閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「三蔵ちゃんしばかれる」


来訪日記五頁目

美穂が月見をテイクアウトした後、悟空と三蔵はまきみきの二人と会話していた。

 

「じゃあ改めて自己紹介するね。私は陳江流っていうの。「西遊記」の三蔵法師とは私のことです!あ、三蔵でいいよ。」

「俺は斉天大聖。日本では孫悟空の方が馴染みがいいか?」

 

ふふんと胸を張る三蔵と軽く笑う悟空だが、まきみきの二人はいきなりのビックネームに固まっていた。

 

「え?ド○ゴン○ール?」

「ちょっとマキちゃん!?」

「あっすいません!」

「ははっ、問題ねぇよ。行く先々で言われて慣れてるからな。」

 

思わずマキの口から出た言葉に焦る二人。しかし当の本人は笑い飛ばしている。

 

「それに俺もあれ読んでるし。」

「嫌じゃ無いんですか?」

「いんや、むしろ技の参考になるから面白いんだわ。」

 

ほれ、と悟空が人差し指を立てるとその上に光る円盤が現れる。

 

「気○斬!?」

「うわスッゴい!?」

「他にもあるが……ここじゃ使えねぇからまた見せる機会があったらみせるわ。」

 

まきみきの二人が驚いている様子を見て満足したのか悟空は音を鳴らしながら回っていた気○斬を消滅させる。しかし興奮がおさまらないマキは悟空に次々と質問していく。

 

「他には!?他には何が使えるんですか!?」

「んあ?まぁ瞬間移動ぐらいなら使えるぞ。」

「かめ○め波は!?」

「出来るが被害が大きいから止めろって上から言われてる。」

「マジで!?」

「マキちゃん、ステイ。まだこっちが自己紹介してないでしょ?」

「はっ、そうだった!」

 

ゲームや漫画が好きなマキをミキがたしなめる。落ち着いた様子になってマキは姿勢を正すと悟空達の方を見る。

 

「まきみきっていうアイドルユニットやってます!マキです!」

「相方のミキですニャ。」

「へぇ~そうなんだ!」

 

三蔵が目を輝かせている。どうやら普段の自分の立場では会うことが出来ない相手であるため物珍しいようだった。そのまま悟空を除いた三人は女子トーク的ななにかに入っていった。悟空は話についていけなさそうだと瞬時に悟ると懐から煙管を取り出す。

 

「なぁ、妲己の嬢ちゃん。一服していいか?」

「やるんだったら煙こっちに寄越さないで。それか外でやってちょうだい。」

「あいよ。」

 

ずっと何かのカタログを読んでいる妲己からの許可をもらった悟空は煙管の火皿に葉を詰めてフィンガースナップをして火を付け、そのまま吸い始めた。煙管から吹き出す煙は勝手に窓に進んでいく。

 

「………ふぃー、あー悟能と悟浄仕事押し付けられてないといいが………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば三蔵さん、一つ気になった事があるんですけど……。」

「どうしたの?」

「陳江流っていうのが本名なんですか?日本だと三蔵法師っていう名前が有名なんですけど…。」

「ああ!それね!よく勘違いされてるんだよね。」

 

ミキの質問に三蔵は合点がいったと言わんばかりに手を叩くとそのまま話し始める。

 

「そもそも三蔵法師っていうのは名前……というか固有名詞じゃないの。」

「そうなんですか?」

「うん、正しくは経蔵・律蔵・論蔵の三蔵に精通した僧侶の事で、つまり三蔵法師は私以外にもいるの。」

「へぇ~知らなかったです。」

「私の場合は玄奘三蔵って呼ばれてたよ。」

 

ニコニコと笑いながらお茶をすする三蔵だった。そんな中、マキがおずおずと手を上げる

 

「あの~私からもいいですか?」

「どうしたのマキちゃん?」

「さっきからずっと思ってたんですけど…西遊記の三蔵法師って男だったイメージがあったんです。でも三蔵さんって女の人ですよね?だから意外だなぁって。」

「あ~その事か。あれね、私もよく分からないんだよね。」

「へ?」

 

困った顔をする三蔵に対し困惑するまきみきの二人。三蔵は湯呑みを置くと顎に手を当てて頭をひねった。

 

「そもそも私ちゃんと旅の記録書いてたし、性別偽った記憶ないからなぁ。」

「……なんかつっこんじゃいけないことだったかな。」

 

しばらくその状態が続くが、ふと三蔵があ~、と声を上げて片手で頭を掻く。

 

「もしかしたら上の指示かも。」

「上?」

「うん、天界の仏様。当時は女性の僧侶が少なかったし、物語として書くなら男のほうが書きやすかったんじゃないかな。」

「正直どっちもどっちだけどな。」

 

三蔵が憶測を話している最中、煙管を咥えた悟空が話に加わってくる。

 

「悟空、それどういう意味?」

「いんや?昔、月見に日本で流通してる西遊記見せてもらったんだがな、まんまやってる事が当時のお前だったんだよ。違うのは性別だけだ。」

 

悟空は口に含んだ煙を吐き出し、ニヤリと笑う。

 

「なんにも考えず突っ込んで行って敵に騙されたり捕まったり俺を破門にしたり……。」

「わー!わー!ストップ、ストーーップ!」

「ん?なんだ師匠、まだ4分の1もいってないぞ?」

「人前ではやーめーてー!」

 

ケラケラと悪い笑みを浮かべる悟空に対し、三蔵がぽかぽかと拳で叩く。三蔵は顔を赤くして若干涙目になっている。

 

「……なんというか。」 

「スッゴい印象と違うね。」

「当たり前でしょ?」

 

今まで静観を決め込んでいた妲己がまきみきの二人に話しかけてきた。

 

「あの人達の旅が一番最初に書かれたのはもう千年以上前なんだから、そのままの内容が伝わってるわけないじゃない。」

「あっなるほど……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、待たせてわりぃな。」

「あ、いえ…お気になさらず…。」

 

ひとしきり三蔵をいじるのに満足した悟空は、横からいまだにぽかぽか叩かれながらまきみきの二人の方に向き直る。

 

「そろそろあいつらも戻って来るだろうし、さっさと閻魔庁行きますかね………おい、いつまでいじけてんだ早く機嫌なおせ。」

「むぅ……。」

 

頬を膨らませる三蔵だが、自分が迷惑をかけた手前強く言い出せないのかそのまま項垂れた。するとそこにピクリとも動かない月見を抱えた美穂が入って来る。

 

「終わりましたよ。きぃちゃんありがとねー。」

「………今度はちゃんと自分達の部屋でやって美穂姉さん。」

「あはは、ごめんね?」

 

妲己や悟空、三蔵は特に気にしていない様子だったが、事情を知らないまきみきは月見の様子が心配であるようだった。

 

「これでもかっていうぐらいめっちゃぐったりしてる…。」

「悟空さん、月見さん大丈夫なんですか?」

「あ?問題ねぇよいつもの事だ。」

「「えぇ……………。」」

 

そんな中、月見のポーチの中から音が鳴り始めた。その音にピクリと反応した月見は美穂に抱えられたまま携帯を取り出して電話に出る。

 

「はい……もしもし。」

『なんで既に死にそうな声してるんですか月見さん。』

 

電話からは鬼灯の声が聞こえてくる。

 

「あ…無事三蔵さん見つかりました……。」

『そうですか。それはそうと、少々話しておきたいことが。』

「?………なんでしょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『衆合地獄で亡者の脱走が起きたので鎮圧手伝ってもらっていいですか?』




孫悟空と沙悟浄は本名ですが、猪八戒だけは何故かあだ名で本名は悟能です。
あと西遊記の内容についてですが、三蔵法師をメインにするバージョンと悟空をメインにするバージョンとで三蔵法師の性格が変わってるんですよね。悟空メインの方はわりと悟ってる感じがしますが三蔵メインだとめちゃくちゃ俗っぽいです。

次回予告
「取り敢えずテメェからだ。」
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