トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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日間ランキング50位以内に入ることもあり、ルーキー日間では5位付近で嬉しすぎて悶えました。
感想も初めていただき嬉しかったです!できる限り感想は返信します!


第38話:示せ!自分の才能!

「といわけで、今日は模擬レースをしてもらう。グラスワンダーとキングとスペ、スズカとスカイとミークだ」

 

「よろしくお願いしますね、キングちゃん」

 

「よろしく頼むわ、グラスさん」

 

「今日は負けませんよスズカさん」

 

「私も負ける気はないわよ」

 

 模擬レースのスタート前なんだが、どうしてこうなったかというと。

 

ーーー昨晩ーーー

 

『葵さん今いいですか?』

 

『なんでしょうか、時間は大丈夫ですよ』

 

『葵さんって先日グラスワンダーと契約しましたよね』

 

『たしかにしましたけど……それがどうしたんですか?』

 

 噂通りだ、スカイも前にグラスワンダーが葵さんにスカウトを受けてるって言ってたしな。

 

『うちのキングと模擬レースをさせていただけませんか?』

 

 グラスワンダーは、キングやスカイの同級生の中でもかなりの実力を持っているらしい。キングの実力を確認するのに相手として不足なしだ。

 

『別に構いませんよ?グラスさんにもいい経験になると思いますし』

 

ーーー現在ーーー

 

「いいかキング、作戦は言えるようなものはない、お前がここだって思うところで仕掛けるんだ」

 

「トレーナーさんそれはなんでも投げやりすぎじゃない?」

 

「いいわ!キングの走りを見る権利をあなたたちあげるわ!」

 

 キングもエンジンがかかってきたな 。そうだそれでこそキングヘイローだ。

 

「というかよくグラスちゃんを呼べましたね。それに……スペちゃんまでいるじゃないですか!」

 

「どうやってか知らんが嗅ぎつけて来てな。しょうがないから参加させてやることにした」

 

 スペの参加は問題無い。今の彼女に負けるようなウマ娘は今ここに居ないからな。

 

「葵さん、今日のトレーニング受けてくれてありがとうございました」

 

「菊花賞ではスズカさんとは戦えないですから、ここで1度戦っておこうと思いまして」

 

「負けないですよ。いくらトレーニングといっても勝負は勝負ですから」

 

 

「スペちゃんにキングちゃん、今日は負けませんよ?」

 

「私はキングよ?負けるわけにはいかないわ」

 

「わっ私も頑張ります!」

 

 メンバー全員がやる気満々だな。いいことだ、どうせやるなら全力でだ。

 

「それじゃあ、スペ、キング、グラスワンダーの3人はスタート位置についてくれ〜」

 

 今日のレースは1600mのマイルレースだ。スズカとハッピーミーク、スカイの方は2000mの中距離の予定になってる。

 

「それじゃあ行くぞー位置について、よーいどん!」

 

 俺の掛け声と同時にスタートする。キングとグラスワンダーはいいスタートを切ったがスペが出遅れたな。

 

「柴葉さん的には誰が勝つと思いますか?」

 

「キングが勝つ……と言いたいんですけどね。実力的に言ったらグラスとキングは互角、次点でスペが来るでしょうけど」

 

 それはあくまで肉体的な話だ。勝負はラストの仕掛けどころだな。トレーナーもついてなくて知識、経験が不足しているスペが圧倒的に不利だ。

 

 スタートしてから先頭はグラスワンダーが取った。すぐ後ろにキングがついて、少し離れてスペがあとを追う形になった。

 

「キングが後ろからグラスワンダーを狙う形か……」

 

「グラスさんもキングヘイローさんのことをしっかりと捉えていますね」

 

 そこからしばらくはレースが動くことはなかった。しかし、残り600mと行ったところで一気にレースが動きだした。

 

「スペが一気に後ろから上がってきたな……すんげえ末脚だな」

 

「でも、少し仕掛けるのが遅いですね。あの差を埋める為には足りないです」

 

 立派な末脚だけど、あの距離は追いつけないな。末脚が凄いのはスペだけじゃない。

 

 

(トレーナーに全部丸投げされて、今ここで仕掛けてもいいの……?なんて前までは考えたんでしょうね。でも、トレーナーさんは私の判断が勝利に繋がるって信じてくれたから全てを任せた)

 

 残りは500m、一瞬の判断の誤りが敗北へと繋がるだろう。でも、私は私自身を信じる。なんてったって、私のことを信じてくれる人がいるから。

 

(仕掛けるなら……今!)

 

 キングの判断の早さにグラスワンダーの反応が少しだけ遅れた。ウマ娘の速度と加速力じゃあ、その一瞬の遅れが命取りになる。

 

 そのまま抜き去るかと思ったけど、グラスワンダーも負けじとスパートをかけて2人とも横一線だ。

 

「流石にそう簡単に勝たせてはくれないか」

 

「グラスさんが本気で競い合うところを初めて見た気がします……あそこまで闘志が凄い娘だと思いませんでした」

 

 葵さんも予想外だったのか……でも凄い威圧感だな。ルドルフとはまた違った感覚だけど凄い力強さを感じる。

 

 その後はキングもグラスワンダーも先に行けず結局並んだままゴールした。写真判定なんてものはないし同着だな。スペも追いつこうと頑張ってはいたが追いつけなかった。

 

「スペも早くトレーナーを見つければいいのにな」

 

「スペちゃん、トレーナーさんがチームを立ち上げてからチームに入りたいって毎晩言ってるんですよ」

 

 スズカがウォーミングアップを終えて戻ってきた。走りながらレースを見てたのか。

 

「スペか……スペはキングとスカイの同級生でデビューも被るからな……余計にチームに入れるわけにはな」

 

「そうですよね……スペちゃんだけ特別扱いはできないですよね」

 

 スペの才能は計り知れないからな。キングとスカイがチームに居なければ声をかける……いや、今のスペとスズカを同じチームには……

 

「ほら、スズカも人の心配してないで自分のレースの集中しろ」

 

「わかりました。ミークちゃんも前より強くなってるみたいですし……油断できません」

 

「そうだ、葵さんがあれから何もしてないはずがない。トレーニングだと言ってもお互い本気だ、気合いを入れてこう」

 

「はい」

 

「トレーナーさ〜ん私はどうすればいいの?」

 

 スカイも一緒に走るからな。ただ……流石に実力差があるからな、勝ちに行くのは厳しいかもな……

 

「スカイはできる限りスズカに食らいついていけ。スズカとスカイは同じ脚質だからな、それにハッピーミークも実力者だ、いい経験になるだろ」

 

「了解で〜す……食らいついていけね……私には勝ってこいとは言ってくれないんですね

 

「なんか言ったかスカイ」

 

「なんでもないですよ〜私も頑張ってきますね」

 

 少し落ち込んでるようにも見えたけど気のせいか?スカイと一緒にいる時間は増えたけどたまに読めないんだよな。

 

「全く……トレーナーさんってたまに不器用なんですから。それじゃあ私も行ってきますね」

 

 不器用?俺なんかやったか?とりあえず俺のことはどうでもいい。目の前のレースに集中しよう。

 

「それじゃあ行くぞー。位置について、よーいどん!」

 

 スズカが先頭を取ったな。少し離れて後方にスカイ……じゃなくてハッピーミークか。スカイはハッピーミークの後ろだ。

 

「セイウンスカイさん調子悪いんですかね?彼女って脚質逃げですよね」

 

「いや……あれは調子が悪いわけじゃないな」

 

 キングとグラスワンダーも気づいてるな。グラスワンダーに関してはちょっと不機嫌になってるな。

 

(今日集まった時はそんな素振り見せなかったんだけどな)

 

 今日はこっちから誘った上でレースしてるわけだ。それに、ハッピーミークもスズカも真面目に走ってるし。それに、スカイにはスズカとハッピーミークと走ることは重要だ。

 

「何やってんだスカイ!お前は3冠取るんじゃなかったのか!これはお前が勝つために必要なトレーニングだ。なんでお前がキングたちじゃなくてスズカたちと走らせてると思ってる!お前がスズカ達に食らいついていけるからだろうが!」

 

 そうだ、2000mならスカイがキング達より頭1つ抜けてる。だからこそクラシック路線で活躍してきたスズカとハッピーミークと走らせたんだ。

 

「簡単に負けるな!俺はお前が勝てるようになるって信じてるからこそ2人と走らせたんだ!」

 

 

「トレーナーさんはいざって時に一言足りないんだから……でも、あそこまで言われて頑張らないわけに行かないよね!」

 

「スカイちゃん来たのね。急にスピード上げて頑張ったみたいだけど、大丈夫かしら」

 

「スタミナだけが私の取り柄ですから〜スズカさんも話してる余裕あるんですか?追い抜いちゃいますよ」

 

 スズカがスピードをあげるが、スカイも追いつこうと必死に食らいついてく。ハッピーミークも後ろから上がってきたな。

 

「ハッピーミーク……前よりも速くなりましたね」

 

「まだまだミークは伸びますよ。もう少しで感覚を掴めそうなんです」

 

 なにかハッピーミークも掴もうとしているらしい。スズカも油断していられないな。

 

「スカイさんやる気出したわね。あなたも不器用なんだから」

 

「スズカにもさっき言われたけど……俺ってそんな不器用か?」

 

「大事なところであなたは言葉が足りないのよ」

 

 ラストはスズカとハッピーミークの戦いだった。スカイも負けじとラストスパートをかけるが追いつけない。それでもスカイはスピードを緩めない。

 

 レース結果はスズカが1着でハッピーミークが2着。差をつけられて3着がスカイだった。

 

「葵さん今日はありがとうございました。スカイとキングにいい経験をさせてやれました」

 

「いえいえ、グラスさんの知らないところも知れましたし。ミークの足りないところも分かりましたし」

 

 その後で反省会をするために早めに解散する。今回のレースで経験出来たことは多いからな。

 

「まずはキングだ。今回のグラスワンダーとのレースでお前の才能は疑いようもない。それに加えてあのレースセンスに末脚、お前は強力な武器を持っている」

 

「ええ、今回は同着だったけど次は負けないわ」

 

「あとはスタミナを伸ばしていくぞ。これからも自信を持っていけ」

 

 スタミナさえあれば、スカイとも張り合っていけるだけの十分な実力がある。これからの成長が楽しみだな。

 

「次にスカイだ。お前はクラシックの第1線で競い合ってきたあの2人に食らいつくだけの実力がある。だが、3冠を取りにいくためにはまだまだトレーニング頑張っていくぞ」

 

「え〜セイちゃんハードなトレーニングはな〜。でもトレーナーさんが言うなら頑張っちゃいますか〜」

 

 スカイもやる気になってくれたみたいだし、問題はなさそうだな。これからのスカイの成長に期待だ。

 

「これからもチームレグルスとして頑張っていくぞ!」

 

「「「はい!」」」

 

 今日のレースで大分疲れが溜まってたからな、反省会が終わった後にすぐ解散した。それにしても、これからのみんなの成長に期待だな。

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