それでは、どうぞ。
とてもかんたんなあらすじ
「つきみさんわりとつおい」
月見が扉に手をかける。
「まぁまだ倉庫につくわけじゃ無いんです。」
扉の先の空間は職員で賑わっていた。広いの部屋に大きめのエレベーターの扉がいくつかとその隣に階段の入り口があり、反対側には壁一面のシャッター、部屋の中は薬草らしき物が積まれた箱やワゴン、どこかで見たことがある製薬会社のロゴが入った段ボールなどでぎゅうぎゅう詰めである。
「わぁ~!すっげ~!」
「こんなに広いのに倉庫じゃないんですか!?」
茄子は目を輝かせ、唐瓜はスケールの大きさに驚愕が隠せない。
「えぇ、あくまでここは搬入と搬送、選別を行う場所です。結構最近になってから改装したんですよ。」
そう言って月見はワゴンが5台ほど並んでいる場所へ歩いて行く。
「さて、お仕事の時間ですよ。」
「…漢方薬用の冬虫夏草は揃ってる。新たに補充する葛根とオオバコも問題無し…。今年も良質なものが多いです。」
片眼鏡をかけた月見が手に持ったリストと実物を照らし合わせていく。
「鬼灯様、クコの実とかの木の実系統はあちらの職員に回してもらっていいですよ。」
「分かりました。あと、私の個人的な研究で欲しいものがあるのですが…。」
「一覧表をもらえるのでしたら明日あたりにまとめて届けます。」
ありがとうございます、と鬼灯が返すとそのまま二人は仕事に戻っていく。
「へぇ~。」
「?どうかしたのか茄子?」
「いやぁ、なんかすげぇ息合ってんなって。」
「まぁたしかにな。」
小鬼二人が不思議そうに見ていると月見が近づいて来る。
「唐瓜くん、茄子くん、そちらの調子はいかがですか。」
「あっ、はい!高麗人参などの乾物の整理は終わりました!」
「月見さん、この粉ってな~に?」
「唐瓜さん、ありがとうございます。あと茄子さん、それは
唐瓜が首をかしげる。
「蒲?」
「因幡の素兎の怪我を治した植物です。浦黄はそれ単体で火傷などを治す薬になるんですよ。」
なるほどなぁ、と思う二人。その後、茄子は気になったことを尋ねる。
「そういえば月見さんって鬼灯様と仲がいいんですか?」
「?まぁよく話す仲ではありますけど。」
「へぇ~どうやって仲良くなったんですか?「いわゆる趣味仲間というやつですよ。」あっ、鬼灯様!」
自分が担当していた仕事を終えた鬼灯がいつの間にか近くまで来ていた。
「鬼灯様、趣味仲間っていうのは?」
「薬の研究です。私は和漢薬のみですが、月見さんは世界中の薬学について研究しているんですよ。」
「だからよく意見交換したりしてるんです。」
「あと金魚草の研究も手伝ってもらっています。」
「なんで!?」
「いやぁ、あれって見た目は不思議ですけど含まれる成分は医師にとっていいものが多いんですよね。」
かなりの滋養強壮効果があるそうです。
「ところで月見さん、確認は終わりましたか?」
「大丈夫ですよ。唐瓜くんと茄子くんがやってくれたもので最後です。」
じゃあ運びましょうか、といいながら月見がワゴンを動かしだす。
「じゃあ私達も行きましょう。」
「分かりました。」「は~い。」
前を行く月見を追うように三人も自分の荷物を持ってついていく。そうして向かった場所の前にはエレベーターの扉があった。
「少々お待ちを。」
月見がそう言うとエレベーター横のボタンを押す。
チーン
「乗ってくださいな。」
「近くで見るとデッケェなぁ。」
「量が多い時もありますから、業務用のほうが便利なんです。」
全員が乗ったところで扉が閉まり、そのままエレベーターが下に降りていく。その最中、唐瓜が月見に対して尋ねる。
「そういえば、いつの間に眼鏡をかけてたんですか?」
「倉庫で仕事する時はいつもかけてるんで、皆さんと別れた直後ですかね。」
「あっほんとだ。どうしてかけてるんですか?」
「うさぎって超がつくほどの近眼なんで眼鏡がないと遠くの人が何の作業しているかわかんないんです。」
「そういえば竜宮城で芥子さんが「景色を楽しめない」と嘆いていましたね。」
人の姿になってから少しおさまったんですけどね、と答えている間にエレベーターの扉が開く。
「月見さん、ちょうど着いたみたいですよ。」
「そうですね。今回しまう場所はFー10なので離れないようについてきてください。」
そうして4人が進んだ先にはとてつもない広さの部屋に一段3mの3段棚がズラリと並んでいる。
「地下にこんな所があったなんて…。」
「変成庁の方々と技術科の方たちがフルで動いた結果です。」
呆然とする唐瓜に対しこの空間ができた理由を説明していく鬼灯。そんな中、茄子は何かを思い出したように口を開く。
「そうだ!コス○コに似てるんだ!」
「そういえば技術科の皆さんがそんなこと言ってましたね。」
イメージとしてはだいたいそんなかんじです。
「…身も蓋もねぇな。」
「いいじゃないですか。分かりやすくて。」
そんな会話をしながら目的地まで運び終える一行だった。
「お疲れ様でした。これで終わりですよ。」
「唐瓜さん、茄子さん、ありがとうございます。」
「いえ、とても面白い体験でした!」
「色々スケールがでかかったよな。」
そんな中、月見に向かって一人の職員が呼び掛けてくる。小脇には白い蛇の絵が描かれた小さい木箱が抱えられていた。
「月見先生~!」
「おや、何かありましたか?」
「いえ、どうやら先生宛ての荷物が紛れていたみたいで…。」
「…あぁ!そういえばこの前サンプルを送ると言われたんでした。」
月見がいそいそと木箱を受けとるとそのまま蓋を開けて、中を覗き込む。おぉ、と声をあげている姿が気になったのか、3人もつられて中を見る。
「………小瓶?」
鬼灯が呟くように見たものを言葉にする。
「…白い蛇……薬……。」
そのまま思考の海に入っていった。
「さすがは医学の守護神ですね。一週間も経ってないのにもうギリシャから送ってくださるなんて。」
「あっあの!それって一体何なんですか!?」
「明らかにすげぇ物だもんな。」
「これですか?」
「未完成の死者蘇生薬ですよ。」
「「はい?」」
「はい、未完成のしsy「いやいやいやいや!とんでもない代物じゃないですか!」」
「しかもそれが郵便で届いてるもんな。」
大したことないように振る舞う月見とは対照的に動揺しまくっている唐瓜とさすがに冷や汗をかいている茄子。そりゃ持っている物が物だからこうなる。
「…そういえばこの前の出張先ギリシャでしたね。その時ですか。」
「はい、偶然アスクレピオス様にお会いしたんです。お話しているうちに意気投合しまして「サンプルを送ってやるから研究を手伝ってくれ」と言われたので喜んで引き受けました。」
「軽っ!?」
会話の内容と会わない軽さで話す月見に対して思わずツッコミを入れる唐瓜とあまり内容が理解できてない茄子だった。
「彼、趣味である薬の研究の事になると時々頭のネジが
吹っ飛んでいくんですよ。」
「いやそんな程度じゃないでしょうが!」
「やっぱこの人もだいぶぶっとんでんな。」
「あぁ、そういえば鬼灯様。アスクレピオス様に金魚草の資料を見せたら大変興味を持たれていたのでそのうち
「おや、そうなのですか。なら歓迎する準備をしときましょうか。」
ここで一旦話を区切ります。続きは書くのでご安心を。
月見さんのイメージはそのうち描くのでしばらくお待ちください。
医神先生っていいですよね。
次回予告
「お久しぶりですね。」