閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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色々と追加設定がありますが、そう言うのが気にならない人はお進み下さい。

一つ思ったんですけど、九尾でも型月世界ではビーストレベルでやべー存在なのに十尾の美穂さんはどういった扱いになるんでしょうか。





それでは、どうぞ。


月夜日記三頁目

「はふっ、はふっ!」

 

鍋の中身を一口食べてからフォークが止まらないエレシュキガル。熱い物を一気に食べているからか若干涙目になっている気もするが、本神には止める気は一切無いようだ。

 

「ずすっ………ぷはぁ。」

 

椀の中に入っていたスープを飲み干した所で、一息ついたエレシュキガルはゆっくりと夜空を見上げる。

 

「初めてなのだわ………ここまで暖まる食事なんて……あ、お代わり貰えるかしら?」

「ええ、まだ材料は沢山ありますから。」

 

差し出さした椀にまた具材を注いで貰ったエレシュキガルは今までの分を取り戻すかのように食べていく。数分後、そこには落ち着いたのか顔を赤くして俯いたエレシュキガルがいた。

 

「うう………ごめんなさい、一人でテンション上がっちゃって………。」

「別に気にしなくていいんですよ?」

「今日はエレちゃんが主役なんだから、ほら、もっと食べよ?」

「優しさが身に染みるのだわ………。」ホロリ

 

長い間他人からの施しや労り等を受ける事が無かったエレシュキガルにとって、今の状況は経験のない事であるため感動も一潮なのだろう。情緒か落ち着いて来たのか、いつの間にか目尻に溜まっていた涙をぬぐい、話を始めた。

 

「それにしても、綺麗な空ね……。」

 

その言葉に立夏と立香も夜空を見上げる。満天の星空の中に、一際輝く月には餅をつくうさぎが見える。

 

「ねぇねぇ月見にぃ、一つ気になってたんだけど。」

「どうかしましたか立香ちゃん?」

「普通月があんな輝いてる時に星ってこんなはっきり見えたっけ?こないだ学校で習ったんだけど、月が輝いてる時は遠くの星は地球に届く光量が負けるから見えにくくなるんでしょ?」

「あぁ、その事ですか。」

 

囲炉裏で燃えているの青い炎を調節していた月見は立香からの質問に答える。

 

「僕の事は説明しましたよね?」

「うん、確か月に描かれてる餅つきうさぎなんでしょ?」

「それが答えです。」

「「?」」

 

月見の返答をいまいち理解出来ないエレシュキガルと立香だったが、隣に座る立夏は納得したように手を叩いた。

 

「あ~成る程。」

「え、なになにどういう事?」

「あの月、月見兄さんなんだと思う。」

「??………????」

「月見、もうちょっと噛み砕いて説明してあげたら?」

「ふむ………。」

 

月見はポーチから取り出した餅を囲炉裏の火で焼きながら考え込み始めた。火の粉が弾ける音はしないが、徐々に切り餅が膨らんで来た所で焼いた餅を鍋の中に投げ入れ、そのまま鍋をかき混ぜ始める。

 

「まぁ簡単に言ってしまえば、「日本と中国から見える月は僕が薬草や餅をついている姿」という伝承を利用した術式みたいな物ですよ。月の光を操作して、光の強さはそのままに他の星の光を邪魔しないように調節してるんです。」

「はぇ~。」

「………ちょっと待ってさらっと凄いことしてないかしら!?」

「自分の体なのでどうとでも出来ますよ。」

 

エレシュキガルの言葉に月見は首をこてんと傾げながら出汁の染み込んだ餅を自分の椀に入れる。

 

「まぁ強制的にこの結界の中を月炎でストレスを燃やしている状態にする為にしてるんですよ。そもそもこのもてなしの主な目的はそちらですし。」

「へ?」

 

すっとんきょうな声を上げるエレシュキガルをよそに月見は自分の椀に入れた餅を頬張る。10cmほど伸びた所で噛み千切り、そのまま咀嚼した月見は無表情のままうさみみを荒ぶらせる。

 

「………んぐっ、ナンナル様から伝えられて無いですか?これはストレスを物理的かつ強制的に燃やせる僕への依頼であるって。主な依頼者は全員仕事や関係で心が疲れた方々ですよ。貴女の場合は「弱音や文句を吐かずに仕事を続ける貴女をどうにかして休ませたい」というナンナル様からのご依頼ですので。」

「お父様………。」

「そう言うことなので、今は気にせず夜景と星空を楽しんで下さいな。」

「ええ、そうね……。私にも貴方が食べてるその白いの貰えるかしら?」

「もちろんですよ。喉に詰まらせないよう、気をつけて下さいね。」

「女神である私がそんなミスをするわけ無いのだわ!…………あちゃっ!」

「熱い出汁が染み込んでるので気をつけて下さいね?」

「…………言うのが遅いのだわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~…………満足なのだわ。」

「それは良かったです。食後のデザートも用意しますけど、入りそうですか?」

「問題無いのだわ。」

「分かりました。」

 

そう言って月見が作業に取りかかった所でエレシュキガルは座敷に寝そべり、改めて星空を見上げる。暫く無言で上を見ていたエレシュキガルだったが、不意に近くにいた立夏と立香に話しかける。

 

「ねぇ、二人とも。ちょっと話を聞きたいのだけど………いいかしら。」

「いいよ~、何でも聞いて?」

 

満腹でのほほんとしている立香がそう答えるとエレシュキガルは体を起こしながら問いかける。

 

「私が招かれた理由は分かったんだけど……貴方達はどうやってあの二人と知り合ったの?」

「ん~……まぁ色々あってね……。」

「………言いづらいことだったかしら?」

「そう言うことじゃないけど……いかんせん、俺らだと説明がしにくいんだよなぁ。」

「じゃあ私が説明しましょうか?」

 

立夏と立香がどう説明しようか頭を悩ませ、エレシュキガルが段々と不安そうな表情になり始めた所で美穂が話に入ってくる。

 

「美穂ねぇお願いできる?」

「良いですよ。」

 

そこで一旦咳払いをして息を整えた美穂はそのまま口を開いた。

 

「それでエレシュキガル様、私達と立夏、立香の関係についてでしたよね?」

「え、えぇ……私はてっきり神官みたいな存在かと思ってたんだけど、家族みたいな距離感だから違和感があって……。」

「まぁさっさと事実を言うと、友人ですよ。この子達にとっては幼い頃からの。」

「友人?」

 

そう言って首をかしげるエレシュキガル。美穂は首を縦に振り、肯定の意を示すとそのまま話を続けた。

 

「ええ、そうですよ。最初の出会いからインパクト大でしたからそこから今まで時々会って今では依頼の手伝いをして貰ってます。」

「……その出会いって?」

「あぁ、まぁなんというか……おや。」

 

ちらりと目線を外す美穂。それにつられたエレシュキガルがそちらを見ると、眠くなったのか二人で身を寄せあって座敷に眠る立夏と立香の姿があった。

 

「寝てしまいましたか……まぁいいですね続けましょう。」

「えぇ、静かにね。」

「分かってますよ。それで最初に二人に会った時……10年前なんですけどね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度この子達が神隠しに会って連れ去られてる最中だったんですよ。」

「何を言ってるのだわ!?」

 

告げられた内容が内容であるため、思わず声を出してしまうエレシュキガル。すぐに口を押さえて二人の様子を伺うが、すやぴこと眠ったままで呼吸に合わせて動くだけだった。

 

「………ホントに?」

「ええ、私と月見が現世の視察に赴いた際に妙な気配を感じまして。それでその場所を探してみたら祟り神と化した何かに連れ去られかけてたのでそこを月見の月炎で何とかした時に懐かれました。」

「えぇ…………。」

「あの子達、巻き込まれ体質かつ人外に好かれやすいらしくて……半年に一回は似たような事を体験してるみたいなんですよ。この前は魚人みたいな化け物に拐われてましたし、その主である旧支配者とか名乗ってた奴と仲良くなってましたし………確かクトゥクトゥとかそんな名前だったっけ?」

「クトゥルフさんだよ。」

 

どうでも良いことは全く記憶に残らない美穂か記憶を掘り起こしながら話していると、幾つか皿が乗った盆を抱えた月見が混ざって来た。

 

「そうだっけ?」

「何か日本を起点にして地球を侵略しようとしてたから鬼灯様と一緒に殴り込んだでしょ?まぁそれで大人しく生活する事にしたみたいだけど。」

「あぁ、そうだったわね。」

「か、会話についていけないのだわ……。」

「それはそれとしてデザートです。」

 

すっとエレシュキガルに手渡された皿の中にはぷるぷるとしている黒い餅が入っていた。エレシュキガルは皿を持ったまま首を傾げる。

 

「何なのかしら?」

「わらび餅です。このきな粉と黒蜜をかけて食べてください。」

 

そう言って月見はどこからか取り出したきな粉と黒蜜の入った壺を差し出す。そうして座敷に置いた後、藤丸兄妹を起こしにかかる。

 

「デザートですよ~。」

「「デザート!?」」ガバッ

「わぁ早い。」

 

即座に体を起こす二人だった。

 

「はい、わらび餅ですよ。きな粉と黒蜜はあそこです。」

「わぁーい。」

「いただきまーす。」

 

ほのぼのとわらび餅を食べ始めた二人を暖かい目で見つめるエレシュキガルだったが、ふと先程の会話を思い出して話を振った。

 

「ねぇ、二人とも。貴方達って人間以外の知り合いってどれぐらい居るの?」

「ん?んーと……月見にぃと美穂ねぇ含めたらざっと40人位?」

「人間の友達と同じ位居るからなぁ。」

「………良いなぁ。」

 

エレシュキガルがぽつりと呟く。その言葉に反応した立香はポケットから携帯電話を取り出した。

 

「ねぇエレちゃん、もし良かったら電話番号教えて?」

「ぇ?」

「あ、それとも携帯持ってなかった?」

「いや持ってるのだけど……。」

「じゃあ連絡先交換しよう!ほら、立夏も!」

「はいはいっと。」

「は、はわわわわ!?」

 

そのままトントン拍子で立夏と立香の連絡先を手に入れたエレシュキガルは呆然と電話帳に追加された二人の名前を見つめていた。

 

「れ、連絡先を交換したのお父様以外だと初めてなのだわ………。」

「エレちゃん、時々連絡してもいい?」

「えっ!?か、構わないのだわ!」

 

笑みを浮かべた立夏の言葉に携帯を胸に抱きしめ、顔を赤くしながらそう答えるエレシュキガル。返答を聞いた立夏は嬉しそうに笑う。隣でその様子を見ていた立香は少しムッとしながら正座するエレシュキガルに抱きつく。

 

「はわぁっ!?」

「ねぇねぇエレちゃん、私も良い?」

「も、もちろんなのだわ。」

「わぁーい!」ギュー

「はわわわわわわわわわわわっ~!!??」ボフッ

「あ、キャパシティー越えた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「」プシュー

「ぐいぐい行くのもいいけど、ちゃんと距離感は考えましょうね?美穂さんとの約束ですよ。」

「「はーい……。」」




この世界のぐだーずはクトゥルフ神話TRPGのシナリオ10回分はクリアしてますね。慣れすぎてニャル様(変化無し)見ても「あ、こんにちはー」で済む位メンタルがバグってます。エレシュキガルにぐいぐい絡みに行ってたのもそこら辺の境界線が狂ってるからです。その上危機察知能力も磨かれてるためどこまで深い話をしても良いかを無意識のうちに理解してるので、余程根本から狂ってる奴でなければ誰に対してもコミュ力を発揮できます。戦闘力?装備ありミ=ゴにぎりぎりタイマンで勝てる位ですかね?

クトゥルフ神話関係の知り合いは甘党ふうせん様の邪神卓みたいな感じだと思って下さい。



これまでの依頼者(例)
・ハデス、ペルセポネ
  →秋の山のコテージ(美穂作)で日本食フルコース。
・フェンリル、スコル、ハティ
  →夏の川沿いでBBQ
・アルケイデス(ヘラクレス)+家族
  →普通の人間に化けて京都の街歩き。
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