トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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ダスカのサポカをギリギリ回収できた。


第7話:競走!模擬レース!

 模擬レースは実際のレースと同じルールで全員が全力で走り勝敗を決める勝負だ。

 

「今回の模擬レースはさっきと距離は同じ2000m中距離だ。スタートは10分後、各々トレーナーと作戦を話し合ってくれ」

 

 桐生院トレーナーはハッピーミークと沖野先輩はスカーレット、ウオッカ、ゴルシの3人で作戦会議を開始した。俺もスズカに今回の作戦を伝えないとな。

 

「スズカ、作戦を伝える」

 

「はい。トレーナーさん」

 

「今回はお前の走りたいように走っていい。最初っから大逃げをするのも良いし。なにか試してみたいことがあるならそれをしてみるのも自由だ」

 

 スズカは最初から最後まで独走状態で走ることが多い。だからこそ1人で走るためのレース勘を身につけて欲しい。

 

「あと、セイウンスカイには一応気をつけておけ。こちら側のペースを乱したり何をするか分からないからな」

 

「彼女には1本目の走りの時にしてやられましからね」

 

 スズカはそう言って笑うが、目が笑ってない。結構根に持つタイプなのか……

 

「ゴルシは相変わらず追い込みで来ると思う。だが、ハッピーミークはお前を警戒して先行のポジションを取りにくるだろう。スカーレットとウオッカはさっきまでの練習を見てる感じあまり気にしなくてもいいと思う」

 

 沖野先輩は彼女らにレースの雰囲気を体験して欲しいからこそ参加させたんだろうからな、自分で2人は実力不足だと言っていたし。

 

「お前が好きなようにのびのびと走ってこい」

 

「トレーナーさん」

 

「どうした?」

 

 作戦をしっかりと考えてないことに不満でもあっただろうか。でも、レースで走り最後まで競い合うのは俺たちじゃなくて彼女達ウマ娘だ。自分で走り判断するのも大切なんだ。

 

「私、勝ってきますね」

 

「ああ!勝ってこい!」

 

 杞憂だったようだ。スズカの目はやる気に満ち溢れている。これはデビュー戦が楽しみだな

 

「それじゃあ、もう少しでスタートだから、スタート地点で待機してくれ」

 

 沖野先輩と桐生院トレーナーと話に行こう。

 

「沖野先輩に桐生院トレーナー、どうなりますかねこのレース」

 

「うちのゴルシとスズカとハッピーミークの競走になるだろうな。スカーレットとウオッカじゃ実力不足だし」

 

「セイウンスカイさんはどうなんですか?」

 

「あいつは面白い走りをするしスタミナもある。だが、それ以外の基礎能力が足りてないな。トレーニングをサボっていた弊害だろ。同期と戦うなら今は1個飛び抜けてるだろう」

 

 沖野先輩も俺と同じことを考えていたようだ。セイウンスカイにはスタミナとレースを掻き乱すセンスがあるがスピードとパワーが足りてない。

 

「そろそろ10分経ちますね。スタートの合図をしてきます」

 

「準備はいいか」

 

「「「はい!」」」

「おう!」

「ええ!」

「いいぜ!」

 

「位置について……よーい……ドン!」

 

 スタートした。

 

「先頭はスズカがとりますか……セイウンスカイが前に来た!?」

 

「ありゃスズカの前に出て蓋する気だな」

 

 スズカが先頭で進まれると無理だと思ったセイウンスカイがスズカの前に出てスピードを抑える気だ。

 

「スズカさんに並びますよ!セイウンスカイさん」

 

「いや、スズカはそんなに簡単に先頭は譲るつもりはない!」

 

 セイウンスカイがスタートから前に出ようとするが横に並んだところでスズカがスピードを上げて前にでた。セイウンスカイはそのままスズカの後ろに着く。

 

「セイウンスカイさん惜しかったですね」

 

「スズカを対策したいい作戦だったな」

 

 たしかに惜しかった。でもスズカがセイウンスカイを相手にこんな簡単に並ばれるのか?スタートに違和感は感じなかった、緊張しているのだろうか。

 

「ハッピーミークがセイウンスカイの後方に居て、その後ろにスカーレット、ウオッカで更に後ろにゴールドシップか」

 

「もうすぐ第1コーナー抜けますよ!」

 

 第1コーナーを抜け、スズカはトップを維持するがそこをセイウンスカイが仕掛けようとする。

 

「セイウンスカイがまだ先頭を取る気だな。それだけ最後スズカを先頭にいさせたくないか」

 

 そうして、セイウンスカイが一気に抜き去ろうと加速しスズカを抜こうと仕掛ける。

 

「セイウンスカイさん仕掛けましたね」

 

「抜かされるなよスズカ……」

 

「お前らよく見ろ。抜かすどころか離されてんじゃねーか」

 

 沖野先輩がそう言うとスズカが加速しセイウンスカイを突き放す。そして、セイウンスカイがそのまま減速した。

 

「スズカが加速したのは分かるんですけど、なんでセイウンスカイは減速したんですかね?」

 

「セイウンスカイが仕掛けようとしたタイミングで同時にスズカが加速した。そのせいでセイウンスカイからすればスピードを上げたのにスズカを追い越せずむしろ離されてる。自分よりも相手がスピードがあってこのままついて行っても自分のスタミナが切れるだけだ」

 

「だから、相手がスタミナ切れを起こして最後に減速したところを追い抜こうと言うことですね!」

 

 スズカは加速した後からそのスピードを維持してる。加速して無理をして先頭を維持してるわけじゃない。いつも通りのスピードに戻して走ってるんだ。

 

(セイウンスカイに最初にやられた煽られてスピードを崩されたことまだ根に持ってたのか……感情には出てないだけで怒りっぽいのか)

 

 自分もあんまりスズカを怒らせないようにしようと思った。

 

 1000mを通過したところでレースが動き始める。ゴルシが加速を始めた。ロングスパートがいくら得意だからといってこんなところから加速を始めるのか!?

 

「ゴルシはスタミナ持ちますかね」

 

「ゴルシを舐めんな。あれがあいつ本来の走り方だよ」

 

 ゴルシがどんどん加速していきスカーレットとウオッカを追い越す。

 

「500mを超えました!ミークがここから仕掛けますよ!」

 

 桐生院トレーナーもスズカを警戒してか早めに仕掛ける作戦だったらしい。ミークが加速していきセイウンスカイを追い越した。

 

「残り300m、ハッピーミークがスズカに追いついてきたな」

 

「逃げ切れ……スズカ!」

 

「いけミーク!追いつけー!」

 

 残り200mでゴルシが先頭2人に追いついてきた。

 

「いけー!ゴルシ追い越せ!」

 

 100mでスズカとハッピーミーク、ゴルシの3人が横一列に並んだ。ゴルシが追い越そうと加速していくが、負けじとスズカとハッピーミークも加速していく。

 

 トレーナーの3人はその光景に声も出ず見守ることしか出来ない。

 

 結果は同着だった。スズカは逃げ切れなかったがハッピーミークもゴルシも追い越し切れずと最後まで競り合いそのままゴールした。

 

 その後はセイウンスカイとスカーレット、ウオッカの競い合いだった。セイウンスカイが最後に逃げ切り2人を抜かしたが、その2人はほぼ同着だった。

 

「スズカよく走りきった。結果は同着だったが、よくあの2人に並ばれてからラスト追い越されなかったな」

 

「私も抜かれたくないっていう思いで一心不乱に走ってましたから。それでも逃げ切れませんでした。本番レースまでもう少し、頑張ります!」

 

「今回のトレーニングで課題も見つかった。足りない部分を補っていこう」

 

「はい、頑張りますね。ところでトレーナーさん」

 

「なんだ?スズカ」

 

「少しだけセイウンスカイさんとお話してきてもいいですか?」

 

「ああ、構わないぞ俺もセイウンスカイに話があるから片付けが終わったら俺も行く」

 

 スズカはセイウンスカイの方に行くと何やら話している。俺はささっと片付けを済ませるか。

 

「トレーナーさん、私はお話が終わったので少し休んで待ってますね」

 

 俺がセイウンスカイの方に向かって行く途中にスズカとすれ違った。

 

「セイウンスカイ、スズカと何を話してたんだ?」

 

「いや〜『 これでおあいこですね』だって。スズカさんってああ見えていい性格してますね〜」

 

 最後のレースの話をしていたらしい。スズカ……本当に根に持ってたんだな……

 

「お前も併走と最後の模擬レースでわかっただろ。お前にはまだまだ足りない要素が多い。レース運びは上手いがそれを活かしきれる基礎能力が足りてないんだ」

 

 セイウンスカイの作戦の立て方もその走り方も見事なもんだった。しかし、まだそれを活かしきれてない。セイウンスカイのことをサボり魔なんて思っていたスカーレットとウオッカも最初こそ油断していたが、セイウンスカイの走りを見てその意識を見直して走っていた。

 

「同期のスカーレットとウオッカも力をつけてお前のすぐ後ろまで来てるぞ。スズカにはスピードとパワーで負けて最初に追い越せなかった」

 

「そんなの私が1番分かってます!」

 

 セイウンスカイが珍しく声を上げた。負けた本人が1番よく理解してるだろうに余計なことを言ってしまったか。

 

 そして、ハッとした顔をすると。

 

「セイちゃんは疲れたので、もう帰りますね」

 

「それと、トレーナーさん」

 

「なんだ?」

 

「ありがとうございました」

 

 そう言うと、セイウンスカイはそのまま帰って行った。

 

(こりゃセイウンスカイはまだまだ伸びるだろうな)

 

 

「サボってちゃ勿体ないか……」

 

 セイウンスカイはスズカに『 あなたはそんなに楽しそうに走るのにトレーニングをサボっていちゃ勿体ないわ』そう言われた。

 

「あんなこと言われたら頻繁にサボってなんか居られないな〜」

 

 

「沖野先輩に桐生院トレーナーお疲れ様でした」

 

「ああ、お疲れ」

「お疲れ様でした!」

 

「後輩は今晩なんか予定あるか」

 

「特に予定はないですけど」

 

「このメモに書いてある場所で今晩飲もうと思ってな。桐生院には話したが、模擬レースのことで話したいこともあるだろうし。何よりお前たちは新人だ愚痴や相談の1つや2つあるだろう」

 

 どうやら飲みのお誘いのようだ。お酒は特別強いほうじゃないがせっかくの先輩からのお誘いだ、ありがたく参加させてもらおう。

 

「はい、参加させてもらいますね」

 

「1人だけ別で誘ってるからよろしく頼むわ、それじゃあな」

 

 そう言うと担当の3人を連れて自分達の部屋に戻って行った。

 

「私もミークと反省会がありますので、また後で会いましょう」

 

「桐生院トレーナーもお疲れ様でした。それじゃあ、また後で」

 

 そう言って解散した。スズカのところに戻ってもう少し話すか。

 

 

「スズカ今日のレースはどうだった?」

 

「とっても楽しかったです。楽しいことだけではなかったですけど、色んなことを体験できましたし」

 

「それに、セイウンスカイさんと会うこともできました。彼女とはなんだか仲良くなれる気がします!」

 

 スズカが仲良くなれる?セイウンスカイは明るいやつで話は上手そうだし。同じ逃げウマ娘として気が合うものがあったのかもしれない。

 

「それはよかった。今日は負荷のかかるトレーニングだったし帰ってゆっくり休んでくれ」

 

 スズカは頷いて寮の方に戻っていこうとしたが、戻り際にこちらを振り向いて。

 

「走るのってやっぱり楽しいですねトレーナーさん」

 

 そう言って戻って行った。今回のレースでなにか思ったことがあるのかもしれない。

 

 俺も帰って夜の準備しないと。

 

 

 




一日1投稿を心がけてますが、多分そろそろ折れます。
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