はっちゃけ会です
夜になり、メモに書かれた場所に行くと少し小洒落たバーがあった。中に入ると既に沖野先輩がいた。
「先輩、お疲れ様でーす」
「おーよっきたな。マスター彼にも俺のと同じやつを」
手馴れている、ここの常連なのかもしれない。
「昼間は世話になったな」
「いやー沖野先輩のところのゴルシはずるいですって、あんなの聞いてないっすよ」
「ゴルシはやる気あるとはえーからな。あのストライドであのスピードは半端じゃないだろ」
「スズカの全力でも逃げ切れませんし。長距離走らせたら勝てる気しないっすよ」
「スカーレットとウオッカもそのレベルに持っていくぞ。あいつらには才能があるからな」
「怖いですよまったく。というか桐生院トレーナーはまだですかね」
「もう着くっていってたぞ、ほら」
「あんたなにやってんの、こんな女の子を店の前でうろつかせて」
「わりいわりい迎えに行くつもりだったんだよ」
「マスター彼と同じのをお願い。あなたもそれでいいわよね」
「はっはい!」
女性のトレーナーが2人も入ってきた、1人は桐生院トレーナーはわかるのだがもう1人は。
「先輩、あの人は誰ですか?」
「ああ、お前らは会ったことがなかったか。チームリギルのトレーナーのオハナさんだ」
「あなた達がこいつのいってたやつらね。悪いわね巻き込んじゃって」
「全然大丈夫ですよ。そんなことより乾杯しましょう乾杯」
「お疲れ様ー」
「「「「かんぱーい」」」」
「久々に飲むけどここのうまいっすね」
「ここは俺とオハナさんの行きつけだからな」
「私、お酒って初めて飲みます」
「そうなの?大丈夫?」
「桐生院葵……飲みます!」
桐生院トレーナーもノリノリだ。そのままぐっと飲み終える。
「私ー思うんですけどー柴葉さんって私と距離遠くないですかー桐生院トレーナーって」
「いや、そうかもしれないけど女性とはあまり話さないし馴れ馴れしいかなって」
「馴れ馴れしくていいんです!友達がいないのは嫌なので!葵って呼んでくださーい」
「わかったわかった、わかったよ葵さん1回落ち着いて」
友達がいないって……葵さんもこちら側の人間だったか。これからは仲良くしていこう。
「私は落ち着いてますー」
それはそれとして、1杯でこれだとあとが思いやられる。
「沖野先輩ありとうございます。まさかリギルのトレーナーである東条さんに会えるなんて」
「オハナさんとはよくここで飲んでるからな、気にすんな」
「そういえば、あなたたち昼間面白そうなことしてたらしいじゃない」
「模擬レースのことですか?いやー燃えましたね今日は」
「シンボリルドルフとエアグルーヴが気にしていたわよ」
シンボリルドルフは俺個人にエアグルーヴはスズカに思うところがあるのだろう。
「そういえば柴葉さんは、セイウンスカイさんを担当しないんですか?」
「そうだ、あんなに仲良さげじゃなかったか。捕まえれる時に捕まえないと逃げられちまうぞ」
「セイウンスカイはもうトレーナー候補の方がいるそうなので大丈夫です。それに今はスズカのことで手一杯です」
「スズカってサイレンススズカのこと?私も狙ってたのよ」
「えぇ!オハナさんも?」
オハナさんもって先輩あんたもだったんかい。
「スズカは綺麗な走りをするからな大逃げでぶっちぎりよ」
「何言ってんのサイレンススズカを活かすなら先行か差し、最初は抑えて一気に抜いてくべきよ」
スズカは多分東条さんとは上手くいかなそうだ。
「スズカの大逃げは立派なものですけどまだ課題が山積みですから」
「もうすぐデビューだろ頑張れよ」
「これからの事を考えるととりあえずスタートの練習をしますよ」
「スタートが上手いやつなら心当たりあるぞ」
「あら、沖野さんなにか御用ですか?」
「うわ、たづなさんびっくりしたなあ。来たなら来たって教えてくださいよ」
たづなさんというと理事長の秘書の方だ。
「お前らこの人は知ってるよなたづなさんだ、そしてお前に紹介しようと思ってた人だ」
「なんでたづなさんなんですか?」
「たづなさんはなウマ娘顔負けのスタートダッシュのうまさを持っているからな」
なんで秘書やっててそんな能力が身につくんだ。
「たづなさんお願いできますかね」
「うーん、そのくらいなら大丈夫ですよ。仕事の方は落ち着いて来ましたし」
ちゃんと面倒を見てくれるらしい。
「そういえば、たづなさんはあっちに行かなくていいんですか」
そういいながら、葵さんとオハナさんの方を指さす。
「私はああいうのも好きですけど。こうやって落ち着いてお酒を飲むのも好きなんですよ」
「そういえば、沖野先輩のところのスカーレットとウオッカ凄いですね。お互いに闘争心丸出しだし、あれ速くなるでしょ」
「当たり前だ、俺が見つけたやつらだからな」
「そーんな事言ってゴルシがいなきゃ危なかった癖に」
オハナさんがやってきて沖野先輩にそう言った。
「うるせーなー過去のことはいいじゃねーか」
「というか、葵さんはどうしたんですか」
「あの子飲み会に行くのも初めてらしくてね。はしゃぎすぎてたから休ませてきたわ」
やはり葵さんはこちら側の人間だったか。
「あんたたちこんなトレーナーに負けないように頑張りなさいよ。何かあったら相談に乗ってあげるわ」
「キャーオハナさん優しい!」
「あんたは黙ってなさいよ!」
「ありがとうございます。今回の模擬レースの件もですし沖野先輩には助けられてます」
「オハナさんはすごい人ですからね、相談に乗ってもらうだけでいい経験になると思いますよ」
「たづなさんの知識量には勝てませんけどね」
「私も混ぜてくださいよー」
元気になったのか葵さんも混ざってきた。
「私はミークと実は上手くいってなかったんですよ。でも今日分かったんです。私が壁を作っていただけで、もっと近い距離で接するべきでした」
「ウマ娘とトレーナーの信頼関係っていうのは大事だ、モチベーションにもなるしトレーニングの効果にも出るだろう」
「そうね、私は全員のコンディションとトレーニング管理をしてるから本人とコミュニケーションを取るのは大事よ」
「そういう面だと柴葉はちょうどいいんじゃねーか、スズカとも仲がいいし。まあ、仲間にできそうなウマ娘を捕まえられないヘタレだけどな」
「セイウンスカイから頼まれれば別ですけど、そうでもなければしませんよ!」
「セイウンスカイ?あのサボり魔の子でしょ。すごいの?」
「あいつは面白い走りをするぜ。これからしっかりと鍛えあげればクラシック路線を狙っていけるだろうな」
「これからに期待です」
セイウンスカイの才能は計り知れないからな。
「彼女の代にはエルコンドルパサー、グラスワンダー、キングヘイローがいるわ、私も目をつけてるけど」
「その代は波乱万丈だな」
「デビュー戦。勝てよ後輩」
「勝ちます。スズカが逃げ切って勝ちます」
スズカが勝つ。それ以外考えられない。
「スズカさん終わり際に、すごい楽しそうな顔してました」
「あいつは走るの大好きなやつだからな」
「ハッピーミークもこれから伸びてくだろうし、クラシック路線でぶつかることになる」
「その時はお手柔らかにお願いしますね?」
「何をおっしゃるんですか、全力でぶつかりますよ。それはあなたもでしょ?葵さん」
「こう言って少しでも有利になればと思ったんですけど、こういうのは向いてませんね」
フフっと笑っている
「ライバルっていいわね」
「オハナさんと俺もライバルだよ」
ちょっと驚いて嬉しそうな顔をした。
「そういうことはレースに出走してからいいなさい」
パシィと背中を引っぱたく音が聞こえた。沖野先輩を見る限り音だけで大した痛みでもなかったみたいだ。
「ところで……奢ってくんない?」
この人はやっぱダメかもしれない。
「給料はどうしたんですか?言うのあれですけど結構貰えますよね」
「こいつはね自分のウマ娘に金使っていっつも金欠なのよ」
「素晴らしいです!でもマネはできませんね……」
「いいわ、今日は初めて出会った記念ってことであなたたちの分のも払っちゃうわよ」
「「ありがとうございます」」
こういう時はお言葉に甘えておこう。
「それじゃあかいさーん。明日に備えろー」
沖野先輩がそう言ってから各々が自分の家に帰り始めた。
後日、飲み会のことを知ったスズカが拗ねたのはまた別のお話。
ノリと勢いで書いた回だったんですけど読んでくださりありがとうございます。