閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「美穂さんアイドルと出会う」


来訪日記四頁目

「よっしゃ到着。」

「毎回言ってるけど襟伸びるから移動する時はせめて抱えて?」

「おう悪ぃ悪ぃ。」

 

様々な店が立ち並ぶショッピング街にいきなり姿を現した悟空は右手で襟を持ってぶら下げていた月見を地面におろす。雑に空中で離されたが、月見は平然と着地し、服の埃を払う。本人達は特に何もなかったかのような様子だが、周囲は騒然としている。

 

「で、三蔵さんは何処に?」

「あーっと、向こうだな。さっさと行くぞ。」

 

そう言って歩きだす悟空と月見。周囲で見ていた人々は悟空が近づいてくるとモーゼの如く道を開けていった。

 

「…もしかしてあれなのかな?」

「そういやお前ど近眼だったな、忘れてたわ。」

 

二人が目指す先の上空には隼が旋回していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はむっ、ん~!これ美味しい!」

 

二人が近づいて来ている事など露知らず、三蔵は近くの甘味処で団子を頬張っていた。

 

「店員さ~ん、わらび餅も下さ~い!」

「はい、畏まりました。」

 

先程まで沈んでいたのが嘘のようにテンションが上がっている様子だった。店先にある長椅子に座り、足を少女のようにぶらぶらさせている。

 

「いやぁ~携帯まで失くしちゃったけど、取り敢えず難しい事は後で考えよっと。「腹が減っては戦はできぬ」なんて言葉も日本にあるぐらいだしね。」

 

そう言って三蔵は緑茶を飲む。その顔はとても満足そうだ。

 

「お待たせしました、ご注文のわらび餅です。黒蜜を自分でかけてお楽しみください。」

「わーい、ありがとうございまーす!」

 

店員が品物を持って来た事で更にIQが落ちたようだ。受け取ったわらび餅は少しの揺れでプルプルと震えている。そこにトロリとした黒蜜を回しかけるときな粉がかかったわらび餅を覆うようにゆっくり広がって行き、見事な景観となっていた。

 

「お~、美味しそ~。」

「おう確かにな。」

「でしょ?じゃあいただきま~………………あ、あ?」

 

わらび餅を口に含もうとした三蔵は横から聞こえてきた声に固まる。ぐぎぎぎぎぎ、と首を横に向けると満面の笑みを浮かべる悟空がいた。三蔵の口からヒュッと空気が出てくる。

 

「よぉ師匠、こんなとこでなにやってんだぁ?」

「え、えーと、休憩?」

「そぉかぁ、自分で迷子になって携帯落としておいて休憩かぁ。」

 

悟空は笑顔のままビキリとこめかみに青筋を立てて、手を握りしめる。三蔵の顔が青くなり、冷や汗がだらだらと流れる。そのまま悟空は拳を振り上げ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人様に迷惑かけといて自分だけおもいっきり楽しんでんじゃねえよこのバカッ!!」

 

ゴンッ

 

「へぷぅッ!?」

 

躊躇いなく三蔵の脳天に振り下ろした。三蔵が取り落としたわらび餅は月見が難なくキャッチしている。

 

「………あ、これおいひい(美味しい)。」

 

そのまま悟空に説教されている三蔵の横で月見は静かにわらび餅を堪能していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悟空……反省……反省してるから離して……。」

「うるせぇ、しばらく我慢してろ。」

「美猴兄さん、代金払っといたよ。」

 

説教の勢いで三蔵をアイアンクローしている悟空の元に甘味処に三蔵が食べた菓子と迷惑料を支払って来た月見が戻ってくる。

 

「おう悪いな、後で師匠に返させるわ。」

「別にいいよこれぐらい。それより早く閻魔庁に戻ろ?」

「いんや、先に寄っときたい場所がある。」

 

頭に疑問符を浮かべる月見だったが、すぐさま思い当たる事があったかのように耳をピンと伸ばす。

 

「あ、美穂の所?」

「おう、今携帯持ってんのあいつだろ?さっさと案内してくれ。」

「わかった、ついてきて。」

 

そう言って月見は先導するように歩きだす。が、何歩か進んだ所で立ち止まって悟空の方に振り返った。

 

「そうだ、美猴兄さん。」

「なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう三蔵さん離してあげたら?」

「ユル……シテ……ユル……シテ……。」

「…チッ、月見に感謝しろよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっとここら辺だった筈だけど……。」

 

甘味処から歩き始めて20分、頭に紙でできた隼を乗せた月見は周囲をキョロキョロ見回しながら歩いていた。その後ろには堂々と歩く悟空と顔を押さえながらとぼとぼ歩く三蔵がついてきている。

 

「知り合いの店じゃねぇの?」

「そうは言ってもここら辺来ることなんて滅多に無いからなぁ。ほら、僕花街なんて行く必要無いし行く気も無いし。美穂がいれば満たされるから。」

「………お前ホントあいつが喜びそうな事に限ってあいつがいない場所で言うよな。」

「?」

「無自覚なのも相変わらずか。」

 

携帯をいじくりながら歩く悟空だったが、先頭にいた月見が足を止めて横を向いていたため自分も止まる。すると月見は店の前の長椅子に座る檎に話しかけた

 

「檎さん、お久しぶりです。」

「おお、月見様。美穂様なら、上の一番奥の部屋にいらっしゃいますが。」

「ありがとうございます。」

「後ろのお二人は悟空様と三蔵法師様で間違いないですかね?」

「あれ?私達のこと知ってるの?」

 

三蔵から問われた檎はパイプを咥えると煙を狐の形に変える。

 

「そりゃ妲己様から美穂様の事について聞かされてたら嫌でも覚えてるもんじゃからなぁ。美穂様を呼び捨てにできるのなんてそれこそ古くから縁があるお二人以外いませんて。」

「そういや美穂のやつ、狐の中では最高位クラスだったな。」

 

檎はケラケラと笑いながら説明するが、悟空は特に興味も無さそうに携帯をいじくっていた。

 

「そういや悟空様、一応三蔵法師様の携帯を拾った娘達も居ますんで。」

「お、そうか。おい師匠、ちゃんと礼しとけよ?」

「むぅ~、わかってるわよ。」

 

そんな会話をしながら三人は店の中に入っていった。

 

「………何で頭に鳥が乗ってるんじゃあの人。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…というのが私の仕事なんですよ。」

「へぇ~そんな感じなんだんだ。」

「間に挟まれる惚気の量が本題の数倍はあった気がする……。けど美容液は気になる……。」

 

お暇しようとしたまきみきの二人を呼び止めた美穂は、そのまま持ってきていた菓子とお茶を自分で淹れて妲己の部屋で寛いでいた。主に美穂による惚気だったため、ミキは疲れているようだ。ちなみにマキは普通に菓子をボリボリ食べている。

 

「……来ましたね。」

「「?」」

「あら、もうそんな時間かしら。」

 

話し終えた美穂が茶をすすっていると、何かに反応したかのように下を見つめ、小声で呟く。二人がその行動に疑問を抱いていると顔を上げた美穂が湯呑みを置いて袖の中をまさぐる。

 

「もうそろそろ目的の人物がいらっしゃいます。これ(携帯電話)、渡してあげてください。」

 

そう言って美穂はマキに携帯電話を渡した。渡された本人は、急な出来事にポカンとしている。

 

「へ?いや急に渡されてm「邪魔するぞー。」うひぁっ!?」

「全く………せめてノックぐらいちょうだい美猴さん?あとそんな雑に開けないで欲しいのだけど。」

「別にいいだろ?どうせ月見が頭に乗せてる紙式でわかってただろうし、そんな柔な素材で出来てねぇだろ。」

 

いきなり背後の襖が開き、悟空達が現れる。予想してなかったまきみきの二人は驚いているが、美穂は特に反応はなく、妲己はビビる所か悟空に文句を言っている。そんなやり取りをよそに月見は美穂に話しかけた。

 

「ありがとね美穂、手伝ってもらって。」

「いいよ。後その子達が携帯を拾って届けてくれた子だよ。」

 

美穂にそう言われた月見は振り返りまきみきを視界に入れると少し驚いたかのように目を開く。

 

「おや、お二人だったんですか。お久しぶりですね。わざわざ届けていただきありがとうございます。」

「あ、いえ!お構い無く!」

「ちょうど休日だったので大丈夫です!」

 

ペコリと頭を下げる月見に対し、慌ててマキとミキは頭を上げるよう催促する。しばらくはそんなやり取りが続いたが、いつの間にか月見の背後に美穂が笑顔で立っていた。それを見たまきみきの二人は少しビクッと体を震わせる。

 

「?どうされました?」

「「あ、いえ……なんでもないです。」」

「?」

 

月見は何が起きているのか把握出来ていないが、背後の美穂は獲物を見る狩人の目で月見を見ていた。そしてそのままの姿勢で月見を抱き上げる。月見は宙ぶらりんになった。

 

「どうしたの美穂?」

「いや?ちょっと向こうでお話したい事があるから?きぃちゃん、向こうの部屋かりるね~。」

「ほどほどにしときなさいよ~。」

 

妲己から興味無さげな返事をもらった美穂はそのまま月見を抱えて部屋を出てしまった。まきみきの二人は置いてけぼりとなってポカンとしている。

 

「………何があったの?」

「………さぁ?」

「気にしなくていいぞ。それよりもあんたらか?携帯を拾ったの。」

 

美穂が出ていった方向を見ていたまきみきの二人だったが、悟空から話しかけられた事で意識が戻ってくる。

 

「は、はい。そうですけど。」

「もしかして電話をかけて来た方ですか?」

「おう、わざわざすまねえなこいつのドジに巻き込んで。」

「ホンットありがとね~二人共~~。」

 

そう言うと三蔵は二人に抱きついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ~月見~?どうして私にあの子達と一緒に仕事したこと言わなかったのかな~?」

「いや、一回限りだったし、一緒に仕事というか同じ番組に出た位だから……。」

「へぇ~言い訳?そんな事しちゃう口は塞いだ方がいいよね?」

「それってd…んむぅ!?」

 

口を開いた月見におもいっきりキスをする。激しく音を鳴らし、舌を絡ませる深い方だ。

 

「……ん。」

「ぷはぁっ……ちょっと美穂?ここd…ふむぅ!?」

 

一度息継ぎのために離れるが、月見が話す間も与えずすぐさま美穂が襲いかかる。目が完全にイッており、止まることは無さそうだ。

 

「………おいし。」

「んッ……ねぇ美穂、僕が悪かったからそろそろ戻ろ?今度の休みならなんでもしてあげるから……ね?」

「誘い受けにしか見えないから満足するまで口でやる。」

「ふえぇ………。」

 

その後、10分ほど月見の口を貪った美穂はくったくたになった月見を満足そうに抱えて結界を解除して妲己の部屋に戻っていった。




月見さんの頭に乗っていた隼は妲己の部屋に入って来た時点で、美穂さんが術を解除してしまってます。


次回予告
「」
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