今日はたづなさんが呼んでくれたウマ娘とのトレーニング日だ。スカイとキングのトレーニングはそのために軽いジョギングだけにしておいた。
「誰と走るんだろうね〜キングちゃん」
「分からないわね……ただ、トレーナーさんがたづなさんの紹介だからきっと良いトレーニングになるって言っていたし心配することはないんじゃないかしら」
2人は相手を待っている間そんな雑談をしていた。スカイは『だから心配なんだけどね……』なんて言っていたが。
「すいませんお待たせしましたー!」
声が聞こえた方を向くとたづなさんが走ってきた……いや違う!ウマ娘の耳と尻尾が生えている。たづなさんじゃないのか?とりあえず、しっかりと挨拶をしないと。
「初めまして。チームレグルスのトレーナーをしている柴葉といいます。今日はよろしくお願いします」
「初めまして……ですか」
俺が自己紹介すると、相手の方が耳を垂れ下げてしまった。あれ、何か不味いことを言った?
「あの……何か気に触ってしまいましたか?」
「いえそんなことは。こちらの紹介が遅れましたね。私はトキノミノルといいます。よろしくお願いします」
お互い自己紹介が終わると周りのみんなの沈黙に気がついた。スズカはいつも通りだが、キングは呆れたように頭を抑えている。スカイとマックイーンは唖然と口を開けている。
「トキノミノルって伝説のウマ娘じゃないですかああ!」
少し間を開けてからスカイが叫んだ。えっこの人ってそんなにやばい人なの……?トキノミノル、トキノミノル……あっ!昔ダービーを取ったウマ娘にいた!
「彼女は現役時代最強の座を手に入れてましたわ。彼女の走りには絶対があると。ただ、とあるレースを境に表舞台に出てこなくなったと聞いていましたが……」
顔の広いたづなさんの知り合いにそういう人がいるってのはまだわかるんだが……なんでトレーニングを受けてくれる気になったんだろうか。
「時間も惜しいのでスカイさんとキングさんに個別で少しお話があります」
そういうとトキノさんがスカイとキングの2人を引っ張っていってしまった。まずはキングから話すようだ。
「それで話と言うのは何かしら?」
私とスカイさんが呼び出されて、スカイさんに話が聞こえない程度まで距離を置いてから話始めた。
「今の現状の実力と今日の走りで意識して欲しいポイントを説明するためです。実力の把握とトレーニングの意味を理解することはトレーニングの効率アップに繋がりますから」
彼女は多くの修羅場を戦い抜いていたウマ娘……それこそ伝説と言われるほどの実力者。様々な走りを見てきたはず。なら、そのウマ娘達と実力を比較してある程度の基準を作れると思う。
私が無言で頷くと、ミノルさんは話し始めた。
「まずは実力ですが、こちらは問題ありません。シニアの最前線で戦っていくなら必ず到達する領域に至ってますから」
レースのラストスパートの時に弥生賞、皐月賞では本来の力以上の走りが出来た。それを領域と表現してるのならその表現が何故かしっくりとする。
「それだけ評価されていると嬉しいものね。流石に幾多のウマ娘を見てきただけはあるのかしら?」
すると、彼女は悔しそうに少しため息を吐いてから話し始めた。
「当初の私の予定ではあなたはクラシックで埋もれる存在だと思っていました。しかし、弥生賞で領域に到達する前兆を見せ。皐月賞本番でその領域に到達しました。そしてセイウンスカイさんに並んで同着。全くの予想外でした」
スカイさんはトップで私は2着以下という予定だったといいたいらしいわね。私にはその実力が無かったと思われていた。
「なるほどね。それじゃあダービーは誰が勝つと思われてるんです?」
ミノルさんは少し話すか悩んでいた。悩んでいるというか躊躇っているという方が正しいかしら。
「言い難いですがスペシャルウィークさんだと思っています。彼女のポテンシャルと適正を考えると彼女が1番有利でしょう」
皐月賞では何事もなくスペさんには勝てた……ただ、それは彼女が万全で無かったからだと言うのは私も理解している。ミノルさんは続けて話す。
「ですが、皐月賞のこともありますから私の予想は予想でしかありません。スカイさんが領域に到達して、あなたが限界のその先にたどり着いたとしたら……」
そう言いながら彼女は楽しそうに笑った。まるで自分の想像を超えていく私たちを見ていて喜んでいるような。
「あなたの走りは完成しつつあります。なので今回は大したことが出来ませんが……その先の1つの可能性を示そうとおもいます」
そう言い残して彼女はスカイさんの方に行ってしまったのか。私の1つの可能性。そして、それを私なりの突破していくと思っているのでしょうね。
「キングちゃんとは何を話してたんですか?」
わざわざ2人に分けて、しかも内容はお互い分からないようにするなんて思わなかった。それだけ重要な内容ってことなのかな?
「今日のトレーニングの意図と実力の診断……と言った所でしょうか。スカイさんにもしっかりお話するので聞いてくださいね」
不得意な事とか弱点の話もしなきゃいけないから私に話が聞こえないようにしたんだ。
「伝説のウマ娘さんからするとセイちゃんの実力はどうですか〜?」
いつものようにフワフワした調子でミノルさんに聞いてみる。非凡な才能を持ち、伝説と言われる偉業を成し遂げた彼女に真剣に向き合う自信がなかった。
「そうですね……実力と体の出来は非凡と言ってもいいでしょう。セイウンスカイさんのスタミナは才能と努力あってこそのものです」
良かったと安心した。天才に自分の才を認めて貰えたことに。平凡と言われなかったことが嬉しかった。次の彼女の言葉を聞くまでは……
「しかし、それとは裏腹にその走りは平凡的です。皐月賞でキングヘイローさんから逃げきれたのは奇跡と言ってもいいでしょう」
「セイちゃんはキングちゃんやスペちゃんみたいな天才とは違いますか〜」
私は今にも泣き出しそうになりながらも我慢した。手は震えて気持ちは落ち込んだ。自分もみんなと同じ舞台の1人だと思っていたかった。
「あなたには私が伝説や幻とまで言われたその走りを見せてあげます……そこから何を感じるかはあなた次第ですけどね」
そう言うとミノルさんはトレーナーさんの方へ向かって歩いていった。私も戻ろうとしたけど戻れなかった。呆然とし彼女の言葉を受け止めきれずにいたから。
「ミノルさん。2人にどんな話をしたか聞いてもいいですか?」
俺は戻ってきたミノルさんに何を話していたか聞いた。キングは大丈夫そうだが、スカイの様子が少しおかしい気がしたからだ。
「もちろんです」
彼女は2人にした話をそのまま俺に伝えてくれた。少し気になることもあったが、黙って最後まで話を聞いく。
「ミノルさんそれって本気で言っていますか?」
皐月賞を制したスカイの走りを平凡とまで言うとは。それは一緒に走り競いあったキングやスペを軽んじる発言じゃないだろうか。
「たしかに少し厳しく言った箇所もあります。しかし、私は嘘は言っていません。スカイさんの身体的ポテンシャルはクラシックでもトップクラスでスタミナは頭1つ抜けています。しかし、その走りは平凡的です」
スカイの才能を認めていない訳では無い。ただ、その走りから非凡さを感じないということだろうか。それならなんでスカイはあそこまで傷ついたように見えるのだろうか。
「スカイさんは心のどこかで自分の才能を信じきれていません……それ故に実力を活かしきれてないと私は思っています」
「スカイが天才にコンプレックスを感じていると言うことですか」
たしかに、去年トウカイテイオーと会った時もあまり快く思っていなかった感じだった。今でこそマックイーンとも中が良いが最初は警戒してる様子だったし。
「彼女がダービーに勝つためには限界を超えて、ポテンシャルを全て引き出す必要があると思います。だからこそ、私の力を彼女に見せるんです」
そう言ってミノルさんはターフへと向かった。スカイとキングは彼女と走ることで、その先の可能性にたどり着き限界を越えられるのか。
たづなさんやほかのキャラの正体については公式設定じゃないので賛否両論あると思いますが、私はウマ耳があると信じてます。
日本ダービーを制するのは
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スカイ×キング×スペ
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スカイ×キング
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スカイ×スペ
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キング×スペ
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セイウンスカイ
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キングヘイロー
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スペシャルウィーク