もしよろしければ、もう一つの作品の方も読んで頂けたら嬉しいです。
タイトルの時点でFGO民の方はある程度予想出来ていると思いますが、今回の舞台はあの場所です。
それではどうぞ
閻魔庁の法廷にて、現在進行中で亡者の裁判が行われている。
「判決、お前は天国行きだ。ただ、遺族の供養によるものであることを忘れるんじゃないぞ。」
「ありがとうございますッありがとうございますぅッ。」
判決を出された亡者は泣きながら先導する獄卒の後に着いていった。その亡者が法廷から出ていった直後、閻魔大王は大きなため息をつく。そこに先程までの威厳のある姿は無かった。
「ふぅ~、ちょっと喉が痛いな~。」
「お疲れ様でした閻魔大王、本日の裁判は今ので終了です。」
「あ、ホント?いやぁ、最近亡者の数が増えてるからさぁ、どうしても声が枯れちゃうんだよねぇ。」
「罪も多様化してますからね。こちら月見さんからの差し入れです。」
そう言って鬼灯は閻魔大王の机の上にビニール袋を置く。その中には小分けに包装された黄金色の飴玉が入っていた。サイズも閻魔大王に合わせて大きくなっている。
「おぉ!のど飴かな?」
「ええ、様々な薬草を掛け合わせた特製蜂蜜のど飴だそうです。私も貰いましたが、中々の効き目ですよ。」
「早速一つ頂こうかな。」
閻魔大王は包装を破り、一粒の飴を口の中に入れる。しばらく口の中で転がしていたが、次第に顔を綻ばせていく。
「あ~美味しいなぁこれ。蜂蜜の甘さと薬草の独特の風味が丁度良く混ざってるねぇ。」
「月見さんって割りと料理好きなんですよね。」
「そうなの?月見くんって餅にしか興味ないイメージあるけど。」
「昔はそうでしたけど、今はかなりのジャンルに手を出してますよ。」
そう言って鬼灯は懐から携帯電話を取り出し、写真を見せる。そこには多種多様な料理がずらりと並べられていた。良く見ると、和食は勿論中華や洋食、フランス料理に挙げ句の果てにはエスニック料理もある。
「これいつの写真?」
「この間あった補佐官の集まりで振る舞ってもらった料理です。3分の1位は樒さんですが、残りは月見さんが作ってます。」
「へぇ~、そんな事があったんだ。君に似て凝り性というか、器用なんだねぇ。」
「閻魔大王、鬼灯様、何を見ていらっしゃるんですか?」
閻魔大王が写真を見て納得したような声をあげた所で、何やら袋を持った月見が法廷に現れる。
「あぁ!月見くん、のど飴ありがとうね。美味しかったよ。」
「いえいえ、お口に合ったのなら何よりです。」
そう言って月見はうさみみをぴょこぴょこと動かす。
「月見さん、準備は出来ましたか?」
「はい、一応級段位所持者は揃っているそうですよ。美穂も先に行ってます。」
「あれ、鬼灯くん今日何かイベントでもあるの?」
月見と鬼灯の会話の意味がわからない閻魔大王が二人に尋ねる。鬼灯は特に何も気にせず言葉を返す。
「あぁ、料理教室ですよ。私と月見さんは主催者兼参加者です。」
「へぇ料理教室…料理教室!?鬼灯くんが!?どこでやるの!?」
「おや、知りませんでしたか。閻魔大王が直々に
閻魔亭ですよ。」
「
「ええ、遅くなってすいません。」
地獄から少し離れた場所であり尚且つ現世とは隔絶された世界、幽境の一角に建つ旅館「閻魔亭」のエントランスにて、鬼灯と月見が一人の少女と話している。少し舌足らずな少女……女将の紅閻魔は楽しそうに会話をしているようだ。
「かまわないでち!鬼灯様は今回の企画の主催をして貰ってるからむしろ感謝してるでち!わたちは経営は出来てもこういうイベントとかの運営は苦手なのでち。」
「今回の参加者はどれくらいですか?」
「鬼灯様と月見さん合わせて30人ぐらいでち。さ、こっちでちよ。」
そう言って紅閻魔は踵を返し、てくてくと歩き始める。
「早く私達も向かいましょうか月見さん。」
「分かりました……………鬼灯様。」
「何でしょうか。」
月見が一つの掲示板の前で立ち止まり、鬼灯に声をかける。そこには一枚のポスターが張ってあった。全体的に赤く、地獄を連想させるようなそのポスターには、
「もう少しこのポスターなんとかならなかったんですか?」
「別に間違って無いのですから良いじゃないですか。」
「ヘルズキッチン」と書かれていた。
「あ、月見~。こっちこっち~。」
だだっ広い閻魔亭の厨房、30人ほどの受講生が互いに近況報告や世間話等をして騒がしい中、エプロンを着て入ってきた月見を見つけた美穂が呼んできた。迷う様子もない月見はてくてくと美穂の隣に歩いていった。そうして美穂の近くまで行った月見は美穂の周りに複数人の知り合いがいることに気が付く。
「あ、玉藻さん、清姫さん。ご無沙汰しております。」
「おやおや?月見さん、この間以来ですね丁度良いところに。先程まで美穂姉様の惚気話に付き合わされてまして、お腹一杯だった所だったんです~。」
「たまちゃんったらひどい~。ちょっと最近あったことを伝えただけなのに。」
「自分の好みドンピシャの夫捕まえておいて何を言っておられるんですか!」
「そうです、そうです。転生した安珍さまの魂を未だにとらえられない私への当て付けですか!」
「わーん月見~。妹とメル友が冷たいから慰めて~。」
ぷんすこと怒る玉藻と清姫だったが、美穂はそれを口実に月見に甘えようとする。月見も月見で無表情で寄りかかって来た美穂の頭を撫でている。計画的犯行が成功した美穂はそのまますりすりと月見に頭を擦り付け始めた。これには流石に月見も止めに入る。
「美穂、これから料理教室だからね?ほら、早くちゃんと立って。」
「むぅ……まぁ、いいや月見成分は補給出来たし。」
「………一体私は何を見せられてるのでしょう。」
玉藻はとてもげんなりしている。リア充が目の前でイチャついている非リアとは大抵そんな反応である。するとその流れを断ち切るように清姫が声をあげる。
「さぁ、そんなことよりも!早く準備をいたしましょう!」
「えぇ、分かりましたけど……美穂姉様、彼女なんでこんなにやる気満々なんです?」
「あー……うん、この前ね……
ほわんほわんみほみほ~
一週間前
「「胃袋の掴み方」?なぜそんな事を聞くんです?貴女結構料理出来ましたよね?」
『いいえ、現状に満足しているようじゃいざという時に安珍さまを堂々とお出迎え出来ません!何か方法を考えて頂けませんか!』
「うぅん………つまりは更に料理の腕を上げていつか現れるであろう想い人の胃袋を掴みたいと……。」
『そうですそうです!』
「ふむ…………………でしたら今度あるヘルズ・キッチンに予約してみては?その料理教室なら他よりも実践的に学べますし、成長すると思いますよ。」
ってことがあったの。」
「なんなんですか今の効果音……というかもしや美穂姉様、清姫さんにここの詳細を伝えてないのでは?」
「あ、やっぱりまずかった?」
てへ、と可愛く舌を出す美穂とは対照的に玉藻は口角をひくひく震えさせながら隣でやる気に満ち溢れている清姫に尋ねる。
「あのぉ…清姫さん?ここの教育方針はご存知ですか?」
「?いえ、知りませんが。どうかなさいました?」
「実はここ「はーい、じゃあ早速始めるでちよ~。」あ、やっべ。」
「ちょっと??そんなところで止められたら気になるんですが?」
無慈悲にも紅閻魔が料理教室を始めてしまい、聞く事が出来なかった清姫は悶々としながら声の聞こえた方へ体を向ける。そこには教師用の調理台の側で話す紅閻魔がいた。しかし一つ違和感がある。
「………なんなんでしょうあの紐?」
紅閻魔の隣には何処かに繋がっているであろう紐が垂れ下がっていた。一人首をかしげる清姫だったが、不意に周囲の受講生達の様子が少しおかしい事に気がつく。肩を回し、深く伸脚をして手首を解す。どう考えても料理より激しい何かをする準備運動にしか見えない。
「え?……え?」
「今回は初めての人もいるらちいでちゅので全員初心に戻って復習していくでち。」
その言葉と共に紅閻魔は隣の紐を掴む。その瞬間、受講したことのある生徒は緊張した面持ちになる。清姫をはじめとした初参加者は置いてけぼりである。
「というわけで、食われる側の気持ちになってこいでち。」グイッ
パカッ
紅閻魔が紐を引いた瞬間、その場にいた受講生達の足元が開いて全員が落ちた。
この作品の玉藻さんはfateの設定である「天照の転生体」です。妲己が生まれる所で天照の魂が入って来た形になり、その後地獄に来た際に別れたため、妲己と玉藻がそれぞれ存在しています。要は死んだことで妲己の中から玉藻(天照)が出て天照として実体化したため、両方とも存在しています。しかし本人は天照ではなく玉藻として生活しています。よくわからなかったらまたコメント下さいませ。
きよひーは美穂さんともメル友です。時折「好きな人を自分の元に縛りつけて離さない方法」について美穂さんに相談してます。