ドールズフロントライン ~魔術師殺しの夜~   作:弱音御前

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1日10時間のゲームぶっ続けで、流石に脳みそがやられ気味な今日この頃。皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

謎の古城でのお話も今回で折り返しというところ。
いつもの事ながらボリューム薄目な内容ですが、これが当方の実力ということでひとつ。
それでは、今週もどうぞお楽しみくださいな


魔術師殺しの夜 4話

「だから、悪かったって言ってるでしょ? 考え無しに連絡取ろうとしたのは迂闊だった、反省してる。・・・うん、そっちも気を付けてなさいね」

 

 キャリコとの長々とした通信を終えて一息つく。

 どうやら、ワルサーが連絡をとろうとした際のコール音が原因で、かなり怖い目に遭ったらしく、キャリコにしては珍しい嫌味の効いた説教をもらってしまった。

 しかし、ワルサーだって相手がそんな状況だとは思いもよらなかったのだし、知っていたら連絡を控えたのは間違いない。思いっきり反論しないで敢えて身を引いて話を呑んであげたのは、人間でいうところの大人の対応というものだ。

 理不尽な愚痴を聞いてあげた私、ちょっと偉い。という優越感でイライラを塗り潰してやるのである。

 

「キャリコ達は色々と情報を集められているようですね」

 

「うん。でも、あの2人の名前が分かった程度じゃあ、少しのアドバンテージにもならないわ。

私達の方は私達でなんとかしないとね」

 

 言って、再び室内の散策に取り掛かる。

 東ウィングの2階は半分が客室、残りの半分が調度品の保管室という間取りになっている。客室を4室分くっつけ、それぞれの部屋に赴きの違う調度品の数々が綺麗に整頓されているのだ。

 保管室というよりは、展示室といった方が適切なのかもしれない。

 破損してしまったステアーの銃の代わりを探すためにここに来たので、今は武器が置いてありそうな部屋に来てみた次第である。

 

「見てください、ワルサー。このライフルのような銃、精巧な細工が施されていてとても強そうですよ」

 

 部屋の隅っこに立てかけられていた白いマスケット銃を手に取り、ステアーが嬉しそうに声をかけてくる。

 

「そんな命中精度の低い銃でアイツとやりあえるわけないでしょ?」

 

 ライフリングも刻まれていない、いわば、火薬で金属の弾を弾き飛ばすだけの銃である。単発式で次弾の装填に時間がかかってしまうことも考えると、あの人形2人に対応できる武器には思えない。

 

「では、これなんてどうでしょうか? 6発シリンダーが2丁で計12発。ワルサーのファイアレートにだって負けませんわ」

 

 マスケット銃を大人しく仕舞うと、今度はその近くに飾ってあった2丁の古式リボルバーを手に取るステアー。銃を構えてビシッと決めるその姿はちょっとサマになっている。

 

「それ、シングルアクションだから私の方が射速高いし。そもそも、パーカッションリボルバー

って装弾めっちゃ手間かかるの知ってる? 12発で仕留められなかったら、アンタ死ぬわよ?」

 

「ぅ・・・そうなのですね」

 

 立て続けに撥ねられたのがさすがに堪えたのか、ステアーは、しゅんとした様子で銃を戻した。

 

「もう、さっきの事は割り切ったから! 私も悪かったし、ステアーも悪かった。これでお終い。ね?」

 

 ステアーの銃が損傷を受けた事に対し自責の念に駆られていたワルサーだったが、それを慰めようと努めて明るく振る舞ってくるステアーを見ていられず、つい強引な言葉がついて出てしまう。

 

「はい、それならば良いのですが・・・」

 

 どことなく寂しげなステアーの後姿を見て、少しだけ後悔。トゲの立つ言い方は控えようと心掛けているが、元来の性はなかなか治らないものである。

 

「・・・ねえ、さっきからアンタの様子が気になってたんだけどさ」

 

 しばらく、お互いの間に漂っていた沈黙に耐え切れなくなったのはワルサーが先だった。

 ステアーをしょんぼりさせてしまうような言い方をしてしまった事が背中を押したのは言うまでもない。

 

「なんか、話に聞いてた雰囲気と随分と違うっていうか。私、アンタと話したこと今までになかったからはっきりとは分からないけど。それでも、ちょっと違和感があるような気がする」

 

 あまり他人事には足を踏み入れないワルサーだが、今回はちょっと特別である。

 

 〝クールな死神キャラ〟という点になんとなく近しいものを感じていたワルサーは、今回の任務を期にステアーと友達になれるかな? と思っていたのだから。

 

「やっぱり、おかしいと思いますよね。私は物静かで暗いというイメージが定着しているみたいですものね」

 

 やはり意図してやっていた事なのだろう、ステアーは自嘲気味に言葉を返す。

 

「自分を変えたいと、そう思う出来事がありまして。以来、自分なりに頑張ってみているのですが、あまり上手くいかないのです」

 

「性格を変えたいって、指揮官と何かあったとか?」

 

 自分のメンタルを変革したいと思わせるような出来事となれば、指揮官絡み以外には思いつかない。ワルサーだって、指揮官の為ならそれなりの無茶は通すくらいの覚悟はあるが・・・それは、いま言うようなことではない。

 

「いえ、その・・・41が・・・」

 

「41って、アサルトのG41?」

 

 なにやら恥ずかしそうな表情でステアーが小さく頷く。

 思いもよらない名前が出てきたことで完全に肩透かしをくらってしまったワルサーは、なんと

言えば良いものか分からなくなってしまう。

 

「あの娘とお話できる機会があったので、仲良くなりたくて挨拶に行ったのです。そうしたら、私を見て少し怯えているような様子で。どうやら、私の噂を聞いていて、そのイメージをもっていたのでしょうね。それが思いのほかショックで、もっと明るく接しやすい私にならねば、と思い立ったのです」

 

「あ~・・・そういうことね。確かにその気持ちは、うん、分からないでもない」

 

 G41といえば、見た目の可愛さもさることながら、アサルトの戦術人形の中でもトップエースと呼ばれるほどの実力者である。今や、基地内でのマスコット的存在となっている彼女に怖がられるのは、さぞショックだっただろう、とワルサーはステアーの気持を秒で理解した。

 

「分かっていただけますか? あの娘、とても愛らしくて。特に喜んでいる時にお耳がパタパタと仰ぐところなんか、ずっとずっと見ていられるくらいですわ!」

 

 その様をリアルに妄想できているのだろう、両手で顔を覆って落ち着きのない様子のステアーを見て、ワルサーはようやく一つの結論を導き出した。

 

(この娘、きっと元来がこういう性格なのね。変えたいっていうか、元の性格を現したいっていうところかしら)

 

 よもや、シリアスな話だったらどうしようかと内心でヒヤヒヤしていたワルサーだったが、

思いのほか思いのほかな中身だったことに一安心。

 

「でもさ、アンタの静かで大人しい雰囲気が接しやすいっていう娘もいるんだろうし。無理に変わろうとすることもないんじゃない?」

 

 安心してしまったことが災いし、つい、本心がポロリと口から零れ落ちてしまう。

 

「・・・ワルサーは、普段の私の方が接しやすいのですか?」

 

 ステアーとて、伊達でアサルトのエースと呼ばれているわけではない。戦闘でもない、どうでもいい状況だというのにそれはもう的確にワルサーの失態を拾い上げてくる。

 

「は!? そ、そそそんなこと言ってないでしょ!? なんでそういう考えになるのよ! 訳わかんない!」

 

「そうなのですか? ふぅ~~ん? へぇ~~~?」

 

 したり顔でにじり寄ってくるステアーから思いっきり顔を背ける。焦って顔が真っ赤なのは分かり切っているので、もう、これを見られたら言い訳の使用も無い完全敗北である。

 

「もう! こっち来んな! 頭に風穴開けるわよ!」

 

「は~い。先輩の仰せの通りに~」

 

 装弾済みの銃口を頭に向けられているというのに、ステアーは可憐な笑顔のまま踊るような足取りで引き返していく。

 

「ったく・・・すぐ調子に乗るんだから」

 

 愚痴るが、もう、ステアーとのそんなやりとりに微かな心地良さを感じている事にワルサーは

気付いている。

 人形達にも、指揮官に対しても、今はまだ素直に接することが出来ずにいるワルサーが、この

難題をクリアするのは、そう遠くないもう少し先の別の話である。

 

「ワルサー。ちょっとこちらの部屋に来てください~」

 

 いつの間にか隣の保管庫に移動していたステアーからお呼びがかかる。

 声のトーンからすると、なにかしら良い事がありそうな感じだ。

 しかし、単にワルサーの事をからかっているだけという可能性も大いにあるので油断は禁物

である。

 

「今度こそ良いのがあったんでしょうね? おふざけだったら、ぶっ飛ばすわよ」

 

「そんな怖い事を言わないでください。見ていただければ、私が本気という事がお判りいただけますわ」

 

 ステアーの自信ありげな言葉などこれっぽっちも信用せず、自分の眼で部屋の中を確かめる。

 全く装丁の異なった品々が収められているそこは、異空間に足を踏み入れてしまったかのような錯覚すら感じる。

 おそらく、調度品の出所で部屋を分けているのだろう。先ほどの部屋は西洋。この部屋は東洋のモノだと推測ができる。

 

「・・・私、言ったわよね? 次にふざけたらぶっ飛ばすって」

 

 銃というのはおおよそ西洋で生まれる武器である。中には東洋で生まれるものも存在はするが、少なくとも、この部屋をざっと見た限りでは銃と呼べるような物はどこにも見当たらない。

 

「ふ、ふざけてなどいませんわ! ほら、これを見てください。あの2人と戦うのに足る立派な

武器です」

 

 凄みを効かせての言葉だったが、ステアーはそれでもまだ自分の主張を曲げる事はしない。

 一体、何のことを言っているのか? と、溜め息交じりに彼女のもとへと歩み寄る。

 ステアーが立つ正面の壁には、棒のようなものがズラリと立てかけてあった。長さは様々だが、1メートルが平均といったところか。緩く弧を描き、絢爛豪華な彫刻に装飾が施されているものまである。

 東洋における剣、〝刀〟だ。

 

「確かに、武器だけど。アンタ、こんなの扱えるの?」

 

「はい、扱えますわ」

 

「そんな自信満々に答える理由が私には全くわからない」

 

「以前、指揮官様から通達がありましたでしょう? 銃器以外の戦闘技術も少しづつで良いので

覚えていくように、と」

 

「ああ、そういえばそんな事言ってた気もするわね」

 

 銃を扱う人形達は戦闘時の弾薬確保に関しては常に細心の注意を払っている。

 しかし、めまぐるしく状況が変化する戦場においては、それでも弾薬切れに陥ってしまうという状況も珍しくはない。

 万が一、弾薬が切れてしまい、更に悪い事に増援も見込めないという場合、自力で戦闘を切り抜ける為の戦闘技術習得を指揮官が以前から推進していたのである。

 

「ワルサーは何も習得していないのですか?」

 

「ん~、あんまり興味ないんだけど。まぁ、何とかできるようにはしてるつもり」

 

 巷では、戦術人形の奥の手〝グリフィンCQC〟なるものの存在がまことしやかに囁かれているが、ワルサーはそんな訳の分からない格闘術に頼るつもりもない。

 ワルサーの美徳に沿った近接戦闘技術をこっそりと身に着けて、でも、きっと使う機会なんて

訪れないんだろうな~、と楽観していたくらいである。

 

「にしたって、ナイフとかだったまだしも、なんで剣術を選んだのよ?」

 

「私も短剣を用いた格闘術が妥当かと思っていたのですが、ちょうど居合わせた先生からお誘いを受けまして」

 

「先生?」

 

 当然、刀を持って戦う人形などグリフィンにはいない。鉄血エリートならば剣を持つ者もいるが、先生になってくれるわけもないだろう。

 どうせ、アホのRFBがゲームの真似ごとでもしてステアーを巻き込んだのだろうな、というのがワルサーの予想である。

 

「ブルパップ仲間のRFBにご享受いただいたのです」

 

「うん、そんなこったろうと思ったわ。本当に平気なの? いざ戦闘開始って時になってやっぱ

ダメでした~、じゃあ済まないんだからね?」

 

「武士に二言はありませんわ」

 

 その言い方からしてもう胡散臭いんだよな、とはもうツッコまないワルサーである。

 とはいえ、このまま尻尾を巻いて撤退という気はさらさら無い。受けた被害に対して割増しで

お返してやる、というのがワルサーの信条なのである。

 

「というわけですので、この娘達の中からいずれかを選ばなければいけませんわ」

 

「どれでもいいんじゃないの? 見た感じ、長さも形も大して変わらないように思えるけど」

 

「そのようなことはありませんわ。ほら、ここに結んでいるタグに銘が書いてありますでしょう? 名のある刀ほど、攻撃力や耐久値が高いものなのです」

 

 もう、早速RFBの影響が出ているのか、言い方がゲーム寄りになっているのも少し不安なところである。

 

「これ、漢字で書かれてるのね。私、得意じゃないのよ、この文字」

 

「95式さんに少し教わったのですが、正直、私も得意ではありません」

 

 2人で顔を寄せ、まずは壁に掛けてある4本のうちの一番上の刀の名前から目を通していく。

 

「・・・〝三日月〟までは読めるけど、その下が分からない」

 

「〝宗〟・・・〝近〟でしょうか?」

 

「で、名のある刀ってやつなの?」

 

「聞いたことはありませんし、ピンとくるような銘ではありませんね」

 

「あっそ。じゃあ次」

 

 続いて、下の段に掛けてある刀のタグを手に取り、2人して目を細める。

 

「ダメだ。〝子〟と〝切〟しか読めないわ。これだから漢字ってやつは」

 

「〝童子〟ですね。確か、子供を意味する漢字ですわ。続いて〝切〟〝安〟・・・最後の漢字は私もお手上げです」

 

「なに? 子供を切る刀っていう意味? ロクでもない名前ね。こんな刀は論外よ」

 

「ふふ、やはりワルサーはお優しいのですね」

 

 またも、口から不意に零れてしまったセリフをステアーに拾われてしまう。下手に言い返したらカウンターを受けるのは目に見えているので、何も言わずに、ぷいっと顔を背ける事で返答としておいた。

 

「これも聞いたことはない銘の刀ですわね」

 

「っていうか、銘のある刀って、例えばどういう銘なわけ?」

 

「そうですわね・・・〝フツノミタマ〟とか〝アマノオハバリ〟が有名でしょうか。まぁ、RFBから聞いただけなので、私も見たことはないのですけど」

 

「ふ~ん。それが見つからなかったら、この中にあるやつで我慢なさいね」

 

 そうして、東洋に名だたる名刀、天下五剣のうちの二振を華麗にスルーした2人は更にその下の刀へと目を移す。

 

「これは私でも読めるわ。〝秋雨〟ね」

 

「この娘に致しましょう!」

 

 ワルサーが名前を読み上げるが早いか、ステアーは刀を手に取り、自分の身体でしっかりと抱き寄せてしまう。

 

「即決したわね。そんなに有名な刀・・・否、違うわね。絶対にそうじゃない」

 

 宝物でも見つけたかのように、今にも頬ずりせんばかりのステアーを見てワルサーは気が付く。〝雨〟というステアーにとって特別なフレーズがその刀の銘に入っている事に。

 

「アンタ、雨っていう言葉が入ってればなんでもお気に入りなのね」

 

「ええ。雨という名が付くモノに悪いモノはありませんわ」

 

 一縷の隙も見せずにそう言い切られてしまっては、ワルサーに口を挟む余地は無い。もう、本人の好きにさせるしかないのである。

 ステアーが左腰元のベルトに刀を鞘ごと差し込む。黒い上着の裾から覗く、藍色の鞘は、壁にかかっていた時よりも彩りを増しているかのように映る。

 

「なかなかサマになってるじゃない」

 

「RFBから皆伝は頂きましたので。あの黒い剣士は私にお任せください」

 

「もう1人の方、アイリっていうのを引き離せれば尚のこと良いのだけれどね。まぁ、そこは私がなんとかするしかないか」

 

「そこは心配には及ばないと思いますわ」

 

「? なんでよ?」

 

「剣を携えた私が出れば、向こうは1対1を望んでくるはず。剣士とはそういうものですから」

 

 またも自信ありげにステアーは言い切る。実際に刀を手にしているからだろう、そんな信憑性の欠片も無いステアーの言い分がやけに正論に思えてしまう。

 

「・・・分かった、アンタに任せるわ。ただ、上手くいかなかった時の覚悟だけはしておきなさいね」

 

「心配ありませんわ。だって、その時はワルサーが何とかしてくれるって信じてますから」

 

「どの口が言ってるのよ、まったく」

 

 武器を調達できたところで2人はその場でしばしブレイクタイム。ステアーのよく分からない

面白話だったり、たまにワルサーから話を振ったりで気持ちを落ち着け、リベンジに向けての

コンディションを整えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 言ってやりたかったことのおおよそを吐き捨て、ワルサーとの通信を終える。

 少しだけスッキリとした表情のキャリコにコンテンダーが歩み寄ってきた。

 

「ワルサー達だけでも撤退させた方が良かったのでは?」

 

「私もそう思ったんだけど、あの様子じゃ無理。手も足も出ずにやられっぱなしだったみたいだから。リベンジする気満々だったもの」

 

「ふむ・・・確かに、ワルサーだったらそうでしょうね。ステアーも、ああ見えてアサルトの

エースですから。ワルサーに同調するに違いないです」

 

 コンテンダーがすんなりと納得してくれたところで、2人並んでデスクに腰を降ろす。

 謎の敵、スライム(仮)から逃げおおせたキャリコ達は2階のPCルームへと戻ってきていた。もしかしたら、あの敵に関しての情報があるのではないか? と期待してのものだったが、室内のPCは依然としてシャットダウン中。資料がどこかに置いてあればと、ありとあらゆる場所を

ひっくり返してみるも無念の空振り。

 お互いに捜索が行き詰ってしまい、自然と腰を降ろしたのだった。

 

「今、手元にある情報だけで戦うしかないかな?」

 

「大した情報もないですが、そうせざるを得ませんね。一旦、整理してみましょうか」

 

 材質や構造は不明。形状は流体で、そのせいで弾丸は全く意味を成さない。索敵は音と温度を感知することで行っており、映像による情報収集はできていない可能性が高い。これは、厨房で

キャリコが調理器具をひっかけてしまった事と、コンテンダーが火をいれたコンロに強く反応していたことから推測できる。

 2階からずっとキャリコの事を狙っていたのは、発砲によって加熱した銃身に反応したのだろう、と考えれば合点のいく話である。

 

「おおよその概要は把握した。んで、一番の問題はアレを壊せるのかどうかだね」

 

「相手も物体である以上、破壊できないという事はあり得ません。鉄を溶かす炉にでも放り込んでしまえば確実ですしね」

 

 コンテンダーはそう言うが、放り込んだ溶鉱炉から飛び出し、真っ赤に染まったまま襲い掛かってくるスライムの姿を想像して、背筋が震えてしまうキャリコである。

 

「まぁ、無いものねだりをしても仕方ありませんからね。アレを倒せる方法として現実的なのは、制御コアを破壊する事でしょう」

 

「なるほどね。あの液状の体を纏めているコアがあるって事か」

 

「そうです。ただ、この策にも問題がありまして」

 

「もう問題発生には慣れたから気にしないで」

 

 キャリコが冗談めかして言うと、コンテンダーは小さく笑いを零してから話を続ける。

 

「あの液体を制御しているコアが1個や2個だとするなら、それを上手く撃ち抜いて破壊すれば

済むでしょう。問題なのは、あの流体にナノマシンが混ぜてあって、それらが個別に制御していた場合です」

 

 あの体に極小のコアが無数に存在しているとしたら、それはもう銃器で破壊しきれるようなものではない。それこそ、さっき言っていたような炉に放り込むくらいしか方法はないだろう。

 その事を理解してキャリコは眉を顰める。

 

「でも、それは確認しようもないよ。仮に、デカいコアがあの中に入ってたって私達じゃあ壊せない。あの外膜で弾は防がれちゃうんだもの」

 

「それに関しては私に算段がありますので。あとは、あなたの頑張り次第でしょうかね」

 

 そう、意味深な笑顔で言われてはイヤな予感が拭い去れないが、でも、頭脳派人形コンテンダーの言う事なので、もう信用せざるを得ないキャリコなのである。

 

 




インターミッションな内容となった今話でしたね。
戦術人形に刀を持たせるのはどうか? と悩みましたが・・・その時のマイブームだったので
やっちまいました。果たして、ステアーは本当に刀を扱えるのかどうかというのは、次回のお楽しみという事で。

例のごとく来週も更新予定なので、ぜひとも足を運んでやってくださいな。
それではまたお会いしましょう。弱音御前でした~
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