トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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ダービーの勝利予想アンケートが想像外の結果になって驚いてる今日このごろです。


第85話:祝え!皐月賞祝賀会!

 皐月賞翌日のお昼手前に俺は目を覚ました。今日の祝賀会の用意はメジロ家の力を使って済ませるとのこと。あんまり家の力とかを使わせたくないから何度もはしたくないけど……今回はマックイーンどうしてもと言うので力を借りることにした。

 

(みんなはまだ授業中だろうからチームルームで少し時間を潰すか)

 

 部屋に入ると祝賀会の準備はほとんど終わっており、あとはメンバーが集まればいいだけだ。部屋を見渡しながらソファーに座ろうとすると、そこにはスカイが眠っていた。

 

(昨日レースがあって疲れてたんだな……)

 

 違うそうじゃない。なんでスカイがこんなところで眠っているんだ。今は授業中でスカイは教室で授業を受けているはずじゃないのか。

 

「おいスカイ起きろ」

 

 スカイのことを揺すりながら呼びかけるとウトウトしながらソファーから体を起こした。

 

「あれ〜トレーナーさんじゃないですか。もう祝賀会の時間ですか?」

 

「いや、まだその時間じゃないんだけど……違う!なんでお前ここにいるんだ。まだ授業中だろ?」

 

 体を伸ばしてからスカイが俺の質問に答えようとすると、ドアのノック音が聞こえる。

 

「すいませーん。紫葉トレーナーいますか。あれ?鍵が開いてる」

 

 どうやらたづなさんが来たようだ。何か用事かと思い出ようとするとスカイに捕まりロッカーの中に押し込められた。

 

 

(どうしよう!どうしよう!どうしよう!勢いとはいえ密室にトレーナーさんと2人っきり)

 

 私が顔を真っ赤にしながらトレーナーさんに顔を埋めているけど、トレーナーさんは何がなんだかって感じの顔をしている。

 

「おいスカイなんでこんなところに?」

 

「ちょっと大きい声出さないで!」

 

 トレーナーさんの口を抑えて今の状況を説明する。

 

「授業サボってここで眠ってたからたづなさんに見つかったら怒られちゃいます!」

 

 そう言うとトレーナーさんは速攻でロッカーの扉を開けようとしたので押さえつけて、お互い動いてガタガタしてるとチームルームのドアを開ける音がした。

 

「今ここから出たら軽い事件ですよ〜」

 

 授業中にチームルームで担当と2人っきりで、他人が来てロッカーに隠れてたなんて何かあったと思われるはず!

 トレーナーさんも諦めて動かなくなった。動かなくはなったけど、今の危機的状況に心拍数が上がり心臓の音が聞こえてくる。

 

(トレーナーさんの心音……抱きつくようにしてて暖かいから安心する)

 

 ゲートと同じかそれ以上の閉鎖空間。それなのに不安や孤独感なんてこれっぽっちも感じない。むしろ安心する……隣にトレーナーさんがいるから。

 

(そう……隣にはトレーナーさんがいるんだ)

 

 スズカさんはトレーナーさんの前を走ってトレーナーさんを引っ張っていた。キングちゃんはトレーナーさんに引っ張って貰いながら後ろからトレーナーさんを支えてた。だからかな、ゲートで1人になった時に孤独感を感じたのは。

 

(私はトレーナーさんの隣を一緒に歩けるようになろう)

 

 私はトレーナーさんに抱きついた。密着してるだけじゃなくて腕を背中に回して抱きついた。今、心に浮かんでいるこの気持ちをどうにかして表現したかった。

 

「ちょっスカイ!?」

 

 トレーナーさんはびっくりして少しだけ声をあげた。そして、その声をたづなさんが見逃すはずもない。たづなさんがロッカーを開けて私たちを見て驚いた。少し何か考えてから話し始めた。

 

「何をしていたかは葉紫トレーナーに聞きましょう。セイウンスカイさんは授業中ですよね?授業に戻ってください」

 

 トレーナーさんは半分放心状態で言い訳を考えるためにあたふたとしていた。私はと言うとトレーナーさんの背中に回って隠れている。するとたづなさんはため息をついた。

 

「トレーナーさん落ち着いてください……とりあえずセイウンスカイさんはトレーナーさんから離れてください」

 

「嫌です……」

 

 私がそう言ったのにたづなさんは驚いていたが、この中で1番驚いていたのはトレーナーさんだった。普段ならここら辺で教室の方に走って逃げてるだろうし、まさか怒っているたづなさんの言うことを断ると思わなかったのかも。

 しかし、たづなさんも納得するはずもなく何かを言おうとしていた。

 

「お願い。授業には行きますから少しだけ」

 

 たづなさんはその何かをグッと抑え込んで。『わかりました』と言った。

 

「ですが、トレーナーさんにはしっかりお話を聞かせて貰いますからね」

 

 そう言うとたづなさんは部屋から出ていった。トレーナーさんは何が起こっているのか理解できずに混乱している。

 

「あのセイウンスカイさん?」

 

 トレーナーさんの声掛けを聞きながら背中に私は抱きついたままいた。そうして沈黙が数分だけ続く。その沈黙が何だか心地よくって安心出来た。

 

「よし!それじゃあセイちゃんは授業に戻りま〜す」

 

 私はそのままトレーナーさんから離れて顔を合わさずに部屋から出ていった。トレーナーさんからは少し呼び止められたけど、この緩みきった顔でトレーナーさんの方を見ることは出来なかった。

 

 

「結局何だったんだ……」

 

 授業をサボってるスカイを見つけたと思ったらロッカーにぶち込まれて。そしたらスカイに抱きつかれて。たづなさんが怒ってこちらに来たと思ったら帰って。もう一度スカイに抱きつかれて。

 俺は現状を全く理解出来ずに半場放心状態で棒立ちになっていた。すると、ノックが聞こえてたづなさんが入ってきた。そして俺は本能的に正座した。

 

「それで……何があったか説明いただけますか?」

 

「わっわからないです……」

 

 たづなさんがかなり威圧的に言葉をかけてくるので俺は完全に萎縮していた。

 

(言葉を間違えたら……首が飛ぶ!物理的にも社会的にも!)

 

「確かにウマ娘は容姿端麗です。思春期の彼女たちに触れ合って抱く感情もあるでしょう。しかし、手を出すのは不味いのではないですか?」

 

 これってスカイと俺が如何わしいことをしていたって勘違いされてるのか?確かにスカイは可愛いとは思うし1年もいれば思うこともあるが……相手は高等部で担当ウマ娘だぞ?

 

「待ってくささいたづなさん誤解です!彼女とはそういう関係はありません!」

 

「別に恋愛的関係になることを怒ってるわけではありません。思春期のウマ娘がクラシックという激戦を共にした異性に引かれることは珍しくありません」

 

 えっそれは初耳なんですけど。印象とか変な人間がトレーナーに紛れないようにあまり表には出していないのだろうか。

 

「ただ、お付き合いする場合は手順を踏んでしっかりと学園側に報告してくださいね?」

 

「だから何もありませんって!」

 

 俺が全力否定するとたづなさんが笑い始めた。あれ?怒ってると思ってたんだけどな。

 

「すいません、冗談ですよ。紫葉トレーナーの反応が面白くってつい」

 

 たづなさんは笑いを落ち着かせてからこちらと目を合わせる。

 

「紫葉トレーナーがそんなことするとは思っていないですよ。でも、もしそうなる時はしっかり手順を踏んでくださいね」

 

 さっき笑っていた時とは違って真面目な表情でたづなさんはそう言う。たづなさんや理事長はウマ娘の幸せを強く願っている。ウマ娘が傷つくような事態は起こしたくないんだろう。

 

「大丈夫ですよ。ところでどういう要件で?」

 

 たづなさんは小包ゴソゴソと取り出して机の上へと置いた。どうやらお菓子が入っているっぽい。

 

「たまたま家で見つけたので差し入れにと思いまして」

 

 たづなさんの家でたまたま見つけた……?たづなさん家の中ってたしか。そんなふうに俺が心配しているとたづなさんがむくれてしまった。

 

『流石にお祝いに贈る品で変なものは持ってきません!』

 

 そう言ってプンプンと怒って帰って行った。部屋からの去り際に『冗談ですよ』と軽く笑って出ていった。あの人の言うことは冗談なのかどうなのか……

 

 

 祝賀会は無事に始まった……始まったんだけど。

 

「キングちゃん最近トレーナーさんと距離近くない?」

 

「そっそんなことないわよ!スカイさんこそトレーナーさんの膝に乗って!」

 

 スカイが俺の膝の上に座って、キングが横からしがみついてきている。スズカはスズカで何事もなくキングの反対側からしがみついてきてる訳だが……

 

「トレーナーさん私も頑張って活躍しますわ〜」

 

 マックイーンは後ろから腰あたりに抱きついてきてるし。一体どうしてこうなってしまったんだ……

 

 

ーーー数十分前ーーー

 

「スカイとキングの皐月賞勝利を祝して!」

 

「「「「カンパーイ!」」」」

 

 祝賀会が始まり、チームみんなで人参ジュースで乾杯をしていた。流石にこの席で飲酒する訳にもいかないので、俺も一緒に人参ジュースを飲んでいた。

 

「いやーそれにしても2人とも俺の想像以上の走りだったよ」

 

 今思い返しても2人のラストスパートは熱い勝負だった。2人の頑張りを思い出して頭を撫でてしまった。スカイは嬉しそうに尻尾を揺らしていた。キングも顔を背けてはいるが嬉しそうだった。

 

「スズカも次は小倉大章典が近いから気を抜かずに行こう」

 

「勿論です」

 

 スズカはいつでもやる気十分だな。流石にチーム内で1番場数を踏んでるだけはある。

 

「マックイーンは一応来年デビューを目指してトレーニングを積んでいこう」

 

「私も早くあの舞台で皆さんの様に走りたいですわ!」

 

 マックイーンも2人から大きく刺激を受けている。トレーニングにも良い影響が出ていくだろう。

 

「そうそう、たづなさんから差し入れのお菓子の差し入れを貰ったんだ」

 

 俺が机の上にたづなさんからの差し入れを取り出すと、4人がポイポイと口の中に放り込んだ。味が気に入ったのかみんなであっという間に食べ終わってしまい俺が食うことは出来なかった。

 すると、しばらくの間沈黙が走った。気持ちスズカの距離感が近くなった気がするが……

 

「あなたのおかげでここまで強くなれたわ……本当に感謝してる」

 

 キングがそう言いながら俺の横にポスリと倒れかかる様に座った。担当ウマ娘にそこまで言って貰えると嬉しいし、何よりも頑張った甲斐がある。

 

「あー!キングちゃんとスズカさんばっかりずるい!」

 

 スカイがいつものフワフワしたテンションからは考えられないハイテンションで俺の膝の上に飛び乗ってきた。

 

「ちょっとスカイさん?それは不味くないですか?」

 

「問題はあえいませ〜ん」

 

 ということがあって今の現状に至る訳だが。

 

「スカイさん!私はどうですの?」

 

「勿論マックイーンちゃんも大好きだよ〜」

 

 スカイはマックイーンの頭を撫でて、マックイーンはお嬢様がしていいのか分からないような蕩けた顔をしていた。そうじゃない!何故こうなったんだ!?俺はたづなさんに貰ったお菓子の箱を見る。

 

『リキュール』

 

(これ酒入ってんじゃねええか!いや微量だろうけどさ。ウマ娘ってお酒とか毒に強いんじゃないの?うちのメンバーはなんでこんなに弱いの?)

 

「ほら!みんな1回離れろ!」

 

 そうやって引きはがすがスズカだけが離れない。どうしてだ、思い切り手で押してもピクリとも動かない。

 

「スズカさん?」

 

「私は1番速いです」

 

 ダメだスズカも正常じゃない。どうしようか、人がウマ娘に力で勝てるわけない……そんなことを考えていると俺を掴むスズカの手の力が緩んでいった。

 

「あれ?みんな眠ってる?」

 

 昨日今日で疲れが全部抜けるわけでもないか。今日は普通に授業ああったわけだし。俺は全員に毛布をかけてやって事務作業をすることにした。

 その後、数時間後に全員目を覚ましたが酔ってからのことは曖昧っぽい。疲れも溜まってるだろうからその時点で解散にした。




うちのマックイーンがゲームとアニメとデジたんが融合し始めている……

日本ダービーを制するのは

  • スカイ×キング×スペ
  • スカイ×キング
  • スカイ×スペ
  • キング×スペ
  • セイウンスカイ
  • キングヘイロー
  • スペシャルウィーク
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