閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

39 / 80
今さらですが、この世界はFGO時空です。

とてもかんたんなあらすじ
「とてもくる狂っとる月見さん」


狂乱日記二頁目

「ふ~ふふ、ふふふん、ふふふふふふふん♪」

 

月見はとてもご機嫌な様子で屋根の上を駆ける。鼻歌を歌いながら走っており、時折口から歌がこぼれていた。

 

「十五夜お月様、見て跳ねる~♪………およ?」

 

しばらく月見が閻魔庁に向かって走っているとふと何かに気がついたようでその場で足を止めた。

 

「あー白澤様だ。お香さんもいるね。」

 

屋根の上でしゃがみこんでいる月見の目線の先には、現在進行中で薬箱の隣で女性達の診察をしている白澤がいた。薬箱には[無料診察所(女性のみ)]と書かれた小さな旗が立っている。

 

「むー?お仕事かなー?…あ、鬼灯様。」

 

白澤が談笑しているところに音もなく近づいてきた鬼灯は、そのまま背後から白澤の首を片手で絞めた。白澤の口から変な音ともに空気が漏れだしてそのまま崩れ落ちた。

 

「あれまー喧嘩始まっちゃうかな?」

 

そのまま言い争いに発展した鬼灯と白澤を眺める月見だったが、段々と表情が何かをこらえるようなものになっていた。耳も激しくピコピコと動いてる。

 

「……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕もまぜてー!」

 

鬼灯による暴力行為が始まりそうになった瞬間、月見が我慢できない様子で飛び降りて行った。口にとてつもなく歪んだ笑みを浮かべて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ?ぶふぉッ!?

「くひひひッ!」

 

聞こえた声に反応して上を見た白澤はそのまま降りてきた月見によって顔面を踏みつけられた。苦しそうな声を上げる白澤だったが、月見はそれをガン無視してそのまま鬼灯の方に飛びかかる。無論、足場は白澤である。

 

「えいっ!」

「おっと。」

 

ガインッ  ブォンッ

 

「危ないですね、怪我したらどうするんですか?」

「あっはは、鬼灯様に言われたくなーい!」

 

月見は手に持っていた杵を振り下ろすが、鬼灯に難なく金棒で防がれた。そのまま反撃を喰らいそうになるが、反動で蜻蛉を切って回避する。周りはいきなり始まったバトルに騒然としている。

 

「あら、何時もの展開と違うわね。」

「お香さん、大丈夫なんですか?」

「被害を考えると鬼灯様対白澤様よりましよ。月見さんと鬼灯様だったら周りに被害が出ないようにするから。」

 

同僚に話しかけられたお香は冷静に状態を分析しており、他の野次馬と比べると幾分か落ち着いていた。しかし、気になる事があるのか頬に手を当てて何かを考え始める。

 

「にしてもどうしてかしらねぇ。」

「?何がですか?」

 

そう問われたお香は頬に当てていた手で深い笑みを浮かべる月見を指さす。

 

「月見さんが鬼灯様と訓練してるのは時々見かけるんだけど、ここまで好戦的になってるのは初めて見るのよ。」

「あぁ……今日はちょっと月の光の力が強くなる日でね……イテテ。」

「白澤様?大丈夫かしら?」

 

顔面を足場にされて地面に沈んでいた白澤がゆっくりと立ち上がり、そのままお香達の会話に参加してきた。踏まれた跡はまだ残っており、とても痛々しい感じがする。

 

「大丈夫だよお香ちゃん………どうやら標的が完全にあいつに移ったみたいだね。よーし!そのままやれー!」

「白澤様、そんな事言ってると…。」

 

自分がもう狙われないと確信して月見を応援し始めた白澤に対して苦笑いをこぼすお香。少し白澤を落ち着かせようと声をかけるが聞く耳をもたないようだ。

 

「うるさい」ビュンッ

 

ガンッ

 

「ごっはぁ!?」

 

そうやって煽っていると鬼灯が金棒を白澤めがけて投擲してきた。当然油断していた白澤が避けられる筈もなく、顔面ど真ん中に当たる。

 

「おや、つい癖でやってしまいました。」

「鬼灯様ってばお茶目なんだから~。ま、満足したからいいけど。」

 

形だけのてへぺろを無表情でしている鬼灯に対して話しかける月見。既に戦闘時の気迫はなく、とても飄々としたつかみ所のない状態に戻っていた。

 

「鬼灯様ー。今の僕に担当してほしいお仕事あるんじゃなかったの?」

「そうでしたね、閻魔庁に向かいましょうか。」

 

そう言うと鬼灯は沈んでいる白澤の隣の地面に転がっていた金棒を拾い上げ、ついでと言わんばかりに白澤をおもいっきり踏みつけると踵を返してその場から去っていった。

 

「またね~白澤様~。」

 

月見は返事もできないくらいボロボロにされた白澤に声をかけると先を歩く鬼灯の後に急いで走っていった。

 

「クッソ……ホント月見君があいつに似てきた……。」

「あれは鬼灯様関係無いと思うわよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~うさぴょいうさぴょい♪」

「なんですかその歌。」

「未来で流行る曲の替え歌でーす。君の愛兎が~♪」

「毎回思うんですけど、その状態になると未来予知できるんですか?。」

 

すたすたと歩く鬼灯の隣で歌っている月見は、将来サ○ゲで大人気になる育成ゲームの歌を自分を題材に改編していた。

 

「さあ?正直僕も頭に浮かんできたもの言ってるだけなんでね。そのうち某ボボにでもなるんじゃないかな。」

「地獄以上の地獄を作ろうとしないで下さい。」

「まぁまぁ、きっとこの状況を見てくれてる傍観者達(読者の皆さん)なら分かってくれるよ。」

 

末恐ろしい事を口に出す月見とそれを阻止しようとする鬼灯の二人だったが、気がつくといつの間にか閻魔庁の近くまで歩いていた。そのまま月見は軽い足取りで階段を上り、扉を開けようと手をかけるが、触れる寸前にピタリと止まった。後から歩いて登ってきた鬼灯が月見に話しかける。

 

「どうされましたか。」

 

そう鬼灯に問われた月見は耳をピコピコと揺らし、いたずらっ子のような笑みを浮かべながら振り返る。

 

 

 

 

 

 

「どうやらトラブルみたいだよ、鬼灯様。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だーかーらー!納得がいかねぇつってんのがわからねぇのかよ!?」

 

閻魔庁の法廷にて、一人の男が閻魔大王に対して怒鳴り散らしていた。顔は真っ赤になっており、ボディランゲージて激しく感情を表している。そのせいで周りの獄卒も近づきにくいようだ。

 

「いいや!お前の判決は火雲霧処!他人の迷惑を考えず笑い者にするその腐った性根を省みよ!」

「なんで俺が地獄行きなんだよ!?酒呑めねぇ奴が悪いんだろ!」

 

閻魔大王は怯まず判決を言い渡すが男は聞く耳を持たず、無茶苦茶な理由を挙げて反論…と言うにはお粗末な癇癪を繰り広げていた。

 

 

 

 

 

「なんともまぁ無自覚な亡者ですね。」

「うー、うるさいなぁ。」

 

様子を見ていた鬼灯は呆れたように呟き、月見は顔を歪めながら自分の耳を手でペタンと押さえている。するとそこに二人を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「鬼灯様ー!月見さーん!」

「おや、唐瓜さん…………今日は茄子さんと一緒じゃないんですね。」

「あいつなら「ちょっと打ち合わせがあるから~」とか言ってさっき別れましたけど…。」

「ならいいです。」

「こないだぶりだね小鬼君。」

「あ、どう…………も?」

 

鬼灯と会話を交わした後、何時もとは明らかに違う雰囲気の月見に話しかけられて固まる唐瓜。その様子を見ている月見はとても愉快そうに笑っている。

 

「やっぱりこの状態初めて見る人皆固まるね。」

「そりゃ200年に1日ぐらいの確率ですから知ってる人も少ないに決まってるじゃないですか。」

「それもそうだね。」

「え?…いや、え?」

 

しどろもどろしている唐瓜に対して鬼灯は状況説明を求める。

 

「月見さんについては後で説明します。で?いつからあれやってるんですか?」

「へ?……あぁ、えっと、俺もさっき来たんですけど、周りの獄卒の方達曰く30分ほどらしいです。」

 

唐瓜の言葉を聞いた鬼灯は顎に手を当てて、何かを考え始める。10秒ほどその状態のままだったが、やがて月見の方に顔を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月見さん、手っ取り早く終わらせて貰えませんか?おそらくこの後も裁判の予定が詰まってるので。」




ちなみに通常の月見さんは真顔がデフォルトで感情が限界まで高ぶったりすると顔に出ますが、狂気状態の月見さんは常に口角が上がっており表情がコロコロと変わります。ただ、その表情の種類のほとんどが「笑顔」であり、それ以外の表情をするのは通常と同じで限界まで感情が高ぶった時です。


次回予告

「狂い果ててね」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。