そして内容が短い。
今日はスズカの年明け初のレースだ。調子を見るためにも1800mのマイルにレースに出走だ。しかも、東京レース場というスズカが何度か勝利を勝ち取ったレース場でもありスズカの調子も絶好調だ。
「今日は三カ月ぶりのレースで年もまたいでる。今日のレースでレースの感覚を思い出して来い!」
「はい!」
久々のレースという事もあって十分にやる気を出しているし、俺が心配する必要はなさそうだな。いつも通りスズカの走りをすれば今日のレースは確実に勝てるはずだ。今のスズカの全力ってやつを見るいい機会だ。
「久しぶりのレース思いっきり楽しんで来い!」
「私だけの先頭の景色を見てきます!」
俺はスズカを見送って観客席に戻る。今日のレースにはマックイーンだけしか連れてきていない。今日のレースはスズカの慣らしが目的だからな、弥生賞を控えている二人は連れてきてない。
「マックイーンはスズカのレースを見たことがあるか?」
「日本ダービーのレースはテレビで拝見させていただきましたわ。天皇賞秋はレース場に赴いて実際に見させていただきました。天皇賞秋の最終コーナーからの勝負は胸躍りましたわ」
天皇賞秋と日本ダービーは去年スズカが取ったG1レースの二つだ。スズカはあの二つのレースで強敵のライバルと競い合う極限状態で俺の予想をはるかに上回る成長を見せてくれた。レース中のあのスズカの成長があったからこそスズカは二つのレースで勝利を残せたんだろう。
「外から見るのと本人と走ってからのスズカのレースは全く別物だぞ。しかもあれからスズカはさらに成長を続けてるからな」
「それは楽しみですわ」
『本日レースに出走するウマ娘たちがパドックに入場します』
スズカは8枠12番の最後だし、パドックに入場するウマ娘たちの中で特別スズカに匹敵しそうなウマ娘がいる様子はなかった。まぁ、スズカはトゥインクルシリーズにいるウマ娘の中じゃ異次元の強さを誇っている。再来年あたりにはルドルフやマルゼンスキーといった超強豪が集まるドリームトロフィーシリーズに殴り込みをかけられるだろうな。
『8枠12番サイレンススズカです!今年は初めての出走となりますが、去年のレースではG1を2つも取っていますから期待が集まります!一番人気です!』
「絶好調なのはいいけど飛ばしすぎないといいんだけどな……」
「パドックでのスズカさん走りたくてウキウキしてましたけど」
ダメだな。確実に最初の方は掛かってスタートすることになりそうだ。中盤からしっかりと冷静さを取り戻して普通のペースに戻してくれるとは思うんだけど……大丈夫だよねスズカさん?ぶっ飛ばしすぎて最後バテたりしないでね?
『全ウマ娘がゲートに入りました。1800m芝曇りバ場状態良です。あいにくの曇り空の下1800m先のゴールを目指して今……スタートしました!』
スタートは完全にスズカが先頭に出たな。ていうかやっぱりスズカさん掛かっちゃってるじゃないですか。しっかりと忠告しておくべきだった。最近のスズカはリーダーって感じもあって落ち着いていたから大丈夫かななんて思ってたんだけど……
『先頭はサイレンススズカ!凄いハイペースですね』
『中盤にしっかりと冷静を取り戻せるといいのですが』
「スズカさん凄いオーバーペースですね……」
「スズカって普段はお淑やかというか落ち着いているように見えるだろ……走りになると自分に素直すぎる!」
スズカの良いところでもあり悪いところでもあるんだけど、気持ちがそのまま走りに直結してしまうから張り切ってるときはオーバーペースになりやすい。その辺も長いレース経験で克服されつつはあるんだけど、本当に今日のレースを楽しみにしていたんだろうな。
『レースは第2コーナー抜けて第3コーナーに差し掛かります!サイレンスズカの1人旅です!』
「1000m通過タイムもかなり速いな」
「これって1800mのレースですわよね?スズカさんの足ってどうなってるんですの?」
マックイーンの言う事ももっともだ。流石のスズカもこのペースをキープしたまま走り切るのは無理だ。そろそろこの辺で一息つかないと確実にばてて最後のゴール手前で抜かれることだって十分あり得る。
(もう1000m通過……ここまで久しぶりのレースで興奮しすぎちゃったかも)
ここまでかなりのハイペースで走ってきちゃったし、このまま走ったら最後のスパートを気持ちよく走れない。このコーナーで一回一息ついたほうが良さそう。
(でもこのまま走り切れる気がするのはなんでだろう)
『第3コーナーでサイレンスズカがペースを落とします』
『冷静さを取り戻したようですね』
スズカも流石にこのハイペースのままじゃやばいってことに気が付いたな。最後のラストスパート前に一息つくことにしたらしい。一息いれるには一番ベストなタイミングでペースを落としに来たな。これはレース経験のたまものか。
「スズカさんしっかりとペースを落としましたわね」
「このまま走ったら自分がもたないってのにしっかりと気が付いたんだ。自分のスタミナ把握とスピードを把握してこそスズカの逃げは活かされる」
『サイレンスズカが最後の直線で一気にペースを上げる!』
後続のウマ娘たちも最後にスズカのペースが落ちると読んでここまで溜めていたけどスズカのスパートについてこれていない。序盤はハイペースにペースを乱されて、中盤はせっかく足を溜めていたのにラストスパートで一気にスピードあげられたら相手からしたらたまったもんじゃない。
『サイレンスズカが1着でゴール!4バ身離れてホーセズネックがゴールしました!』
「最初から最後までスズカさんの独壇場でしたわね……」
「これは慢心になっちゃうけど、今のスズカが負けるビジョンが見えない」
それだけスズカの走りは異次元の物だ。彼女の走りからは絶対を感じる。レースに絶対はないとはいうけど、あの皇帝シンボリルドルフが見せていたものとはまた違った絶対なレース。しかもまだまだ、スズカには伸びしろがある。
スズカのウイニングライブが終わってからスズカと合流して車でトレセン学園に向かった。久々のレースを楽しんだスズカはライブの方も全力で笑顔を振りまいてた。まるで子供を連想させるように楽しそうに笑いながら観客席に手を振っていた。
「マックイーンちゃんはもう眠っちゃいましたか」
「あぁ、身内が出てるレースを見るのって結構疲れるからな。しかも、マックイーンは終始興奮状態で観戦していたし」
なんかスズカを応援するときとか縦に手を振っていたんだけど、あれってなんか別のスポーツ観戦の応援だった気がするんだけどなんだっけかな。あの動きを見る感じ、マックイーンはスポーツ観戦をしょっちゅうしてるみたいだけど。お嬢様も結構意外な趣味をお持ちな様で。
「それで、今日のレースはどうでしたか?」
「はっきり言うと微妙ではあったな。これがG1やG2レースじゃなかったから問題こそなかったけど相手がもし強豪揃いだったら負けてもおかしくなかった」
厳しいことを言うようだけど、もしもあの第3コーナーで落ち着きを取り戻せなかったら?オーバーペースが相手にバレてその隙を狙われていたら?今日のレースは少し考えただけでいくらでも問題点がある。
「まぁ、そういう感覚を思い出す意味での今日のレースだ。次に活かしてくれよ?」
「はい、次はそのまま最後まで走り切れるようにします」
確かにそれができるのが1番なんだけど……いや、なんか今のスズカならやってくれる気がするから怖い。スズカだけじゃない、スカイにキング、マックイーンもどんどん力をつけてるからこれからが楽しみだ。
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