閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「亡者どもはフルボッコだドン」


来訪日記七頁目

「うぅ…何でドロップキックなんてするの…。」

「あったり前だこの馬鹿師匠!こんな市街地でんなもん解放すんじゃねぇ!あと亡者どもの回収も考えろ!天井に埋まったらどうすんだ!」

「はい………。」

 

悟空が上空でか○は○波もどきを放ったあと、三蔵は悟空に正座で説教されていた。後ろでは亡者を回収しに来た警察組が月見と話している。

 

「月見殿!ご協力感謝します!」

「お礼なら僕じゃなくて美穂と美猴兄さんと三蔵さんに言って下さい。」

 

あとお疲れ様です、と言いながら月見はポーチから餅菓子入りの箱をいくつか取り出して渡す。どうやら今回は餅入り最中のようだ。

 

「おお!わざわざありがとうございます!」

「いえ、そのうち差し入れとして持っていくつもりでしたのでお気になさらず。皆さんで食べて下さい。」

「わーい!」

「沖田ちゃんはしゃがないの。」

 

その場で食べようとする沖田を落ち着かせながら斎藤が月見に話しかける。

 

「そうだ月見さん、副長は元気にしてるかな。」

「土方さんですか?この間医務室長として様子を見に行ったら新しい拷問を鬼灯様と一緒に開発してましたよ。」

「そうかい、そりゃ良かったよ。」

「ただ、自分の所属する部署の名前を新撰組にしようとするのはやめてほしいって鬼灯様が言ってました。」

 

少し安堵した様子を見せた斎藤は月見の言葉に吹き出した。そのまま肩を震わせている斎藤の隣にいた呆れたような目をした沖田が餅菓子を食べながら話しかけてきた。

 

「まーたそんなことやってんですかあの人。」

「どういうことですか?」

 

ため息をついた沖田は手に持った最中を食べる。

 

「土方さんって元々私達と一緒に烏天狗警察に入ったんですよね。」

「そういえばそうでしたね。」

「そこで烏天狗警察の名前を新撰組に強制的に変えようとして牛若丸さんと喧嘩して最終的に僧正坊さんに追い出されてるんですよ。」

こっち(獄卒)来た理由それだったんですか。」

 

土方さんは今現在弧地獄の総括を担当してます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「色々とごめんなさい二人共、せっかくのプライベートだったんですよね?」

「いえいえ!気にしないで下さい!」

「むしろこんなに高そうな化粧品もらっていいんですか?」

 

花割烹狐御前の入り口から美穂が申し訳なさそうに笑いながらまきみきの二人と共に出てくる。マキとミキの手にはそれぞれ少し小さめな紙袋が抱えられていた。

 

「これ私が作ってるものなんですけどあくまでも試作品なので完成したらちゃんと事務所にお送りしますね。」

「いいんですか!?」

「ええ、私の電話番号も渡すのでもし何か美容関係で困った事があればいつでも掛けてください。」

 

ニコニコと折り畳んだ紙を二人に渡す美穂。マキとミキは互いに顔を見合せ、おずおずと受け取った。

 

「あ、カマーさんによろしく言っておいてもらえませんか?」

「へ?いいですけど……お知り合いなんですか?」

「カマーさんは元々閻魔庁の記録科ですよ?職場が同じでしたし、今も時々依頼が来ますから。」

「「……ふぇ!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます。おかげで被害が最小限で済みました。」

「最後俺がぶっ飛ばした奴らどうなった?」

「衆合地獄の針山の頂上で犬神家状態になってましたよ。」

 

三蔵と美穂を伴って閻魔庁に帰ってきた月見と悟空は鬼灯と閻魔大王に出迎えられ、そのまま話し始めた。

 

「ホンットに申し訳ありませんでした!」

「いやぁ…そんな外交官に土下座されても困るというか……。」

「師匠、取り敢えず書類出してから土下座しろ。」

 

悟空にそう言われた三蔵はすぐさま起き上がると、自分の鞄から一束の紙を取り出した。表紙には「日中地獄に関する拷問器具について」と書かれていた。

 

「はいこれ!中国地獄からの資料です!」

「ええ、確かに受け取りました。………またモデルを取り寄せますかね。」

「今年もまた増えたの?なんか、毎年すぐ新しいやつが出てるよねぇ。」

 

紙束を渡され、そのまま見始めた鬼灯と後ろから覗き込む閻魔大王はそれぞれ思った事を口に出す。特に事情を知らない月見は首を捻りながら尋ねた。

 

「何の書類ですか?」

「中国地獄の拷問器具についてですよ。よくデザインが新しくなるんでその度にいくつか取り寄せてるんです。」

「毎年毎年更新されててねぇ……なんだか追い付けなくなっちゃうなぁ。」

 

鬼灯はそのまま同封されていたカタログに目を通し始め、閻魔大王は腕を組んでしきりに頭を捻っている。

 

「なんというか……こう、なんとも言えない気持ちになるんだけど……言い表せないんだよねぇ。」

「あれではないですか?現世の携帯電話が新しくなって買ってもすぐに型落ちになるのに対して感じるやるせなさ。」

「それだ!」

 

美穂の言葉に納得する閻魔大王。そんな閻魔大王を無視して読みすすめていた鬼灯はふと、とあるページが目に入る。

 

「………日本地獄デザイン?」

「それが本題だ。一種類でいいから日本地獄っぽい拷問器具を考えてほしいらしい。」

「なるほど、それでこちらに話が回ってきたと。」

 

ふむ、としばらく顎に手を当てて考え込んでいた鬼灯だったが、何か思い付いたかのように顔を上げる。

 

「あぁ、確か茄子さんがそう言うデザインとかが得意そうでしたね。拷問に使う実用性も考えて土方さんと組ませますか……。」

 

ぶつぶつ呟きながら考えていた鬼灯は一旦思考を止め、顔を上げる。

 

「分かりました、しばらくしたら送ります。」

「おう、すまねぇな。」

天部(上司)にも伝えときまーす。仕事も終わったし月見さん達にも会えたから満足!早めに帰るわよ悟空。沙悟浄と猪八戒が心配だからね。」

 

そう言って三蔵は悟空の方に振り返るが、悟空本人は申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「あー…すまねぇけどよ、先に一人で帰ってくんねぇか?」

「え?なんで?」

 

頭を掻きながら悟空は月見と美穂を指差し、口を開く。

 

「月見と美穂に酒奢る約束してんだよ。色々と積もる話もあるしな。一応道案内として俺の分身一体着いていかせるから頼む。」

「……全くしょうがないわね、元々私が無理矢理着いてきただけだから別に気にしなくていいわよ。」

「恩に着るぜ師匠。」

 

笑顔になった悟空は一本だけ抜いた髪に息を吹き掛け、小さな分身を作り出し空中に浮かせた。

 

「これでいいか?」

「うん、問題ないよ。」

 

三蔵は鬼灯と閻魔大王の方に向き直る。

 

「では私はこれで失礼します!」

「ええ、ありがとうございました。」

「気をつけてね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三蔵が閻魔庁を去った後、仕事を終えた月見と美穂に悟空が合流し、居酒屋に入った。店内は騒がしいという程でもないがまぁまぁ盛況のようだ。空いていたカウンター席に並んで座った三人はそのまま料理を注文し、そのまま駄弁り始める。

 

「それにしてもいつぶりだろうねこうやって三人でご飯食べるの。」

「軽く30年は経ってるだろうな。」

「私達長い間生きてるけどそれでも一部の人とかには敵わないからなぁ。まだまだ時間が長く感じるんだもの。」

 

真ん中に座る月見は出されたお冷をくぴくぴと飲み、左に座る悟空に対して尋ねる。

 

「美猴兄さん、最近の調子はどう?」

「問題ねぇ…と言いたい所なんだが、まぁ中々忙しくてな。今日だってようやく取れた休みだ。」

「そっか、そっちの地獄は人口爆発でてんてこ舞いだったもんね。」

「おかげさまで俺にまで地獄関係の仕事が来るくらいだ。」

「貴方も大変ね。」

 

悟空がため息をつき、月見が慰めるように背中を叩いたところで酒類とつまみが三人に届けられる。それぞれ月見は梅酒、美穂は日本酒、悟空に関しては焼酎が瓶で氷の入ったグラスと共に来た。

 

「月見、酒に弱いのは相変わらずか?」

「まぁこればっかりはどうにもならなかったから……。何故か炎も意味なかったし。」

「思いっきしアルコール飛ばせそうなもんだがな。」

 

少しばかり耳をしゅんと前に垂れさせながら梅酒をちびちび飲み始めた月見に苦笑いしながらグラスに焼酎を注ぎ始める悟空。既に一杯目に口をつけて半分ほど飲んだ美穂はそのまま枝豆をつまみながら悟空に話しかける。

 

「一回色々と試してみたのよ。」

「ほーん、でどうなった?」

「素面の時は問題なく燃やせるけど強い酒だと空気中にアルコールが広がって酔っちゃった。それにアルコールが入った状態だと炎が弱くなるみたいで、自分の中にあるアルコールを燃やせてなかったし。」

「ここまで酒に惑わされるやつお前しか知らねぇわ。」

「もう諦めて開き直ってるよ。」

 

そう言って梅酒を飲みきった月見は一息つくと店員を呼んで注文し始める。

 

「すいません…胡瓜の和え物と焼き魚と唐揚げと卵焼き下さい。」

「あ、日本酒追加で。同じようなやつ瓶ごと持ってきて下さーい。」

「お前らホント遠慮しねぇな。」

「だって美猴、相当持って来てるでしょ?」

「………まぁいい、俺も日本酒くれ。辛いやつな。」

 

図星だった悟空はそれ以上話を広げたくないのか、残り少なくなっていた焼酎をグラスに入れて飲み干した。

 

「分かりやしたー。お客さん、焼き魚は秋刀魚と鮭とホッケがありますけどどうします?オススメはホッケですけど。」

「じゃあホッケでお願いします。あ、僕も度数の低い日本酒があれば欲しいです。」

「了解しやしたー。」

 

そう言って厨房に向かった店員を見届けた月見は目の前にある枝豆を平らげにかかる。悟空も一息ついてメニューをじっくりと見始めた。

 

「色々あんなこの店。……ゴーヤチャンプルまであるじゃねぇか。」

「僕と美穂は時々来るんだけどね。お酒の種類もかなり多いし……確かワインもあったっけ。」

 

メニュー表の一角に「ワイン」と書かれているのを見た悟空だったが、別に気分ではないためそのままスルーした。

 

「そうだ、美猴。」

「んあ、なんだよ。」

「そろそろ結婚しないの?」

「ぶふぉ!?」

「……大丈夫?」

 

突拍子のない美穂からの質問に水を飲んでいる最中だった悟空が思わず吹き出す。そのままえづきだした悟空の背中を心配そうにさする月見を見て(かわいいなぁ。)と思いながら美穂は話を続ける。

 

「いきなりなんだよてめぇ…。」

「いや?単純に気になっただけ。そろそろそう言う浮わついた話とかないの?」

「ねぇよんなもん。」

 

そう言ってそっぽを向く悟空に対し、更に畳み掛けるように美穂が話す。

 

「え~?三蔵さんとか美人じゃない。なんか思う事ないの?」

「いや師匠だけはねぇわ。」

 

急に真顔になって振り向いた悟空に若干驚く二人。そんな二人の様子に気がついてないのか、そのままカウンターにある野菜スティックを齧りながら悟空が口を開く。

 

「あの馬鹿師匠は俺にとっちゃやることがあぶねぇガキなんだよ。あんな嫁こっちから願い下げだ。」

「確かに年の差千年ぐらいあるもんね。」

「そこじゃねぇんだよ月見。」

 

深いため息をつきながら悟空が頭を掻く。

 

「……最近、天部の奴らが「世継ぎ」だの「子孫」だのうるせぇんだよ。勘弁してくれ……。」

「まぁいいわ、あんまし探ってもいいこと無さそうだし。(三蔵さんが積極的に行ったらいけそうかしら。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ~久しぶりに飲んだわね。」

「んむぅ……ねむい……。」

「お前ホント酒弱ぇよな。」

「大丈夫よ、私がちゃんと介抱するから。」

 

数時間後、居酒屋から出てきて通りを歩く三人。辺りは暗く、もう店じまいを始めた店もちらほらある。美穂はほろ酔い程度で悟空はほぼほぼ素面だったが、真ん中を歩く月見は顔を赤くしながら若干千鳥足状態になっていた。美穂の手を握っていなければ真っ直ぐ歩けないレベルのようだ。

 

「介抱(意味深)。」

「当たり前じゃない。」

「いっそ清々しいなお前。幸せそうで何よりだ。」

「んあ?…どうしたのびこうにいさん。」

「いや、なんでもねぇよ月見。」

 

苦笑いしながら悟空が月見の頭をガシガシと撫でる。月見はされるがまま体を揺らしており、少し嬉しそうな雰囲気を出している。悟空が手を離すと若干髪がボサボサになっていた。

 

「んじゃ俺は帰りますかね。」

「近くに宿泊施設あるし泊まって行けば?」

「本気出せば自分の部屋まで瞬間移動できるから問題ねぇ。」

「觔斗雲いらないじゃない。」

「漫画の発想が面白いのが悪い。それじゃあな。」

 

そう言って二人に背を向けて帰ろうとする悟空だったが、ふと後ろから服を引っ張られる。背中に目を向けると月見が軽く服をつかみながらこちらを見ていた。

 

「ん?どうした月見。」

「びこうにいさん、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またね。」ニコッ

 

月見が幸せそうな微笑みを向ける。一瞬呆気にとられる悟空だったが、こちらもと言わんばかりに笑って返す。

 

「おう!またな!」

 

そう言ってその場から悟空がその場から瞬間移動で去っていく。月見はニコニコと微笑みながらとなりの美穂を見て口を開いた。

 

「みほ、ぼくたちもかえろうか。」

「ええ、そうね。(あ~、カッッワ。なにこのかわいい生物。あ、私の旦那だったわ。)」

 

月見の笑顔に心を乱される美穂だったが、それを顔に出さず月見の手を引いて帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、次の日朝起きたら事後だったってわけか。」

『頭と腰が痛いよ美猴兄さん……。』

「お前も満更じゃないんだろ?」

『………まぁ。』

「じゃあいいじゃねぇか。」




月見さんは酔った上で感情が一定値を越えると表情筋が機能し始めます。無表情キャラが表情豊かになる瞬間っていいですよね。



ストックが切れた上、少しリアルが忙しくなりそうなのでしばらくの間投稿しなくなりますがしばらくしたら再開しますのでそれまで気長に待っていただけたら幸いです。まだネタはあるので、しっかりと書いていこうと思います。

あと、書いて欲しい話などがあれば出来る範囲でやらせてもらいますので、もしあれば感想欄で送っていただけるとありがたいです。
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