文章が読みやすくなって本当に助かっています。
休日明けのトレーニングでミーティングの為にチームルームに集まってもらった。そして、スカイとキング2人が部屋の真ん中で正座している。スズカは申し訳なさそうな顔をしているが、スカイとキングは俺の目をさっきから見ないし、マックイーンに関しては何が起こってるか分かってない様子。
「キングヘイローさんにセイウンスカイさん? 俺の言いたいことは分かるよね?」
「ちょっと心当たりがないからセイちゃん分かんないですね〜」
そう言いながらスカイが顔を逸らす。
「キングヘイローさんは?」
「わっ私たちは昨日はみんなでショッピングをしていただけよ? 怒られる覚えがないわね」
キングもまた顔を逸らした。
「それじゃあ2人はなんでさっきから顔を逸らしてるのかな?」
2人が昨日模擬レースをしていたのは今朝の段階で既に知っていた。最初は葵さんから急にお礼のメールが来てなんのことだと思ったんだが、スズカが全部話してくれた。
「別にやるなとは言わないけど、今は皐月賞手前の大事な時期だ。連絡くらいはしておいてくれ」
「「ごめんなさい……」」
2人も反省してるみたいだからお説教はこの辺にしておこう。折角今日はめでたい日なんだからな。
「説教は終わりだ。昨日休みだったのは2人の勝負服が完成して受け取りに行っていたからなんだ」
俺が勝負服が完成したと言った瞬間に2人はパァっと顔が明るくなった。勝負服はG1ウマ娘だけが着ることができる名誉あるものだから。しかも、世界に一つだけの自分のユニフォームだ。テンションも上がるだろう。
「まずはスカイからだな」
俺はスカイの勝負服をスカイに手渡す。スカイの勝負服は白をベースに水色っぽい色を加えて。緑の装飾に緑の短パンだ。ワンピースタイプで色んなところにフリフリが付いてる可愛らしいデザインだ。
「やった! 見て見て! 私の勝負服ですよトレーナーさん!」
スカイは勝負服を手に取って嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながらそれを俺に見せつけてくる。ここまで上機嫌に跳ね回るスカイは初めて見たな。
「次はキングだ」
キングの勝負服は緑がベースで白のスカートが付いている。まるでドレスのようにも見えるデザインになっている。
「やっと私もここまで来たのね」
勝負服を受け取ると少し感慨深そうに勝負服を眺めている。キングは色々あったからな……遂にここまで来たんだという実感が湧いてきたのか。
「それじゃあ、2人とも着てみてくれ」
そう言って俺がその場に立ち止まっていると、久しぶりにスズカが凄い笑顔で俺の手を取る。
「トレーナーさんは私と一緒に外で待っていましょうか?」
冗談のつもりだったんです……許してくださいスズカさん。本当に反省しているのでそんな目で僕を見ないで。
外で待っていると中からマックイーンが顔を出した。
「お二人共着替え終わりましたので入っても大丈夫ですわ」
俺はそのままチームルームに入って、2人の勝負服姿を見ることになった。
「どうかしら? 似合ってるとは思うけれど」
「どうしたの黙り込んじゃって。私たちに見惚れちゃった〜?」
2人は勝負服姿を俺に見せてくれる。感想を言わないとと思ったけど、2人ともよく似合ってるもんだから言葉が出なかった。そうしたらスズカがムッとした顔で俺の足を軽く蹴ってきた。
「私の時はそんな反応じゃなかったじゃないですか……」
スズカがボソッっと何かを言っていたが上手く聞き取れなかった。そんなことよりも2人に感想を言わないとな。
「想像以上に似合ってて言葉が出なくてな……これを着てレースでも頑張ってくれよ」
「「はい!」」
着替えてもらっておいて悪いが2人にはすぐに着替え直してもらった。一応確認の意味での着用だったし、今日は皐月賞までの方向性の確認をしなきゃいけないからな。
2人の着替えが終わったので、キングには部屋を出てもらってスカイに残ってもらった。
「まずはスカイに聞いておきたいんだが。今1番警戒している相手は誰だ?」
スカイが苦手意識か警戒している相手を定めて対策を練って、何かしらのトレーニングを行わないとならない。トレーニングの方向性も決めやすいしな。
「キングちゃんですね。スペちゃんはどこか緩んでる感じがするし〜昨日の模擬レースで見たキングちゃんの走りを見ればトレーナーさんも同じことを言うと思う」
スペとエルと一緒に走った上でキングが警戒すべきか……どうやらキングも俺の想像以上の成長をしているようだ。
「何を伸ばせば確実に勝てる? 実際に走ってみて何を脅威に感じたんだ?」
久しぶりに走った上にメンバーがメンバーだ。レース展開自体は良いものではなかったと思う。そう考えるとスカイを警戒させる程の何かがあったはずだ。
「ラストスパートのキングちゃんの末脚……とんでもなかった。あのスピードは私じゃ敵わない。だから、トップスピードに少しでも速く乗るための加速力が欲しいです」
スカイの瞳は真剣そのもので、それでいてどこか焦っているようだった。
「それならスズカと一緒にトレーニングするといい。その為の道具は揃ってるからグラウンドで待っていてくれ」
俺がそう言うと、何かを察したのかゲッとした顔でスカイは部屋から出ていった。そうして、スカイと入れ替わりでキングが部屋に入ってくる。
入ってくる。
「トレーナーさん、私もう少しで何か掴めるような気がするの。昨日の模擬レースでたしかに今まで以上のスピードで走れたのよ」
キングは部屋に入ってきてすぐに話し始めた。自分の大きな成長……その第1歩に少々興奮している様子だ。
「俺は実際に模擬レースを見ていたわけじゃない。その時のことを教えて貰えるか?」
俺がそう冷静に返すとキングも少し落ち着いたようで、こくんと頷いて模擬レースのことを語り始めた。
「ただただ一心不乱にひたすら前に進もうと思ったらか……」
一心不乱に何も考えずに走るというのはキングの走り方にはあまり合わない走り方だと俺は思ってた。思ったてたじゃない、今もそう思っている。だけど、それが実際に噛み合ったのも事実。
「私らしくないとは思っているわ。でもね、可能性がそこにあるなら考える価値はあると思うの」
「それは分かるんだけどな……一心不乱と冷静は矛盾して……」
(待てよ? そもそも、冷静さと情熱の矛盾を同時に体現してるって言ったのは俺じゃないか)
冷静かつ情熱的な走り……考えるんだ、冷静に走りながらも一心不乱に走っても良いタイミングはどこだ?
少し考えてその答えはすぐに出た。そんなの『ラストスパートのゴールを目指している時』しかないじゃないか。ただ、ラストスパート直前は多くの駆け引きが繰り広げられるタイミングでもある。そのスイッチの切り替えのタイミングが重要だ。
「キング。お前は自分が仕掛けるべきタイミングを信じ切れるか? そのタイミングを見定められるか?」
中途半端はダメだ。どちらかが少しでも残っていれば躊躇してしまう。だからこそ、仕掛ける時はただひたすらにゴールを目指すんだ。
「当然よ! 私は一流のウマ娘のキングヘイロー。そんなことを恐れてたらこれからのレースで戦っていけないもの」
キングの覚悟も十分か。あとはキングを信じてその準備をするだけだ。
「とりあえずグラウンドに1回出ようか」
とりあえずは方向性は決まった。あとはトレーニング内容を詰めていかないとな。
もう一度グラウンドで4人が集合した。スズカ&スカイチームとマックイーン&キングチームの2つに分けて説明をしていく。
「まずはスカイのトレーニングだが……この蹄鉄を着けての1000mのインターバルトレーニングをスズカと行ってもらう」
スズカはいつものように蹄鉄をはめて軽くランニングをしていた。しかし、スカイの方はジョギングして走るのがやっとと言ったところか。
「トレーナーさん……これすっごく重いんだけど」
スカイは嫌そうな顔をしながら俺の方を見てくる。もちろん本気で嫌がっているわけではないと思うんだけど。
「このトレーニングはスズカを大きく成長させたトレーニングの一つでもある。合わなそうなら直ぐに変えるが試してみる価値は十分ある」
「よろしくねスカイちゃん」
スズカはニコニコでスカイのことを引きずってスタート地点へと向かっていった。最近スカイはマックイーンとのトレーニングが多かったし、久しぶりに一緒に走れるのが楽しみ……だと思いたい。
「キングとマックイーンは2000m走を通しで行って、その休憩の間にお互いのフォームについて話し合ってくれ」
「私もフォームチェックをしますの?」
今まであまりマックイーンの走り方に口を出したことはなかった。マックイーンは速かったしフォームも綺麗だと思っていたから。しかし、今回のキングの件でそれは自分の慢心だと気づいた。走りには各々の個性も出るし、今までの癖も付いている。それは子供の頃の未熟な時に付いたものかもしれない。
「俺もずっとキングを見ることができないのもあるし、マックイーンもデビューが近いからな。速くなる可能性があるなら吟味していくべきだ。実際に走るウマ娘同士だから気付くこともあるだろうしな」
マックイーンもキングも納得したようで頷いた。とりあえず皐月賞に向けてできる準備はここまでだ……あとは2人がそのトレーニングでどこまで成長してくれるかだな。
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