閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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どうも皆様、少し間が空いてしまったゲガントです。
もうすぐ6.5章が来ますね。レイドがあるようなので、キャストリアとメリュ子とジークくん等に頑張って貰うことになりそうです。新鯖がどんどん出てくるので、どう絡ませようか迷うんですよね。




それでは、どうぞ


月夜日記一頁目

「何を言ってるのだわお父様!?」

『落ち着け…あまり叫ばんでくれないか。』

「いや、でも!」

 

暗闇の中にとある女性の声が響く。辺りにはゴツゴツとした岩山にそれに生えるように突き刺さっている檻、ぼんやりと浮かぶ青い炎、どこまでも黒い奈落へと続く崖など、世辞にも良い景色とは言えない物しかない。その中に、ポツンと美しい金色の髪を持つ少女が何か焦ったように話していた。

 

「こ、ここの管理はどうするのだわ!?」

『そんなもの、私が暫く代わってやる。』

「わ、私なんかが行っても迷惑がられるだけ……。」

『あやつは客を無下にする事も無ければ、迷惑がる事もない。安心して行ってこい。』

 

少女は手に持っている端末のような物を握りしめ、目をぐるぐると回していた。どうやら大分混乱しているようだ。

 

「わ、私は行くなんて言ってないのだわ……。」

『………我が娘よ、お前には今まで多くの迷惑をかけてしまった。これはその謝礼の一つなのだ。素直に受け取ってくれ。』

「お、お父様………。」

『あぁ、言い忘れていたことが一つあったな。』

「?」

 

端末から聞こえてくる言葉に少女は首をかしげる。

 

『定時になったら勝手に転送されるから気を付けよ。』

 

ガチャッ  ツーツー

 

「お、お父様ぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼灯様、今日の昼から明日まで少し現世へ行ってきます。」

「……あぁ、いつものですか、分かりました。繁忙期も過ぎましたし新人の教育も行き届いているみたいですしね。」

「毎度すいません……。」

「構いませんよ。貴方にとっては大事な依頼なんでしょうし、そこに文句を言う気は元々ありません。」

 

ペコペコと鬼灯に頭を下げる月見、という光景を見た茄子は隣にいる唐瓜に話しかける。

 

「あ、鬼灯様と月見さんだ。」

「ん?あ、ホントだ。何の話してんだろうな。」

「ちょっと聞いてくrぐえっ。」

 

そのまま2人の元へ駆け寄ろうとする茄子を唐瓜は襟を掴んで止める。茄子の口からは蛙が潰れたような声がでてきていた。

 

「おい、仕事まだ終わって無いだろ。」

「あ、そうだった。」

「全く…しっかりしろよな、只でさえお前は忘れっぽいんだから早くやらないと内容忘れるだろ。」

「失礼だなぁ………所でなにすれば良いんだっけ?」

「お前なぁ…。」

 

ボケッとした顔で頭を掻きながら尋ねてくる茄子に思わず項垂れる唐瓜。呑気に笑う茄子と頭を抱えていた唐瓜だったが、そこに話を終えた鬼灯がカツカツと歩いて来る。

 

「何してるんですかお二人共、他の人の邪魔になるのでどいた方が良いですよ。」

「あ、すいません鬼灯様…。」

「ねーねー鬼灯様、さっき月見さんとなに話してたの?」

「ふむ、」

 

話しかけて来た鬼灯に対して茄子は先程の疑問を問いかける。しかし鬼灯は顎に手を当て、少し悩む素振りを見せる。嫌そうにしているわけでは無いが、何処か言いづらそうなその姿に近くで項垂れていた唐瓜は慌てて茄子の口を塞ぎにかかる。

 

「すいません!言いづらい事だったら断ってもらっていいんで!」

「もがもが…。」

「大丈夫ですよ、単純に月見さんのプライベートな話なのであまり言うのも良くないと思いまして………。」

「隠してる事でも無いので構いませんよ?」ヒョコッ

「どぅえあッ!?」

「ぐえっ。」

 

気配もなく背後からひょっこり現れた月見に思わずのけぞる唐瓜。それに伴い、襟を掴まれていた茄子の首も締まりまたもや蛙が潰れたような声がてできた。

 

「……大丈夫ですか?」

「時折気配消しながら近づく癖どうにかした方が良いですよ。無自覚なんでしょうけど。」

「気配?何の事ですか……?」

「び、びっくりした……。」

「唐瓜昔っから驚かせられるの駄目だもんな。」

 

地面にへたり込んでいる唐瓜の隣にしゃがみこんで申し訳なさそうな雰囲気を出す月見は、頬を掻きながら話し始めた。

 

「それで、明日の事についてですよね。単純に少し現世に行くだけですよ。」

「?出張か何かですか?」

「そんなんじゃありません。個人的な事情で習慣になってる事があるんで山に行くだけです…………よっと。」グイッ

「「山?」」

 

月見の手によって立ち上がる唐瓜と側で話を聞いていた茄子が同時に首をかしげる。

 

「はい、月がよく見える場所でやることがありまして。」

「あ、そっか、地獄じゃ月が見えないから現世まで行かないといけないのか。」

「そうです。まぁやることと言っても儀式みたいな堅い物でも無いですよ。単純にお酒を呑んだり、お客様のお相手をするだけです。」

「へぇ~ねぇねぇ月見さん!俺も行ってみたい!」

「ちょ、お前、馬鹿!」

 

かなり唐突な事を言い出す茄子を唐瓜が叩こうとする前に月見は残念そうに返事をする。

 

「すいません……毎回、決まった方しか来れないようになってまして美穂位しか連れていけないですし、自由に来れるのもあの子達だけなんです。」

「そっかぁ~残念。」

「今度皆で食事でもしましょう。餅菓子、持ってきますから。」

「ホント!?わぁ~い!」

 

呑気に歓声を上げる茄子を他所に、鬼灯が話の続きを催促する。

 

「して、今回のお客様とは?」

「少しばかり、過酷な場所で働いてる貴方の同業者ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言うわけなのですが………ここの山を使ってもよろしいでしょうか岩姫様。」

「………しょうがないわね、貴方には一回お世話になってるもの。」

 

とある山の祠にて、1人……1柱の神を前にして月見が座っている。相対する緑色の着物を着た重々しい雰囲気の女神……岩姫はため息をつきながらしょうがないと言わんばかりに笑う。

 

「ありがとうございます岩姫様。」

「別にいいわよ、あの子達にもよろしく伝えといて。」

「はい……あ、こちら手土産の餅入り最中です。」

 

手土産を渡した月見は一度ペコリと頭を下げると、そのまま祠から立ち去って行った。すぐ側でその様子を見ていた着物を着た少年らしい出で立ちをした精霊……木霊(こだま)はおそるおそる岩姫に話しかける。

 

「あの、何かあったんですか?」

「ん?別に何もトラブルなんか無いわよ。ただ今年もあの子に神から依頼が来たってだけ。」

「依頼?」

「あら、アンタ知らないの?」

 

岩姫は月見からもらった箱を開け、中に入っていた個包装の最中の一つを取り出すとそのまま木霊に渡した。自分の分の最中も取り出し、袋を破って食べ始める岩姫はそのまま話を続けた。

 

「あの子の力については知ってるのよね?」

「え、えぇ、たしか疲れやストレスといったアバウトな物まで燃やせるとか何とか……。」

「その能力を使って欲しいって依頼がちょくちょくあんのよ。ここ数百年で始まったばっかだし年に一回あるか無いか程度だけど。」

「へぇ、そんな事が………でもそのお相手って誰なんでしょう。」

「神よ。それも様々な神話のね。」

「へぁッ!?」

 

思わず手に持っていた最中を取り落としそうになる木霊。

 

「ま、そんなかでも限られた奴しか依頼出来ないけど。」

「そ、そうなんですか……それまたなんででしょう。」

「決まってるじゃない

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子においたをしたらあの子の(美穂)保護者(月神達)が黙って無いからよ。」

「そういえば月見さんはともかく美穂さんは神嫌いでしたもんね……。」

「そもそも依頼だって基本月神を通してるから、問題がある相手ならそこで弾かれてんのよ。」

「何ともまぁ…愛されてますね。」

「一応私は月読様に大丈夫って判定されたけど、正直初めてあの狐の娘に会った時は死ぬかと思ったわよ………。」

 

しみじみと呟く木霊は静かに最中を食べ始めた。

 

 

 

 

「あ、美味しい。さすが月見さんの餅菓子ですね。海外にも売られるわけです。」

「ちょっと待って、販路拡大してたのあの子の餅。」

 

他の国でも月見さんの餅は人気です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、お帰り月見。許可は貰えた?」

「うん、快く場所を貸してくれたよ。」

「やっぱり岩姫様は他の神と比べて話がわかる人ね。場合によってはニヤニヤしながら対価を要求してくる奴だっているんだもん。」

「だからといって神様が奉られてる場所壊さないでよ美穂。」

「大丈夫大丈夫、月神様達から「殺れ」って許可は降りてるから。」

「でもなぁ……。」

 

森の中、少し開けた場所に結界を張っている美穂の元へ月見が近づいて来る。結界の中には座敷や囲炉裏といったものが並べられており、そこで寛ぐ事もできそうだ。

 

「別に良いじゃん、基本的にそういう神は他の神からも迷惑がられてる奴なんだから。ほら、あの不細工勘違い豚の時なんてお礼言われた位だし。」

「…………あぁ、天邪鬼の事?」

「そうそう、そんな名前だったねあいつ…………今思い出しても腹立つわあの豚。」

「まぁまぁ落ち着こ?」ポフッ

 

美穂が不穏なオーラを纏い始めた所で月見は美穂の頭に手を置いて撫でる。最初は目を丸くしていた美穂は、次第に表情を緩め始め最終的にはデレッデレの笑顔で月見に抱きついた。

 

「えへへ………しゅきぃ……。」

「ほら、早く準備しないとあの子達もお客様も来ちゃうよ。」

「え~…。」

「え~、じゃないの。後で幾らでも甘えていいから……ね?」

「むぅ……はぁい。」

 

諭された美穂がしぶしぶ月見から離れた所で、森の中で何かが動く音が聞こえて来た。がさがさと音を立てながら近づいてくるその気配を察知した2人は揃ってその方角を向く。

 

「あ、来たみたい。音の数からしてあの子達かな?」

 

美穂はそう言って尻尾を揺らす。先程までの不機嫌さは完全に無いようだ。そうこうしている間に音は近づいてくる。

 

「ん……まだお客様が来るまで時間があるから、2人にもお菓子あげようかな?」

「良いんじゃない?囲炉裏の上に網張ってるから餅焼けるし。」

「じゃあきな粉と砂糖を……。」

 

月見がポーチから餅に合う食材を取り出し始めた時、近くの木々の間から2人分の人影が現れる。

 

「ここらへんだと思うんだけど………。」

「あ!月見にぃと美穂ねぇだよ!」

「ホントだ!良かった、合ってたんだ!」

 

現れた少年と少女は、月見と美穂を視界に捉えた瞬間に目を輝かせ、手を振りながら駆け寄って来た。

 

「ひっさしっぶり~!会いたかったよ~!」

「月見兄さん、美穂姉さん、久しぶり。」

「えぇ、久しぶりですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立夏(りつか)くん、立香(りっか)ちゃん。」

 

月見に名前を呼ばれた外に軽くハネた黒い短髪と青空のような青い目を持った線の細い少年……藤丸立夏とオレンジがかったセミショートの赤毛と太陽のような目を持った活発そうな少女……藤丸立香は満面の笑みを浮かべた。




はい、FGO主人公のぐだーずです。関係性と仲良くなった経緯については次回とその次の話で語りますので、少々お待ちください。

月見さんの能力の月炎は神であろうと効果を及ぼすため、仲の良い月神達がストレスを燃やすように依頼する事があったのですがそれが他の神達にバレて「俺(私)達にもやらせろ!」となったため出来たのが今回の話の中心である「依頼」です。

次の話で皆大好きな彼女が出てきますよ。
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