今日はトレーニングがお休みということなので、セイちゃんは釣りに行こうと準備をして学園祭を出ようとしていたわけですが……
「スカイさんどこに行きますの?」
ちょうどマックイーンとばったりと会ってしまった。別に嫌だというわけじゃないけど、昨日の今日で少し気まずさを感じちゃうな。
「いや〜せっかくの天気でトレーニングもお休みだから釣りにでも行こうかと思ってね〜」
流石に釣竿を担いでお散歩とも言えないし……いや、わざわざ誤魔化す必要もないよね。
「釣りですか……スカイさんよく行っていますが、私はそういった経験はありませんわね……」
そう言うとなにか考えながら私の釣竿を眺めている。あんまり見るものでもないし珍しいのかな?
そう思ってたら、急になにか思いついた様に耳をピーンと立てた。
「そうですわ! せっかくのお休みですし、ご一緒してもいいでしょうか」
マックイーンは意気揚々と言ってるな……別に問題はないし、釣竿は2本持っていく予定だったからいいんだけど。
「それはいいんだけど、とりあえず制服から着替えよっか」
マックイーンは自分の格好を見ると焦って寮の方に走っていった。もしかして、制服のまま釣りするつもりだったのかな……いや、できなくはないけどさ〜
私が正門で待ってると、ジャージに着替えたマックイーンが息を切らしながら走ってきた。
「お待たせしました……ハアハア」
「そんなに急がなくても良かったのに。まぁ、ぼちぼちと行きますか〜」
私は地面に置いておいた荷物を手に取って歩き始めた。マックイーンは私の横を尻尾を揺らしながらトコトコと歩いて着いてくる。
「随分とご機嫌そうだけど、なにかいいことでもあったの?」
そういうと、マックイーンは少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「初めてやることには胸が踊るものですし……何よりもスカイさんと2人きりでお出かけすることも少ないですから。どうしたんですか? 急に早歩きなんてー!」
そんなのマックイーンのせいに決まってるじゃーん! なになに? そういうキャラだったっけ? そんな照れられるとこっちも照れちゃうじゃん! こんな顔見せられないって。
そんなこんなで予定時刻よりもかなり早くついてしまったわけで。
(どうしようかなー……とりあえずマックイーンに軽くやり方を教えようか)
道具とか仕掛けの用意は予め済んでるし。後は竿を伸ばして餌を付けるだけにしてある。
「マックイーンちゃんおいでー釣りのやり方教えてあげるから」
リールの使い方をある程度教えて、釣竿を伸ばし終わったところでマックイーンがソワソワしているのに気がついた。
「どうしたの? そんなにソワソワしちゃって」
すると、マックイーンは私の持ってきた餌の方へと視線を向けた。
「その……お恥ずかしながら虫があまり得意な訳ではなくて」
ははーん、釣りの餌はちょっと見た目がエグいのが多いからね〜それを見て心配になちゃったわけだ。
「安心していいよ。セイちゃんはその辺気が利くウマ娘なのです!」
私は途中で買っておいた物をバックから取り出す。最悪釣りのつまみにしようと思ってたけど、買っておいてよかった。
「これはイカですの?」
マックイーンは不思議そうに餌のイカを眺めている。今回は餌釣り用の道具しか持ってなかったし、ルアーとか投げ釣りは初心者には難しいだろうから。
「そうそう、コンビニで売ってたイカそうめん」
そう言いながらまずは針に餌の付け方を見せてあげる。最初は針でイカを突き刺して、もう一度刺し返して取れないようにするのがコツなんだよね〜。
「本当にこれで釣れるのでしょうか……」
糸を底まで置いて、少し巻き上げてからマックイーンに竿を渡す。マックイーンは疑惑の目で水面の方を見ている。
「それは待ってみればわかる事だよ」
私も釣り糸を垂らして地面に座った。今日は防波堤での釣りだから地面もあまりゴツゴツしてないし。
一段落すると沈黙が流れる。待つ時間っていうのは釣りの醍醐味だし、私もこの時間が好きなんだよね。でも、今日はなんだか少しむず痒いような感覚がある。
「マックイーンちゃ」
「マックイーンとは呼んでくださらないんですね」
いやああああ! 今一番振られたくない話題が来ちゃった……あの時は勢いというか? なんというか。
「いや〜なんのことか分からないな〜」
とりあえずシラを切ろう。とりあえず、それで乗り切れればよし。無理だとしたらその時に考えよう。
「ふーん……シラを切るんですか?」
やばいやばい……あれはなにか策がある顔だ。なにか手を打たないと一方的に話の手綱を握られる。
「マックイーンちゃんが私のことスカイって呼ばないのに、私がマックイーンちゃんを呼び捨てにするっておかしくないかな〜」
私はこれでこの話を流せると思っていた。しかし、マックイーンの方をみると肩透かしを受けたような顔をしていた。
「あなたをスカイ……と呼んでもいいんですの?」
私は今、どんな顔をしているんだろう。平然を保てているかな? そんなことを考えながらも自然と返事は出ていた。
「マックイーンが……呼びたいならそう呼んでもいいけど?」
私が返すと再び沈黙が流れた。海の方を見て、竿先を見て魚がかかるかどうかを見ている。
「マックイーン! 竿! 魚かかってる!」
マックイーンは慌てて竿を握る。だけど、どうしたらいいかわからなくなってパニックになってる。一応1連の動作は教えたけど難しいよね。
「マックイーン落ち着いて。1回竿を上にあげて、針を魚にかけてリールを巻くの」
私はマックイーンの背中から抱き込むように腕を支える。そのあとは、リールを巻くところまでいったところで私が離れる。
「釣れた! 連れましたわ!」
マックイーンは釣り上げた魚を目を煌めかせながら眺めている。針を抜くために地面に置いてピチピチ跳ねる魚にビクビクしている姿はとても可愛らしい。
「これはなんという魚なんです?」
「これはカサゴ幼魚だね〜」
釣り上げたのはカサゴの幼魚だった。こいつは色んなところがトゲトゲしてるから私が針を外す。
「こいつはリリースしちゃうけど大丈夫?」
大きいのだったら味噌汁にしたり色々食べるんだけど、さすがにここまで小さいのだと食べるのはなぁ……私はそう思ってたけどマックイーンは違うみたいだった。
「逃がしてしまうんですの……?」
うぅ……そんなピュアな目で私を見ないで。でも、こればっかりは私のポリシーというかなんというか。
「こいつはまだ小さいでしょ? これからもっと大きくなるんだよ。だから無闇に持って帰らないで大きくなってから、私でもいいしほかの誰かに釣り上げて欲しいからさ」
すると、マックイーンはカサゴをジーッと見た後にチャポンっと海へと返した。そして、海のそこに戻っていくのを見ていた。
「なんだか、釣りってレースみたいですね……そして、釣りをしている時のスカイは選手の様でトレーナーさんみたいですね」
釣りがレース……か。でも、確かにそうかもしれない。待つ時は待って、攻める時は攻める。そして、最後は釣り上げるんだよね……1着を。
「ありがとうマックイーン。答えに近づけた気がする」
今回は、さっきみたいに慌ただしくない状態で名前を呼ばれたのに驚いたのか俯きながら返事をしてくれた。
「えっと……スカイ……の為になったなら嬉しいですわ」
顔は隠してるけど耳が真っ赤っかですよマックイーンさん。
「あ〜マックイーン照れちゃった?」
「違いますわ! からかわないでくださいスカイさん!」
マックイーンはプンプンと怒りながら再び釣り糸を垂らす。私が呼び捨てで呼んで貰えるのはまだまだ先っぽいですね〜
こうして私たちは門限ギリギリまで釣りをして帰った。1人で色々考えようと思ってたけど、気分もスッキリしたし。これから先のビジョンも固まったから結果オーライな1日になった。
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