閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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お久しぶりです。リアルがいささか落ち着いて来たのでこちらの投稿もぼちぼちやっていきます。気長にお待ち頂けたら嬉しいです。


サブタイトルの読み方は「へんげにっき」です。




それでは、どうぞ


変化日記一頁目

「ねぇ、そういえばさ。」

「ん?」

「いきなりどうしたシロ。」

 

等活地獄、不喜処にて働くシロが仕事の途中で仲間の柿助とルリオに尋ねた。

 

「月見さんと美穂さんってさ、たしか本来は人間っぽい姿じゃないんだったっけ?」

「あ、そういえばそうか。」

「まぁ2人共、元々は俺らと同じ動物だったみたいだしな………で、それがどうした。」

 

ルリオにそう尋ねられたシロは「うーん」と唸りながら答える。

 

「いつも2人共けもみみと尻尾出してるけど、動物としての姿は見たことないなぁって。」

「…………確かにいつも人間っぽい姿だな。」

「でしょ!だからどんなのか気になるなって!」

「でもどうやって調べるつもりだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月見さん!美穂さん!動物になってみて!」

「このバカッ!!」ドスッ!

「痛いッ!」

 

仕事を終え、閻魔庁に来たシロは廊下にいた月見と美穂に駆け寄ると、開口一番にドストレートに質問した。着いてきていたルリオはいきなり失礼な物言いをするシロを嘴でつつき始める。

 

「すいませんこのバカが………。」

「大丈夫ですよ。言ってたことの意味はよくわかりませんが……何かお困り事ですか?」

 

シロがルリオにしばかれている横で申し訳なさそうに頭を下げる柿助に対して月見はフォローを入れる。しかし、その耳は不規則に動いており、明らかに動揺してるのがわかる。

 

「いや……なんというか、シロが突然「月見さん達の動物の姿が知りたい」っていいだしまして………。」

「それがさっきの言葉に繋がると。いやはや元気ですねシロくんは。」

 

しゃがんで柿助と目線を近くする月見の横で美穂は口に手を当てて面白そうに笑う。

 

「それで、私達の動物時の姿が見たい……でしたっけ?」

「うん!」

 

美穂の言葉にルリオの攻撃から逃れたシロが反応する。その目はとても輝いており、明らかに「期待してます」と言っている。

 

「別に私達は構わないんですが……ここじゃ他の人の邪魔になるので中庭に行きましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おぎゃあ! おぎゃあ!

 

「おや、月見さんに美穂さん、それにシロさん達も。」

「あ!鬼灯様!」

 

閻魔庁の中を歩き、中庭の金魚草畑が見えてきた所で水やり用の竿を持った鬼灯から声がかかる。シロは真っ先に鬼灯へと飛び込んで行き、他全員もその後を歩いて着いていく。

 

「鬼灯様、新しく調合した栄養液はどんな感じですか?」

「あぁ、その事ですか。前回の物より金魚草の艶は良くなりましたが、少しばかり栄養が偏ってしまってるようなんですよね。」

「そうですか………また改善したものをお渡ししますね。今度は酒をベースに調合してみましょうか。」

「ええ、楽しみにしてます。」

 

そんな会話をしていると、鬼灯に抱えられたシロが尻尾を振りながら喋り始めた。

 

「鬼灯様!ここのスペースって使っても良い?」

「金魚草に影響がなければ構いませんよ。何をするおつもりで?」

「えっとね、月見さんと美穂さんの本来の姿を見せてもらうんだ!」

「ほぉ?」

 

シロの言葉に興味深そうな声を挙げる鬼灯。

 

「そういえば、あなた方が動物の姿になっている所は殆ど見たことありませんでしたね。私も気になるので見てもいいですか?」

「構いませんよ。」

 

月見はそう言って中庭へ降りる階段の近くへと歩いて行く。そして、周りのシロ達に向き合うように立つと両手を構える。

 

「じゃあやりますね。」

 

パンッ!

 

ボボウッ!!

 

さらっと宣言をした後月見が手を叩くと、勢い良く月見の周りが青い炎に包まれた。一瞬で月見を飲み込んだそれは次第に小さくなっていき、最終的には飲み込まれる前の月見の背丈の半分以下まで縮んでしまった。最終的にシロより少し小さい位の大きさになった瞬間、纏っていた炎が消える。

 

ボシュッ…

「ふぅ………この姿になるのも久しぶりですね。」

 

そこには頭を振るい、長い耳をふるふると揺らす可愛らしいうさぎがいた。体の一部と頭半分は包帯に包まれているが、その毛の艶は綺麗なもので、右目でぱちくりと瞬きをする姿はとても愛嬌がある。

 

「案外小さいんですね。」

「神獣になったときのサイズから変わって無いんですよ。少しは背を高くしたいものです。」

 

鬼灯からの言葉に対し、腕を組みしみじみと頷く月見。そんな月見をまだ人間状態の美穂が後ろから抱き上げた。

 

「月見ってばそんなこと思ってたの?」

「変かな?不便を感じてる訳ではないけど、やっぱりもう少し美穂の身長に近づきたいんだよ。」

「可愛いこと言ってくれるじゃない。」

 

満面の笑みを浮かべながら月見の頭を撫でる美穂だったが、暫くして地面に降ろした。その後、鬼灯達の方に向き直る。

 

「シロくんは私の変化も見たいんでしたよね?」

「うん!」

「分かりました。」

 

勢いよく返事をするシロに応えるように、美穂は両手で印を結んだ。

 

「いきますよ~、ていっ。」

 

ゆるゆるの掛け声と共に美穂の体が濃い煙で包まれ、姿が認識出来ないようになる。しかしその次の瞬間には煙が切り裂かれたように晴れる。姿を隠していた時間は一秒程であったが、晴れた煙の中にいたのは、神々しい金色の毛を纏う美しい狐であった。狐となった美穂は口を開き、いつもと変わらない声で話し始める。

 

「こんなもんですね。」

「「「おお~。」」」

 

思わず感嘆の声をあげる桃太郎ブラザーズ。

 

「昔より若干大きくなりましたかね。」

「ここ数百年殆ど解除して無かったから、変化が分からないね。」

「ふむ、お二人が並ぶと何処かの絵画で描かれてそうな絵面になりますね。」

「そうですかねっとと…。」モフッ

「大丈夫?」

 

鬼灯の言葉に首をかしげた月見はそのままバランスを崩し倒れそうになるも、美穂の尻尾がクッションになることで何事もなかった。

 

「うん……やっぱり久々に術を解いたからまだ体重移動とかが慣れないや。」

 

恥ずかしそうに前足で頭をかく月見はその場で跳び跳ねたり、いつの間にか腰に着けていたポーチから取り出した棒を振り回したりと、動作確認を行っていく。最初こそふらついていたものの、次第にその動きのキレが増していた。

 

「てい。」

 

ズカンッ!!

 

〆と言わんばかりの一撃を地面に食らわせる月見。振り回された力を一切落とすことなく伝えたことにより、周りに大きな音を響かせる。

 

「…………よし、お待たせしました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつ言おうかと思ってましたが必要ですかそれ。」

「久々にこの形態になったので今日ぐらいはこの姿でいいかなと。それなら早く慣れたら支障が無いでしょう?」

「…………仕事に影響が無い程度にしてくださいよ。」

「わかっていますとも。」フンスッ

 

鬼灯からの言葉に腰に手を当て胸を張る月見だった。




はい、月見さんと美穂さん(動物形態)です。
本人達にとっては自分の過去の姿みたいなものですね。月見さんは月に登った時、美穂さんは神狐に至った時の姿から殆ど変わってません。純粋な神では無いですが、それでも神獣としての位は白澤や鳳凰までは行きませんが2人とも最高クラスに近いのでほぼ寿命という概念がありませんから。

一応神獣であって神ではないです。
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