閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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とてもかんたんなあらすじ
「突如始まる月見さんVS鬼灯様」


狂乱日記三頁目

「いいの?下手したらあの人しばらく再起不能になるけど。」

「構いませんよ、あの能力も使わないと鈍るでしょうし。」

「了解~。あ、周りの皆に近づかないように言っといて~。」

「あ、ちょっと!?」

 

月見はそう言って未だに騒ぎ立てている亡者の方にてくてくと歩いていく。唐瓜は止めようとするが、鼻歌を歌っている月見には届いておらずどうしようかと戸惑っている中、隣の鬼灯に声をかけられる。

 

「大丈夫です…………あぁそうだ、今から使うのが元旦の時に話した月見さんの二つ目の能力ですよ。」

「あの時省かれた話ですか?」

「ええ、ちゃんと見てて下さいよ、

 

 

 

月の狂気を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇおじさん、何をそんなに怒ってるの?」

「あ!?んだよこのガキ!」

 

月見はニコニコと貼り付けられたような笑顔を浮かべて狂乱状態の亡者に話しかける。亡者は自分の苛立ちを隠そうともせず月見にあたるように拳を振るう。

 

ビュンッ  

 

「おっと危ないなぁ。まったく……暴力はダメだって教わらなかった?」

「避けんじぁyvpmざぁqnriytlな!!!!!!!」

 

危なげなく避けた月見は更に煽るようにクスクスと笑う。その様子を見て馬鹿にされていると受け止めた亡者は激昂し始める。もはや何を言っているかわからないレベルだ。しかし、月見はそれをガン無視して閻魔大王に話しかける。

 

「ねぇ閻魔大王、この人何やったの?」

「ええと…他人に強制的に酒を飲ませたり、それで倒れた人を嘲笑ったり……他にも色々やってるみたいだね。」

「ありがと、見せるもの(・・・・・)が決まったよ。」

 

月見は閻魔大王に礼を言った後、後ろから殴りかかってきた亡者の拳を振り返りながらつかみそのまま横に力を流すように動かした。それにともない、亡者がバランスを崩した所にローキックをかまして地面に叩きつけた。

 

「あっで!?」

「あーあ、無様だね………ま、今からもっとすごいことになるんだろうけど。」

 

地面に叩きつけられて痛がっている亡者を見る目が淀んでいる月見。その口元にはとても歪んだ笑みが浮かべられている。月見はゆっくり亡者の頭付近に近づくと、思い切り顔の真横に蹴りを入れる。

 

「ひぃ!?」

「あれ?何怖がってるの?君にそんなに権利があるとでも思ってるの?」

「ゆ、許して…。」

「んー……ヤダ。」

 

そう言うと月見は左目の包帯を解き始める。するとなぜか左目が開いていた。しかしその目を至近距離で見た亡者は何かから逃げ出したいかのように体を捩らせるが月見はそれを防ぐように顔を右手で鷲掴む。

 

「鬼灯様に頼まれたからね、お仕事はちゃんとやるよ。」

 

月見の左目の奥がこれ以上ぐらい淀み始める。それに合わせるように耳の炎も妖しい緑色になった。男は大人しくそれを視界に収めるしかない。炎は月見の体をつたって男へ近づいていく。

 

「あ………あ。」

 

ついに男を緑の炎が包み込んだ

 

「さ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しっかりと狂い果ててね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぐ!?……ここは?」

 

男が意識を覚醒させると、あたり一面全てが闇に染まっていた。最早地面すらもよく分からない。

 

「確か…あのガキかッ!おれになにしy「先輩お久しぶりです」あんだよ!……は?」

「相変わらずですね。」

 

あたりを見回した後、自分に起こっていることを把握しきれない亡者は原因である月見への怒りを露にするが、背後からかけられた声に反応して怒鳴りながら振り向いた。しかし、声の元を見た瞬間亡者は呆然と口から声を出す。亡者の視線の先にはニコニコと笑うスーツ姿の青年がいた。

 

「な、何でお前がここにいんだよ!?」

「やだなぁ、そんなの決まってるじゃないですか、死んでるからですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方のせいでね。」

「は?」

 

青年からの言葉に動揺した亡者は思わず声が出てしまう。その表情からは何の事だかわからないといった言葉が聞こえてきそうだ。しかし青年はそんな亡者の様子を無視して話を続ける。

 

「覚えて無いんですか?貴方、僕に死ぬ程酒を飲ませてぶっ倒れた所を晒し者にして放置してましたよね?」

「そ、それがなんだよ。」

「そのせいで自分急性アルコール中毒で死んだんです。つまり貴方が僕を殺したんですよ。」

「し、知らねぇ!俺はお前を殺してない!お前が酒に弱すぎんのが悪ぃんだろ!」

 

慌てふためきながら反論する亡者の様子に、青年はため息をつく。青年が目を開けると光がなく、周り以上に真っ黒な暗闇があった。そのまま笑みを深くした青年はゆらゆらと男に近づいてきた。

 

「まったく……反省は無しですか。まぁ、他人に罪を擦り付けてる時点でそうだとは思ってますが。………それにしても。」

「な、な、な、なんだよ!」

「なんともまぁ

 

 

 

 

 

無様だなぁって。あっはははははははははははははは。」

「ヒッ、な、何がしたいんだ!」

「いいや?貴方にされたこと…………皆で返してあげようかと。」

 

いきなり目の前で笑い出した青年に恐怖した亡者がしりもちをつく。下から見上げた青年の顔はこれでもかと言うぐらい深い笑みを浮かべており、それがまた恐怖を煽る。

 

「み、皆ってどういうことだ。」

「んー?先輩、まさか被害者が………恨みがあるのが僕だけだとでも思ってます?」

「何を言って………………。」

 

はっと何かが後ろにいることに気がついた男はすぐさま振り向く。

 

「どうもどうも、貴方に殺された/壊された/黙らされた人ですよ。」

「な、あ……。」

 

そこには一人の人間がいた。しかし、その輪郭はぶれておりどこか安定していない。そして何より様々な人間が混ざったような姿をしている。長髪の女性かと思えばスキンヘッドの男性、挙げ句の果てには少年の姿にまで変化していた。

 

「あれ?どうしたの?」

 

「まさか、貴方怖がってるんですか?」

 

「どうぞどんどん怖がって下さいな。」

 

「「「「「僕/私/俺達にしたみたいに笑ってあげるから。」」」」」

 

「ひっ、ひぃ!助けッ…「どこ行くんですか?」あぁッ!?」

 

 

地面を這いつくばって逃げようと横を向いた亡者だったが、いつの間にか周りには沢山の人間が並んでいる。

 

 

あはは ねぇ見てあれ うわ~醜~い 滑稽だな あはははは クスクス うける~ 無様だね~ あはは

 

「な、なんだよお前ら!どっか行けよ!」

 

あんなこと言ってる~ あははははは クスクス あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

 

「や、やめろ…俺の事を笑うんじゃねぇ!」

 

アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

 

「やめろ…やめてくれ……。」

 

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろ………やめろ……………やめて……………………やめて………………………。」

「ふぃー、こんなもんかな?」

 

一分ほど燃やした後、月見は呆然と何かを呟き続ける亡者から手を離し、一仕事やりきった感を出しながら振り向く。

 

「鬼灯様ー、影響なかった?」

「少しばかり漏れ出てましたが……まぁ大した被害でもないので大丈夫です。」

「そぉ?じゃあこの亡者とっとと退かしてくるね~!」

 

そう言って月見は鼻歌を歌いながら亡者の襟をひっぱっていく。ちなみに亡者は未だに目が虚ろで頭を抱えながら許しを乞いていた。周囲の獄卒が月見が近づいてきたら思わず身を避けてしまう程にはその光景は狂気的だった。

 

「さてと、今のうちに茄子さん達を呼んでおきますか。」

「……………………。」

「唐瓜さん大丈夫ですか。」

「……………はっ!?」

 

月見が亡者を持っていく所を見届けた鬼灯は隣で唐瓜が固まり続けている事に気が付き、声をかける。

 

「い、今のは!?」

「あぁ、唐瓜さん少しだけ見たんですね。あれが月見さんが使える能力の一部です。」

「一部?」

「歩きながら話しますよ。」

 

鬼灯は一旦話を切り、月見が行った所とは違う廊下へと向かう。余韻がまだ残っているのか呆気にとられる唐瓜は慌てて鬼灯の後についていく。




途中で描写した亡者の男が嘲笑われるシーンですが、簡単に言えば「月見さんが見せたいと考えた物をその人の頭が勝手に当てはめて強制的に発狂させる」という方法で見てる亡者の夢みたいな物です。ただし、これに狂気の力を使っているため制御が甘くなって少々漏れ出てしまい、時々周りにいる人にも見えてしまいます。唐瓜が本編の最後で固まっているのはそれにより夢の一部を見てしまったからですね。


次回予告
「だいぶ理不尽」
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