聞かせて貰えるかな?」

 

 そう言うルドルフからは凄い圧を感じた。緊張感で少し気持ちが悪い……でもルドルフに聞くのが1番なんだ。

 

「スズカはウイニングライブでみんなに夢を届けたいと言った。そんなライブをさせてやるためには、俺なんかの生半可な指導じゃダメだ」

 

「ライブに詳しいしっかりとしたウマ娘に指導してもらわなきゃいけない。それなら、学園のウマ娘を熟知している、ルドルフに紹介してもらうべきだと思ったんだ」

 

 自分勝手な理由なのは俺が1番よく分かっている……でもこれが1番確実でスズカの為になる。ルドルフは引き受けてくれるだろうか……

 

「そうか、サイレンススズカの為か……よし、ならばその依頼受けようじゃないか。威圧するような真似をして悪かったね、立場上誰にでも手を差し出せなくてね。理解してほしい」

 

 学園には数え切れない程のウマ娘がいるからな。手当り次第に手を差し伸べられるわけじゃないんだろう。

 

「ありがとう。それじゃあウマ娘が見つかったら、また教えてくれないか?」

 

「ああ、それなら問題はない。あてはもうあるからな。ほら、隠れてないで出てきなさいテイオー」

 

「えぇー僕が教えるの?めんどくさいなー……」

 

 誰もいないと思ってたソファーの裏から、1人のウマ娘が出てきた。

 

「紹介しておこう。彼女はトウカイテイオー、トレーナーがいなくてデビューはまだだが、歌とダンスの技術なら私が保証する」

 

「トウカイテイオーですか。中等部に所属していて、凄い速いって噂で聞きましたね」

 

 少し独特な走り方をすると聞いたが、周りよりも頭1つ抜けた速さを持つと聞く。走りだけじゃなくてライブまでできるのか。

 

「トレーナーさん僕のこと知ってるの?感謝してよね!このテイオー様が直々に教えてあげるんだから」

 

「こらテイオー!口を慎め!」

 

「ぴょえー!ごめんって副会長ー」

 

「こんな感じなやつだが、さっき言った通り実力は保証する。きっと君たちの力になるだろう」

 

 なんというか……子供って感じがするな。でもルドルフの保証つきなら安心だな。

 

「明日からよろしく頼むよトウカイテイオー」

 

「ところで、サイレンススズカは日本ダービー勝てそうかい?」

 

 皐月賞も元々は狙ってたし。日本ダービーを狙っていることもルドルフにはもうバレてるか。

 

「勝てます。いや、勝ってくれますよ今のスズカなら」

 

「トレーナーさんもダービーを目指してるんだね!僕も将来はカイチョーみたいな、無敗の3冠ウマ娘になるんだー」

 

 無敗の3冠とは大きく出たな。まぁ、スカイも無敗とは言わずも3冠は目指してるからな。トウカイテイオーもかなり才能があるっぽいし、目指してておかしくない。

 

「うちの将来の担当ウマ娘も3冠を目指してるよ。無敗を目指すトウカイテイオーほどじゃないけどね」

 

「テイオーでいいよ!僕が許す!」

 

「はは、ありがとう。よろしくなテイオー、これは明日の集合時間と集合地点だ」

 

 ルドルフもエアグルーヴもまだ興味だしな、用が終わったのに長居するのは悪いしそろそろ帰るか。

 

「ルドルフわざわざありがとう。これでこっちの問題も何とか解決できそうだ」

 

「いやいや、これがサイレンススズカの為になるなら、このくらいどうということはない」

 

「エアグルーヴも悪いな、業務中騒がしくしちゃって」

 

「この程度なら問題ない。用が済んだならさっさと出ていくんだな」

 

 それじゃあ、さっさと退散しますかね。一応スカイのやつにも声をかけておくか。トレーニングサボれそうって即決しそうだけど。

 

 

『明日ライブの練習するけどお前も来るか?』

 

『行きます!集合場所時間書いといてくださいね〜』

 

 返信早いな!こいつ、トレーニングをまたサボってたわけじゃないだろうな……

 

『それじゃあ、明日な。あとトレーニングサボるなよ』

 

 こいつ既読スルーしやがった……絶対サボってやがるな。明日はしっかりと来るだろな。

 

ーーー翌日ーーー

 

「しっかりと来たな……スカイ」

 

「ええ〜トレーナーさんどうしたんですか?」

 

 こいつ……白々しいな、あの後結局連絡も返さなかったくせに。

 

「いや、昨日連絡がなかったから来ないんじゃないかと思ってな」

 

「いや〜昨日は連絡を返そうとしたら、ちょうど携帯の充電が切れちゃいまして〜」

 

「ダメじゃないスカイちゃん。ちゃんとトレーニングにはでないと」

 

 スズカが言及すると、スカイが少し怯えてた気がする。テイオーを待たせるのも悪いしカラオケに入るか。

 

 カラオケの部屋に入ると、テイオーがちょうど恋はダービーを歌い終わるところだった。歌も上手いし、なんかこう凄いステップを踏むな。あれが噂のテイオーステップか。

 

「みんな遅いよー!僕待ちきれなくて先に始めちゃったよ!」

 

「悪いな、少し話してたら遅くなっちまった」

 

「僕は寛大だからね許してあげるよ。それでサイレンススズカさんと……そっちの娘は?」

 

 そっか、テイオーはスカイのこと知らないのか。スズカはレースに出て周りに知られてるし。テイオーも結構有名らしく、スカイも知ってたからテイオーもスカイのこと知ってるつもりでいた。

 

「初めまして、私はセイウンスカイだよ〜スカイって読んでね。よろしくねトウカイテイオーさん」

 

 自己紹介をすると、スカイがテイオーに手を差し出す。握手か、友好を深めるにはちょうどいいな。

 

「僕はトウカイテイオー!気軽にテイオーって呼んでいいよ。よろしくねスカイちゃんって痛い!痛いよ!」

 

 握手をしたら急に叫んで俺の後ろに避難してきた。

 

「トレーナーさん!なんなのあの娘。すっごく怖いんだけど!握手した途端ギューって手を握られたよ」

 

 叫んだと思ったら、スカイにそんなに強く手を握られてたのか。なんでそんなことしたのって目線をスカイに送ったら。

 

「いや〜私が知ってる後輩の有名人が、私の周りのことは知ってるのに私のことを知らないと思ったら妬けてきちゃってー」

 

 いやいや、それだけでそこまでするか?スズカはスズカでよくやったみたいな顔してるし。

 

「それにしても驚きですよ、まだ私も担当に出来てないのに新しい娘に唾つけるなんて」

 

「えーそういうつもりだったの!?僕困っちゃうな〜無敗で3冠取らせてくれそうなトレーナーさんのとこに行くつもりだったんだけど。ヒィ!」

 

 スズカさんもスカイさんも落ち着いて?そんな顔しないで?テイオーが縮こまっちゃってるじゃないか。

 

「いやいや、そんなつもりじゃないよ。スズカのことで手一杯だし。スカイのことも考えないといけないからな」

 

「「トレーナーさん……」」

 

「だからテイオーと仲良くな?」

 

(僕は何を見せられてるんだろう)

 

「とりあえず、サイレンススズカさん1曲踊ってみてよ。僕がそれを見てアドバイスするからさ」

 

「分かったわ。あと、私のことはスズカって呼んでね」

 

 とりあえず、スズカに[ユメヲカケル]を1曲踊ってもらった。それを見たテイオーは何か納得したように頷いていた。

 

「どうだテイオー。なんかわかったか?」

 

「カイチョーとスズカさんのライブ映像見てた時から、違和感はあったんだよね。振り付けもしっかりしてるし、歌の音程もおかしいとこはないんだけど。何故かっグッと来るものがなかったんだよね」

 

「それは……なんで?」

 

 スズカも自身のことなので真剣に耳を傾けている。スカイも興味津々に耳を傾けている。

 

「想いがしっかりとこもってないんだよ。こうやって歌いたい、ファンのみんなにどういう気持ちを届けたいのか。だからどうしても色が出ないんだよね」

 

 レースに挑むウマ娘達は、各々が違う想いを持っている。そして、ウイニングライブに立つ者たちは応援してくれるファン達、いつも支えてくれるトレーナーやライバル達に想いを込めて、ライブに参加しているんだ。

 

「スズカはそれが表にしっかりと出ていないってわけか……」

 

「自分の想いをしっかりと出すですか……」

 

 それを聞いて、何かを思いついたようにスカイが手を鳴らしていた。

 

「スズカさんちょっと耳を貸してください」

 

 スズカはスカイに手招きされてスカイの方に寄っていく。

 

「いつもお世話になってるトレーナーさんに、ありがとうって伝えるつもりでやってみたらどうですか?」

 

「えっでも……そんなことでいいのかしら」

 

「感謝も大事な気持ちですって。ほらものは試しですよ!」

 

 スカイがスズカに耳打ちをする。一瞬スズカが驚くような顔をしたが、スカイの言ってることを聞いて戻ってきた。

 

「もう1回やってみます。トレーナーさんしっかり聴いててくださいね」

 

「ああ、何回でも聴いてやるさ」

 

 もう1回さっきと同じ曲を始めると、今度はさっきのライブとは全く違う感じになっていた。明るくなったというか……なにか元気が出る感じだ。

 

「すごいな……」

 

「なんだーこれじゃ僕必要なかったじゃん」

 

 テイオーから見ても言う事は特にないっぽかった。さっきとはまるで別物だからな……凄い心に響く気がする。

 

 その後、曲が終わって、スズカが感想を求めてか俺の元にやってきた。

 

「トレーナーさん……どうでしたか?」

 

「ああ!凄い良かった。心に響く感じがして……すっごい綺麗だった」

 

「スズカさん凄いじゃん。僕からは言えることは特にないよ……僕って来た意味あったの?」

 

「テイオーが来てくれたからこそ、スズカはあの踊りと歌が歌えたんだ。本当にありがとう」

 

 テイオーが俺たちの気づけなかったことを指摘したからこそ、この結果に繋がったんだ。無意味なんかじゃ決してない。

 

「トレーナーさんのおかげでもあるんだけどね〜」

 

「どういうことだ?そういえばあの時、スカイに何言われてたの?」

 

 あの耳打ちがあったからスズカは変わったんだろう。どんなアドバイスを貰ったんだろうか。

 

「それは……秘密です」

 

 イタズラする子供のような笑顔ではぐらかされてしまった……一体何を言われたんだ……

 

 その後は、テイオーがスズカとスカイに踊りの細かい部分のアドバイスをしていた。スズカはそんなに注意されてなかったけど、スカイはめっちゃ言われてたな……

 

 無事にライブの練習を終えて、カラオケ店から退出した。

 

「テイオー今日は本当にありがとう。お前のおかげでスズカは次のレースに安心して出られる。それに、言ってなかったスカイまでしっかりと面倒見てくれて感謝してる」

 

「まーカイチョー命令だからね。このくらいならどうってことないよ」

 

「テイオー、今日はありがとう。あなたのおかげで私のウイニングライブが見つかった気がするわ」

 

「一応、ありがとう。私も踊りで分からないところあったし」

 

 スズカもお礼を言った。スカイはちょっと悔しそうだったけど、しっかりとお礼を言えていた。

 

「お前にも、ちゃんとしたトレーナーが見つかることを願ってるよ」

 

 テイオーは自由なトレーナーが似合ってそうだ。そう、あの人みたいなトレーナーがいいな。

 

「ありがとうね。それじゃあね!」

 

 テイオーは挨拶をして、去っていった。まだ別に用事があるんだろう。

 

「それじゃあ、俺達も帰るか」

 

「「はい!」」

 

 俺たちは学園の方に向かって帰って行った。ルドルフにはお礼を言わないとな。

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