閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「やさしさ時々マッド」


訪問日記三頁目

「さて、ここが魔女の谷です。」

「お~すごい、いかにも魔法使いの街って感じがします。」

「ハ○ー・ポ○ターの街よりファンタジー感ありますね。」

「月見さんハ○ー・ポ○ター見るんですか。」

 

鬼灯に連れられて魔女の谷に初めて来た二人が各々感想を漏らす。建ち並ぶ店にはどんな原理で浮いてるか解らない道具や見たことも無い生物、怪しげな薬が並んでおり、道行く人々は皆日本人にとってはなんとも非日常的な格好をしていた。

 

「日本地獄に来る観光客もこんな気持ちなんでしょうか。」

「さぁ、どうなんでしょう。個人的には本質は同じだと思うんですけど。」

「あー、衆合地獄の花街とか外国の方々に人気ですもんね。」

「非日常を求めるっていう意味ではそうですね。」

 

そう言って鬼灯は歩き始める。街並みをゆっくり観察していた二人もその後についていく。ただ月見と美穂はどこか落ち着かない様子だ。

 

「どうしましたか?」

「いや……やけに視線が来るなぁと思いまして………。」

「なんか注目されてません?」

 

実際、周りにはチラチラと三人の方を見ている者が結構いる。

 

「そりゃ注目もするでしょう。何せここに来る観光客は少なくないですが、日本人なんてめったに見掛けませんから。」

「あ、僕らの服……。」

「そうですね、今の状況を簡単に表すと……「自分たちの街に想像した通りの外国人が来た」みたいな感じですね。」

「中国人がチャイナ服着て観光してるってことですかね……。」

 

鬼灯の当たっているかどうか分からない例えに首をかしげる月見と美穂だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ここが私がいつも薬を買っている店です。」

「おぉ……すごい色んな匂いが混ざってる………。」

「ホントだ……私達の部屋よりすごい……。」

「そういえばあなた達一応鼻が利く動物でしたね。」

 

顔を若干しかめながら鬼灯に続いて月見と美穂が店に入る。すると、店の中を見た二人がとたんに目を見開いた。

 

「「!?」」

「いつもは薬を取り寄せているんですがここの品は質がいいのでよく利用してます。」

 

入り口から入ると先ず出迎えたのはだだっ広い空間だった。外側から見た店の大きさからして明らかに入りきらないレベルである。

 

「これって……魔法ですか?」

「ええ、詳しい事は分かりませんが店の中の空間だけをねじ曲げて拡大してるらしいですよ。」

「………閻魔庁のエントランスより広い。」

「美穂さんあそこ(裁判場)エントランスって呼んでるんですか。」

 

三人は会話しながら近くの棚に近づいていく。その上には「a medicinal herb(薬草)」と書かれた看板が浮いていた。

 

「わりと品揃えがいいんですよねこの店。」

「本当ですね、見たこと無いやつもあれば中国にだけ生えてる木の根もある。中々興味深い……。」

「ここら辺の棚10×10ぐらいはすべて薬草なので見てきていいですよ。」

 

そう言われた月見は少し悩む素振りを見せるが、やがて鬼灯の方に向き直る。

 

「……また後で見ます。まずは鬼灯様の言っていた薬の場所に行きたいですね。」

「やはり研究者として気になりますか?」

「あわよくば自分で作れないかと思いまして………。」

「大丈夫なのそれ?」

「「まねできるならやってみろ」らしいんでいいと思いますよ。」

 

月見と美穂の言葉に返答した鬼灯は自分の目的地へと足を向ける。

 

「看板を見る限り向こうですね。」

 

鬼灯の目線の先には「transformation(変化)」という看板があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼灯様、これは?」

「ホモサピエンス擬態薬ですよ。今度現世の会社に派遣社員として視察に行くのでその時に使います。」

 

鬼灯は蓋が人間の顔のような形をしたガラス小瓶をいくつか手に取る。月見と美穂は近くの棚を見回していた。

 

「今美穂さんが見てるあたりは動物に変化できる物ですね。瓶を見れば分かると思いますよ。」

「えーと……うわ、虫になれるやつもある。」

 

美穂が露骨に嫌そうな顔をする。その隣で月見がいくつかの小瓶を手に取った。

 

「………狐擬態薬に兎擬態薬………こんな物まであるんだ。」

「え?なになに?」

 

美穂に尋ねられた月見は一つの小瓶を差し出す。

 

「………チュパカブラ擬態薬?」

「えらくマニアックですよね。時々おふざけで作るらしいです。」

 

必要なものを箱に入れ終えた鬼灯が二人の方に体を向ける。

 

「というか月見さんはともかく美穂さんには必要無い物でしょうが。」

「まぁそうなんですけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼灯が二人を連れて店内を移動する。行き先には「medicine()」と書かれた大きな看板がある。

 

「ここが薬系統ですね。」

「!」

「わ~月見の耳がピコピコしてる~。」

 

鬼灯の言葉に月見の目が輝き始める。表情は相変わらずほぼほぼ無だが、耳が千切れんばかりに振り回されている。

 

「知り合いが言ってた傷薬もここで買えますかね?」

「おそらくあると思いますけど、あまりにも効果が大きい物はまだ規制に引っ掛かりますよ。」

「そうですか………。」

「あ、耳止まった。」

 

ブンブン振り回されていたうさみみがピタリと止まり、萎れるように倒れた。月見の全身から若干悲しそうな雰囲気を出している。

 

「そこまで落ち込みますか?」

「いえ……よくよく考えたら分かることでしたね……。規制が緩んだって聞いて頭から外れてました。なんか良さそうなものを色々探してみます。」

「じゃあ私は他に買いたいものがあるので入り口でまた集合しましょうか。美穂さんもそれでいいですか?」

「………。」

 

確認の為、美穂の方を向く鬼灯だが、当の本人はなにかを熱心に見つめていた。不信に思ったのか月見が声をかける。

 

「美穂?」

「ふぇっ!?…あ、どうしたの月見?」

「今から自由に見て回っていいよって話なんだけど…。」

「え、そうなの?じ、じゃあ私は向こうのコーナー行ってくる~。」

「?うん、じゃあ入り口で。」

 

何か焦ったように去って行った美穂に首をかしげる月見だった。その隣で鬼灯は呆れた様子でその光景を見ていた。

 

「………私も向こうに行ってますね。」

「あっはい分かりました。」

「ああそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本帰ったらしばらく飲み物に気をつけた方がいいですよ。」

「僕毒殺でもされるんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「精力剤に痺れ薬に媚薬…………せっかくだから買っとこ。」




今回と次回はオリジナルが強いです。
年始日記四頁目に出てきた「買ってきた薬」は今回のやつです。

次回予告
「いいじゃな~~い!」
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