閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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どうしよう、料理ってタイトルなのに未だにちゃんと料理したの月見さんが捕まえた蛇の串焼きだけだ……。

というわけで、今回はしっかりと料理します。




それではどうぞ。


料理日記三頁目

「それにしても……これホントに幻術なんですか?質感がリアルすぎてそうは思えないんですけど。」

「まぁ、幻術よりも催眠術に近いものですからね。」

「そうそう、ようは夢を見ているだけですよ。」

 

閻魔亭のキッチンから落とされて一週間、美穂と清姫、途中で合流した玉藻は落ちた場所の近くにあった洞窟で身を休めていた。

 

「だとしてもかなり高度ですよね。」

「それはまぁ、美穂姉様ですので。」

「?美穂さんってそんなすごいんですか?」

「いやぁ、私はただの一途な狐ですよ。」

 

美穂は頬を掻いて誤魔化そうとするが、玉藻はジト目で美穂を見ている。

 

「下手すれば日本の神々を真っ正面から蹂躙できる方が何をおっしゃってるんですか。」

「へ?」

「やだなぁ、たまちゃん。やったことも無い事を事実みたいに言わないでよ~。」

「否定してませんよね?」

「………………。」ニコッ

 

優しく笑う美穂だったが、何も言わないため威圧感がある。事実、隣にいた清姫が少し玉藻の方に寄った。

 

「えぇっと……ガチなんですか?」

「さぁ、どうでしょう?」

「天照としての立場から明言しましょう。美穂姉様は太陽神()を一方的に殴り倒せる位の実力者です。」

「も~そんな私を化物みたいに言っちゃう頭はこうしちゃうぞ~。」

 

ガシッ

 

笑いながら美穂は玉藻の頭を右手で鷲掴む。そこまでの動作は流れるようで無駄がなく、目の前で見ていた清姫が思わず拍手してしまうぐらいに洗練されていた。しかし、次の瞬間掴まれた玉藻の頭から骨が軋む音が聞こえて来る。

 

グギギギギギギギギギ

「ちょっと美穂姉様ぁっ!?力、力緩めてくださいまし!このままだと私の可愛い頭がR―18G状態になってしまいますぅっ!?」

「えぇ~どうしよっかなぁ?」

「謝ります!謝りますからっ!お慈悲、お慈悲プリーズゥッ!?」

 

玉藻は美穂の腕を掴んで抵抗するも、手が玉藻の頭から離れる気配は一切無い。しばらくして、空中に宙ぶらりん状態になってピクリとも動かなくなった玉藻に満足したのかそのまま手を離す美穂だった。

 

「ぐへぇっ!?」

「玉藻さん、大丈夫ですか?」

「心配してくださるのは……嬉しいのですが……出来れば止めて欲しかったですぅ…………。」

「箱入り娘にそんなこと出来かねます。」

 

優しいのかよくわからない清姫の言葉を聞いたのち、なんとか気力で起き上がっていた玉藻は地面に倒れ込む。それを見届けた美穂はそのまま踵を返して洞窟の外へ歩きだした。

 

「あら、どちらへ?」

「食材捕獲してきます。その子、見といて貰えますか?」

 

そう言って美穂は森の中に入って行った。

 

 

 

 

 

 

「あと月見成分の補給もしなくっちゃね♥️アッハハハハ♥️」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」ゾクッ

「どうしましたか月見さん。」

「いえ……何でもないです……………そろそろ美穂が我慢出来なくなる頃かなぁ。

 

突然の寒気に思わずうさみみがピンと立つ月見。原因の究明が速い上、ほぼほぼ合っているのは流石だと言えるが、回避が不可能であることも分かっているため肩を落としている。

 

「まぁいいです。取り敢えずこの猪の燻製をさっさと使いましょうか。」

「そうですね、今日はどうやって食べます?」

 

鬼灯の見つめる先には大量の燻製肉が葉っぱ等で作ったシートの上に置かれていた。サバイバル初日に鬼灯が狩った巨大な猪の肉なのだろう。しかしその猪のサイズと比べると明らかに量が3/1ほどになっている。

 

「近くに川があったから魚も採れて良かったです。ついでに岩塩もありましたし。」

「えぇ、おかげで貯蔵用の猪肉をあまり消費せずに済みました。」

 

どうやら無くなった部分は一週間で食べきったようだった。他の食材をメインにしている辺り、本来ならとっくに食べきっている量らしい。

 

「ふむ、山菜もありますし、スープにでもしますかね。」

 

そう言って月見はポーチから一枚の鉄板を取り出す。そして鬼灯がそれを受けとると、

 

「こんな感じですかね。」グニュ

 

真ん中が器のような形になるように折り曲げる。やがて鉄板は少し歪な鍋のような形になり、鬼灯はついでに取っ手の部分を木で作り始めた。

 

「即席にしては上出来な方ですね。月見さんが山菜を採ってくる前にこれ(燻製肉)を切り分けて置きましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む?」クンクン

 

山菜を鬼灯作の籠にぶちこみながら散策する月見だったが、とある地点で立ち止まり、そのまま目を閉じて鼻に意識を集中させる。

 

「えぇっと……ここかな?」

 

そう言って月見は一本の松の根元に近づいて覗き込む。そこには松茸の傘が落ち葉等を押し退けて飛び出していた。

 

「わぁ、今日のご飯は少し豪華になりますね。」

 

完全なる無表情だが、頭のうさみみはブンブンと激しく揺れている。先端の青い炎の軌跡で円が見える程だ。松茸を採取した月見はそのまま籠に入れると周囲の散策に戻る。

 

「それにしても相変わらず不思議な所ですね。まさか一週間で季節が変わる(・・・・・・・・・・)とは。」

 

月見の言葉の通り、閻魔亭から落ちて来た時には青々しかった山や森の木々は既に見事な紅葉となっている。ただ超が付く近眼である月見が景色を楽しむことは無く、足取り軽くその場を去ろうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

「見イツケタ♥️」

「まっ!?」

 

が、その瞬間に何処かから現れた美穂に後ろから抱きつかれ、変な声が出る。

 

「み、美穂…居るなら声かけて欲しかったんだけど……。」

「ん~?月見の事だから私達が反対側に居るのは気づいてたんでしょ?」

「いやまぁそうだけど……。」

「松茸に興奮して私に気づかない月見も可愛かったなぁ。」

 

そう言って美穂はブンブンと尻尾を振って月見に抱きつく力を更に強める。少し恥ずかしがった月見は頬を膨らませた。

 

「むぅ……これあげないもん。」

「大丈夫だよ?山菜を採りに来たけど別に月見から強奪する気は更々無いから。だぁけぇどぉ~。」

 

籠を抱える月見に対し、美穂は力を少し緩めるとそのまま右手を月見の着ている服の中に入れてまさぐり始めた。驚いた月見はそのまま籠を落としてしまった。

 

「美穂、どうs「アァッ、モウガマンデキナイィ♥️」うにゃッ!?」

 

後ろに振り向こうとした月見だったが、美穂の力に勝てずそのまま落ち葉の広がる地面に倒されてしまう。幸いダメージなどは無かったが、周りは既に美穂の結界が張り巡らされていた。いつの間にか月見の下には紙で出来たマットのような物があり、嫌な予感がした月見は即座に立ち上がろうとした。

 

「だぁめ、大人しくしましょ?」

「あっ…。」

 

しかし暴走した美穂がそれを許す筈もなく、月見はなす術なく美穂に馬乗りされてしまった。最早月見は弱々しい声を出すしかないのである。

 

「美穂、ダメ、ここ外。」

「別に良いでしょ?幻術の中の夢なんだから。」

「で、でも「そ・れ・にぃ」ひうっ!?」

「月見だって溜まってるんでしょ?」

 

美穂は自分の着物を脱ぎながら月見の衣服も脱がし始め、露になった肌をいやらしくなぞる。所々に火傷はあるものの、それも月見の艶かしさを引き立てている。顔は少し火照っており、何処か期待しているような目を美穂に向けている。完全なる据え膳である。

 

「………………。」

「大丈夫、この結界の中だけ時間速めてるから1日ヤっても外では10分位だから。」

「………………………ん。」

 

月見は抵抗しなくなった。どうやら理性が負けたようだ。美穂は待ってましたと言わんばかりに獣のように月見を襲い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼灯様、ご無沙汰しております。」

「おや、美穂さん。閻魔亭で落とされて以来ですね…………………月見さんがなぜそんなぐったりしているかは聞かないで置きます。」

「ふふふ。」

 

数時間後、鬼灯が猪の燻製を細かく切って串焼きの準備をしている所に月見と籠を抱えた美穂がやって来た。抱えられている月見はぐったりとしているが時折ビクンと反応している。

 

「そういえば、私以外にも玉藻ちゃんや清姫さんもいますよ。向こうの洞窟ですけど。もしよろしければ来ますか?」

「ふむ、季節の変わり方を見るにもうすぐ冬でしょうし、寒さをしのぐ場所は必要ですからね。ご迷惑でなければ。」

「じゃあさっさとその肉を運んでしまいましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言うわけで簡易的なスープを作りましょう。」

「美穂姉様、何がどういう訳でそういう結論に至ったかちゃんと説明してくださいまし。」

 

その夜、美穂達が拠点にしていた洞窟の前で焚き火をする一行。材料さえあれば自由に形を変えられる美穂のおかげで調理器具はほぼほぼ揃っている。

 

「いやぁ、さっき月見とヤっゲフンゲフン……運動してたら月見がバテちゃってね?しばらく起きそうにないから栄養が付くものでも作ろうかなって。」

「月見兄様が時々声を漏らしながら体を震わせてる時点でナニやったのか察してるんで誤魔化しは効きませんよ?というか外で何やられてるんですか。」

「何って………ナニ?」

 

ツヤッツヤの美穂はニコーと笑いながら目の前の山菜とキノコに向き直る。下にはまな板、手には包丁、両方とも美穂が術式で作り出した物である。

 

「まずは洗った松茸の石づきを落としてと。」

 

そう言って美穂は慣れた手付きで松茸を適度な薄さに切っていく。隣では玉藻が焚き火を使って鍋(鬼灯製)で山菜のアク抜きをしている。美穂にあれこれ言いながらも手際よく作業している辺り、かなり慣れているようだ。隣で観察している清姫も感嘆の声を漏らす。

 

「このような環境でも……やはり慣れている方は違いますね。」

「勘違いしないで欲しいのですが、こういうのが出来るのはあくまでも「紅先生の教育を受けた方」に限りますからね?」

「あら、そうなんですか?」

「紅先生はかなりのスパルタですから。普段の教室でも少しでも間違うとここに落として食材を自分で狩らせるんですよ。嫌でもサバイバルが身に付きます。」

「おかげでてんで何も出来なかったたまちゃんの料理が上達したけど、あの子に頭が上がらなくなったもんね。」

 

ため息をつきながら山菜をざるにあげる玉藻に対してカラカラと笑う美穂。既に食材は切り終えたようで、手には少し大きな鍋が握られている。

 

「所で鬼灯様は何処へ?先程まで近くにいましたよね?」

「あぁ、鬼灯様なら……。」

 

美穂は清姫の言葉に対してとある方向を指差す。そこには新しく狩ったのであろう数羽の鳥を木を血抜きしている鬼灯がいた。

 

「鳥の骨で出汁をとった方が楽だろうとの考えで近くの野鳥を狩って来て貰いました。あ、清姫さん取りに行って貰えますか?」

「あ、はい、分かりました。」

「その必要は無いですよ。もう終わりましたから。」

 

いつの間にか近づいていた鬼灯が解体した鳥から引き抜いた骨を美穂の持っている鍋にぶちこんだ。

 

「おや、仕事が速いですね。本業(拷問)の賜物ですか?」

「えぇ、そうとも言えますね。よく亡者から骨を引き抜いてますが、それに比べれば簡単でしたよ。」

 

鬼灯はついでに持ってきた鳥の肉をまな板の上に置くと、美穂の方に目線を向けた。

 

「取り敢えず私が引き継ぐので貴女は月見さんのそばにでも居てください。」

「はーい。」

 

美穂が洞窟で休ませている月見の元へ向かった後、鬼灯は解体した野鳥といつの間にか用意していた猪の燻製肉で出汁をとり始める。

 

「美穂姉様を向かわせて良いんですか?」

「問題無いですよ、流石に満足してるでしょうし。」

 

そう言って鬼灯は焚き火で串に刺した燻製肉を炙り始めた。




月見さんは割りと腹ペコ属性寄りです。自分で料理して自分で食べる人です。


美穂さんの時間関係の結界は強力な代わりに、「自分も効果を受けなくてはならない」という制約があります。そのためザ・ワールド的な事は出来ません。あと尋常じゃない量の力を使うのであまり使いたがりません。今回は夢の中という特殊な条件で好き勝手しているだけです。
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