「神たちは基本ろくでなし」
「クックックックッ……。」
「いつまで笑ってるんですか?」
「いやすまないな、あの色ボケが地面に埋まってるのを想像するとどうしてもな。」
食堂で動物組、小鬼組と別れた月見と鬼灯はギリシャ組を連れて閻魔庁内を歩いている。
「ついでに土踏みまくって固めておきました。」
「そういえばうさぎは威嚇で足踏みするんでしたね。」
「だからしばらくあのシスコン糞兄貴見なかったのね~。」
アルテミスがいい笑顔を見せる。アポロンが惨めなことになっているのが余程嬉しいようだ。
「ところで、今どこに向かってるんだ?」
「アスクレピオスさんの希望したものを見に行くんですよ。」
「おお、あのとち狂ったとしか思えない動植物か。」
アスクレピオスは楽しみで仕方がない様子で歩いている。彼の性格からして植物観賞などしないことを知っているオリオンが疑問を口にする。
「アスクレピオスが興味を持つ植物何てだいたい薬草ぐらいだろ?」
「………あれを見て同じ事が言えるかどうか楽しみだ。」
アスクレピオスは先程とはまた違った笑みを見せる。どうやら愉悦が混じっているようだ。
「ねぇ月見ちゃん?今から見に行くのって結局なに?」
「金魚草ですよ。」
おぎゃあ!おぎゃあ!!おぎゃあ!!!
「ふむ、写真や資料で想像したものより大きいな。」
「いや金魚草つってもさすがにこれは予想出来るはずねぇだろ………。」
「わ~。なにこれ~、変なの~。」
目の前に広がる金魚草達。それを初めて見るギリシャ組だったが、引いてるのはオリオンだけでアスクレピオスは事前に知らされていたため特に驚く事もなく、アルテミスに関しては変なので済ませていた。
「あぁ、現世の金魚草を想像してましたか?」
「いや普通こんなの予想できるわけねーだろ。ギリシャにも中々いないぞあんな珍妙なの。」
「これでも愛好家はたくさんいるんですよ。」
「…………こんなのに?」
オリオンは鬼灯から日本地獄で人気の趣味を聞かされてげんなりしている。鬼灯は金魚草に水を与えている真っ最中だ。
「金魚草コンテストもやってますよ。」
「……日本って時々
「ちなみにこの金魚草の発見者は私です。」
「お前が元凶かよ。」
鬼灯とオリオンがそんな会話をしているとアスクレピオスが話しかけてくる。
「おい。」
「おや、どうされましたか?」
「あそこで叔母さんと一緒に飛んでるガキはなんだ。」
そう言われた鬼灯が顔を向けると、アルテミスと共に大きな弓に腰掛け、空を飛んでいる座敷童子がいた。
「あぁ座敷童子さんですよ。福を呼び込む日本の妖怪です。」
「あら~この子達そんな名前だったのね~。」
「座敷童子の一子」「同じく二子」「ふわふわしてるのとても楽しい」「もっと高くもっと高く」
「そう?じゃあ遠慮なくいっくわよ~!」
わあーーーーーという座敷童子達の棒読みの歓声と共にアルテミスの弓が高速で飛んで行った。
「あんな武具ありましたっけ。」
「あれはアルテミス自身の能力で飛んでるだけだぞ。」
「やはり神というのは規格外ですね。」
飛んで行ったアルテミス達を眺めていた鬼灯達だったが、そこにいつの間にか居なくなっていた月見が近づいてくる。彼の腕には大量の資料が抱えられていた。
「?アルテミス様は何処へ?」
「座敷童子さん達と遊んでもらってます。」
なるほど、と耳をピコピコ揺らしなが返事をする月見だった。
そんなことはさておき、月見がアスクレピオスに資料を差し出す。
「アスクレピオス様から頼まれてた金魚草の成分表と特殊な化学反応を纏めたものです。」
「ふむ………確かに貰ったぞ。中々研究し甲斐がありそうだ。」
「あと例の蘇生薬を僕なりに改造したものも纏めときました。」
「ほう?」
「………え?まだやってたのお前?」
オリオンが呆然と呟いたが資料を渡されたアスクレピオスは気にする事なく目を通す。
「…なるほど死んでから使うのではなく先に使って死ににくくしてるのか、アリだな。」
「まだ理論上の話ですよ。金魚草エキスも使いました。」
「いや発想は中々良いものだ。僕の目指すものとは少々違う物だが試して見る価値はある。」
「いやいやいやいやいや!?お前、自分の死んだ理由忘れたのか!?」
「そんな物より医学の発展だ!」
月見とアスクレピオスの会話がかなりヤバイ方向に舵を切り始めた所でオリオンからのストップが入る。が、アスクレピオスは聞く耳を持たない。
「アスクレピオスさん。」
「ん?なんだ鬼神、僕はやめんぞ。」
「いえ、金魚草の株をお渡ししようかと「感謝する。」栽培方法は月見さんの資料に載ってますよ。」
「いや止めてくんねぇの!?」
オリオンが喚く中、アスクレピオスは鬼灯から金魚草を受け取ろうとするが、その瞬間鬼灯が反対の手でアスクレピオスの腕を思い切り握る。
「……何のつもりだ。」
「いえ、一つ忠告を。」
アスクレピオスの腕を握る力を更に強める鬼灯。
「研究を続けるのは別に止めません。しかし完成した場合は使う事を控えていただきたい。」
「何故だ?使わなければ意味が無いだろう。」
「現代に適合してないからですよ。」
「…………。」
アスクレピオスは無言で続きを促す。
「貴方が人だった時代では神という規格外の存在が身近にいたため、貴方の技術には驚きはあれど人間には受け入れられていたのです。」
「…………。」
「しかし今現在、死者蘇生は空想のものでありそれが当たり前となっています。そんな中である日突然完全に死んだのに生き返った人間が出たらどうなるか。」
「………恐怖の対象である異端者の排除か。」
「その通りです。人間は他の生物と比べてその傾向が強い。そうなったら死者蘇生が救いではなくなってしまいます。」
「…………。」
「あとハデス様も言っていた通り私達地獄側も混乱するので。」
しばらくにらみ合っていた二人だったが根負けしたのかアスクレピオスがチッと舌打ちをしてから話し出す。
「………わかった僕が引いてやる。」
「お分かりいただけたようで何よりです。まぁ作る分にはかまいませんから。」
「こうなればやけだ、完成までは消されても生きてやる。」
少し離れて見ていたオリオンがほっと胸を撫で下ろす。
「僕を止める何かしらの対価はあるんだろうな?」
「薬の試験で日本地獄の亡者使ってもいいですよ。あと金魚草です。」
「………月見に頼むか。」
「ダーリンただいま~。」
「速かった」「面白かった」
「やっと戻って来たか、さっさと帰るぞアルテミス叔母さん。」
「だから叔母さんって呼ばないで!」
(ホントこいつのメンタルどうなってんだ。)
弓に乗ったアルテミス達が戻って来たところで鬼灯が話しかける。
「アルテミス様、オリオンさん、ぜひこちらを。」
「これは?」
「地獄土産の詰め合わせです。」
わーい、とアルテミスが土産を受け取る横で月見とアスクレピオスが会話していた。
「……というわけで時々お前に実験を頼むことになる。」
「かまいませんよ。元から協力する気満々でしたから。」
「すまないな。」
「所でずっと気になってたんですが眷属のあの蛇の子は?」
「あぁあいつか。
空港であいつを連れていける設備がなかったから置いてきた。」
「あらら。」
「そういえば月見さん。」
「なんでしょうか鬼灯様。」
「白澤さんの所に連れて行かなかったんですか?色ボケですが一応あいつも薬剤師ですよ。」
「あぁアスクレピオス様の希望ですよ。」
「ほう?」
「「色ボケな所が
「なら仕方ないですね。」
FGOではカルデアで蘇生薬作ろうとしてたのでこれぐらいしそうかなと思い、少し執着させました。
次回予告
「単なる努力ですよ。」