閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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皆様のおかげで先日UAが10万を突破致しました。本当にありがとうございます!これからも月見さんをお願いします。



かなり貴重なツッコミになる清姫はここにいますよ。





料理日記二頁目

「きゃあッ!?」

 

いきなり空中へ投げ出された事に驚きが隠せない清姫。周りも暗闇で状況の把握も出来ない事も混乱に更に拍車をかけている。しばらく落ちていると、次第に周囲が明るくなっていることに気がつく。それに伴って下を見た清姫は盛大に頬をひきつらせる。

 

「なるほど………これは玉藻さんがあんな動揺してたのも納得ですね。」

 

眼前には段々と迫る見渡す限りの大自然があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほっ、よっと。」

 

清姫とは少し離れた場所にて、月見は木を利用して器用に落下速度を殺して行き、最終的には巨大な森の中ににしっかりと着地した。

 

「まさか狩猟から始まるとは………取り敢えずどうしましょう。」

 

そう言って月見は来ていたエプロンを小さく折り畳むとポーチの中へ収納した。明らかに体積が合ってないが、今さらである。その後適当な木に登って周囲を確認する。

 

「ふむ、取り敢えずは大人しくここら辺の木の実やキノコを集めますかね。」

 

辺り一面に木が大量に生い茂っており、地面はほとんど見えない。少し遠くには山も見えた。月見は再び地面に降りると、周囲の散策を始める。豊かな自然に囲まれてはいるが、月見は気を緩める事なく歩みを進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………いた。」

 

数分後、月見は木の上である一点を見つめていた。目線の先には一匹の猪がフゴフゴと鳴きながら何かを食べている。そこまでは山や森では普通の事である。しかしその光景を普通であると断じるにはおかしい点が幾つかある。

 

 

 

ドスン   ドスン

 

「何をしたらあんな大きくなるんでしょう?」

 

サイズが明らかにおかしい(・・・・・・・・・・・・)。通常、猪は体長140cm程大きくても170cm位だが、目の前にいる猪は少なくとも5mはある。その上、食べているものがその巨大な猪が倒したであろう木だ。周りに他の動物血が散乱しているのため、食後のデザート感覚なのだろう。月見がしばらく大人しく観察していると、満足した猪がその場から離れた。見えなくなった後、月見はその食事現場に近づくと、その場にしゃがみこむ。

 

「えーっと、残っているものからしてここらにいるのは、鹿や………あと鳥ですかね。捕まえて仕留めましょう。鴨が居ればいいんですけど。」

 

地面に散らばった骨や臓物で生息する動物を特定する月見は、しばらくの間その場で色々と考え始める。

 

「あとは……そうですね、軽く調理出来る山菜も探しましょう。ふきのとうにタラの芽、わらびも………お腹空いたなぁ。」

 

そう言ってうさみみをへにょんと萎れさせる月見。表情こそ変わらないものの、纏う雰囲気から若干悲しそうなのがひしひしと伝わる。そんな中、月見の背後から一匹の動物が近づいて来た。

 

「シャー」

 

蛇である。どうやら縮こまった月見を少し大きめの兎だと思い、狙っているようだ。大体間違っていないのがなんともおかしな話だ。蛇は静かにするすると体をくねらせて月見の近くまで来る。此方に見向きもしない月見を隙だらけと認識した蛇は口を大きく開き、そのまま月見に噛みつこうとする。

 

 

 

 

ガシッ

 

「!?」

 

しかしその蛇の目の前にいる兎は被食者ではない。月見は振り向きもせず右手で蛇の頭を鷲掴み、口を閉じさせる。そのまま月見は目の前まで蛇を持ってくる。

 

「…………………。」

「…………………。」ダラダラダラダラ

 

無言で見つめてくる月見から放たれるプレッシャーに心の冷や汗が止まらない蛇。しかし、しっかりと握り込まれているため逃げることは出来ない。

 

「そういえば……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇の肉って鶏肉みたいでおいしいんでしたっけ?」

 

月見の口の端から少しよだれが垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっもっもっもっ

 

「………………おいひぃ。」

 

30分後、焚き火の側でこんがりと焼けた串焼き蛇を三角座りで頬張る月見。隣には周辺で集めた山菜が積まれていた。するとそこに近づく巨大な影があった。音に気がついた月見が串焼きを咥えながら振り向くと、影の主が現れる。

 

「おや、月見さんでしたか。」

「あ、鬼灯様(ふぉうふひふぁま)。」

 

そこには巨大な物体を背負った鬼灯がいた。

 

「んぐっ………どうして此方に?」

「そりゃあこんな山の中で焚き火なんてしたら目立つに決まってるでしょうに。取り敢えず来てみただけですよ。」

「そうですか。」

「そうですよ。」

 

そう言って鬼灯は背負っていた物体を隣に降ろす。よくよく見ると、先程見送った巨大猪だった。見事なまでに狩られている。

 

「持ち運びが面倒そうだったので止めましたけど、鬼灯様が狩りましたか。」

「えぇ、こっちに突進で突っ込んで来たので受け止めてから殴って仕留めました。」

 

猪をしげしげと見つめる月見の横で手首や肩を解す鬼灯は、ふと月見に問いかける。

 

「そういえば美穂さんはご一緒では無いんですね。」

「えぇ、落とされる前までは隣に居たんですが、恐らく紅さんがばらばらになるように飛ばしたんだと思いますよ。ここに飛ばされてから未だに鬼灯様以外の方と会ってませんから。」

「あの方はそこら辺も考えてますから。簡単に他の参加者と協力させないようにしてガチのサバイバルを一人でしなくてはいけない状況を作り出して、「食」への気構えから変えさせるのが目的だとお聞きしましたよ。」

「八大地獄と鬼灯様が評されるレベルなだけありますね。紅さんの料理に対する情熱は。」

「とても素晴らしい事ではありませんか。私も見習いたい事です。」

 

そう言って鬼灯は何処からかナイフを取り出して猪の血抜きと解体をその場で始めた。

 

「手伝いましょうか?」

「えぇ、お願いします。こういうのはさっさと終わらせるに限りますから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!………ハァッ!」

「大丈夫ですか?」

 

ところ変わって清姫は、月見とは山を挟んで反対側の森の中で息を切らして膝をついていた。隣には心配そうな美穂がしゃがみこんで顔色を確認している。

 

「………ふぅ、もう大丈夫です、ご心配をお掛けしました。」

「まさか西洋の竜がいるなんて……。ごめんなさい、私がもう少し細かく説明していたら心構えが出来ていたかも知れなかったのに……。」

「お気になさらないで下さい、どっちみちこうなるのは確定だったんですよね?」

「はい、幻術による1ヶ月サバイバル生活は紅ちゃん先生のヘルズ・キッチンの一番最初の授業ですから。」

「そうですか………1ヶ月!?」

 

ガバッと上げられた清姫の顔には驚愕がありありと浮かんでいる。しかし美穂は顔色一つ変えずに話を続ける。

 

「えぇ、あくまでも幻術なので現実では一分ほどですが。かなり曖昧な場所に建てられている旅館なので、こういうことも可能なんですよね。」

「まぁ、そうなのですか……。」

「まぁこの術式開発したの私なんですけど。」

「貴女のせいじゃないですか!?」

 

ケロッとした顔でとんでもないことを口に出した美穂は清姫に肩を掴まれ、ブンブンと前後に揺らされ始める。

 

「いや私もこういう使い方されるとは思ってなかったんですぅ!」

「だまらっしゃい!」

「ホントですって!現に私が開発したのは「対象を幻術に引きずり込む術式(紅ちゃん専用)」なのでここまで規模を大きくされるのも使われる理由も予想外なんですよ!」

 

必死の説得で取り敢えず釈放される美穂だった。




今の段階では安珍枠に該当する人物が身近にいないため、かなり狂化の度合いが低くなっています。正直、きよひーは元はかなりの清楚系だと思ってます。ただ、愛が止まらなかったせいで思わず焼いちゃっただけなのだと。うん、安珍が悪い。



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