閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

44 / 80
Fate側をメインにした物も考えています。
ですが、他にも書きたい話が沢山あるので暫くお待ち頂けたら嬉しいです。


とてもかんたんなあらすじ
「人間状態な月見さんと美穂さん」


幽霊日記三頁目

「で?そっちの二人は何なのよ。さっきから話に入って来たり刃物ぶん投げて来たり……そのエジプトの死神と比べりゃよっぽど人間っぽいけどお前の知り合いならまともな奴じゃ無いでしょうし。」

「刃物云々は貴女の言えた事では無いでしょうけど………。彼らは私の同僚ですよ。ほら、自己紹介してください。」

「ふむ?分かりました。」

 

しゃがんで地面に落ちたメスを拾っていた月見はパーカーの裾を直しながら立ち上がり、スカーレットの方に向き直り敬礼する。

 

「日本地獄で獄卒専門の医者をしております、月見と申します。以後お見知りおきを。」

「月見の補佐をしている美穂でーす。よろしくお願いしますね。」

 

真顔の月見とフレンドリーに笑う美穂を訝しげに見るスカーレットは眉をひそめながら口を開く。

 

「ふーん、こいつらもあんたの仲間なの?少なくともエイリアンには見えないけど。」

「だから私はエイリアンじゃないですよ。まぁ二人とも化けてますからね。せっかくなんでお二人共人化の術を解かれては?」

「一応結界張って人が入らないようにしてから解きますねー。」

「ちょっと、何する気よ。」

 

いきなり印を組んで何かを呟き始めた美穂を止めようとするスカーレットだったが、美穂がそれを無視して詠唱を終えた瞬間に玄関の扉や窓に幾何学模様が浮かび上がった。

 

「「人間のみ入れなくなる」っていう効果と認識阻害かけときましたよ。そろそろいつもの姿に戻りますね。あ、月見フード外しといてね。」

「分かったよ美穂。」

 

月見が被っていたフードを外した後、美穂が指パッチンをした途端に二人が燃え上がる。

 

「うおぅッ!?」

「相変わらず派手ですね、眩しいのでもう少し光量落として貰えません?」

『すいません無理ですー。』

 

突然の人体発火に思わず変な声が出るスカーレットの横で帽子を押さえながら鬼灯が美穂に話しかけている。普通に返事しているあたり、特に問題は無いようだ。燃え始めて数十秒後、ようやく二人の炎が消えていつもの獣耳やモフモフの尻尾が現れた。月見のうさみみにはしっかりと青い炎が宿っている。

 

「ふぅ、やっぱり楽ですね。完全な人間の姿は慣れません。」

「あ、尻尾出してていいですか。もし迷惑でしたらまた仕舞いますけど。」

「え?まぁいいけど……。」

「ありがとうございま~す。」

「まぁそう言う事なんで中の案内頼めm「て、ちょっと待てェッ!?」なんですか。」

 

何事もなかったかのように話を進めようとする鬼灯にスカーレットからツッコミが入る。

 

「さも当然のように今のを放置すんじゃないわよ!」

「あぁ、ご安心下さい。人化の術を手早く解こうとしただけなので他の物に燃え移ることは無いですよ。」

「そこじゃねぇ!」

「ふむ……別にいいじゃないですか。貴女だって怨霊なんですから人体発火程度で驚いていたら身が持ちませんよ。」

「怨霊の私が言うのもなんだけどもうちょい常識考えろ!」

 

のらりくらりと返事をする鬼灯との言い合いで肩で息をし始めるスカーレットだった。

 

「ゼーッゼーッ………あぁもうメンドクセェこいつ……。」

「あの…。」

「ん?……何よ元凶。」

 

おずおずとスカーレットに近づいてきて威嚇された月見が鞄の中をまさぐり始めた。いきなり目の前で鞄をまさぐり始めた月見を若干警戒しているスカーレットだったが、そんなことはお構い無く月見は鞄から箱を一つ取り出す。

 

「取り敢えずこちらをどうぞ。」

「?…なんなのこれ。」

 

箱を差し出されたスカーレットはおそるおそる受け取り表面に目を通すがいまいち中身をはかり損ねているようだ。

 

「日本のお菓子ですよ。何も無しに訪れるのも少し気になったので……あ、ご心配なくちゃんと霊でも食べれるように作ってますから。」

「え、ホント!?」

 

お菓子という単語が聞こえた途端に目を輝かせるスカーレット。

 

「この前日本の事調べたら「和菓子」っていうの見つけて気になってたのよね~。」

「気に入っていただけたようで何よりです。」

「見た目でこん中で一番ヤバい奴だと思ってたけど、なによ一番常識あるじゃない。」

 

そう言ってスカーレットは月見の肩を叩こうとしたが、その手は何にも触れず通り過ぎる。不思議に思って月見の方を見るとニコニコと笑っている美穂が月見を後ろから抱き締めて頭に顎をのせている。なんとなく威圧感も感じる。

 

「いきなりどうしたの美穂。」

「んー?いや、何でもないよ月見。」

 

そのまま月見の頭に顔を埋めて匂いを嗅ぎ始めた美穂。いきなり変態的な行動をし始めた美穂とそれに特に反応せずされるがままこちらを向いている月見を見てスカーレットは若干引いたような目をしながら鬼灯に話しかける。

 

「え、なんなのこいつらいきなりイチャつき始めたんだけど。」

「いつもの事……というか美穂さんの発作ですかね。夫である月見さんが他の女性にと触れあうのが嫌なんでしょう。」

「こいつら夫婦だったの?」

 

二人の方を指差しながら鬼灯に尋ねるスカーレット。その顔は明らかに「変なものを見た」と物語っている。それに同意するかのように頷いた鬼灯はため息をつきながら答える。

 

「ええ、地獄でも一、二を争うレベルのおしどり夫婦ですよ。月見さんはまだ公衆の面前では手を繋ぐ程度で済ませますが、美穂さんは所構わず隙あらば月見さんとイチャイチャしたがります。独身の獄卒から「砂糖吐きそう」という苦情が多数寄せられてますよ。」

「取り敢えずあの狐っぽい女の方がヤバい奴ってことでいい?」

「ええ、月見さんを自分の物にしようとした相手だったらたとえ神相手でも正面から殺しに向かう位には月見さん大好きですからね。」

「…………やけに具体的ね。」

「何回かありましたから。良かったですね貴女が神だったら今頃片手位は吹っ飛ばされてましたよ。」

「コッワ!?」

「むぅ、失礼ですね。」

 

頬を膨らませた美穂が月見の頭に顎をのせながら話しかけてきた。

 

「一応貴女を守る為でもあるんですよ。」

「?どういう事なのよ?」

 

スカーレットに問われた美穂は月見のうさみみを弄りながら口を開く。尻尾でがっちりホールドされている月見はずっと無表情のままである。

 

「月見の能力ですよ。この炎…正式名称は「月炎(げつえん)」って言いますけど…燃やすものは月見が有害だと感じた物だけなんですけど悪霊とかは問答無用で燃やしちゃうんですよね。もっと言えばストレスとかが極端に多いと勝手に燃えちゃうんですよ。」

「そういえばあのマネージャーの方も似たような事になってましたね。」

「………てことは私ソイツに触れたら成仏すんじゃん。」

 

ススス、と月見との間に鬼灯を入れるような所に移動するスカーレットだった。暫くの間無言だった月見だが、美穂の頭を片手でポスリと叩くと月見は口を開いた。

 

「美穂………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それについては「能力を完全に切ってたら問題ない」って言ってなかったっけ。」

「……………………ヒュ~♪」

 

月見の言葉にそっぽを向いて口笛を吹き始める美穂。それを見上げる月見は少しばかりジト目になっている。

 

「人前で僕を抱き締める為にそれっぽい嘘つくのやめよ?」

「むぅ………わかった。」

「……………………………………二人きりになった時は何でもしていいから。

「そういえば鬼灯様~アヌビス様~。ここにはどんな御用事で訪れたんですか~?」

 

月見が美穂にだけ聞こえるように何かを呟くと満面の笑みを浮かべた美穂が月見を抱えながら鬼灯達の方へ振り向く。明らかに先程月見に抱きついた時以上にルンルン気分なのが見てとれる。しかしアヌビスは何事も無かったかのように手をポンと叩いてスカーレットの方へ向き直る、

 

「あぁ、そうでした!じゃあこの屋敷の見学を「いや、あれほっとかれても困るんだけど。」」

「このままエントランスにいて貰いましょう。隙あらば美穂さんが惚気るので話が進みません。」

 

鬼灯がチラリと月見と美穂の方向を見ながらヒソヒソと話す。表情から動きまでスペースネコチャンになった月見を抱えながら妖しく見下ろす美穂がいたが、全てをガン無視して鬼灯は二人に話しかける。

 

「というわけで、お二人にはここに残って貰うということでいいですかね。」

「了解しました~。結界の維持しときますね~。」

「ん?……ちょっと!まだ案内するとは言って無いわよ!」

 

ナチュラルに屋敷を案内するということにされたスカーレットは鬼灯に指を差しながら怒鳴る。しかし、鬼灯は全く怯むこと無く鞄から一冊の本を取り出す。その表紙には『世界の事故物件』と書かれていた。

 

「まぁまぁ、取り敢えず私の事故物件ノートに新たな一ページを刻ませて下さい。」

「バッ…何そのノート趣味悪ッ!?ホント何なんだよオマエ!!」

「ちなみに私は『世界の呪いベスト100』を作ろうと頑張ってるんです。個人的にはピラミッドを1位に入れたいんですけど自惚れですかね~~~。」

「知らねーよ帰れ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行っちゃったね。」

「まぁまぁ、ゆっくりしましょ。」

 

なんやかんやあって誉められると弱いスカーレットが鬼灯とアヌビスを地下に案内している間、月見は術式で椅子を作って座った美穂に抱えられたままリラックスしていた。月見が自分に巻き付くモフモフの尻尾をのんびりと手櫛で解いていると不意に美穂が抱き締める力を強くした。

 

「?…どうしたの?」

「ねぇ月見ぃ、さっき言ったことは忘れて無いよね?」

「…………………………あ。」

 

先程自分が小声で美穂に言った言葉を思い出した月見が動こうとした瞬間、美穂が月見を向かい合うように回転させてそのまま唇を奪う。しかも逃げられないようにしっかりと二本目の尻尾を出して巻き付かせた上、余った両手でがっちり頭を押さえて逃げられないようにしている。数十秒間その状態続いたが、ゆっくりと美穂が顔を離す。二人の舌の間に糸が引いている事が深い方をしていた事を明確に示している。頬を赤くしながらも妖艶に笑う美穂とは対象的に月見はいつもの無表情とはだいぶ変わってトロンと溶けたような顔をして荒い息をしていた。

 

「みほ、らめ、ひとのいえ。」

「んー?大丈夫大丈夫、ただの味見(・・・・・)だから…………だから、ね?」

 

呂律が回っていない月見を見て更に興奮した美穂はその後も暫くの間月見の口の中を蹂躙していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、やっと帰って来ましたね。」

「すいません。少し驚かし方についての相談がありまして。」

「いやぁ、とても良いミイラも見れましたから満足です!」

「………ねぇ何があったのソイツ。」

「」ビクンッビクンッ

「それは………ナニがあったんですよ。」

(またやったなこいつら。)

 




月見さんの月炎はストレスや悪感情等も燃やして浄化出来るので、それらが元になって生まれた悪霊等は月見の炎によって燃えやすくなる対象になっています。




あと二週間程課題や受験で忙しくなるので、またしばらく時間が空いてしまうかもしれません。気長にお待ち頂けたら幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。