閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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これは本編の千年ほど前のお話です。

かなりごちゃごちゃな上、戦闘描写が上手くいっているかも分からないのでそこら辺はご了承下さい




それでは、どうぞ。


番外編 月見争奪戦

「早く獄卒達を避難させてください!巻き込まれてからでは遅いです!亡者は地面や柱に釘などで打ち付けて動けないように拘束を!」

 

周りの鬼に指示を出していく鬼灯。珍しくかなり焦っている様子だった。

 

「鬼灯様!等活地獄、黒縄地獄の亡者の拘束及び全ての獄卒、従業動物達の避難完了しました!」

「状況は!」

「既に血の池辺りが半分壊滅状態です!近くの街の住人や獄卒は全て避難させていますが、いつこっちに飛び火するか分かりませんッ!」

「そうですか、でしたら残りの地獄の方に救援を向かわせて下さい!」

「はいッ!」

 

閻魔庁ではなく刑場の連絡通路を駆ける鬼灯は苛立たしげに顔を歪ませる。

 

「全く……よりにもよって何故この日に限って月見さんが居ないんですか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって地獄の一角、辺りは見るも無惨に荒れ果てており、元々あった血の池や、刑場の壁が見事に破壊されていた。その破壊痕のある地域の中心に、向かい合う二つの影があった。

 

「日本は温厚な国だと聞いていたが…………中々危険を伴う愉快な挨拶だな。私は単純に愛し子に会いに来ただけだと言うのに。」

「あまり喋らないでくださいます?貴方が存在するだけで虫酸が走ります。出来ることなら今すぐに死んでください。」

「ははっ、断る。貴様のような小娘に従う義理はない。」

 

片方は日本では見慣れないような装いの男で相対する人物を煽るように笑っている。もう片方は明らかな殺気を纏った赤色の着物姿の女性……美穂である。顔こそ笑っているものの、張り付けているものであると直ぐ様分かるような雰囲気である。

 

「それに貴方、月見に合ったらいかがなさるおつもりで?」

「連れて帰るに決まっているだろう?私の力を直接与えたお気に入りなんだ。」

「でしょうね。だったらなおのこと貴方をぶちのめさなくてはいけませんね。」

 

 

 

 

「はははははははははははは。」

「はははははははははははは。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶっ殺すぞクソ老害。」

「やってみろ獣風情が。」

 

 

同時に表情を怒りに染めた二人は力を開放する。先程までの挨拶代わりの殴り合いの余波で既にボロボロだった周囲は完全に更地になった。男……帝釈天はその身に雷を纏うと右手を美穂の方に突きだす。

 

「小手調べだ、さっさと死ね。」

 

帝釈天の右手から巨体な光線が発射される。それを目視した美穂は瞬間的に片手を前に掲げると、その瞬間光線が美穂に直撃する。美穂を中心に砂煙が舞う。

 

「…………チッ、この程度ではいなされるだけか。」

「馬鹿にするのも大概にしろこのカス。」

 

言葉が返って来たのと同時に身体を反らす帝釈天。その直後、帝釈天の首があった高さに何かが通る。それと同時に切り裂かれたように晴れた煙の中には無傷の美穂が何かを振り抜いた姿勢をしていた。煙が完全に消え、手に持っている物が露になる。

 

「ほう?只の紙を硬質化させたか。前よりも腕前が上がっているようだな。」

 

憎悪に染まる表情の美穂が構えるのは沢山のお札が重なりあって出来た刀だった。着物の袖からパラパラと落ちてきたお札も自立するかのように美穂の周りに漂ったり、刀にさらに纏わりついて刀身を伸ばしていた。しばらく様子見が続くが、美穂が一歩踏み出した事で事態が進む。

 

「しッ!!」シュッ!!

「ふん!」ガインッ!!

 

常人では認識出来ない速度で振られた美穂の刀は、まるで当然であるかのように帝釈天の右手に持っていた金剛杵によって止められた。そのまま左手の剣で美穂を突き刺そうとする帝釈天だったが、ふと左手の動きが鈍い事に気がつく。チラリと一瞬見ると剣に先程の札が纏わりついていたのが見えた。舌打ちをしながらつばぜり合いをする帝釈天は前蹴りを美穂に食らわせる。美穂はそれに対応するかのように空いた手で防ごうとするが、衝撃に勝てずそのまま吹き飛ばされる。

 

「散開ッ!」

 

吹き飛ばされた美穂は身体を翻しながら叫ぶと、手に持っていた刀が一瞬でバラバラになり、一枚一枚が独立した札になる。

 

「拘束しろッ!!」

「ほう。」

 

美穂の号令と共に一斉に全ての札が帝釈天に殺到する。帝釈天が動く様子はなくそのまま球体の様な形になるまで集まった。それを見届けた美穂は両手を合わせる。

 

「炎乱嵐ィッ!!」

 

そのまま美穂が印を組むと、札まみれの帝釈天を中心に炎の竜巻が巻き上がる。半径20m程の巨大な物である。地獄の天井まで届きそうなその竜巻は全てを焼き尽くしそうなレベルの火力であることが遠目からでも分かる。しかし、

 

「効かんよッ!!」ブォンッ!!

「チッ、しぶとい。」

 

先程の砂煙のように帝釈天は自らに纏わりつく札と竜巻を腕を振るって掻き消した。そのまま踏み込み、今度は帝釈天が美穂に肉薄する。

 

「ははッ、やはり可笑しい奴だな貴様はッ!軍神である私に肉弾戦で抵抗できる奴は早々居ないぞッ!!」

「気持ち悪いから止めて貰える!?」

「自分の体に強化術式でもかけているのか!?その手腕は認めよう!だがなぁッ!」

 

拳や蹴りの衝撃波で周囲が荒れ地になっている中、帝釈天は腕を引き絞って解き放つ。

 

バゴンッ!!

「うぐあッ!?」

「経験が足りないな。」

 

モロに食らった美穂は近くの山まで吹っ飛ばされた。盛大に山に出来たクレーターの中心にいる美穂は頭から血を流しながら遠くにいる帝釈天を睨む。が、そこに帝釈天はいない。

 

「ッ!何処に「前だぞ?」ぐッ!?」

 

雷を纏いながら美穂の前まで移動していた帝釈天は続けざまに蹴りを何発も繰り出す。よくよく見ると、真っ直ぐ雷が通った後のように帯電している地面が見えるため殴った位置から走って来たのが分かる。美穂は対応して防ぐものの、段々と追い付かなくなり腹に一発入ってしまう。

 

「あがッ!?」

「さっさと……くたばれッ!」

 

その隙を突こうと帝釈天は力を込めた一撃を食らわせようと足を振り上げる。しかし美穂も負けじとその振り下ろされた足を腕を交差させて受け止める。

 

「こっちの……言葉よッ!

 

完全に勢いを止めた所でその足を掴みとる。万力のようなレベルで締め上げ、そのまま千切り捨てそうなほどだ。

 

「止めんかッ!」

「うるさいッ!」

 

拘束から逃れるために帝釈天が雷を放とうとした瞬間に美穂はそのまま掴んだ帝釈天を振り回し、そのまま跳んで地面に着地すると共に全力で地面に帝釈天を叩きつける。

 

「ぐッ!?」

「爆ぜろッ!」

 

続けざまに美穂は手の中に火を圧縮したような球体を作り出し、そのまま掌底打ちを食らわせる。球体が地面に倒れた帝釈天に触れた途端、とてつもない轟音と共に爆発した。爆破の衝撃も全て前側に一点集中するように調節されているため美穂にダメージはない。

 

「!あぶなッ!?」

 

しかし黒煙の中から殺気感じた美穂はその場から空中に飛んで逃げる。次の瞬間、美穂がいた場所も含めた半径20m程の範囲が雷によって消し飛んだ。煙が晴れた中心には、一部衣服がぼろぼろになっている帝釈天がいた。

 

「この小娘がぁッ……!」

 

最早最初の余裕など無く、完全にぶちギレている。体には常にかなりの電圧の雷が纏わりついており、普通の生物であれば触れた瞬間に消え去りそうだ。

 

「はッ!無様な姿がお似合いですよこの糞神。」

 

煽りながら獰猛な笑みを浮かべる美穂は、そのまま空中で何かを呟き始めた。それと同時に目を閉じた美穂からとてつもなく大きなオーラが出始める。

 

「……制限解除開始、第一段階…。」

 

何かが割れる音がする。美穂に生えていた尻尾が二本に増えた。

 

「………第三……………第七………………。」

 

美穂の言葉と共に尻尾の数が段々と増えてくる。

 

「最終段階解放……………完了ッ!」

 

言葉を紡ぎ終わった瞬間、より一層強い光が辺りを包む。光が止み、美穂の姿が見えた。

 

下手な神よりも美しく、光を発する金色の長髪。何にも染まることのない白い肌。そして、背後から覗く10本の尻尾。先程までの着物と変わってより神秘的な物になっていた。しかし、その目に宿るのは憎悪のみである。

 

「本気で殺す。」

 

腕を上に掲げる美穂。周囲には巨大な狐火が大量に出現し、やがて空を覆い尽くす程にまで広がる。

 

「延焼輪廻・天狐。」

 

そして美穂の腕が振り下ろされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺り一帯が赤に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、こんな所でしょうか。」

「………なんとか間に合いましたか………。」

 

本気の美穂の一撃を遠くから観測していた鬼灯は深くため息をつく。周囲には疲労困憊でその場に倒れ付した獄卒が何人もいる。全員が美穂と帝釈天の喧嘩の余波の対処をしていたもの達だ。その中で腕で額の汗を拭う人間がいた。

 

「やはり神は規模が違いますね。まさかあの世に来たばかりなのにこんな事になるなんて。」

「すいません、地獄に観光に来ていた所をお呼び立てしてしまって。」

「私は仕事をこなしただけなのでお気になさらないでください。」

 

疲労の色は見えるものの涼しげな顔で遠くを見据えている男。その男に鬼灯は頭を下げる。

 

「貴方が結界を張ってくださらなかったらこちらまで余波が来ていた所でした。お礼は後日お届けしますよ、清明さん。」

「…………そうですね、では高級なお茶か何かで。」

 

そんな会話をしている最中、二人はこちらに向かって走って来る足音を耳に捉える。

 

「おや?何かあったのかな?」

「いや…これはおそらく………。」

 

清明が何か言おうとした瞬間、足音の主が二人のすぐ近くに止まる。少し肩を上下させ呼吸をしている。頭のうさみみもそれに合わせて揺れている。

 

「…………すいません、急いで戻って来ました。」

 

一切関わっていないのに争いの原因となった月見が桃源郷から帰って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………。」

 

宙に浮く美穂は眼下の火の海をじっと見据える。

 

「…………………………ッ!」

 

暫くその状況が続いたが、ふと美穂の目線の先が揺らいだ。瞬間、そこからとてつもない速度で何かが美穂に向かって飛んでくる。タイミングを合わせて腕を振り抜いて防いだ美穂は顔をしかめた。

 

「チッ、生きてたか。」

 

 

 

 

「いやはや、あの時から全く衰えて無いようだなあの小娘。」

 

火の海の中、帝釈天の周りだけが火の気の無い円が出来上がっていた。そこら辺にあった石に雷を纏わせ、軽く投げただけで雷と同じ速さで飛んでいく。

 

「だが、この程度で倒れる訳にはいかんな。月見を連れ帰るためにも。」

 

そう言うと帝釈天は軽い調子で地面を蹴るとそのまま宙に浮いて空に飛んでいった。

 

 

 

 

「よーく理解した、貴様がどれだけ私が嫌いなのかがな。」

「…………確かにあんた個人にも恨みはあるけど、一番の理由は私から月見を奪おうとする事なのよ。履き違えないでもらえる?」

「何を言う、あやつは私の力を受け継いだ私の眷属だぞ?」

「はっ、本人に許可も取らず力を与えて親面?あんたなんかよりしっかりと月見を保護して色んなことを学ばせてた月神様達の方がよっぽど親らしいわよ、反吐がでる。」

「…………不敬だな。」

「生憎、あんたみたいな自己中野郎に対する尊敬なんて持ち合わせて無いの。」

 

空中で言葉を交わす美穂と帝釈天。言葉だけを聞くと只の煽り合いだが、周囲の空間が捻れて見える位に二人から力が漏れだしている。帝釈天は顔をしかめながら吐き捨てるように言う。

 

「たくっ……忌々しいな。月天の奴もだ。私と愛し子を突きはなそうと色々と謀りおって……。」

「どんな気持ちかしら?」

「最悪に決まってるだろう?あやつは私が日本に行くのに最後まで邪魔をしてきたからな。それに加えて今は月見が居ない上、あの時天界に喧嘩を売った貴様に会ったのだからな。一番の厄日だ。」

「あえて言っとくわ……ざまぁw。」

「コロス。」

 

最大限馬鹿にしたような声で煽る美穂に対し、ビキリとこめかみに青筋を立てた帝釈天は怒りの形相で両手に雷を溜め始めた。そのまま腕を引いてから振り抜くと空間にヒビが入る(・・・・・・・・)

 

バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ

 

そのまま連続で殴りつける度にヒビが広がって行き、やがて見渡す限り一面がヒビだらけになった。帝釈天はそのヒビの一部を掴むように手を握ると

 

「シネ。」

 

そのまま力の限り握り締めた。瞬間、ヒビ割れていた空間が轟音と共に一斉に弾ける。空間には裂け目が生じ、辺りには縦横無尽に大量の雷が駆け回っていた。しかし、その中心にいる美穂は顔色一つ変えずにするすると避けて行く。触れたら即座に異空間に取り込まれそうな裂け目が至るところにあるが、難なく帝釈天に肉薄する。

 

「ガァッ!!」

「ウラァッ!!」

 

ドゴンッ!!

 

互いの拳がぶつかり合い、轟音が鳴り響く。周りを漂っていた火の粉や電気が全て吹き飛ぶ勢いの殴り合いが始まった。衝撃波が目視出来る辺り、そこに籠められた力と威力は計り知れないだろう。最早そこに理性など無く、相手を殺す為に動くだけの機械のようだ。

 

「オチロォッ!」

「ギッ!?」

 

美穂は先程のお返しと言わんばかりに帝釈天を地面に向かって蹴り飛ばす。抵抗出来ずそのまま地面に向かう帝釈天に追い討ちをかけるために宙を蹴るように加速した。地面が近づいた所で美穂は姿勢を変え、帝釈天に向けて踵落としを食らわせようとする。

 

「シッ!」バキンッ

 

しかし帝釈天はギリギリの所で空間を蹴り砕きながら攻撃範囲から脱する。その直後、美穂の踵落としが地面に当たると

 

バギャッ!!

 

半径3m程のクレーターが出来上がって、周囲の炎を吹き飛ばす。体勢を整えるために一旦跳んで後方に着地した美穂の見据える先には同じようにこちらを睨む帝釈天がいた。

 

「グルルルル…………。」

「コロスコロスコロス……。」

 

互いにボロボロで血も流れているが殺意や怒り、憎悪で満ち足りており、化身でも出てきそうだ。どちらも形相だけで人を殺せそうだ。帝釈天は足に力を込め、その力を全て踏み込みに使い美穂を殴り殺そうと光かと見間違う程の速さで向かう。対する美穂も迎え撃ち、殺す為に10本の尻尾の先を顔の前の一ヶ所に集め、そこに霊力を圧縮した球を作り出す。太陽のような輝きを放つそれを掴み取った美穂はそのまま右腕を引き絞り、帝釈天にぶつけようと殴りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

二人の攻撃がぶつかるであろう瞬間の数秒前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ていっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな掛け声と共に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バキュッッッッッ!!

「おぼがッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

帝釈天が右から杵で殴り倒された。

 

 

 

「へ?」

「………………………。」ギュム

「ぐぁッ!?」

 

 

先程までの様子が嘘のように呆気なく倒れたた帝釈天を踏みつけるように殴った犯人は着地する。その犯人を目視した美穂は急いで攻撃用に展開した光球を霧散させた。美穂の目の前にいるのは月見である。月見は帝釈天を見下ろしたまま動かない。

 

「な、何をする……。」

「………………………。」ドゴッ

「アガッ!?」

 

帝釈天が起き上がろうとするも、月見は直ぐ様頭を足で思いっきり踏んだ。帝釈天は顔面から地面に埋まり、動かなくなった。それを確認した月見はうつむいたまま美穂に向き直る。美穂は愛しの旦那が憎い相手に止めを刺したことにテンションが上がっている。

 

「月見~ッ!お帰り~!」

「…………………。」

「あの糞爺が月見を連れて帰るとか抜かしてたからちょっと頑張っちゃった!ねぇ、誉め………つ、月見?」

「…………………。」

 

美穂はそのまま抱きつこうとするも、月見の様子がいつもと違うことに気が付く。終始無言だった月見は漸く口を開く。

 

「ねぇ、美穂。」

「な、なぁに月見?」

 

うつむいていた月見がゆっくりと顔を上げる。顔の左側を覆っていた包帯は外され、本来開く筈の無い左目が美穂を捉えた。動けない美穂を見て、月見はゆっくりと、ニッコリと笑って

 

 

 

 

 

 

杵を振り上げて

 

 

 

 

 

 

「一回反省しろ。」

 

 

 

 

バキュッッッ!!

「ぐべッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

美穂の頭に全力で振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない鬼灯殿ッ!他の奴らの説得に時間がかかった!」

「あいつらはッ!?」

 

武装した月天と悟空は焦った様子で鬼灯の元に訪ねた。自分たちの所の神が隣国の地獄で殺し合いを始めたとならば当然だろう。特に月見と縁の深い二人は焦りが段違いだ。しかし尋ねられた本人である鬼灯は特に焦った様子もなく告げる。

 

「あぁ、ご心配無く。もう終わりましたから。」

「は?」

「あいつらがそんな早く止まるのか?」

 

鬼灯の言葉に信じられない様子の二人。

 

「ええ、帰って来た月見さんが速攻で解決してくれました…………ほら、あそこ。」

 

鬼灯が斜め後ろ辺りを指差す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ美穂?どうしてこんな馬鹿みたいな事をしたのかな?周りに迷惑がかかるとか考えなかったのかな?」

「スイマセン………スイマセン…………。」

「謝罪を聞きたい訳じゃないよ、理由を教えて欲しいんだよ?言葉の意味分かってる?」

こいつ(帝釈天)が……月見を奪おうって………。」

「うん、でもどうしてそれがこの惨劇に繋がるの?言い争いで済ませればよかったじゃないか。いま僕がこうして説教してる理由分かってる?人様巻き込んでする事じゃないよね?」

「でも……………。」

「でももなにもあるかここまで破壊しといて言い逃れできると思うなよこのド低能。」

「ヒンッ……………。」

 

「貴方も貴方だよ?ここに来た理由が?「僕を連れ帰るため」?ふざけてるの?」

「別にふざけてるわけでは…………。」

「何勝手に僕の所有権を自分の物だと思ってんだよこの老害。」

「ろうッ!?」

「何?僕間違ったこと言った?」

「ぐっ……でもさすがに老害は………。」

「ん~?確かに僕を神獣にしてくれたことは感謝してるけど…お前が僕を育てた訳じゃないよね?むしろ僕が中国地獄にいた時も仕事の邪魔しかしてこなかった奴がなに今さら父親面して「迎えに来た」とか偉そうに言ってんの?こちとらお前を一度も親と思った事はないんだけど?何?妄想癖?そう言うのは一人でやってもらえる?」

「……………………。」

「なんとか言えやこのゴミ。」

「スイマセン…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………。」

「うーわ、ひっさびさに見たわあいつのマジギレ。」

「普段優しい人がキレると怖いってよく言いますけど、あれホントに人が変わってますね。」

 

目の前の光景を見て、心優しい月見しか知らない月天は呆然としている。悟空は身震いして苦笑いしており、鬼灯に関しては感心していた。

 

「……………はっ!?」

「お、戻って来た。」

「な、何だあの状態!?」

「あ~、あんた知らなかったのか。」

 

後頭部をボリボリと掻きながら気まずそうに視線を反らす悟空。

 

「俺ら三人の中で怒った時に一番手ぇつけられないのはあいつなんだよ。」

「なっ……!?」

「まだあいつが神獣になる前にな…俺と美穂が喧嘩したことがあってな………その影響で住んでた森が半壊した時にあの状態になったんだよ。」

 

同時の事を思い出した悟空はあからさまに顔が青くなる。

 

「半日ぶっ通しで罵倒され続けたんだわ……未だに怖ぇよ。」

「神に正面から喧嘩を売るお前が言うのか…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えずお前は暫く日本に来ないで。悟空に手伝って貰うから謹慎しといて。美穂は………取り敢えず1ヶ月間徹底的に無視するから。」

「何っ!?何故だッ!?」

「嫌だ嫌だ!月見がかまってくれなきゃ死んじゃう!」

 

 

 

「あ"?」

 

 

「「ハイ…………………。」」




本編の話でもあった美穂vs帝釈天in日本地獄です。

この頃の月見さんはあまり強く無いですが、狂気の力を使って無理やり全てをねじ伏せました。

帝釈天は現代でもに日本に入る許可が降りてません。というか他の神々が全力で止めてます。勝手に隣国に行った上、そこをめちゃくちゃにしたからですね。

ちなみにこの説教の1ヶ月後、月見に引きずられながらも離さない美穂とそれを気にせず引きずり続ける月見という光景が当たり前になりかけたとかなんとか。





本編の題材があまり思い付かないのと、もう一つの方の執筆に集中したいので、しばらくこちらの更新はストップします。2ヶ月以内には戻って来るのでそれまでしばらくお待ちください。
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