閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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時系列は勤務日記の少し前あたりです。

とてもかんたんなあらすじ
「月見さん食べられる(意味深)」


訪問日記一頁目

「ふむ………魔女の谷………EU………。」

「どうしたの~月見~。」

 

自室で何かの紙を見ながら唸っている月見に寝起きの美穂が話しかける。

 

「あぁ、アスクレピオス様からの手紙だよ。何でも最近魔女の薬の規制が少し緩くなったらしくてね。」

「へぇ~、あの医神様が注目するレベルなの?」

「アスクレピオス様薬とかがからむとすぐ動くから。それに手紙の内容で「悪くなかった」って言ってるから満足してそうだし。」

 

ふーん、と月見の横から手紙を覗き込む美穂。そこには中々達筆な文字で魔女の薬の効能がつらつらと書かれていた。

 

「………ギリシャ語?読めないんだけど……。」

「僕昔外国の薬学書読むために色々覚えたから。」

「月見もアスクレピオスさんのこと言えないと思うよ?」

 

月見さんは薬の研究が趣味です。

 

「にしても魔女の谷かぁ………行ってみたいなぁ。」

「美穂も興味あるの?」

「うん、美容関連も色々充実してるって聞くし。」

「……近々鬼灯様と相談してみようか。」

 

そう言って会話を切った月見は寝巻きから着替えるために奥へ引っ込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうかされたんですか?」

 

月見が書類を提出するために閻魔大王の元に来ると、鬼灯が何かの紙を見て少し殺気を漏らしていた。

 

「おや月見さん。いえ、サタン王から大分こちらをナメ腐った親書が送られて来たのでその対応をしにEU地獄へ行こうかと思いまして。」

「いや鬼灯くん穏便に済ませてよ………?」

 

閻魔大王の言葉をガン無視し、鬼灯が月見に親書を見せてくる。

 

「ざっくり言うと「仕事と金と土地よこせ」ってことでいいですか?」

「ええ、そうです。」

「…………お一つ相談なんですがそれに僕と美穂も同行してもよろしいですか?」

「構いませんよ。多少荷物があるので手伝って下さい。」

「ありがとうございます。」

 

耳がぴこぴこ嬉しそうに揺れている月見に対し、今まで放置されていた閻魔大王が話しかける。

 

「いきなりどうしたの月見くん。鬼灯くんについて行きたいなんて。」

「あぁ、最近仲良くなった方から魔女の谷についての話をお聞きしまして……ちょうどいつ行こうかと美穂と話してたんです。」

「なるほど目的は魔女の薬ですか。」

 

鬼灯の言葉にはい、と頷く月見。鬼灯は少しの間考え込んでいたが顔を上げて月見の方を見る。

 

「私も今度の視察に必要な薬があるので帰りに寄りましょうか。」

「分かりました、ありがとうございます。あ、閻魔大王、これ昨日の分です。」

 

月見はそう言って閻魔大王の机に持って来た書類を置くとペコリと一礼して医務室の方へ去って行った。

 

「相変わらず、薬のことになるとアグレッシブになるよねあの子。」

「月見さんにとっての薬は私にとっての金魚草みたいな物ですし。」

「あぁ……たしかにね。」

 

少しげんなりしている閻魔大王に鬼灯が話しかける。

 

「そういえばそちらの書類は?」

「あぁ月見くんが持ってきたやつ?えーとどれどれ……。」

 

書類に目を通した閻魔大王がゆっくり口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………医務室常連ブラックリスト。」

「そういえばそんなのありましたね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがサタン王の城ですか?」

「ええどうです?あからさまでしょう?」

 

次の日、鬼灯と月見と美穂が並んでサタン城を見上げていた。

 

「………なんというか。」

「正直におっしゃっていいんですよ美穂さん。」

「ださいですね。」

「もうちょっとオブラートに包も?」

「まぁそんなことはどうでもいいです。先に行くので後からついて来てください。」

 

そう言って鬼灯はさっさと歩いて行ってしまう。

 

「………どうする美穂?」

「………ゆっくり歩いて行こっか。」

 

立ち止まっていた二人だったが、すぐ後に城の中に入って行った。

 

月見は大きな荷車を引きながら。

 

 

 

 

 

「多分あそこかな。」

「……鬼灯様の声が聞こえたしそうだと思う。なんか別の人の怒鳴り声もあるけど。」

 

何故かドアが無い部屋の周りでわたわたしてるメイド達を見て目的地を特定する二人。とりあえず近くに荷物を置いて部屋に入ると鬼灯がドアに押し潰された蠅の羽が生えた男に雷おこしの箱をぶつけているところだった。

 

「おや、ちょうど良かった。」

「鬼灯様なにされてるんですか?プロレス?」

「違いますよ月見さん。ただベルゼブブさんをひっぱたきたかっただけです。」

「そんな曖昧な理由で俺を痛め付けるな!!」

 

ベルゼブブが喚いていると鬼灯が懐から一枚の紙を取り出す。昨日鬼灯が月見に見せた親書だ。

 

「ちゃんと理由ならありますよ。この親書を読んでたらあなたの顔思い出して腹立ったので普通書面だけのところを直接ひっぱたきに来ました。」

「親書だぁ~?……俺はこんなもの知らないぞ。」

「え、知らないんですか?」

「知らん!サタン様の独断だろ。」

 

 

鬼灯がベルゼブブに尋ねるが想像していた回答と違っていたようでそちらの話がヒートアップしている。暇だった月見と美穂は後ろで金髪の女性に話しかけられていた。

 

「ねぇ、あなた達は誰かしら?」

「?……あぁ申し遅れました。閻魔庁の医務室長をやっている月見です。」

「補佐の美穂です。」

「私はリリスよ。よろしくね。」

「リリス?」

 

美穂がリリスの名前に反応する。

 

「あの~もしかして「リリスのルージュ」って………。」

「あら、私の持ってるブランド知ってるのね。」

「やっぱり!私も色々化粧品作ってるんですけどあのブランドのものを時々参考にしてるんです!」

 

興奮した美穂がリリスの手を握る。リリスの方も何か心当たりがあるようで、美穂に問いかける。

 

「もしかして「狐シリーズ」?」

「知ってたんですか?」

「妲己がこの前送ってくれたのよ~。「知り合いの化粧品買ったからオススメを送ってあげる。」って。」

「あ~きぃちゃんですか。」  

 

納得するような仕草をする美穂。リリスは気になったことを尋ねる。

 

「あら?妲己と知り合いなの?」

「知り合いというか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年の離れた妹みたいなものですね。」

「それはさすがに予想外よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(暇だなぁ。)

 

妻が化粧品談義に入って置いていかれた月見は一人で杵の整備をしていた。

 

「よいしょ、よいしょ。」

(?山羊?)

 

下から声が聞こえてきたためそちらを見てみると、二足歩行の山羊がボロボロのドアの片付けをしていた。

 

「……………手伝いますね。」

「へ?あ、あぁありがとうございます。」

「いいですよ暇だったんで。」

 

そう言って月見は持っていた杵で中途半端に折れていたドアを完全に二つ折りにする。

 

「紐とかってありますか?」

「ええ、こちらです。」

「ありがとうございます。」

「………あのぉ、お名前をお伺いしても?」

「月見です。」

「そうなのですか。あっ申し遅れました、私ベルゼブブ様の従者をしているスケープと言います。」

 

月見とスケープが互いに礼をする。それが終わると月見はスケープに話しかけてながら作業に戻る。

 

「僕の上司が散らかしてすいません。」

「いえ………話を聞く限り元々はこちらが何か粗相をしたみたいなので………。」

「気にしなくていいですよ。鬼灯様は無礼には無礼で返しますから。」

 

二つ折りにしたドアをさらにぶっ叩いて四つ折りにして紐でくくり始める。

 

「閻魔大王は曖昧な返事しかしなかったのであれは鬼灯様の独断でしょうし。」

「それって大丈夫なんでしょうか……。」

「事実それでなんとかなるので大丈夫ですよ。」

 

スケープは苦笑いをしている。

 

「それに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らにとって害になる事をしてきたらその時に潰せばいいんですし。」

(………やっぱり鬼灯様の部下らしいなぁ。)




月見さんは基本優しいですが、一定のラインを越えたら容赦が無くなります。

次回予告
「万能土産があるので問題無いです。」
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