閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「お薬買ったね」


訪問日記四頁目

「いやぁまさかアロマまであるなんてね。」

「医務室の女性職員の皆さんへのお土産が出来て良かった。」

「出張の度にお土産渡してるんですか?」

 

少し大きめの紙袋を持った月見と美穂に小さな袋を抱える鬼灯が尋ねる。

 

「ええ、僕らが医務室を空けてる間頑張ってもらってるわけですから。」

「男性には食べ物、女性には美容品みたいな感じで消耗品渡してます。」

「ちゃんとしてますね。」

 

美穂が少しどや顔しながら胸を張る横で月見があたりを見回している。

 

「どうせだったらこのまま男性職員のみんなの分も買っときたいんですけど………ちょうど良さそうなものありますかね。」

「だったらあれなんていかがですか?」

「あれ?」

 

鬼灯が指を指す先を見る月見。その目線の先には「condense」の文字と酒瓶が描かれた看板があった。

 

「なるほど……いいですね。」

「面白そうなやつあるかな~。」

「おや、意外ですね。医療的な観点から飲酒を控えるように言いそうなのに。」

「さすがに健康を害さない程度は許してますよ。」

「というかそう思った上で選んだんですか鬼灯様。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんください。」

「おぉ、いらっしゃい、珍しいお客さん達。ゆっくり見ていくといい。」

 

月見を先頭に店に入ると中にいた老紳士が人の良さそうな笑みを浮かべて歓迎してくれた。店の中を見回してみるとワインやブランデー、ビールなどの瓶が何十種類も見えた。

 

「こうして見ると中々壮観ですね。」

「うわ、スピリタスより強い酒ありますよ。……アルコール150%?」

「人死ぬね。消毒用としても使いにくそう。」

「そもそもどうやったらそこまで濃縮できるんですかね。」

「なぁに魔法ダヨ。」

 

店内を見て回る一行に先程の老紳士が話しかけてくる。

 

「具体的に言えば数本分のアルコールと酒の旨味だけを一本に纏めてるだけだね。」

「あー……その上で要素が入る限界値を伸ばしてぎゅうぎゅう詰めにしてるわけですか。」

「ああ、狐のお嬢さんの言う通りだヨ。」

「?」

 

説明を聞いてもいまいちピンと来てない月見が首をかしげる。その様子を見ていたおじいさんがどこからか紐でできた輪を取り出した。

 

「兎くんにも分かりやすく説明しよう。」

「お願いします。」

 

おじいさんはいくつか酒瓶を取り出し、それを紐の輪で纏める。

 

「この酒瓶をアルコール、この紐をアルコールの入る限界としよう。この場合、もう既にアルコールが入りきらない状態なのは分かるかネ?」

「……魔法を使わない場合の限界値?」

「正解。そしてこれを魔法でこうする。」

 

おじいさんがどこからか取り出した杖を振るい、紐を引っ張る。すると紐の輪がゴムのように伸びた。

 

「この広げた部分にアルコールや旨味を入れてできるのが私特性の濃縮酒だよ。」

「なるほど…………製作者あなたなんですか?」

「ふっふっふ、そうだね兎くん。」

「なら、お土産のオススメとかってあります?」

「そうだね………これなんてどうだいお嬢さん。」

 

そう言ってカウンターから出てきた老紳士…店主は一つの棚に近づきおいてあった酒瓶をとる。

 

「ビールを濃縮してみたもの。苦味が少しばかり強いが何かのジュースとかで割るとフルーツビールができちゃうよ。」

「じゃあそれを何本か買います。……他にもあったら教えて欲しいんですけどいいですか?」

「だったら少し変わったものもみてみるかね。」

 

店主は別の棚の下の扉を開き、いくつか酒瓶をとる。

 

「こっちは炭酸だけを濃縮したシャンパン、この黄色いのは栄養を濃縮した蜂蜜薬酒。」

「薬酒まであるんですか。それぞれ5本ずつ下さい。あとブランデーもあったらそれも3本ぐらい下さい。」

「まいどあり。少しまけとくヨ。今後ともどうぞご贔屓に。」

 

月見が購入すると店主はフフフフ、と満足そうに笑っている。月見と美穂が買った酒を確認して、ひび割れ対策をしている横で鬼灯が一本の酒瓶を店主に差し出す。

 

「これいくらですか?」

「それはせいぜい50ドルぐらいだけど……いいのかね鬼のお兄さん、それアルコール度数300はあるよ。」

「構いませんよ。無駄にはしませんから。」

((拷問に使うんだろうな…。))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わっ、このネックレスすごい!」

「……なんか宝石の中が凄いことになってる。」

「…………こんなの欲しいなぁ。」

 

アクセサリーショップに入った美穂は普通ではあり得ない構造の装飾品に目を輝かせており、連れてこられた月見は宇宙猫になっていた。

 

「あれ?そういえば鬼灯様はどこ行ったの?」

「……美穂が僕を引っ張って行くときに「向こうの店が気になる」って言って別の店行ったよ。」

「ホント?気づかなかった。」

「あら、どうかしたのかしらぁ~。」

 

そんな会話をしていると誰かが近づいて話しかけてくる。二人が反応して振り替えると長身の人間がいた。

 

「あ、店員さんですか?」

「いえ、ここの店主のジェノよ。いらっしゃいかわいいカップルさん?」

「いやぁかわいいだなんてそんな~。」

 

ジェノの言葉に美穂が照れくさそうに頭を掻く。

 

「それにカップルじゃないですよ~。」

「あらじゃあ義理の兄弟?」

「夫婦です♪」

 

美穂が月見に抱きつきながらいい放った答えにジェノが固まる。それを心配した月見が声をかけた。

 

「?……あn「いいじゃな~~い!」うわ元気。」

 

いきなり笑顔になりながら大声で誉めてきたジェノに怯んだ月見だった。しかしジェノはそんなことお構い無しに二人に詰め寄ってくる。

 

「どんな感じの馴れ初め?デートはどんな感じなの?あ~聞きたい事がいっぱい出てきちゃう!」

「えーと月見との馴れ初めはですね~。」

「美穂、おそらく鬼灯様がそろそろ外で待ってる。」

「うぇ!?もうそんな時間!?」

「あら、待たせてる人いるの?」

 

ちなみに店に入ってから一時間経ってます。

 

「しょうがないわ、恋バナはまた今度ね。」

「はい!……あっそうだ、お土産どれにしよう!?何かオススメありますか!?」

「どんな感じの娘に渡すのかしら?」

 

焦った美穂の言葉に微笑みながら応えるジェノ。

 

「これでもかってぐらいキレイな狐の娘です。」

「あなたの家族?」

「妹みたいな感じです。」

 

そうねぇ、と言葉を漏らしながら悩んでいたジェノだったが、やがて何かを思い付いた様子で店の奥に引っ込んで行った。しばらく二人が待っているとやがて何かの箱を持って来た。

 

「一つ取り寄せたけど売れなかったものがあるのよ。」

「?それって大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。ただ持ち主を選ぶのこの子。」

 

ジェノはそう言って箱を開ける。中を見た美穂はわぁ、と感激したように声をもらし、月見も少し目を見開いている。

 

「綺麗……!」

「………ヘアカフス?」

「そうよ、しかも魔法がかかってて宝石の中で常に流星群が流れてるの。」

「…で、その持ち主を選ぶっていうのは?」

 

ジェノは苦笑いしながら答える。

 

「「美しい者しか認めない」っていう呪い。つまり極度の面食いなのよ。」

「じゃあ問題無いですね、それください。」

「即決!?」

 

あっさりと購入を決めた美穂に思わず大声を出すジェノだった。そんなジェノに美穂は持っていた携帯で妲己の写真を見せる。

 

「だって送るのこの娘ですから。」

「………じゃあ問題ないわね。」

 

 

 

 

 

 

 

「あっそうだ、これください。」

「あら、内緒でいいかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと来ましたか。」

「いやぁ…すいません鬼灯様、珍しいものばっかりだったので………。」

「まぁいいです、さっさと帰りますよ。」

 

そう言って鬼灯が踵を返して進んでいく。

 

「そういえば鬼灯様、月見から聞きましたけど気になった店って何ですか?」

「そこですよ。」

「?」

「あ、美穂は見ないほうが……。」

 

鬼灯が指を指すのにつられて月見か静止する前に右を見る美穂。

 

 

キシャー キシャー

ブーン ブーン

 

「」

「珍しい虫ばかりだったのでつい引き寄せられてしまいましてね。」

 

たくさんの虫が籠のなかで飛び回っていたり、ケースの中に閉じ込められたりされていた。

 

「虫の本を書こうとした頃が懐かしくなってしまいました。どう思います二人共。」

「鬼灯様、美穂が限界です。」

 

鬼灯が二人の方に振り返ると美穂が足や尻尾まで使って月見に顔を埋めて全力でしがみついていた。よく見ると小刻みに震えている。

 

「あ、一匹脱走してきた。」

「トドメささないでください。」

 

美穂の震え方がより一層ひどくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きぃちゃんヘアカフス喜んでくれたよ~。はいお茶。」

「ありがと……なら良かったんじゃない?」

「うん!…あと帰りごめんね。」

「気にしなくていいよ。」

 

魔女の谷から帰って来た日の夜、二人は私室で買ってきたものの確認をしていた。どうやら妲己への土産は渡し終えたようだ。

 

「9…10…11…うん、全員分あるね。」

「こっちもお土産足りたよ。」

「あっそうだ。」

 

唐突に月見が立ち上がり、近くにあったポーチの中を探り、一つの細長い箱を取り出した。

 

「それなぁに?」

「プレゼントだよ。はい美穂。」

 

月見は箱の中身を取り出し、美穂にかける。

 

「これ………あの店で私が見てたネックレス?」

「そう、欲しがってそうだったし最近こういう贈り物してなかったからね。喜んでくれた?」

「……………………。」

 

急に黙り込んで俯く美穂。すると自分にかけられたネックレスを大事そうに外して丁寧に箱に戻した。そしてそれを優しく机に置いて、月見の方に向き直った。

 

「ど、どうしたの美穂?」

「………………ねぇ月見、さっき私早速使ってみた商品があるの。」

「?それってどういうッ!?」

「…………………あはっ、本当に無防備なんだからぁ。」

 

少し動揺していた月見だったが急に体が動かなくなった事でさらに動揺が加速する。その様子を見ていた美穂が妖しい笑みを浮かべる。

 

「元々今日はヤるつもりだったけどこんなの止められなくなっちゃうじゃん……。」

「ッ~~!?」

「じゃ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベッド行こうか、月見?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふふっ。」

「あれ?妲己ちゃん、なんか今日機嫌いいね。」

「あら伝わっちゃう?」

「だっていつもと違う髪飾りつけてるじゃない。誰かから贈られた物なのかって思ってね。」

「……姉さんからのお土産よ。」

 




老紳士のイメージはfgoの新茶、ジェノさんのイメージはペペロンチーノさんです。
ちなみにジェノの名前はジェノベーゼから取ってます。

次回予告
「十年は「こないだ」なんですかね。」
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