トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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第37話:スタミナ強化!地獄の坂道トレーニング

というわけで、チームとしての最初のトレーニングは山道ランニングだ。ダービーの前にスズカが走ってたあそこをキングにも走ってもらおう。

 

スズカは走る準備をしていて、スカイは憂鬱そうだ、キングは呆然としてる。

 

「どうしたキング、そんな呆然として」

 

「もしかして、今からここを走るのかしら?」

 

「そうだけど?」

 

「一体何キロあるのよ!」

 

「たしか、片道10kmだよ。平地2km上り1km下り1km上り下り5km大きな上り1kmこれが今日走るコースだ。

 

「こんなの走りきれるのかしら……」

 

「完走したのはスズカだけだ、スカイも往復はまだできてない」

 

今のスカイなら走り切れそうだけどな。あの時はスズカに引っ張られてたし。

 

「スズカとスカイは自分のペースで走ってくれ。キングはスカイの後ろで走る形でいこう。準備が出来たらスタートだ」

 

「スズカさん、今日はついて行かせてもらいますよ〜」

 

「あらスカイちゃん、私はあの時よりもっと速くなってるわよ?」

 

「とりあえず、キングの目標はスカイについて行くことだ」

 

「理由を聞いていいかしら」

 

「スカイはスタミナが多いからな、スピード的にもスカイの後ろがいい。多分だけど、キングは走りきれないだろうし」

 

スズカのときでわかったが山道を走るって言うのは結構疲れる。しかも片道10kmだ。スタミナを鍛えてないキングが完走できるわけがないんだ。

 

「ふん!そのくらい走りきって見せるわ!」

 

キングと俺の会話が終わったのでスタートすることにした。

 

「行くぞー位置について、よーいどん」

 

スタートした。最初はスズカが先頭に出た。スカイが最初はスズカについて行こうとしていたが、スズカのスピードについていけず断念していた。

 

キングは何とかついて行ってるな。最初の2kmの平地は問題なく走っていった。上り坂の1キロmでキングが遅れ始めた。

 

 

「あれ〜キングちゃん疲れて来てるんじゃない?トレーナーさんの車でゆっくりしててもいいんだよ?」

 

「冗談おっしゃい。私はまだ走れるわよ!」

 

と虚勢を張ったのはいいですけど……大分キツいわね。上り坂もかなり辛いけど、何よりも自分のスタミナの無さに驚くわ。

 

何とかスカイに食らいつき、1kmの上り坂はついて行けていたが下りに入ってスカイが動いた。

 

「悪いけど、私は先に行かせてもらうね〜」

 

下りに入ってからスカイさんのスピードが上がった。私も後に続こうとしたけれど、足が全然前に進まない……

 

スカイとキングの差はどんどん広がって行って、下り終わる頃にはスカイはキングからは見えなくなっていた。

 

「どうするキング、この辺で終わりにしとくか?」

 

「まだ走れるわ」

 

俺が車から声をかけると、一言そう返して走り続ける。まだ走れてるけどもう少ししたら止めなきゃまずいな。

 

案の定1km走ったところ辺りでキングがフラフラし始めた。流石に止めないとまずいな。

 

「キングここまでだ。これ以上は走ることは許可できない」

 

「分かったわ……私は何キロ走ったのかしら」

 

「6kmだ。半分とちょっとってところだな。本当は5km走ったところで止めようと思ったんだけどな」

 

とりあえず、車にキングを乗っけてスカイ達を追いかける。2人とも初めてじゃないし、大丈夫だとは思うんだけど一応な。

 

「まさか片道も走りきれないなんて。こんなんじゃダメダメね」

 

「これが一流の王者のスタートラインだ。まだスタートしたばかりだぞ、レースの途中だ諦めんなよ」

 

「そんなの当たり前じゃない。私はキング……キングヘイローなのよ!」

 

車でスカイを追いかけると、ラスト1kmの坂に差し掛かっていた。大分疲れが顔に出ているが、フォームはあまり崩れていない。最後はスピードこそ出ていなかったがしっかりと走りきった。

 

「スズカもスカイもお疲れ様。スカイはしっかりと最後まで走りきったし、スズカもその様子じゃ自分を追い込めたみたいだな」

 

スカイの疲れは目に見えて分かったが、スズカもかなり消耗しているな。前よりもスタミナが増えた分スピードも上がっていて負荷が大分かかってるな。

 

「スズカさんにはとても追いつけないですよ〜」

 

「ふふ、スカイちゃんももっと頑張りましょうね」

 

こいつらは相変わらず仲がいいな。まだライバルとまでは行かないけどいい関係だ。キングは2人から少し距離を置いてるな。

 

「キングは帰り俺と車で戻るぞ」

 

「じゃあ、私も〜」

 

「お前はスズカと一緒に走るんだよ。助手席に乗ろうとするな」

 

スカイはまだまだ走れるだろう。ほら、そんなことしようとするからスズカに引きずられるんだぞ。

 

「私はなんで走らないのか聞いてもいいかしら?」

 

「今のキングじゃあの距離を1日走るのが限界だ。これ以上走るのは負荷がかかりすぎる」

 

「でも、私はまだ走ることができるわよ」

 

「ダメだ、これ以上は怪我に繋がる。お前にはまだスタミナが足りてないんだ」

 

俺がそう指摘すると、キングも納得はしたのか悔しそうな顔をして車の中に乗り込んだ。

 

「スズカとスカイは水分補給をしっかりとしてくれよ」

 

「「はい」」

 

「それじゃあ休憩したらスタートするぞ」

 

休憩を挟み、俺とキングは車でスズカとスカイの後ろをついて行く。

 

「本当に私は大丈夫なのかしら」

 

「急にどうした、スカイについて行けなかったことでも気にしてるのか?」

 

「そうね……私はこの人達についていけるのかって不安になったわ」

 

不安にもなるか。同級生のスカイは今も目の前を走ってるのに、自分は車の中で見ていることしかできないんだから。

 

「大丈夫だよ、キングは今でこそスタミナはないけどそれ以外は全て高水準だ」

 

「っふ、そうね情けない所を見せたわ」

 

「そういえば、チームはどうだ?仲良くしていけそうか?」

 

傍から見ると割と上手く行ってそうだけど、当の本人がどう思ってるのかが大事だ。

 

「スズカさんは私を煙たがるような様子もないし、スカイさんは私を気遣って積極的に話しかけてくれるし大丈夫よ。ただ、どうしても打ち解けきれないの」

 

「なんか蟠りでもあるのか?」

 

「そんなことはないわ。さっき言った通り2人とも良くしてくれてる。私が勝手に距離を置いてしまうの」

 

「あのトレーナーの件を気にしてるのか……あれはお前のせいじゃないだろ」

 

あれは絶対にあのトレーナーが悪い。キングに落ち度はないじゃないか。でも、本人がそう思ってるならしょうがないか……解決策を考えないとな。

 

「そうかもしれないわね、でもスカイさんをそれで傷つけてしまったのも事実よ」

 

たしかにあの時のスカイは相当傷ついていた。信じているトレーナーに裏切られたのだからな。

 

「傷ついたのはお前も一緒だろうが、細かいことは気にすんな」

 

「そうは言うけど……まあいいわ」

 

とりあえず今はこれでいい。変に自分を追い込むほうが良くないからな。

 

「ところで、これからメンバーを増やす予定とかはあるのかしら」

 

新メンバーね……新人の俺にとっては今の3人で手一杯なんだけどな。それに来年はスカイもキングもデビューだしな……

 

「俺は新人だぞ、そんなポイポイとウマ娘が来るわけじゃないからな……」

 

「チームメンバー募集のポスターでも貼ればいいじゃない」

 

その考えはなかった……スカイもキングも俺が直接スカウトしたわけじゃないし、スカウトじゃなくて募集って形式があるとは。

 

「でも、俺みたいな無名新人のところに入ろうと思うやつがいるか?」

 

「何言ってるのかしら。あなたの担当であるスズカさんがG1……しかも日本ダービーを取ったのよ。ダービーを目指してるウマ娘は多いわ、募集をかければそれなりに集まるんじゃない?」

 

「そうかもな……ただ来年はスカイとキングのデビューがある。その為にレースは2人に注力したいからな。だから、来年にデビューの予定がないウマ娘限定だな」

 

「もう……おバカ…」

 

「なんか言ったか?」

 

「なんでもないわよ!」

 

俺たちがこんなやり取りをしてる間にスズカはゴールしていた。スカイはゴールの3km手前ぐらいで車に乗せた。スズカもスカイも息を切らしている。

 

「2人ともお疲れ様。スズカはしっかり走りきったし、スカイは前よりも長い距離走れるようになったな」

 

「頑張りましたよ〜お2人が楽しそうにお話してる間にね」

 

「なんのことスカイちゃん?詳しく聞かせてもらってもいい?」

 

待って待ってお二人さん?怖いよ?何もしていないよ?本当だからね。

 

「2人ともどうしたのかしら?私は別にトレーナーさんとこれからについて話していただけよ?」

 

「とっとりあえず、今日のトレーニングはここまでだ!また明日頑張ろう!」

 

俺はそこから超逃げた。全力で逃げた。後ろからキングの叫び声が聞こえた気がするけど、俺は振り向けなかった。何せ俺の生命に関わる気がするからだ。

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