注意:改善点や改善法は9割こじつけです。
投稿遅れてごめんなさい
トレーナーさん、お元気ですか?私は今スズカさんと久しぶりにロングジョグをしています。スズカさんはとても楽しそうに走っています……助けてください。
「スズカさん……1回、1回休憩しましょう……ゼエゼエ」
私は両手を膝に付いて立ち止まった。というか立ち止まらざるおえなかったと言うべきな気がする……足は疲労のせいでプルプルしてるし、今は歩くのが精一杯だ。
「あっごめんなさいスカイちゃん……スカイちゃんは初めてだから大変よね」
スズカさんに支えられながら、日陰に連れて行ってもらって休憩することになった。そのまま1度靴を脱いでスズカさんにアドバイスを貰うことにした。
「スズカさんってこの蹄鉄を付けてる時も、いつも程じゃないですけどぴょんぴょんと走りますよね」
「私はもう慣れちゃってるから。最初は私もスカイちゃんみたいにロクに走れないかったし」
前までは、まさか自分もやることになるとは思ってなかったし……辛い顔しながら走ってたスズカさんも、今では涼しい顔をしながら走ってる。
「何かコツとかってないんですか?」
私がそう聞くと指を顎に当てて少し考え始める。スズカさんはどちらかというと感覚派なイメージだし、言葉にするのは難しいのかな?
「踏み込みを意識しながら走るといいかも。いつもよりも重い蹄鉄をつけてる分、いつもよりも踏み込みが深くなるから」
想像以上に的確なアドバイスに唖然としてしまった。そんな私を見てスズカさんがむくれている。
「スカイちゃんの言いたいことは分かるけど……失礼なこと考えてるよねぇ?」
「もう少し感覚的なアドバイスが来ると思ってました。はい」
「私だってちゃんと色々考えてるのよ?たしかに昔は走ることしか考えて無かったけど、今はどうしたらもっと速く走れるのかって考えてるの」
スズカさんも変わっていくんだなぁ……って結局考えてる事は走ることなんだけど。でも、これだけ的確なアドバイスをしてくれるなら上手く行きそうだ。
一方その頃キング達は
「とりあえずはキングが先に走って、次にマックイーンが走るっていう感じにしよう」
キングがスタートの準備をしている間にマックイーンが俺に話しかけてきた。
「スカイさんのところには行かなくてもいいんですの?」
マックイーンはちょっとだけムッとした顔をしている。最近はキングに付きっきりでスカイのことを見てなかったから贔屓していると思われてるのかもしれない。
「勿論スカイのところにも行くよ。キングは走りのベースを決める大事なところだからな、一回目は見ないわけにはいかんだろうし。何よりも、2人が同じレースに出るんだ。私情で贔屓するような真似はしないよ」
俺の回答に納得したのかマックイーンはトラックに視線を戻す。スタート地点ではちょうどキングがスタートの準備を終えていた。
「キングー!とりあえず1本目は自分の好きなように走ってみてくれ!」
1本目はフォームの確認のためにタイムは気にせず走ることになってる。スタートも自分の好きなタイミングで、自分のできる限りの綺麗なスタートをするようにした。
「キングさん綺麗なスタートですわね」
「あぁ、久しぶりのスタートなのにここまで感覚が残ってるとはな」
ゲートでのスタートとなれば違ってくるとは思うけど、キングこスタートは想像以上に綺麗なものだった。スタートが1番重要なのは逃げだと思われがちだが、差しなんかはポジションが大切になってくるからスタートが上手くて損はない。
(今日も足が軽い。足は軽いのに何だか走りづらいわね……)
キングは久しぶりの走り込みで足の踏み込み方が変わっていた。さから走りやすくはなっているのだが、姿勢などが変わってはいないせいでバランスが悪くなっていた。
足はいつもよりも早く回っているのに……何故か速く走れない。バランスが悪いのも分かるけど、それ以上にテンポが上手く合わない。
(何かが違うからバランスが悪いのは分かるのに、何が悪いのかが分からない……)
「キングさんの走り、どこかチグハグしてますわね……」
キングの走りをジッと見ながらそう言う。マックイーンの言う通りキングの走りは今バランス、テンポが悪い。
「足の踏み込みが以前と変わって足の回転が早くなった。それに対して腕の振りが間に合ってない。だからテンポがズレるんだ。バランスが悪く感じるのはなんでだと思う?」
俺の急な質問に、マックイーンは考え込みながらキングの走りを分析する。自分の走りを分析することは大事だが、時には他人の走りを分析することも大切だからな。
「軸が少しズレている?」
「大した分析力だなマックイーン」
「ズレてるのは分かりますわ……ただその理由が分かりません」
マックイーンの指摘は正しい。しかし、厳しい体幹トレーニングを乗り越えたキングは、並大抵の事じゃ体自体の軸はズレることはない。ズレてるのは体と踏み込み着地点の軸だ。
「キングは以前よりもつま先の方で着地している。着地点が変われば軸も変わる。そして、つま先の方から着地する場合は自然と体が前傾姿勢になる。けど、無理に姿勢を正そうとしている結果バランスが悪くなっているんだ」
これは指摘すれば、キングなら直ぐに直せるだろう。スピーディなフォームにはなるが、そのフォームの方が負担が少なく速く走れるならそちらの方がいい。
「ラストスパート入りますわよ!」
(ここからはラストスパート……ひたすらにゴールに向けて駆け抜ける!)
私はそう思い、姿勢を前傾にしていきスピードを出していく。
(もっと……もっと前に!)
そこで私はバランスを崩して転んでしまった。受け身は上手く取れたし、スピードも最高速度に乗っていなかったこともあって怪我はなかった。
「大丈夫かキング!」
私が転んだのを見て、すぐに私の元にトレーナーさんが駆けつけてくれた。
「大丈夫、少し擦りむいただけよ」
トレーナーさんが差し出してくれた手を掴んで立ち上がる。休憩と消毒をしつつ、今の走りの反省会を行う。
「何となく自分で走りに違和感を感じてはいたけれど……どこがダメだったのかしら?」
とりあえず、俺たちが見た感じでも分かったことを説明していこう。
「まずは通常時の走りだけど、腕の振りが足の回転のリズムと合ってない。そして、足の着地点と体の軸がズレてるせいでバランスを崩してる」
ここまでは意識の問題でどうにかなるはずだ。問題はここからだな。
「ラストスパートはまだ感覚を掴めていない。だから何度も何度も繰り返すしかない」
それまでに何度もコケることになったとしてもだ。なんどもなんども繰り返して、体にそのフォームを覚え込ませるしかないんだ。
「そんなことは覚悟の上よ。さっきので思い知ったわ……新しいことに挑む難しさをね」
キングも多くの経験と時間を経て精神的にもかなり成長してる。成長期真っ盛りの彼女たちは全ての面でこちらの予想の上を行ってくれる。
「キングがいいならokだ。次はマックイーンの走りだけど、これはキングが見てやってくれ。俺はこの後スカイのトレーニングを見たりしないと行けないからな」
「いいかスカイ、皐月賞まではあと1週間と少ししかない。追い込めるのは今日が最後だ。準備はいいか?」
「大丈夫大丈〜安心して見てってよ」
そう言うとスズカの腕を掴んでスタート地点に向かう。重い蹄鉄を普通の蹄鉄に付け替えてからのスタートだ。
「それじゃあ行くぞ!位置について……よーい、ドン!」
スタート直後、先頭に出たのはスズカだった。今回はラストの加速力の確認のために1000mで終わることになってるが……スズカのやつ本気だな。
(単純なスピード力じゃスズカに分があるか)
序盤中盤とスズカが先頭でその後ろにスカイが続く形でレースが進む。そして、終盤のラストでスズカが仕掛ける。
(大事なのは踏み込み。力強い踏み込み)
少し前までは出来なかった。私は逃げウマ娘でそんな事を練習する日がくるなんてとも思ってた。それでも、私は負けないために……ここまで努力してきた!
スズカさんが加速する同タイミングで私も加速する。そして、その加速についていった。
残り200m程でスズカさんが私を突き放して先にゴールした。良く考えてみれば当然の結果だ。加速力は同等になってもスズカさんの真の脅威はそのスピード力だから。
「いや〜流石にスズカさんにはまだ勝てないですねー」
「そうね……でも私もうかうかしてられないわね」
スズカさんは何だか少し嬉しそうに言っている。私の成長が嬉しいのか……隣で競い合う相手がいて嬉しいのかはわからないけど。
「たしかにスズカには今回勝てなかったが……その加速力は大きな武器だな。その部分だけを見れば当時のスズカを凌駕してると思う」
クラシックの時のスズカさんを超える武器。今回はスズカさんに勝てなかったけど……少しずつだけど追いついていってる。
「それは嬉しいですね〜でも……今回の相手はスズカさんじゃないですから」
そうだ、今回のレースの相手はスズカさんじゃない。性格も違えば脚質も全く違う。しっかりと目の前の相手を見失わないようにしないと。
「キングもう一本だ!」
「わかったわ!」
キングもやる気十分だ。フォームも綺麗に研ぎ澄まされていき、レースの基本的な型みたいなものも固まってきた。
「キングさんのフォーム綺麗になってきましたね」
「あぁ……」
「その割には複雑そうですがどうしましたの?」
キングの道中の走りは完璧に仕上がってきている。だが、唯一ラストスパートだけはまだ未完成だ……
「ラストスパートのフォームに少しだけ違和感があるんだよな……」
ラストスパートに入る過程で少しずつ姿勢が前傾していく。その中で一瞬だけキングの視線が下を向いた。そして、姿勢が完全にラストスパートに入った時にも一瞬下を向いて少しだけ姿勢が戻る。
(もしかして転ぶのを怖がってる?)
ウマ娘は人間と違って高速で走ることができる。それ故に走っている途中でのアクシデントが大怪我に繋がることもある。だからこそトレーニング中の少ししたことが軽いトラウマになりやすい。1番最初の走りで転んでしまったせいで意識が下に向いてしまうのかもしれない。
キングがゴールして休憩しているところに俺は歩み寄る。キングの息遣いやぱっと見る疲労感から全力なのはよく分かる。
「次は転んでもいいから全力で走ってみてくれないか?」
俺がそう言うとキングは俺の顔を見た。バレていたの?と言わんばかりの表情で、本人も気がついている様子だった。
「本当によく見てるんだから……どうしても目を背けてしまうの。大丈夫だと分かっているはずなのに」
キングは酷く悔しそうだった。ダメな理由も解決策も分かってるのに。ちょっとした恐怖でそれを達成できないことが悔しいんだ。
「大丈夫だよキング。怖くなんてない!俺を信じろ!」
根拠は何も無い。俺が出来るのはキングの不安を出来る限り取り除いてやることだ。精神的なものには精神的要因で解決するしかない。
「分かった……あなたを信じるわ」
キングはそう一言だけ言ってスタート地点に向かった。
(まだ完璧に走りきれる自身はないけど、あの人は信じろと言った。何かあるかは分からないけど、私にできることは信じること!)
私はいつも通り今できる1番の走りをする。スタートしてからはいつも通りのペースとフォーム……問題はここからね。ラストスパートでもしも怖さを振り切れなければあの人を信用していないことになる。
(私はあの人を信用できるか?愚問ねできるに決まってるわ。あの人は私の1番の理解者だもの)
そうして、ラストスパートに入ろうとしていく。いつもよりもスピードを出そうとさらなる前傾姿勢になっていきまた転びそうになった。
(私はまた倒れるのね……)
私の体が地面に着地すると思い体に力を入れていたがそんなことは起こらなかった。その代りになにかにぶつかる感覚があった。
「あなた何やってるのよ!」
私はあまりのことに声をあげた。私が転ぶのを身を呈して守ったんだ。トップスピードじゃなくてもウマ娘のパワーをくらったら人間じゃたったものじゃない。
「大丈夫大丈夫このくらいなら。キングは転んでないで立ってるだろ?お前が倒れそうになったら何度でも俺が立たせてやる。だから安心しろ!」
彼は明らかに今体を痛めている。それでも私を信じてアドバイスをしてくれてるんだ……
「そうね……ありがとう。だけど今は保健室に行ってきなさい?マックイーンさんお願いできる?」
「もちろんですわ。行きますわよトレーナーさん」
マックイーンさんがトレーナーさんを連れて保健室に向かっていった。そして、私だけがグラウンドに残った。
(いくら倒れても立たせてくれるね……ならこの体預けさせてもらうわよ!)
この日、キングは自分の体操着が泥まみれになるまで走り込んだ。残すは2週間世代のトップ達が集まるレース。どうなるのかが全く読めない。
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