『位置について。よーい……ドン!』
トレーナーさんのスタートの合図と同時に私たちはスタートした。いくらこれが模擬レースだからって負ける訳にはいかないし、何よりもこんなところで負けてたら3冠なんて取れない。
(スズカさんは蓋をされるのがとても苦手はず。とりあえずはそのポジションを取りに行こう)
スタートから800mのところで先頭をスズカさんから奪った。ちょっと無理をしちゃったけどこうするしかない。キングちゃんとミークちゃんは後ろから来るだろうから、スズカさんを抑えられるのは私しか居ない!
(スズカさんがさっきから落ち着いてる気がする。スピードを抑えて足を溜めてる?でもスズカさんはそんなことするタイプじゃないし……)
このレースは後ろから詰めていく展開になるわね……わたしは逃げ得意じゃないから無理に着いていくことはできないし、スカイさんかミークさんがスズカさんを抑えてくれることを願うしかない。
(ミークさんの序盤のペースが予想以上に速い!?)
スズカさんを封じ込めるほど前には出ていないけど、自分が得意な脚質の限界の速度で走ってる?それじゃあ後方から攻めるメリットが薄くなるしリスクが高い……でも、私も着いていかないと確実にレースから置いて行かれてしまうわ!
私はすぐさまミークさんのすぐ後ろに着いて背中を追った。スタート直後ということもあって問題なく追いつくことが出来て良かったけど……かなりスタミナを使わされたわ。
「どうして無理してまで私に着いてこようと思ったの?」
私がミークさんの背中を追いかけていると、ミークさんが私に話しかけてきた。
「ついて行かないと行けないと思ったからかしら」
「ふーん……それって私が前に出たから着いて行かないとって思ったの?私が前に出たから前にでないとまずいって思ったの?」
そういうとすぐにミークさんは前を向いて走り始めた。どういうことかしら……ミークさんが前に行ったから私も前に行ったことには変わらないじゃない。
「スカイちゃん。私スカイちゃんとここまで一緒に走れて嬉しい」
1600mを通過してラストスパートに入る直前にスズカさんがスズカ私に話かけてきた。私もスズカさんと一緒にレースが出来て嬉しかった。前までは背中を追うことしかできなかったスズカさんの今は背中を見せてるんだから。
「本当に嬉しくってとっても楽しい……だからこそ負けたくないって思っちゃうの!」
スズカさんが横に来たと思ったらそのまま一気に前に出た。それを読んでいたかの用に後ろからミークさんとキングちゃんの2人が上がってきた。
(さすがにスズカさんは速い!だけどその背中を追い越すために私も頑張って来たんだから!)
「やっぱり我慢出来なかったか……」
「ミークも全力の走りです……」
予想通りというかなんというか。やっぱりみんな負けず嫌いなんだよな。大人しそうなミークもここぞという時の力強さを感じる。スピードもパワーも日本ダービーの時の走りとは比にならない速さだ。
「それにしても……あの2人も末恐ろしいですね。ミークもスズカさんも全力で走ってるのに食らいついていますよ」
「あぁ、シニア級でもトップクラスの2人にあそこまで競り合えるとは思ってなかった。スペもエルコンドルパサーもあのレベルと考えると今年のクラシックは大荒れだな」
去年はミーク、スズカ、フクキタルの3人が1冠ずつを獲得したが……今年のクラシックどうなるがわからない。東条さんの話だとエルコンドルパサーは3冠には挑戦する予定はないと言ってたし、グラスワンダーはクラシックには間に合わない。そう考えると今年の3冠はスカイ、キング、スペの3人で奪い合うことになる。
そんな話をしていると模擬レースもラスト200mの大詰めだ。スズカとミークは横一線でどちらが勝利してもおかしくない……その少し後方にスカイとキングが走っている。
(スズカとミークは本当に横一線で走ってるけど、スカイとキングの方は気持ちスカイの方が前を走ってるか?)
結局そのあとはスズカもミークもお互いに譲らずに同着という結果になった。写真判定があればしっかりとした順位が出るだろうけど俺たちの目視じゃ同着にしか見えなかった。スカイが3バ身差でゴールしてさらに2分の1バ身差でキングがゴールした形だった。
「ああ!くそー!負けちゃった」
キングちゃんにはなんとか勝てた……だけどスズカさんとミークさんには全然追いつけなかった。なんとも言えない気持ちだなぁ……
「スカイちゃんお疲れ様」
私が地面に仰向けになっているとスズカさんが手を伸ばしてきてくれた。あぁ……全くスズカさんにはまだ敵わないなぁ完敗だ。
「全く!スズカさん全力出しちゃだめって言われてたじゃないですかー」
「それはごめんなさい。だけど本気を出さないとスカイちゃんたちに負けちゃうと思っちゃって」
「私もスカイちゃんの走りには驚いた……後ろからあそこまで食いついて来られるとは思わなかった」
うぅ……なんだかこの2人に褒められるとむず痒いなぁ。2人とも凄い人だって分かってるからこそのむず痒さというか。
「次は負けませんからね」
けど、それ以上にこの2人にもいつか勝ちたいと思った。そんな私を見て一瞬呆気に取られた2人は笑顔でなんだか嬉しそうな顔をしていた。
「4人ともお疲れ様……って言いたいけど。スズカとミークは言いた行ことはわかってるな?」
「「ごめんなさい……」」
「2人も反省しているし、いい刺激になっただろうからいいじゃないですか」
「まぁ、そうなんですけど……」
スカイとキングのための模擬レースのつもりがスズカとミークにもいい刺激になったようだ。スカイもキング想像以上に頑張ってくれたし。これは皐月賞が楽しみだ。
「2人はどうだった今日のレースは」
「いや〜さすがはスズカさんとミークさんですね。最後全く追いつける気がしませんでしたよ」
「そうね……スズカさんとはトレーニングで一緒に走ることもあって凄いのは分かっていたけど、ミークさんは想像以上に力強い走りだったわ」
最後は2人とも全力だったからな。最初から2人が全力だったら結果はもっと違うものだっただろうが……それでもスカイとキングはよく頑張ったと思う。
「先輩2人はどうだった?」
「スカイちゃんもキングちゃんも凄かったですよ。私も一緒に皐月賞走りたいくらいです」
「スカイちゃんは凄かったです。でも、キングちゃんは少しガッカリしました」
「ちょっとミーク!?」
キングにガッカリした?序盤から終盤にかけてしっかりとミークについていた用に見えたけど。
「それはどういうことかしらミークさん」
俺が聞こうとしていたことと全く同じことキングが聞いた。キング本人も全力で走っていたからこそ今の発言が気掛かりだったようだ。
「弥生賞でキングちゃんの走りを見て今日走るって聞いてワクワクしてた。しっかりと序盤から私について来てはいたけど、その走りからは威圧感や勢い感じられなかった……キングちゃんの走りからは力強さや自分の想いを感じられなかった」
「ちょっとミーク!待ちなさい!すいません……私はミークのことを追います」
ミークは話を終えるとそのままその場を後にして、そんなミークを葵さんが追いかけて行った……
「私の走りから力強さも想いも感じられないですって……?」
ミークの言ったことは俺には理解できなかったし、キング本人にも理解できないようだった。ミーク……一体キングに何を伝えたかったんだ。
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