閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「既婚者な月見さん」


年末日記二頁目

「そこまで意外でしたか?」

「いやなんというか、こう、いまいちイメージができなくて…。」

「月見さんなんか地獄でも非現実的な雰囲気だもんな。」

 

月見の問いに唐瓜が曖昧に返し、茄子も似たような感想を述べる。ちなみに月見は後ろから美穂に抱きつかれて耳の間に頭を置かれてる。美穂の顔も緩んでおります。

 

「……人前でやるもんじゃないよ。」

「もう仕事ないんだしいいでしょ?うりうり」

「や~め~ろ~。」

「公衆の面前でいちゃつかないでもらえます?」

 

両手で月見の頭をわしゃわしゃかき混ぜる美穂に対し鬼灯からつっこみが入る。忘れてるかもしれないが今月見達がいるのは宴会場となった閻魔庁のエントランスである。

 

「すいません、隙あらば抱きつこうとしてくるので……。」

「どんな癖ですか………。」

「月見さんも明確に拒まないあたり満更でもないんだな。」

 

されるがままの月見にげんなりする唐瓜とケラケラと笑う茄子。そんな茶番劇じみた光景に近づく人物がいた。

 

「あら~月見ちゃんと美穂ちゃんと鬼灯様じゃな~い。あら?初めましての子達もいるわね。」

「おや樒さん。」

「樒様、ご無沙汰しております。」

「あっ!この間はありがとうございました!」

 

とても自然に樒が混ざって来たことで美穂がいつの間にか纏っていたピンク色のオーラが何処かに行った。

 

「えーと……鬼灯様この方ってたしか……。」

「あぁ唐瓜さんは十王の会食の手伝いをした事がありましたね。第四裁判所五官庁の第一補佐官の樒さんです。」

「二人共よろしくねぇ。」

「「はい!」」

 

樒のおかげで雰囲気が和やかな物になって来た。

 

「そういえばどういった用事で閻魔庁まで?」

「あ、そうだった。年越しに食べるうどんを作りすぎちゃってね、おすそ分けにきたの。50人分はあるわ。」

「手作りですか流石ですね。」

「樒先生今度作り方教えてもらえませんか?」

「先生?」

 

美穂の発言に唐瓜が疑問を持つ。

 

「樒さんは料理が大の得意でしてね、五官庁の食堂のメニューは全部彼女の考案です。」

「「すげっ!?」」

「得意料理は唐揚げとハンバーグよ。」

「その上口癖が

「大丈夫?ちゃんと美味しいもの食べてあったかい布団で寝てる?」

ですから。」

「本当に先生「ザ・お母さん」って感じですよね。」

 

鬼灯が美穂の方に向き直る。

 

「そういえばあなた樒さんの料理講座受けてましたね。」

「彼女私の弟子一号なのよ~。」

「いやぁ……アハハ。」

 

美穂が恥ずかしそうに頬を掻いている。尻尾が揺れているあたり、嫌というわけではなさそうだ。

 

「お恥ずかしながら私神狐になるまでまともな料理をしたことがなくて……最初はかなりやばかったんです。」

「二分の一ぐらいで炭になってたもんねぇ。」

「へぇ~そうなんだね。月見さんも知ってたんですか?」

 

そう言って茄子がいまだに抱きつかれている月見に話題をふるが、当の本人からは何も反応がない。しかも耳の炎が消えかけている。周りも不審に思い始めたようで、頭に疑問符を浮かべている。

 

あっもしかしてお~い、月見起きて~。」

「……………………ふぁ!?」

「そういえばあなたうさぎだったわね。」

 

後ろから美穂に揺すられた月見がいきなり変な声を出して耳をピンと立てる。ちょうど美穂の顔に当たったようで不意打ちもふもふを楽しんでいる。

 

「うさぎは外敵から身を守るために目を開けて寝ます。」

「へぇ~初めて知った。」

「今も残ってるんですか?」

「人間の姿でやっちゃいけないやつ以外は時々………。食糞とか見た目的にアウトなんで。」

「「あぁ……。」」

 

なんか気まずい気持ちになった月見が鬼灯に話をふる。

 

「そういえば鬼灯様、昨日蕎麦が大量に送られて来ませんでしたっけ。」

「篁さんが秦広王が作りすぎたからと押し付けられましたね。」

 

そう言って鬼灯は懐から一枚の写真を取り出して見せてくる。そこには、箱に詰められた生麺の蕎麦が撮られている。見る限り、10箱以上はありそうだ。

 

「めっちゃ張り切ってるじゃないですか。」

「食堂の方々はわざわざ準備しなくていいから助かると言ってたんで問題ないかと。」

「私もさっさと届けちゃうわね~。」

 

樒は自分の持って来た荷物を持ち上げ、食堂の方へ歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「年越しの品、蕎麦かうどんか選べそうですね。」

「トッピング何にしましょう。」

 

割と食い意地が張っている鬼灯と月見が話し合っている。しかし、美穂は月見の体を尻尾で持ち上げるとそのまま座る。月見は尻尾の上に乗せられたまま問いかける。

 

「どうしたの?」

「このまま一回寝ちゃいなさい。明日は朝一番から仕事があるし疲れも溜まってるんでしょ?」

「………じゃあお言葉に甘えて。」

 

そのまま月見はぽすっと頭を美穂の尻尾に乗せて寝息をたて始めた。耳の炎も完全に消えている。それを確認した美穂はいつの間にか持っていた酒を器についで静かに飲み始めた。

 

「あの耳の炎消えるんですね。」

「月見さん曰く、「意識の明確さで変わる」らしいです。」

 

そう言って鬼灯は自分の懐中時計を見る。

 

「さて、来年に変わるまであと5時間ほどあるのであなたがたも楽しんでください。」

「鬼灯様は?」

「私は少し用意するものがあるので。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………。」

「おはよ、よく眠れた?」

「うん……。」

 

月見の耳の炎が少しずつ大きくなり始めて体も動き始める。まだ少し寝ぼけ眼だが、あと10分もあればいつもの表情になるだろう。

 

「今何分?」

「23時半よ。そろそろ年越しそばの準備がはじまるんじゃないかしら。」

「そう……早めに行っとこうか。」

 

そう言って月見が立ち上がり、それに合わせるように美穂も立ち上がる。周囲はまだどんちゃん騒ぎが続いている。

 

「元気だなぁ……。明日も似たような事するのに。」

「楽しそうだから良いじゃない。たまには月見も飲みましようよ。」

「お酒……。やっぱりあまり好きじゃないかなぁ。」

(…………酔わせてベッドインしようかと思ったのに。)

 

美女が野獣の典型例みたいな考えをしている美穂だったが、そんなこと知らない月見は美穂の手を握って歩き出す。

 

「行こうか。」




こういうのが大好きです。

次回予告
「どんだけ餅大好きなんだあんた。」
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