模擬レースが終わってからミークの言っていたことについてずっと考えていたがどういうことか分からなかった。今日は休日ということもあって気分転換にちょっと外出することにした。
(そろそろお昼時だし……その辺の店で済ませるか)
そう思い近くのお店を探していると、とあるカフェの中にマックイーンが居るのが見えた。そう……大量に積み上げられた皿と一緒に。
「よぉパックイーン。まさかこんなところで会うとはな」
「誰がパックイーンですって?私にはマックイーンというちゃんとした名前が……って!トレーナーさん!?」
マックイーンは急に現れた俺に驚いていたが、俺からしてみればお前のテーブルに積んである皿の量に驚かされてるんだが。一体全体どれだけ食ったんだ?
「そんなことよりも……これはどう説明してくれるんだ?ウェイト管理にはあんだけ気をつけてただろお前は」
マックイーンは体質的に肉が付きやすい方だ。それは長所とも言えるが過剰過ぎると毒にもなる。しかもスイーツって糖質もカロリーも高いからな……
「少し考え事をしていたんですわ……気づいたらこれだけ食べてしまっていて」
「考え事?なにか悩み事でもあるのか?」
「私自身のことでは無いですわ。昨日のミークさんの発言がどうにも気になってしまって私なりに色々調べていたんですの」
マックイーンもキングのことを考えてくれていたのか。トレーナーとしてはチームメイト同士がお互い支え合い切磋琢磨するのは嬉しいことだ。
「それで、なにか分かったことでもあったのか?」
「えぇ……キングさんの走りを初めて見た時になにか既視感を感じたことを思い出して、それをヒントに色々と調べましたの。それで少し気がついたことがありまして、トレーナーさんにお話するべきか悩んでいたんですわ」
キングの走りに既視感?一体マックイーンは何を見つけたんだ。キングのためになるのなら俺がそれを知らない訳にはいかない。
「教えてくれ。お前が気づいたことと調べたことを」
「分かりました。それでは今日は私にお付き合いください。これを食べ終わってから」
マックイーン……パックイーンは最後の1皿のスイーツに手を伸ばした。マックイーンがスイーツ重度なスイーツ好きなのは知ってるし、一応食べ過ぎが起こってもいいように調整はしているけど……いくらなんでも食べ過ぎじゃないか?
そうして、スイーツを食べ終わった後はマックイーンのあとをついてどこかに連れて行かれた。どこに連れていかれるのかと思っていると……凄い御屋敷に案内された。
「マックイーン……ここって?」
「私の実家……メジロ家の御屋敷ですわ。トレーナーさんはメジロ家を見るのは初めてでしたか?」
マックイーンって本当にメジロ家のお嬢様なんだよな……すげえ御屋敷あるなーって前々から思ってはいたけど、これがマックイーンの実家なのか。
「お嬢様お帰りなさいませ……そちらは、お嬢様のトレーナー様でございますね?」
「あっはい。初めまして紫葉っていいます」
「じいや、トレーナーさんを屋敷に案内しますわ」
じいやっていうとこの人ってマックイーン専属の使用人さん?そういうのっておとぎ話の世界だけじゃないんだな……
「分かりました。奥様にはご紹介なされないのですか?」
「今日はそういう用事ではありませんわ!行きましょうトレーナーさん!」
俺はマックイーンに手を引かれて屋敷の中に入っていった。その際にじいやさんが俺に深く礼をしていたから俺も一応軽く返しておいた。来客の人には挨拶みたいな感覚でするんだろうけど……
「ここですわ」
俺が案内されたのは小さなシアタールームだった。そして、部屋の机の上には4枚のディスクが用意されていた。
「このディスクは?」
「これはキングさんのデビュー戦と弥生賞、そして先日の模擬レース。あるウマ娘のレースの映像が残っていますわ」
「この4つのデータに何が?」
キングの走りは近くで見てきた。その走りを見てなにがわかるんだ?
「まずはデビュー戦のキングさんの走りですわ」
これは俺とキングの初舞台だった。キングは順調なレース運びで1着でゴールインした。走りの方は特に問題はなかったはずなんだけどな。
「これのどこに問題があるんだ?デビュー戦にしては十分すぎるくらいの走りをしたと思うが」
「それはこれから分かりますわ」
次にマックイーンが流したのは弥生賞での走りだ。弥生賞は以前までとは比べ物にならないくらいキングは成長していた。走りにも力強さがあった。本番での緊張感にやられてペース配分ミスなどはあったが走り自体は素晴らしいものだった。
「次は先日の模擬レースの映像ですわ」
このレースもスカイに敗北を喫したもののミークによく食らいついていたと思う。弥生賞のような力強さがあったかと言われればそんなことはないが、ぶっつけ本番の模擬レースでここまで実力を出せるウマ娘は多くない。
「私もキングさんの走りは立派なものだとずっと思ってましたわ。ただ次の映像を見ていただければミークさんの言っていたこともわかると思います」
マックイーンはそう言って最後の映像を再生し始めた。これは海外のレースの動画か……?なんでこんなもの見せるのかと疑問に思ったが、その疑問はすぐに払拭された。
「マックイーン。誰なんだこのウマ娘は」
「この方はキングさんの現役時代のお母様ですわ」
キングの母の走りは凄まじいものだった。周りを引き離し見事1着を取る力強い走り、画面越しでも伝わってくる迫力。そして、その走り姿やフォームはキングに酷似していた。
「ミークが言っていたのはこのことか」
「おそらくそうだと思います……キングさんの走りはキングさんのお母様に酷似していますわ。デビュー戦でも弥生賞を除く他のレースでも」
「キングは母親となにかあるっぽかったからあまり詳しく調べていなかったが……それが裏目に出るとはな」
この走りは完成度がかなり高い……その走りに引っ張られているキングもいい走りをしているわけだ。けどこれは困ったことになったな……
「キングはキングの走りがある……肉体の作りも違えば得意な脚質も違う。キング自体のレースセンスと影響を受けてるウマ娘の走りがいいからこそ今は何とかなっているが」
キングがこれから戦っていくのはレースの最高峰G1レースだ……キングの実力を100%出せる走りをしないと勝ち残れない。なんでこれにいままで気がつけなかったんだ俺は。
「私が分からないのは、何故弥生賞ではいつもと違う走りができていたのかですわ」
身体的理由だけじゃない……きっとなにか精神的理由も絡まって来るだろうがなんなのかが分からない。
「弥生賞でキングは殻を破ろうとしていた……なのになんで模擬レースでは」
「こればかりは本人に聞いて見ないとわかりませんわね……」
(キング……お前は一流のウマ娘になるんだろ。キングヘイローというウマ娘の実力を見せつけるんだ。母親の背中を追いかけてる場合じゃない)
「ありがとうマックイーン。俺だけで考えてたら気づけなかった」
「いえ、チームメイトとして当然のことをしたまでですわ」
チームメイトとして当然のことか。マックイーンも完全にチームの一員ってわけだな。
「とりあえず今日は1回帰るとするよ。明日に向けて考えなきゃいけないこともできたし」
「あら、今日は一日私に付き合ってくれるんじゃないんですの?」
「そうしたいところだけど、今の俺にはやらなきゃいけないことがあるからな」
「ふふ、冗談ですわ。頑張ってください」
俺は家に帰ることをマックイーンに告げてその部屋を出ようとした。そういえばマックイーンにも言い忘れてたことがあったな。
「マックイーン食べるのはいいけど……ほどほどにな?」
「せっかくいい感じで終わりそうなのになんてこと言いやがりますの!?」
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