閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「蘇生薬使用禁止」


年末日記一頁目

貴方はとても優しい子だった。

 

 

いつも誰かを助けようと動くのは貴方だった。

 

 

その優しさがとても心地よかった。

 

 

貴方と生きるのがとても楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど貴方は死んでしまった。

 

 

その優しさが貴方自身を蝕んでいた。

 

 

「自分にも何かできることはないか」そう考えた結果なのだろう。

 

 

私達が止める事もできず貴方は焼け死んだ。

 

 

貴方の行いが神に認められたのは喜ばしいことなのだろう。

 

 

でも貴方を返してはくれなかった。

 

 

 

私は何も考えられなくなったし、友人は呆然と何処かへ去って行った。

 

 

とてもとても寂しかった。

 

 

しかし死ぬこともできず生きていたある日、あの神様が私に告げた。

 

 

「彼は月の神獣としてあの世で努力し続けている。」

 

 

だから私はまた貴方と共に歩けるように努力した。

 

 

だから今度は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を置いて行かないで。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、やはり忘年会は飲酒で体調を崩す方が一定数いますね。」

「お疲れ様です、月見さん。」

 

泥酔して倒れたり何かにぶつかって怪我をした人達を医務室に運び、眠らせ終わった月見に鬼灯が話しかける。

 

「後でまとめて指導するので泥酔したやつらのリストください。」

「新年会でも出てくると思うのでその後渡しますね。」

 

どうやら反省文100枚のペナルティを課されるようだ。

 

「ちょっと鬼灯くん月見くんちゃんと飲んでる?せっかくの忘年会なんだからもっと楽しもうよ。」

「いえ……僕が持ち場を離れたら医務室の仕事が溜まるので………。」

「閻魔大王、あなたも医務室送りにして差し上げましょうか?」

 

その鬼灯の言葉にビクッとなってそそくさと逃げて行く閻魔大王だった。するとそこに今度は茄子と唐瓜が近づいてくる。

 

「鬼灯様~月見さ~ん、何やってるの?」

「おや茄子くん、それに唐瓜くんも。」

「いや~どうも。」

「お二人共適度に楽しんでますか。」

 

はい、と返事をする二人だったがふと茄子が気になっていたことを尋ねる。

 

「そういえば月見さんって飲まないんですか?」

「まだ仕事が終わってませんし僕あんまり飲めなくて…。」

「仕事?」

「泥酔した人の介抱ですよ。」

 

月見の言葉に納得する二人。

 

「皆さんが落ち着いたらゆっくり楽しみますよ。」

「月見、医務室の患者は全員眠らせたよ。」

 

会話していた月見の元に一人の女性が近づいてくる。月見より10cmぐらい背の高い美人だ。しかし、頭に生えた動物の耳と背中側にあるもふもふの尻尾が明らかに人間や鬼ではないことを示している。

 

 

「あぁありがとね美穂(みほ)。」

「いいんだよこれくらい、これで仕事もほとんど終わったから他のみんなも飲みに行かせたよ。」

「そう?なら良かった。僕達も参加しようか。」

 

いきなり砕けた口調で話し始めた月見に驚く小鬼組。鬼灯は知っているため気にせず自分用の酒を取りに行った。

 

「所でこの子たちは?」

「あぁここ数年で入ってきた新人くんだよ。」

「あっ!はい!初めまして唐瓜です!」

「茄子っていいます!」

「初めまして。医務室で月見の補佐をしてる美穂と申します。よろしくお願いしますね。」

 

そう言って笑顔を見せる美穂。色々と情報処理が追い付かない唐瓜と茄子だったが、そこに大量の料理と酒を持って帰ってきた鬼灯が現れる。

 

「そういえばお二人共美穂さんにお会いしたことなかったですね。」

「いやぁ医務室に行くことがほとんどないもので……。」

「気になさらないでください。健康であることが一番ですから。」

「医務室の常連になられるより何倍もましです。」

 

頭を掻きながら恥ずかしそうに答える唐瓜だったがそこに美穂と月見からのフォローが入る。しかし茄子は別のことが気になるようだ。

 

「そういえば月見さんと美穂さんってとても親しげだけどなんでなの?」

「あぁ、彼ら幼なじみなんですよ。」

「へぇ~……ええ!?」

 

茄子の疑問に対する鬼灯の答えに驚く唐瓜だったが鬼灯は気にせず続ける。

 

「月見さんの伝承についてはこの間話しましたよね?」

「たしか「月のうさぎ」でしたよね。」

「それに出てくるうさぎの友達の狐が美穂さんです。」

 

あっさりと告げられた事実に固まる唐瓜。しかし茄子はさらに質問する。

 

「でも…月見さんは月に昇って普通のうさぎから神獣になったんだよね?美穂さんはどうやってここに来たの?」

「単なる努力ですよ。」

 

鬼灯の言葉に更に頭に?が重なる小鬼二人だったが、鬼灯は月見と並び立っている美穂の方を示す。

 

「彼女、自力で神狐に至ったんですよ。つまりは月見さんと同じ神獣のうちの一柱です。」

「千年かかりましたが意地でなんとかしました。」

「いや、超がつく大物じゃないですか!?」

 

あっけらかんと笑顔で答える美穂に対し、叫ばずにはいられなかった唐瓜だった。

 

「あと月見さん、まだあの事彼らに伝えてないでしょう?」

「あぁそうでしたね。では改めて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の妻の美穂です。」

「いやあんた結婚してたの!?」




美穂さんのイメージもそのうち描きます。


次回予告
「ザ・お母さん」
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