閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「集会と書いて宴会と読む」


集会日記四頁目

「うえへへへへおしゃけおいしい、んぐっんぐっんぐっ。」

「おいおいアルテミス、お前あんま酒強くないんだからもうちょいペース落とそうぜ?結構度数高いだろそれ。」

「にゃによ~わらひはまだまだいけるんひゃから~。」

 

アルテミスが顔を真っ赤にしてべろんべろんに酔っ払っている。オリオンが落ち着かせようとするも当の本人は抵抗している上、更に酒をかっ食らおうとするばかりである。

 

「だーひんだってわらしよひのんでるひゃない。」

「俺は酒強いからいいんだよ。しかもお前飲んでるのネクタル(効果抜き)だからな?」

「だっておいひいんだもん。」

 

ネクタルはギリシャ神話に出てくる神の酒で、飲むと不老不死になります。

 

「そうですよアルテミス、少しペースを落としてください。」

「んあ?…あ、ヘカテ様。」

「んみゅ~?どほしふぁのへふぁてふぁん。」

「ほら、呂律が回ってないではないですか。水を飲んでください。」

 

そう言ってヘカテは透き通った液体が入ったコップをアルテミスの口に近づける。

 

「?………んぐっんぐっんぐっ………ぷはぁッ!このおみじゅおいひい……。」

「そう?ならよかったでしゅ。」

「…………………………………?」

 

今のヘカテの発言に違和感が残ったオリオンだったが、まぁ気のせいだろうと思ったのかその場を後にする。

 

「さてと、アルテミスもヘカテ様に任せたわけだし俺は別の所でナンパでも「だ・ぁ・り・ん?」ひぇ!?」

 

少し離れていたはずなのにオリオンが「ナンパ」という言葉を発した瞬間アルテミスがオリオンの首に手を掛けていた。顔を見る限り酔いも無いようだ。

 

「ア、アルテミスさん?」

「他の女の子の所に行こうとするダーリンなんてこうしちゃうんだから!」

「ちょ、ちょっとま「えい!」ぐぼぁ!?」

 

オリオンの首からゴキリと嫌な音が聞こえる。

 

「へ、ヘア、ヘカテ様、助けて。」

「…………………………………ははっ。」

 

ずっとギリギリと首を絞められるオリオンがすぐ近くに来ていたヘカテに助けを求めるがヘカテから返ってきたのはよく分からない声である。

 

「…あのーヘカテ様?」

「あーはっはっはっはっ!やれーもっとだー。」

「チクショウやっぱり酔っ払ってやがった!」

 

ふと上げた顔が赤いことからヘカテもすでに頼りにならないことを悟るオリオン。すでに周りにいた者達は避難しており、誰もいない。

 

「ほら、そのままバックドロップだ、遠慮せずやれ!」

「俺つぶれちゃいますよ!?」

「むぅ、ダーリンたらまた私以外の女の子ににやけちゃって…もっと強くしちゃうんだから!」

「いやまてアルテmいでででででででででて!?」

 

さらに変な音がしだした。

 

ゴキュ

 

 

「あーーーー!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……助けに行ったほうがいいでしょうか?」

「止めておくといい、巻き込まれる。」

「そうそう、ああいうのは離れて見守るのが一番です。」

「トト様、セレーネ様。」

 

自分が料理を運んでくる間にとんでもないことになっていた月見はぽつりと呟く。するとそばに来たトトとセレーネがその呟きに返答する。三人の目線の先では未だにアルテミスに絞められるオリオンがいた。

 

「運営の手伝い感謝する。おかげで今回も何も壊れずに済みそうだ。」

「あれは大丈夫なんでしょうか……。」

「いつもの事だ気にすることはない。」

 

月見は若干ジト目になりながら目の前の光景を見ている。

 

「おや、ここにいましたか。」

「久しぶりだね月見。」

 

そんな中、鎧を纏った男がこちらに近づいてきた。隣には全長が人間より大きい狼がついて来ている。しかもしゃべった。

 

「マーニ様、ハティさん、お久しぶりですね。……何年ぶりでしたっけ。」

「そうですねぇ、前回と前々回は出れなかったので大体……30年ぐらいでしょうか。」

「あのくそじじいから無茶ぶりされてね……お兄ちゃんもお父さんも忙しそうだったよ。」

「ロキ様の事くそじじいって呼んでるんですか。」

 

そんな会話をしている最中、ふとセレーネが月見達に尋ねる。

 

「一つ質問よろしいですかハティさん。」

「ん?なぁに?」

「貴方、確か神話では月を食べようとマーニさんを追いかける敵対関係だと記憶しているのですが……。」

「うん、そうだったよ。」

「だった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのくそじじいから「月はとてもおいしい」って聞かされてただけだから。」

「あぁ、確か私に追い付いて月を食らった後の一言目が「まっず!?」でしたもんね。」

「だからもう追いかける必要ないなって思って今はお手伝いしてる~。」

「あら、そうなんですか。」

 

ハティはとても人懐っこい笑みを浮かべている。見た目は狼なのだかその笑みのせいで巨大な犬に見える。

 

「ところでその無茶ぶりとは?」

「あのくそじじいから「暇だから面白そうなもの探して来て」って言われたから色んな所走り回って集めた虫を思いっきりぶつけたの。途中まではまともにやって油断させてからやったから面白かったよ~。」

「貴方と家族笑い転げてましたもんね。」

 

沢山の虫にまとわりつかれながらのたうち回っていたそうです。

 

「あぁ、そうだった。月見さん例のやつやってもらえませんか?最近仕事詰めで関節が痛くて…。」

「分かりました。」

 

頼まれた月見は耳の炎をマーニに移す。すると青い炎が勢いよく燃え上がった。

 

「ありがとうございます。」

「ねぇねぇ僕にもやって~。」

「いいですよハティさん。」

 

そう言って月見はハティにも炎を移すが、マーニの炎よりも若干黒寄りになった。

 

「わ、なにこれ?」

「………ハティさんお疲れなんですね。甘めの薬草酒飲みますか?」

「ホント?ありがとー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。」

「ねぇ月見ちゃん、ちょっといいかな?」

「おや、アルテミス様。」

 

マーニとハティに炎を移した月見だったがその光景を見ていた他の神達にねだられて半数以上に炎を移していた。さすがに疲れたのか少しため息をついていると酔いが醒めたアルテミスが近づいてくる。隣にはオリオンはおらずどうやら一人で来たようだった。

 

「アルテミス様も炎要りますか?」

「それは後で貰うけど今は違う用事なの。」

 

そう言ってアルテミスは会場の端の長椅子に月見を連れてくると座るように促す。月見もそれに逆らわず、長椅子の真ん中あたりに座った。するとアルテミスもその横に座った。

 

「ねぇ、一つ聞きたいことがあるの。」

「なんでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その火傷の痕、消したくないかしら?」




マーニは北欧神話の神様で名前の意味が月です。その事にキレた神様達に月を引く馬車の馭者にされました。しかし月は常にハティという狼に狙われていたので全力で逃げなければいけないブラック企業だったということです。
作中でセレーネが言ってた「敵対関係」というのはこういうことです。
ハティの方はお父さんのフェンリルがとても有名なので知っている方も多いのではないでしょうか?


次回予告
「少し撤回します。」
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