「今日のレース緊張してるか?」
「緊張はしてるんだけど……セイちゃんすっごい調子いいんだよね〜」
最近のスカイはトレーニングでも調子がいいのが目に見てわかる。今までスピードトレーニングをあんまりしてこなかったし、自分の成長が実感できていてモチベーションがかなり高いのかもしれない。
(それにしても、スピードトレーニングを始めてこの短期間でここまで仕上がるとはな)
それだけスカイの成長速度はすさまじいものだった。慢心になってしまうかもしれないけど、今のスカイが今日のレースで負けるビジョンが見えない。今年クラシックに挑もうとしているメンバーの中でもスピード、スタミナ、レースセンスにおいてトップクラスの実力を持っていると言ってもいい。
「今日はスカイが思うように走ればいい。アクシデントにさえ気を付ければ今のスカイに勝てるウマ娘はこのレースに出ていない」
「へ~トレーナーさんそこまで言っちゃうの?」
「今までで一番スカイは調子がいいと俺は思う。それに……こんなところで負けていたらクラシック三冠なんて夢のまた夢だろ?スカイなら勝てるって信じてるよ」
俺の言葉にスカイは尻尾を揺らせながらご機嫌のようだった。デビュー戦でスカイは自分の走りに自信を持っているし、その走りを信じて走り抜けば確実に勝ちに行けるレースのはずだ。
「そこまで言われたらセイちゃんやる気でちゃいますね~頑張ってきます!」
デビュー戦ほどスカイも緊張はしてないみたいだし、程よい緊張感でレースに挑めそうだな。俺はスカイを見送って観客席の方にいる、スズカたちに合流するために移動を始めた。
「トレーナーさんスカイちゃんの調子はどうでしたか?」
「いつも通りフワフワしてるって思ったんだけど、いつも以上にやる気だし調子もいい」
「スカイさんならきっと勝ってくれますわ!」
スズカの質問に返答してる途中にマックイーンがスカイの勝利を宣言していた。最近あの子スカイにからかわれすぎておかしくなってしまったんじゃないかって錯覚しそうになる。
「キングはどう思う?」
「パドックで改めて見ないと確信はできないけど、スカイさんが勝つと思うわ。認めたくはないけど、彼女の今の実力は私たちの世代でもトップクラスだから」
あのキングも認めるほど今のスカイは絶好調だ。最近はトレーニングに更に力を入れて取り組んでいたし、前回のレースでの欠点も補ってのレースだからな。
『本日出走するウマ娘達がパドックに入場します』
『一枠一番…………二枠二番セイウンスカイ!彼女はデビュー戦で見事な逃げ足を見せてくれましたから、今日はどのような走りを見せてくれるのか!三番人気です』
「これはスカイちゃんの勝ちですね」
「スカイさんの勝ちよ」
「スカイさんが勝ちですわ!」
3人が口を揃えて似たことを言う。スカイを見た瞬間のスカイの勝利を確信したんだ。それだけスカイの実力と調子が良かった。フワフワしている雰囲気は取り払われて闘志に満ち溢れてる。
「まさかここまでの仕上がりになるとは俺も思わなかったけど……普通に行けばスカイの勝ちになりそうだな」
パドックでのスカイを見ての俺の感想も三人とほぼ変わらない。スカイの仕上がりは今までで一番の仕上がりだし、やる気も調子も良い。今日のレースでスカイは敗北するビジョンが見えない。慢心になってしまうが……それだけスカイの仕上がりが良かった。いつも近くで見ていても本番になってみるとここまで違って見えるか。
パドック入場を終えて、しばらくするとゲートの準備が終えて問題なくゲートインすると思ったんだけど……
「スカイのやつ中々ゲートインしないな」
「何かあったのでしょうか?」
『セイウンスカイがゲートに入って全ウマ娘のゲートインが終了しました』
一応レース関係者にゲートに押し込まれる形でゲートインは済ませたけど……ゲート難っていうのはスタート前の集中力を切らせる危険性がある。もちろんそれは自分だけじゃなくて周りのウマ娘も同じことなんだけど。
(こりゃゲート入りの練習する必要がありそうだ。ここに来てゲート難になるとはな)
『2000m晴バ場状態は良です。青空の下2000m先のゴールを目指して今……スタートしました!』
スタート直後からスカイが先頭を取る。スピードを上げたことによってスタミナを上手く使えるようなハイペースなレース展開になっている。
『レースは先頭のセイウンスカイが引っ張りますが、かなりハイペースなレースになっています』
「こりゃ圧倒的だな……」
「スカイさんの一人旅ですわ……」
「味方なら頼もしいのに、これと戦うと思うとぞっとするわね」
『セイウンスカイの一人旅だ!後続を全く引き付けません!』
「凄い……ここまで一方的になるなんて」
「さすがはスカイさん……私のライバルにふさわしいですわ」
その後もスカイのスピードに後続が全く着いてこれてない。ペースメイクがとか作戦がとかそういう話じゃない、単純なフィジカルでスカイが圧倒的に強い 。
「これはスカイさんが走りきって終わりって感じかしらね?」
『第2コーナー回って向こう正面に入りますが、未だに先頭がセイウンスカイです!』
その後も誰に抜かされることなくスカイが先頭をキープし続けている。がその辺から違和感を感じ始めた。
『最終コーナー回って最後の直線に入ります!ここでセイウンスカイがペースをあげていく!』
「なんかスカイの走りかたおかしくないか?」
「確かにそう言われればそんなきがしますわね」
『終始先頭をとってゴール!2着とは5バ身以上離しての勝利です!』
レース結果は完勝ではあったが、なにか嫌な予感がしたので直ぐにスカイのいる待機室に向かった。勘違いならいいんだけどな……
「スカイお疲れ様〜」
「トレーナーさ〜ん調子良すぎてなんもないって言いたかったんでけどね〜」
スカイは氷で足をアイシングしていた。おそらく怪我をしてしまったのだ。クラシック路線に殴り込み直前の怪我は致命傷だぞ!?
「一応はそんな痛くはないんですけどね〜ウイニングライブくらいなら踊れそうです」
「そこまで痛みがないようならいいんだけど……明日は病院だからな!」
「は〜い」
「おかえりなさんトレーナーさん、スカイちゃんの様子はどうでしたか?」
「多分怪我をしてるな……」
「怪我って大丈夫なんですの!?」
「マックイーンさん落ち着いて」
ソエは一応は怪我なんだが、スズカがソエになった時に色々調べこんだ。あれは筋肉痛や成長痛に近いものだ。
「多分だけど怪我はソエだ、クラシック路線まで影響が出るものじゃないから心配はすんな」
「ならいいんですけど……」
「ほらほら、ウイニングライブの席取り行ってこーい」
俺の命令を聞いて、マックイーン、キングの2人は席取りに向かった。しかし、スズカだけは俺の方に寄ってきた。
「なんだか思い出しますね」
「何をだ?」
「去年私がソエになって大変な思いをしたじゃないですか」
「あ〜あの時は迷惑かけたな」
あの時はスズカのメンタルケアをしっかりとしてあげられなくて、スズカが調子を崩して万全の状態でレースに挑むことができなかったんだ。
「迷惑だなんて、今になってみればあの怪我は努力の勲章ですよ。私が頑張っていたからこそ発症した怪我です」
「ソエは努力の勲章か。怪我はしないに越したことはないが、そのくらいの気持ちでいた方が楽なのかもしれないな。
「ありがとうスズカ、気持ちが楽になったよ」
「いえいえ、みんなが待ってるから行きましょう?」
その後のライブは無事に何も無く終わった。スカイが少し力抜けてよろけそうになると、そっちの方にペンライトを持ったマックイーンが飛んでった。あいつは本当にスカイのことが好きだな。
チームレグルスで1番好きなメンバーは?
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