多くの感想とアドバイスありがとうございます。自分では気づけずにいたので本当に助かりました!
私はセイウンスカイ、今日はトレーニングがお休みで釣りって気分じゃなかったから選抜レースを見に来ていた。同級生のスペちゃんも出走するみたいだし、応援しに行かないとね~。私がグラウンドに着いた頃にはレースが丁度始まるころだった。
(スペちゃん速くなってるな~先頭の子も早いけど)
そして、レースが終わって結果が発表された。私のところのトレーナーさんは、メジロマックイーンちゃんをスカウトしたみたい。せっかくだし、挨拶していこうと思いトレーナーさんのところに行った。
そしたら、予想外の展開になっていた。メジロマックイーンちゃんはゴールドシップさんに拉致られるし、トレーナーさんは今まで見たこともないような顔で沖野トレーナーに激怒していた。
私はトレーナーさんになんて声をかけていいかわからずに、その場では隠れて後をつけてしまった。今日はトレーニングはないからそのまま寮に帰ると思ってたのに、その様子はないし。どこに行くんだろうと思い後をついてしまった。
(ここって病院だよね……?トレーナーさんどこか悪いのかな。トレーニングの時とか体調悪そうには見えなかったけど……)
私は混乱してどうしたらいいかよくわからなくなっていた。とりあえず、トレーナーさんが出るの待ってようかな。
数十分後にトレーナーさんが病院から出てきて、次に向かったのはチームルームの方だった。
「薬を管理しやすいのはチームルームだよな」
遠くから耳を立てているとそう聞こえた。薬を自分の机にしまうためにチームルームに向かうらしい。このままなんの薬を処方されたのか見ちゃおっと。
トレーナーさんが部屋に入って用を済ませて帰宅して行ったことを確認して、私はチームルームに入っていった。罪悪感を覚えながらもトレーナーさんの机の引き出しを開ける。
(なにこれ……)
私がそこで見たものは衝撃的な物だった。一部持ち帰ったであろう睡眠導入剤とストレスを緩和する薬がいくつか入っていた。私たちにはそんな素振りを少しも見せてなかったのに。
(スズカさんとキングちゃんに相談してみよう)
私にはその場でどうしていいか決められなかったので、翌日のトレーニング前にスズカさんとキングちゃんに相談することにした。
私とスズカさん、キングちゃんの3人が集まったので昨日あったことの経緯を話した。
「トレーナーさんそんな状態だったんだ……私全く気が付かなかったわ」
「まぁ……無理もないわね。最近は勝つことに必死になってる感じがしたこともあったわ」
「キングちゃんは何か心あたりがあるの?」
キングちゃんは私の質問に頷いて、ノートパソコンを取り出した。なんでノートパソコンなんだろう。もしかして、キングちゃんトレーナーさんのこと盗撮とかしてるんじゃ……
「そんな何かを疑う目で私を見ないでくれる!?まぁいいわ、スズカさんやスカイさんはネットなんかでトレーナーさんの事を調べたことはあるかしら」
「私ってあんまり機械が得意じゃなくて……そういうのはあまり調べてないわ」
「私も調べてないな~」
「それじゃあ、こんなのも見たことないわよね」
キングちゃんがそう言って見せてきたページには色々な記事が出ていた。検索枠には『紫葉和也』と入っていた。記事の中には、キングちゃんのデビューの事やスズカさんが天皇賞秋を制したことが書いてあった。
「へー意外と私たちって有名人なのね」
「スズカさん……ダービーに天皇賞秋まで取ったんだから有名じゃないわけないよ……」
スズカさんは天然というかなんというか。ここまでの記事には特に問題は無いように見えた。チームの事や、スズカさんやキングちゃんを褒めるような記事ばかりだけど。
「ここまでの記事はなんの問題ないわ。問題は今から見せるものよ」
キングちゃんが次に見せてくれたのはとあるネットの掲示板だった。そこに書いてあるのは私たちの予想を上回るほど酷い内容だった。
「何これ……こんなデタラメばっかり書いて。この人たちがトレーナーさんの何を知ってるっていうの?」
「それで、これがトレーナーさんがあんな風になった原因なの?」
私とスズカさんは冷静でいられなかった。トレーナーさんは私たちの事を思って頑張ってくれてたのに、それを何も知らない人たちに馬鹿にされて。
「多分これだけじゃないわね……私も気になってシンボリルドルフ会長に聞いてみたのよ。そうしたら、新人の活躍をよく思わないトレーナーっていうのも少なからずいるみたいなのよ……」
「つまり、トレーナーさんの事を妬んで嫌がらせをするような人たちが学園にいるんだ」
「許せないわよねスカイちゃん」
「はい」
私とスズカさんは、チームルームに置いてあったスズカさんがトレーニングに使う蹄鉄を手に取って、チームルームを退室しようとしていた。
「2人とも落ち着いて……トレーナーさんが私たちに話さなかったのは、私たちに心配をかけさせないためでしょ」
「じゃあどうすればいいの!トレーナーさんは今も傷ついてるのに」
「落ち着いてスカイちゃん、キングちゃんにも考えがあるのよね」
「トレーナーさんはいつでも私たちの夢を見ていたわ。でも、今は色々あったせいでそれが霞ががってるのよ。だったら私たちのレースで思い出させてあげましょう?」
私はまた何も出来ない……キングちゃんもスズカさんもレースに出るからいいけど私にできるのはトレーナーさんを信じることだけ。
「そっそうね……私たちが3人で頑張ってトレーナーさんを元気付けてあげないとね」
私たちはトレーニングに勤しんだ。以前よりもトレーニングの内容がハードになっていたけど、トレーナーさんのために頑張った。
そして、キングちゃんのレース当日になった。
「トレーナーさん今日の作戦はあるかしら?」
「キングの実力なら今日のレースに敵なんかいないだろうし、勝ってきてくれ」
敵なんかいない……勝ってきてくれ。その2つの言葉がいつものように受け取れないのはなんでかしらね……
「分かったわ……見ていなさいトレーナーさんこのキングの走りを!」
そして私はレースに挑み、無事に1着で勝利した。重賞レースということもあって、デビュー線とは違った空気感に圧倒されそうになりながらも、なんとかいつも通りの走りをして見せた。
「どうだったかしら!キングのレース!」
「あぁ、お疲れ様。とりあえずこれでマイル以下なら重賞レースでも勝てることが分かった。次は中距離のレースになるからな」
デビュー戦で聞いたお疲れ様よりも冷たかった。あの時のあの一言はいつもよりも暖かくて安心できるものだっもの。私じゃあなたの目を覚ませないのね……その日はお母様に連絡する元気もなく、ウイニングライブをこなして学園に帰った。
今日はマイルチャンピオンシップ当日。私はいつものように待機場でトレーナーさんの激励を受けようと思っていた。三度目のG1レースということもあって緊張はなかった。けど、どうしてもトレーナーさんの事が頭から離れない。
「今日のレースには、現在スプリンター最強と言われているタイキシャトルが出走する。前半は力を溜めて、タイキシャトルとうまく距離をとれ。スプリンター最強であるタイキシャトルに勝って、マイラー最強はお前であることを証明してやれ」
私の得意距離は2000mの中距離ってトレーナーさんが一番分かってるのに……なんで今マイラー最強なんて急に目指すんですか。私たちの夢はレースでみんなに夢を届けることなのに。
「わかりました……頑張ってきますね」
「あぁ、勝って来いスズカ」
レースを楽しんで来いとも言ってくれないんですね……私がこのレースで勝って、前のトレーナーさんに戻ってくれればいいんだけど……
私はトレーナーさんがスズカさんの所に行っている間に、リギルのトレーナーさんの東条さんとお話しをした。どうやら、沖野トレーナーさんからある程度の話は聞かされているみたい。でも、あまり干渉する気はないらしい。
「トレーナーさん、スズカさんは調子よさそうでしたか?」
「まぁ、問題はないだろう。足に異常はないし、普通に走ることができれば勝てるはずだ」
問題がない……あのスズカさんを見て何も問題がないって言えるんだね。私はどうすればいいんだろう。どうすればトレーナーさんを元気付てあげられるんだろう。
「今日は負けないわよ、天皇賞秋のリベンジを果たさせてもらうわ」
「私もダービーの時のリベンジです!前までのミークとは違うことを見せてあげます!」
「スズカは勝ちます。誰が相手であっても」
冷たくそう答えたトレーナーさんを見て、東条さんは肩をすくめて自分のチームがいるところに戻っていった。葵さんは何かやる気満々のようだった。
パドックでの紹介の時でも必ず笑顔を振りまくスズカさんは、元気がなさそうな顔をしていた。ハッピーミークさんやタイキシャトルさんの仕上がりも凄くて、闘志に満ち溢れているようにみえた。
「キングちゃんどう思う?スズカさん勝てるかな」
「勝てるって言いたいのだけどね……厳しいレースになりそうね」
「何言ってるんだキング、スズカなら勝ってくれる」
トレーナーさんはそう言っていたけど、レースの結果は全く違う結果だった。
スタート時点ではスズカさんが先頭に出れたんだけど、第2コーナーを抜けた先の向こう正面でスピードが落ちてきて、後ろにいたタイキシャトルさんにそのまま抜かれてしまった。
(なんでいつもみたいに足が前に出てくれないの……タイキシャトルを追いかけないといけないのに!)
タイキシャトルさんに続いて、後ろからミークちゃんが追い越しに来ていた。そして、追い越し際にミークちゃんから『せっかくのリベンジなのに残念』と言って一気に追い越していった。
「私は負けたくない……トレーナーさんのためにも!」
「私も負けられない……今のあなたに負けてられない。あなたからは勝ちたいという鋼の意思が感じられない!」
【鋼の意思】
私がミークちゃんの後をついて行こうとしたけど……そこで力が一気に抜けてしまった。そのあとは酷いものだった。その二人だけじゃなくて後続のウマ娘たちにも追い抜かれて、結果は15着だった。
(負けちゃった……トレーナーさん怒るかな、怒るよねあんなレースをしちゃったんだもの)
私が落ち込んで待機場で座り込んでいると、トレーナーさんが部屋にやってきた。いつもならお疲れ様って言ってくれるんだけどな。
「おいスズカ、何だ今日のレースは」
「ごめんなさい……途中でなぜか力が出なくて」
いつもなら、大丈夫か?って怪我はないかって言ってくれるのに。
「あそこはしっかりとタイキシャトルに食らいついていかなきゃいけないところだろ!」
私は、ついに泣きだしてしまった。前までのトレーナーさんが脳裏に浮かんで、今のトレーナーさんと重ね合わせてしまう。自分たちを育ててくれて、頑張ってくれたのに。そのせいでトレーナーさんは傷ついて……どうしたらいいかわからない。
そうやって、私がパニックになっていると私とトレーナーさんの間にスカイちゃんが割り込んで……トレーナーさんの頬を引っ叩いた。
「トレーナーさんやめてよ!今のトレーナーさんおかしいよ!」
スカイちゃんも泣きながら私のことを庇ってくれた。トレーナーさんに嫌われるのが一番怖いはずなのに、それでもトレーナーさんの前に立ちはだかった。
「今日は一旦沖野トレーナーさんに学園まで送ってもらいます。あなたは一回自分の事を見直してみたらどうかしら。今のあなたは一流の私にふさわしくないわ」
私はスカイちゃんとキングちゃんに連れられて沖野トレーナーの車に乗り込んだ。沖野トレーナーは私たちが車に乗ったことを確認して車を出した。
私はなんだか車に乗り込んだら安心してそのまま眠りについてしまった。
「まさかあいつがあそこまで追い込まれているとはな」
「どうしてこんなことになっちゃったんだろう」
「新人が活躍すると稀にあることなんだ、レースも競争の世界だからな。時には新人の活躍に嫉妬するやつだっている。今年は桐生院だけじゃなくて、もう一人普通の出のトレーナーも活躍したから追い込まれてる新人トレーナーたちだっている」
普通の出のトレーナーって言うのは私たちのトレーナーさんのことだろう。桐生院さんと違ってトレーナーさんは一般の家庭出身だったはずだから、自分たちと同じ条件の新人が活躍することでプレッシャーを感じていたのかな。
「トレーナーさん大丈夫かな……」
「大丈夫だろ、あいつの中にはまだトレーナーとしての良心が残ってる。お前たちにこの事を話したことがなかったのは、お前たちに心配をかけたくなかったからだ。そして、お前たちにその事で文句を言った事があったか?」
「そういえば一度もなかったわね……少しずつ変わっていって勝利に執着するようになっていったけど、私たちのせいで追い込まれたなんて一度も言っていなかったわ」
「それはどこかでお前らを傷つけたくないと思ってたからだと俺は思ってる」
あんな状態になっても、どこかで私たちのことを気にかけていてくれた……でも、それ以上に追い込まれちゃったんだね……
「お前らにできるのはあいつを信じることくらいだ。これを乗り越えられないと、これからのトレーナー業を続けるのは厳しいだろうからな」
沖野トレーナーがそういうと私たちの携帯が同時に鳴った。チームレグルスのグループにトレーナーさんから連絡が届いていた。『明日と明後日はトレーニングは休みだ、キングとスズカはよく疲れを取っておいてくれ』
私たちはこの連絡を返せないでいた。でも、私は少し嬉しかった。あんな状態であんなことがあっても、トレーナーさんは私たちのトレーナーさんであり続けようとしてくれるんだね。
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