閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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遅くなってしまった(白目)

申し訳ありませんでした。今回で料理編は一応終わりです。何か題材にして欲しい事があれば活動報告で募集しているので気軽にご意見を述べてください。出来る限り努力します。

あと、別の小説も執筆しているのでよろしければそちらもご覧頂けると嬉しいです。


それではどうぞ


料理日記五頁目

「料理のさしすせそも言えない人がいた時はどうしようかと思いまちたが、飲み込みが速い方で助かったでち。」

「は、はい…………ありがとう…ございます………。」

 

一時間後、初参加の受講生達は死屍累々といった様子であった。全員が崩れ落ちており、まともに立っているのは紅閻魔のみである。

 

「まぁまだ基礎中の基礎でちが、今回はここまでにしておくでち。まだ向こうの受講生達は終わってないから見ていくといいでちよ。」

 

そう言って紅閻魔はてくてくと立ち去っていき、唯一なんとか体を起こせていた清姫も燃え尽きたように力無く倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼灯様、あれから何回かやり直したでちが今度は大丈夫でちょうね?」

「ええ、こちらです。」

 

そう言って鬼灯は皿に乗せたゲイザーの水晶体の刺身を見せる。紅閻魔は刺身の一つを箸でつまむとじっくりと見通すように検分し始める。暫くしたのち、今度はそのまま口の中に入れた。舌の上で細かく味わい、噛み心地から舌触り、飲み込んだ時の香りを全てを目を閉じて感じている。

 

(熱による肉質や香りの変化は無し……新鮮な物を臭いを発する前にしっかり下処理していることで鮮度も維持出来ている………。)

「取り敢えず、この水晶体の刺身は及第点でち。もう少し切り方に迷いが無くなったら一段上にいけるかもしれないでちね。」

「ありがとうございます。」

「次は焼き物でち。」

「はい、こちらです。」

 

次に鬼灯が差し出したのはゲイザーの足の串焼きだった。元の紫色ではなく、皮を剥いだ白い中身のみを取り出し、臭み抜きの為に牛乳に漬けてから焼いた物である。早速、紅閻魔はじっくりと吟味し始めた。

 

「ゲイザーの持つ独特の臭みがかなり抑えられてアクセントになるぐらいに留まっている点はいいでちよ。ただ、足と胴体を捌く所でどうしても力んでしまっているでちね。何時になったらその力加減をどうにかできるでちか?」

 

紅閻魔はジト目で鬼灯を見つめる。気まずくなったのか、鬼灯は真顔のままそっぽを向いた。

 

「…………まぁいいでち。それ以外の下処理は殆ど完璧でち。次は味でちが……。」

 

紅閻魔はゲイザーの足の串焼きを頬張ると、そのまま噛みきって目を閉じてしっかりと味わう。

 

(………噛みきれるがプリッとした食感を残したままの状態で火が通っている……鼻に通る匂いも良いと感じるレベルにまでなっている………だけど)

「皮を剥ぐときに少し身を削りすぎでち。折角の美味しい部分がもったいないでちよ。ちょっと残っている足を寄越すでち。」

 

そう言って紅閻魔は鬼灯から渡されたゲイザーの足と器具類を軽く水洗いすると、台に乗ってそのまま皮を剥ぐ作業に入る。

 

「まずは足の先を落とすでち。ここに関しては問題なく出来ていまちたね。」

 

先の緑色の部分を一回引くだけで切り落とした紅閻魔はそのまま皮と身の間に包丁を入れた。

 

「そこも全て包丁ですか?」

「いいや、単純な切れ込みでちよ。ただし、この切れ込みを間違えると連鎖的に他の身も持っていってしまうでちから、素手だけではごうとするのはオススメしないでち。」

 

鬼灯からの質問に答えながら手を動かす紅閻魔。切れ込みを入れたところに指を突っ込むとそのまま引っ張り、皮を一気に剥ぎ取る。裏返しになった足の皮を見ると、身の一つも付いていなかった。

 

「こうなるでち。皮が分厚い物は基本的にこうすればいいでちよ。」

「成る程。」

「取り敢えずギリギリ及第点に乗った位の出来でちね。今回は終わっていいでちよ。」

「ありがとうございます……あぁ、食材の補充は必要ですか?」

「そうでちねぇ、ちょうどジビエ肉が足りなくなってたでちから…………ーーーーでも狩ってきて欲しいでち。」

「了解しました。」

 

紅閻魔からひとまずの合格を貰った鬼灯は、ゆっくりとその場を離れ、そのまま閻魔亭の裏口の方に歩いて行く。それを手を振って見送った紅閻魔は意識を切り替えて別の受講生の元へてちてちと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんっ!……はぁ、終わった~、お疲れ~。」

「包丁持ち続けせいで腕がプルプルしますねぇ………。」

「湿布要ります?」

「ありがとうございますぅ月見兄様~。」

 

少し時間が経った後、それぞれが課題を終わらせてようやく一息ついた受講生達が体をほぐしたり、荷物の整理をしていた。ぶっ倒れていた初参加者達も月見によって蘇生済みである。

 

「お疲れ様です皆さん。」

「あら、清姫さん。お体と精神は大丈夫ですか?」

「ええ、なんとか……月見さんの気付け薬がここまで効くとは。」

「月のうさぎ特性の気付け薬です。効果は勿論、臭いも対策して使いやすい物にしてますよ。」

「魔法とかが関わらない薬なら超が付くチートですからね月見兄様。」

「やろうと思えば魔女の谷の変身薬みたいなのは作れますよ?」

 

心なしか月見がどや顔になっている気がする。あくまで気がするだけで一切表情は変わっていない。そんなやり取りをしているところへ紅閻魔がてちてちと歩いて来た。

 

「お前様達、そこで何やってるでちか。さっさと広間に来るでち。けんぼちゃんと月見様と美穂様は他の受講生達の案内を頼むでち。」

「へ?」

「ああ、そうでしたね紅ちゃん、すぐ向かいます。」

「分かりました……皆様、荷物をまとめて下さい。今から終わりますので付いてきて下さい。」

「狐づかいの荒いスズメちゃんですねぇ、まぁ報酬があるのでいいですけど。」

 

呆ける清姫をよそに、三人は動き出した。そのまま、受講生達を連れて閻魔亭の廊下を歩いて行く。取り敢えず言う通りにしていた清姫は近くにいた玉藻を捕まえて話を聞き出す。

 

「あの、今から何処へ向かうんですか?」

「おや、知らされてませんでした?ご飯です。俗に言う賄い(・・)みたいな物ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本日はお疲れ様だったでち。少し厳しくしたからその心と体を癒すために是非とも堪能して欲しいでちよ。」

 

大広間に用意されていた自分の席に座った受講生達にニコニコと可愛らしく笑いかけながら話す。

 

「今回のメニューは秋の味覚の炊き込みご飯に山菜とヤマメの天麩羅、そしてメインは先程鬼灯様に捕ってもらったジビエを使ったジビエ鍋でちよ。」

 

受講生達の目の前にはとても豪華な料理が並んでいた。艶のある茶色の飯の中には大きめの栗やほぐした秋刀魚の身、細かく刻んだ蒟蒻や油揚げが程よく混ざっている。天麩羅も見ただけで綺麗な衣がついており、サクサクとした食感があるのが感じられる。個人用になった小さな鍋には、よく汁を吸った白菜や長ネギ、豆腐が入っており、真ん中にはこれでもかと詰められた様々なジビエ肉が存在を主張していた。

 

「ジビエはそれぞれ鴨、猪、熊でち。猪の脂を落としてから調理してるでちから臭みが少なくて女性でも食べやすいとおもうでち。じゃあ全員手を合わせて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頂きまちゅ!」

「「「「「頂きます!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~!やっぱり紅ちゃんの料理は格別ですね。自分で作るのとはかなり違います。」

「お褒めに預かり光栄でちよ美穂様。」

 

紅閻魔が座る場所の近くにいる美穂の誉め言葉に、嬉しそうに笑う紅閻魔。近くには玉藻や清姫、月見もおり、それぞれ目の前の料理に舌鼓を打っている。

 

「相変わらず美味しいですねぇ。ここまで出来たら文句無しで合格できるんでしょうけど……先が遠いんですよね。」ズズッ

「すごいです…どうやったらこんな風に仕上がるんでしょう。」ザクザク

「…………。」モッモッモッモッ

 

食べながら感心している玉藻と清姫をよそに、向かい側の月見はとんでもないスピードで食べ進めていく。既に半分程無くなっていることに気がついた清姫は少し意外そうに目を丸くした。

 

「ええ……なんであんなお行儀よく食べているのにあんな減りが速いんですか……。明らかに量がおかしな事になってません?」

「清姫さん、そこら辺は余り気にしてはいけませんよ。「月見は食べる姿も可愛い。」それだけで十分じゃないですか?」

「ハイハイ、月見兄様ガチ勢は黙ってて下さい。」

 

うさみみをピコピコさせながら料理を食べ続ける月見を見て、顔をデロッデロに緩ませる美穂に突っ込みを入れる玉藻だった。一方で清姫は美穂をガン無視して辺りを見回している。それに気がついた月見は清姫に話しかけた。

 

「どうされました?」

「そういえば、鬼灯様が先程から見当たらないなと思いまして。」

「私はここですよ。」

 

月見の後ろから声が聞こえて来た。二人がそちらの方向を見ると、そこには見事な刺身の盛り合わせを抱えた鬼灯がいた。

 

「成る程、調理中でしたか。」

「ええ、山にジビエ肉を捕りに行ったついでにフナやアユ、あとニジマスとかも釣って来たんで自分用に捌いてたんですが………少し食べますか?」

「頂きますね。」

「えっと………大丈夫なんですか?お腹痛くなったりしません?」

 

清姫の顔には心配の表情がありありと浮かんでいる。しかし、鬼灯はいつもの仏頂面のまま答えた。

 

「あぁ、寄生虫についてですか。普通の川魚だったら大問題なんでしょうけど、清流に住む魚だったら寄生虫の数も少なく、比較的安全なんですよね。その上、ここら辺だと土地の影響もあるのか、寄生虫が湧きにくいんですよ。」

「所々神域みたいな場所ありますもんね。」

「水が湧く場所がまさしくそれなので、川の水自体悪影響のある物は近寄れないようになっているんだと思います。」

 

そう言いながら鬼灯は刺身の一部を別の皿に移して月見に渡した。ついでと言わんばかりに醤油を入れた小皿をもらった月見は早速刺身を食べる。

 

「…………。」ピコピコピコピコ

「味は問題無いようですね。」

 

心なしか目がキラキラと輝いている気がする月見を他所に、鬼灯は自分の席に座る。

 

「あ、鬼灯様、協力感謝するでちよ。」

「いえいえ、お気になさらず。」

「…………そういえば、鬼灯様?一つ気になっていた事があるのですが。」

 

今までのやり取りを傍観していた玉藻はずっと自分の中にあった疑問を鬼灯にぶつける。

 

「なんですか?」

「スズメちゃんと鬼灯様が知り合いなのはまぁ、閻魔大王関係と言うことで納得できるのですが、月見兄様と美穂姉様が知り合いになった経緯を知らないんですよね。」

「む、そう言えば言って無かったでちね。」

 

自分の分の料理を食べていた紅閻魔は自分の話題が出たところで一旦食器を置き、話に参加してきた。

 

「この閻魔亭を開く前、私はとある方の元で料理の修行をしていたんでちよ。」

「え、独学では無かったんですか?初耳ですよ。」

「流石に独学は無理でちよ。」

 

驚く玉藻を他所に、紅閻魔は話を続けた。

 

「それでまぁ、私が修行してた時にその方に料理を習い始めたのが美穂様なんでち。つまり私は美穂様の姉弟子そっからの縁で時々連絡を取り合うようになって……この閻魔亭の建設にも携わってもらったりしてるわけでちよ。月見様は鬼灯様から聞いていたのと美穂様からの紹介で知り合ったってかんじでちかね。」

 

懐かしむように目を閉じてウンウンとうなずいている紅閻魔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、スズメちゃんのお師匠様とは?」

「あぁ、樒さんですよ。」

「…………………ファッ!?




今更ですが、料理の上手さはこんな感じです。

樒≧紅閻魔>>鬼灯>>月見≧美穂>>玉藻>>清姫

ちなみにエミヤが入るとすれば、鬼灯様と同等位です。鬼灯様原作で大根の曼珠沙華作ってましたし、あの方とんでもなく器用なんですよね。料理好きですしおすし。

ちなみに清姫は獄卒として働いています。職場の同僚である瓜子姫とよくお茶をするぐらいには仲良しです。
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