時系列的には鬼灯の冷徹13巻辺りですね。順序がぐちゃぐちゃですが気にしないで下さい
それでは、どうぞ。
「「……………………………。」」
「何か不満ならはっきり言いなさい。私は傷付かない。」
「イイエ…………。」
「アリガトウゴサイマス………。」
(………偉い。)
閻魔庁の一角にて、淀んだ空気を纏いこれでもかと言う位の渋い顔をする座敷童子達と腕を組む鬼灯が向かい合っていた。座敷童子の方は何とも言えない妙にダサい女児用の洋服を着ていた。少し離れた場所からその光景を見ていたお香は事態を終息させるため、鬼灯に話しかける。
「………あの、鬼灯様…おっしゃってくれれば次はアタシが…買いに行きますけど……。」
「これは教育です。」
鬼灯はお香の方に振り返りながらいつもの仏頂面のまま話す。
「男に服を選ばせるとこうなりますよ、という。」
(……本当にセンスが無いのを誤魔化してるか厳しくするためにわざとこれを買ってきたのか分からないのよね……この人の場合。)
鬼灯の回答を聞いたお香は思考を巡らせながら苦笑いをしていると、近くを通りかかった資料を持ち運んでいる最中の唐瓜と茄子も会話に参加してきた。
「女児二人に不服を言えってのも凄い勇気だよな。」
「小さい女の子の指摘って結構的確で心に刺さりやすいもんな。」
「流石お洒落な美容院で堂々と「現世朝ニュースの安心イケメンアナウンサー風」って最も恥ずかしい形で注文できる人……やっぱり俺らとは桁違いの勇気持ってんな。」
「………おんなじ種類の勇気なのかしら?」
唐瓜の感想に首をかしげるお香だったが、それに気づいていない様子の二人は話を続ける。
「でも、あの子供っぽい所が可愛いけどな?アレ。」
「なんというか、微笑ましいって感じだよな。」
「大人から見て可愛くても当人は嫌なもんなのよ?」
唐瓜と茄子の話に入ったお香は昔を思い出すように目を伏せる。しかし顔には少し微妙な表情が浮かんでいた。
「アタシも昔あったわ。大好きなお婆ちゃんがくれた着物が何とも言えない………ホント何とも言えない妙~~な赤紫色で……でも、お婆ちゃんの事は大好きなのよ………。あの時みたいなものかしらねぇ。」
「私、身内がいないのでそれ、分からないです。」
そう言って首をかしげる鬼灯に対し、お香は周りに玩具や紙を散らかしこちらを見つめる座敷童子達の方を指差す。
「………あの目を見て、鬼灯様。……遠慮と悲哀が混じった埴輪のようだわ。」
「建前と義理を学ぶ機会を与えたのです。」
「夢も与えてあげて下さいな……。」
腕を組む鬼灯は今一感情が分からない無表情のまま顎に手を当てる。しかし鬼灯が現世に行く時の格好も"自分が鬼であることが分からない"位しか基準にしてなさそうな良く分からないデザインのTシャツなので良い案も出る訳もなく、そのままお香に尋ねた。
「………ではもう一着買うとして……お香さんにお任せします。ちなみにお香さん、現世に行った時、着てた服を選んだ決め手は?」
「えっと、アレは蛇柄がいいなって。」
「あ、ダメだセンス信用出来ない。」
選択肢を潰された鬼灯は次に近くまで来ていた唐瓜に噺を振った。
「唐瓜さんはどうですか?」
「あー…俺は雑誌見て上下丸ごと購入です。」
「俺直感。」
「ふむ、そうですか……。」
あまり収穫が無かったため、四人でどうしたら良いか悩み始める鬼灯達。側で無気力気味にゆったりと遊ぶ座敷童子はかなりの無のオーラを背負っており、なんともカオスな空間が出来上がっていた。するとそこに大きな段ボールを抱えた美穂が裁判場に歩いて来た。妙な気配を感じた美穂がふとその方向を見て眉をひそめる。
「何やってるんですか、こんな場所で。それに座敷童子ちゃん達が虚無虚無プリンになってますけど。」
「あら、美穂さん。月見さんはご一緒じゃないの?」
話しかけてきたお香に対して美穂は一旦段ボールを床に置いてから答える。
「月見は今書類の整理と患者の診察してるんです。もうそろそろ終わる時間じゃないですかね。」
「あぁ、そういえばそんな時間でしたね。今日はどんな感じでしたか?」
「何人か記録課が運び込まれて、ついでに実験にしくじった技術課が一人運び込まれた位ですかね?確か鳥頭とかなんとか………。」
「
「烏頭さん………。」
「相変わらずだなあの人も。」
そんなこんなで空気がある程度緩んで来たところで不意に美穂がポンと手を叩く。その後、先程まで運んでいた段ボールの蓋を開け、中身を取り出した。見た目はプラスチックで出来た半透明のボトルだ。中には液体が入っている。
「そうそう!新しい保湿美容液がちゃんと製品化出来たんでした。お香さん、もし良かったらどうぞ。」
「あら、いいのかしら?特に何かした覚えは無いのだけど……。」
「いいんですよ、私が好きでやってるんですし、必要でしょう?刑場は火に近いこともあって乾燥しますから。」
「えぇ、そうね、ありがたくいただいておくわ。」
そんな中、鬼灯はふと何かを思い出したかのように美穂に尋ねた。
「そういえば美穂さん、貴女現世の視察に向かった時に着てた服自分で購入されたんですか?」
「?…質問の意図が良く分かりませんけど、あの服は現世で買った物ですよ?月見の分も私が選んでますし。」
「適任がここにいた。」
「?」
鬼灯の言葉に首をかしげる美穂。先程までの会話を知らないため、この反応も当然なのだが鬼灯は構わず話を続ける。
「美穂さん、現世の格好の写真とかありますか?できれば月見さんも写ってる物。」
「?はい、ありますよ。」
そう言って美穂は袖に手を入れるとそこからスマホを取り出した。しばらく操作した後、四人に画面が見えるように持ち変える。
「こないだ現世に行った時は夏だったんで半袖ですけど、一応色々種類ありますよ。ほら。」
スマホの画面には現世にて街を歩く月見と美穂が写されていた。アングルからして美穂による自撮りなのが分かる。どちらも美穂の変化の術でケモミミや尻尾を隠して人間に擬態しており、その身には現世の流行りを取り入れたお洒落な服を纏っている。
「おぉ、すっげぇモデルみたい。」
「ホントだな。」
「美容関係を勉強してるうちにファッションにも詳しくなりまして、今ではデザイナーやスタイリストの知り合いが増えましたよ。カマーさんからも時々依頼が来ますし。」
「そういえば美穂さん何回か雑誌に載ってたわよね。」
覗き込む唐瓜と茄子は感嘆の声をあげ、お香も興味深そうに見ている。
「えぇ、やっぱり美容品を卸してると色んな所と縁が………あ。」
美穂が何回か画面をスライドし、とある写真に変えた瞬間、美穂は「やべ」と呟き、覗き込んでいた四人がそのままピシリと固まる。写真の中にいたのはベッドに座った月見であった。
ただし男性用の際どいバニースーツを着ていたのである。
ノースリーブのベストと太ももまで惜し気なく晒すホットパンツ以外は身につけておらず、火傷が残る肌を晒しながら自前のうさみみをピンと立たせカメラを向いて首をかしげていた。その姿は元の外見の良さと幼さも相まってどこか禁断的な色気かあった。
即座に写真は右にスライドして行き、美穂はなんでもなかったかのような笑顔をしている。鬼灯は美穂を見てため息をつきながら口を開いた。
「あれ着せたのアンタだろ。」
「そうですが何か?」
「………別に貴女達夫婦の営みにとよかく言うつもりはありませんが、ほどほどにしておいて下さいよ。」
「月見がいやらしいのが悪いんです。私は悪くありません。」
((開き直った………。))
ニコニコと笑顔を浮かべる美穂だったが、小鬼二人にはとんでもない威圧感を感じる物だった。やがて鬼灯が諦めたかのような声色で話を続けた。
「……まぁいいです。本題に入りましょう。」
カクカクシカジカコンコンミホミホ
「あぁ、だから座敷童子ちゃん達あんな闇背負ってたんですか。鬼灯様、もうちょい良いの無かったんですかね?」
「私は教育したまでです。」
先程の事を棚にあげて呆れた目を鬼灯に向ける美穂。腕を組み、仏頂面のまま開き直る鬼灯は話の続きを促す。
「それで、引き受けて頂けますか?」
「ふむ……あ、そうだ。服のデザイナーやってる知り合いが近くに来てるらしいんですよ。今子供向けのお洒落な服のモデルが欲しいと言ってたので、あの子達ならルックス的にも条件満たしてますから推薦してみていいですか?」
その美穂の言葉に鬼灯は興味深そうに声を漏らし、唐瓜と茄子、お香は目を見開き、近くでこちらを見ていた座敷童子達はその真っ黒で大きな目を輝かせた。
~月見さんのバニースーツ姿に至るまで~
「ねぇねぇ、コスプレ専門店だって!」
「へぇ、最近の現世にはこんなのもあるんだね。」
「ちょっと見て行かない?」
「いいよ、時間あるし。」
30分後
「あー面白かった!」
「美穂、何か買ってたけど……。」
「ふふっ後でわかるから。」
夜(ラブホ)
「ふふんふふーん♪」ウキウキ
「…………ねぇ美穂、これ……。」
「ん?あぁ、それ?月見用のバニースーツ。」
「あ、うん。」
「ねぇねぇ速く着てよぉ、絶対似合うから。」
「…………これでいいの?」コテン
「あああああああああぎゃわいいいいいいい!!!」パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
「(喜んでるならいっか)………ん?」
「…………フーッ…………フーッ。」パチンッ
↑自分の服を術式で消す美穂
「……………美穂?」
「………月見は獲物、後ろはベッド、私はもう準備出来てる………後は、分かるでしょ?」ニチャァ
「あっ(察し)……………………お。」
「お?」
「おいしく…食べてね?」
ブチッ「いっただっきまーす!」ガバッ