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スカイとキングの模擬レースが終わったあと、俺たち4人は理事長室をおとずれた。キングとの契約、そしてチームの結成のためだ。
「今日はキングヘイローとの契約と、チーム結成についてお話に伺いました」
「驚愕!セイウンスカイとの契約からまだそんなに日が経っていないのに、新しいウマ娘をスカウトしてきたのか」
「キングヘイローさんですか。先日の件は学園側からも謝罪させていただきます」
「起こってしまったものは仕方ないですわ。学園側の早急な対応に感謝するわ」
キングも先日のことで学園側にとやかく言う気はないらしい。これはたづなさんから聞いた話だけど、あのトレーナーは前々から怪しくて、学園側も目を付けていたという。それでも不正を暴け無かったんだ仕方がない。
「キングヘイローとの契約の件は問題ない!しかし、チーム結成のためには、チームメンバーとチーム名が必要だ」
チームメンバーはキング、スカイ、スズカの3人で規定人数に達している。チーム名も俺がもう決めてある。
「チーム名は決めています。レグルス、チームレグルスです」
トレセン学園では、チーム名に星の名前を付ける生業がある。だから、一等星の中でも輝きが強いしし座のレグルスにしようと決めていた。
「承認!チームレグルスか、一等星の名をチーム名にするトレーナーは久方ぶりだな」
「そうですね、一等星の名を掲げるチームはどこも強豪ばかりですから。萎縮して皆付けたがらないんですよ」
そうなのか……え、そんな話初めて聞いたんだけど。でも冷静に考えてみれば、東条さんのチーム名も一等星のリギルだったな……チーム名間違えたか?
「名前に恥じないチームを目指して行きたいと思います」
どうせなら目標は高くだ。それに、このメンバーならトップチームを目指せるだろう。
「それでは、あとの処理はこちらで済ませておく。質問がなければ退出してもらっても結構だ」
理事長室を退出し、チームルームに移る。トレーナールームよりも広い部屋で、チームを持つトレーナーに振り分けられる。
「いやー結構広いな」
「そうですね〜これでトレーニングサボり放題……って冗談ですよスズカさん?」
「そうよねスカイちゃん、トレーニングは真面目にやらないとダメよ?」
「全く……騒がしいチームですわね」
最初は俺とスズカだけだったのにな。スカイと出会って、キングと引き合わされて。いいチームメンバーに会ったもんだ。
「とりあえず、チームレグルスとしての今後の方針を決めていこうと思う」
スズカは日本ダービーに勝った。次のレースはこの流れで菊花賞なんだが、皐月賞も逃した今は菊花賞にこだわる必要も無い。何よりもスズカは長距離が苦手だ。
「スズカの次のレースは、菊花賞か天皇賞秋を目指そうと思っている」
「天皇賞秋ですか?菊花賞ではなく」
「天皇賞秋は2000mのレースでスズカが最も得意な距離だ。スズカなら十分に勝ちに行けると思うんだが……どうだ?」
「私は……天皇賞に出たいです。長距離は苦手ですから……」
天皇賞秋か、スズカの力なら十分に1着を狙いに行けるはずだ。しかも2000mという中距離の中でも短い距離だからな。
「天皇賞を見据えて、9月に行われる神戸新聞杯に出走する。それまで体を鍛えていくぞ」
「次はスカイとキングだな。2人はクラシック路線を見据えてトレーニングしていくことでいいんだな?」
「はい」「ええ」
「2人で同じ目標を目指すってことは、チーム内での争いになるけど問題はないんだな」
2人とも同じレースに出るってことは、どちらかが勝ってどちらかが負けるということだ。
「どっちが負けても恨みっこはなしでね〜」
「悔しがっても恨んだりなんかしないわよ。私も全力で挑戦するわ」
2人とも理解した上で、クラシック路線を目指しているんだな。本人達がいいなら問題はないか。
「そういえば、キングには夢ってあるのか?」
「夢……と言うか目標かしらね。私はお母様を超えたいの、そして、キングヘイローが一流であることを認めさせたいわ」
彼女の母は世界でのG1も制しており、かなり強いウマ娘であったらしい。その母を超えて、一流であることを世間に示したいか……
「だったら、G1全距離制覇でも目指してみるか」
「トレーナーさん本気で言ってるの!?G1全距離制覇なんて今まで誰も成し遂げたことないんですよ?」
スカイの言いたいことも分かる。G1で全距離を制覇するということは、全ての距離でその専門のウマ娘に勝つ必要がある。難易度は計り知れない。
「だな、それこそ世間からの非難もあるだろう。けど、それを成し遂げた時に非難は歓声に変わる。何よりも誰も成し遂げたことの無いことをするんだ、達成したら誰もが認める一流のウマ娘だ」
「全距離制覇……いいわ、そのくらいやって見せようじゃない。なんたって私はキングヘイローなのだから!」
キングには圧倒的レースセンスと根性がある。上手く噛み合えば勝利を狙っていける。その為にはスタミナを相当伸ばさないといけないけどな……
「厳しい道だぞ。非難は受けるし、負けることも多くあるだろう。トレーニングも厳しくなるから、怪我の心配もある」
「そのくらい覚悟の上よ。それに、最初は三流でも何度でも挑戦して二流……そして勝つべきレースで勝って、いつか一流になればいいんでしょ?」
キングの目は本気の目だった。トレーニングのし過ぎで怪我なんてさせないし。世間からは俺が守らないとな 。
「もちろん、レースは選ぶし運も絡んでくだろうけどな」
「どれだけ泥臭くても勝利は勝利よ」
キングはプライドは高いが、勝つためならどれだけ自分が泥臭くても構わないという勝利への強い執着がある。これはレースでは強みになるな。
「というわけで、明日はスタミナ強化もかけてあのトレーニングをやるぞ」
「あのトレーニングってまさか……」
「またあそこで走るんですね……嫌いではないですけどハードなトレーニングになりますね……」
何も知らないキングはポカンとしているが、山道を走ったスズカとスカイは落胆していた。特にスカイは大分嫌そうだ。
「あのトレーニングってなにかしら」
「それは明日のお楽しみだ」
スカイがこいつ性格悪いな〜って目で俺を見てくる。いいじゃないかちょっとくらい。
「とりあえず今日のミーティングはこれで終わりだ。各自解散してくれ」
ミーティングを終えると、スカイとキングは一緒に部屋を後にした。元々は仲が良かったらしいし、あのトレーナーの件も解決して、蟠りも解けたのだろう。
「スズカは帰らないのか?」
「私は少しトレーナーさんとお話がしたくって」
話?なんか不満とかあったかな。急にメンバーも増えてチームを設立したりと、実は色々言いたいことがあるとか。
「スカイちゃんもキングちゃんもいい子ですよね」
「あぁ、2人とも才能に溢れてるし。努力も惜しまないし本当にいいウマ娘だよ」
「数ヶ月前までは想像も出来ませんでしたね。デビュー前のウマ娘に新人トレーナーの2人で」
「そうだな……よくここまで来れたよ。新人なのにチームを任されるなんてな。スズカが頑張ってくれたおかげだ」
そうだ、成績を残したのはスズカであって俺ではない。周りからは期待されてるけど、そこまで俺にはトレーナーとしての力はあるのだろうか……
「違います。トレーナーさんが私を信じて私のために頑張ってくれたからです。だから私も頑張れたんですよ」
これも1種の信頼関係か。お互いを信じてるからこそ頑張れる。
「ありがとうなスズカ」
俺はスズカの頭を撫でる。最近は色々ゴタゴタしてたし、こうやってスズカと2人でゆっくりするのは久しぶりだな。
「スカイちゃんとキングちゃんが可愛いくていい子だからって、2人にうつつを抜かして私をほっぽらかしちゃダメですよ?」
「当たり前だろ。スズカを疎かになんかするわけないじゃないか」
俺の答えに満足したのか、スズカの顔から笑みがこぼれた。スズカは笑うと本当に可愛いな……っていかんいかん、邪な考えを持つのは良くない。
「それじゃあ、明日からも頑張ろうな。チームとしての初トレーニングだ」
「はい、これからもよろしくお願いしますね」
そうして、俺とスズカは2人で部屋を後にした。新人の俺には、チームを持つっていうのは少し荷が重いが。担当のウマ娘のためだ、頑張ろう。