フェイト・ねむねむオーダー 作:ねむこ
ねむねむマスターに呼び名がないと不便なので暫定「めーさん」です。姓は「ブーゲンビリア」でよろしくお願いします。
レイシフトから帰還した翌日。
「絶 望」
「まあまあ…私も寝ちゃいましたし…」
エレシュキガルに仮眠…って伝えたのに普通に爆睡した。目覚めたら日付が変わっていた。藤丸立香の心境は前述の通りだ。
壁掛け時計を見て絶望しつつも風呂に入り、ドクター・ロマニに全身メディカルチェックを受けたりその他いろいろ用事を済ませて、やっとこさ解放される。マシュがあとちょっとと聞いたので、先に食堂へ向かい、エミヤに頼んでめーさんの好きな紅茶を淹れてもらう。3人分を水筒に詰めてもらっている間にマシュも解放されたので、合流してカルデアの奥へと向かう。
目的地は、カルデア医務室付きの職員――――めーさんの眠る部屋。
「ただいまー!」
「ただいま戻りました」
返事はない。彼女のサーヴァントも部屋を離れているようだ。
めーさんの様子を見るべく顔をのぞき込めば、レイシフト前よりもちょっぴり顔色がいいように見える。もしかして、とマシュを見れば、起きる日が近いかも、とマシュも頷いてくれた。
紅茶を準備する。彼女の好きなアールグレイ。爽やかな香りが室内に広がる。
「今回もめーさんが作ってくれた治癒魔術のスクロール、よく効いたよ。人もサーヴァントも問わず、だめかもしれないって思った傷が跡形もなく消えるのは凄いことだよね」
ありがとう、と2人でお礼を言う。
『めーさん印の治癒魔術スクロール』は当カルデアで用いられるレアリティ高めの医薬品だ。生産は彼女にしかできないが、効果は一般的なスクロールより段違いに良い。しかもサーヴァントにも効く。すごい。
まだ医師免許を持っていないめーさんが医療従事者としてカルデアに誘拐されてきたのは、適性が治癒魔術特化型すぎた故に産み出したスクロールが規格外品だったことを理由としているそうだ。性能についてはダ・ヴィンチちゃんがいつだって『めーさん印』を褒める程度に凄い。
『成人済みとはいえまだ学生なのにオルガマリー所長が無理矢理連れてきちゃったんだよ…』
彼女の上司であるロマニはそう言っていた。めーさんには申し訳ないが、あの日のカルデアにいてくれて本当に良かったと思う。
「ごめんなさい、遅くなったのだわ!」
エレシュキガルが入ってくる。彼女の手にはチョコチップクッキー。見た目が可愛らしいが…どこかで見た。ロマニが写真を見せてくれたような。
「もしかしてそれ、『めーさん印』?」
「ふふ、そうなのだわ。彼女に作り方を教えてもらってから、練習したの!」
まだ本人に食べてもらったことはないのだけれど、と頬を染めるエレシュキガルが可愛い。
「きっとすぐに食べてもらえますよ」
「マシュの言う通り。でも、本日1番は藤丸立香でお願いしまーす」
エレシュキガルの悲鳴とマシュの非難をよそに、チョコチップクッキーを1枚頬張る。
それは甘くて、優しい、彼女を彷彿とさせる味だった。