閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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月見さんのイメージ図が完成したので貼っておきます。鉛筆なので雑な部分がありますがお許しください。


【挿絵表示】



とてもかんたんなあらすじ
「月見さんは薬学狂い」


配達日記一頁目

「…そういえばそろそろ研究用の金丹が無くなるんでした。」

 

自分の寝室兼研究所で試料の整理をしていた月見が呟く。

 

「仙桃も欲しいし一回顔を見せに行ったほうがいいですね。」

 

そう言って月見は作業用の外套と口を覆っていた布を外し、いそいそと外出の準備をする。

 

「土産は……これでいいかな。醤油と海苔とわさびも…あと一応甘いやつもつけとこ。」

 

風呂敷にそれらを包んで持ち上げる。

 

「じゃあ行きますかね。」

 

月見は腰のベルトにワニ革のポーチをつけた後、荷物を持って部屋を出ていく。

 

「…あっ、忘れるところでした。」

 

 

 

 

反対側の手に杵を抱えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閻魔大王、こちらの書類で午前中の分は終わりです。」

「そうなの?鬼灯くん。なんだか心なしかいつもより少ないねぇ。」

「請求書などの処理が必要なものは昨日の内に終わらせましたから。」

 

閻魔大王と鬼灯がそんな会話をしていると、入り口の方から明るい声が聞こえてくる。

 

「鬼灯様~!」

「おや、シロさん。それに柿助さんとルリオさんも。」

 

桃太郎ブラザーズがそろって鬼灯の元へ近づいて来る。

 

「ねぇねぇ鬼灯様。今から俺たち桃太郎に会いに行くんだけど一緒に行かない?」

「お誘いは嬉しいのですが、午後から外部の方との打ち合わせがあるので今回は遠慮しておきます。」

 

その言葉に残念がるシロ。その右隣にいる柿助は別の事が気になっていた。

 

「その打ち合わせってどんなのなんですか?」

「簡単に言えば海外の神様が視察にくるんです。その予定を合わせるんですよ。」

「あぁ、そんな大事な予定があるんだったら仕方ないですね。」

 

ルリオが納得した声をだす。鬼灯はあっ思い出したといわんばかりに口を開いた。

 

「そういえば白澤さんに届けるものがあるんでした。代わりに持っていってもらえませんか?」

「うん!いいよ!」

「ありがとうございます」

 

鬼灯様から頼み事をされたことで機嫌が直ったようだ。

 

「閻魔大王、鬼灯様、こんにちは。」

 

その時、荷物を抱えた月見が廊下から現れる。

 

「月見くんじゃないか。薬の研究は順調?」

「はい、おかげさまで。」

「杵を持たれているということはどこかに向かわれるんですか?」

「桃源郷に少し用事があるので。」

 

月見の言葉にシロが反応する。

 

「えっ、桃源郷いくの!?俺も一緒に行っていい!?」

「おや、あなたは…。」

「おいシロ、いきなりは失礼だろ。」

「うちのシロがすいません。…え~と…。」

「大丈夫ですよ、お三方。はじめまして月見と申します。あなた方は?」

 

屈みながら桃太郎ブラザーズに話しかける月見。

 

「俺、シロ!」「柿助っていいます。」「ルリオです。」

「はい、お願いします。」

 

自己紹介を終えたところを見計らって鬼灯が月見に話しかける。

 

「ちょうどシロさん達も桃源郷に行く用事があるんですよ。せっかくならご一緒に行かれては?」

「えぇ、僕は構いませんよ。」

「本当!?やった~!」

 

シロがその場でとび跳ねる。その隣にいる柿助は別の事が気になっているようだった。

 

「あの~…月見さん、どうして杵なんて持っているんですか?」

「これですか?ただの護身用ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出張先が危険だった事が多すぎて出掛ける時に持っていないと落ち着かないんです。」

「えぇ…。」

「そういえば「ギリシャヤバかった」みたいな事言ってましたねあなた。」

 

ギリシャ神話は血生臭い上にろくでなしが多いです。

 

「ねぇねぇ早く行こ!」

「そうですね。閻魔大王、鬼灯様、いってきます。」

 

月見が二人に礼をすると、桃太郎ブラザーズと共に桃源郷に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄側の門を通り抜けた一行は他愛のない話をしている。

 

「そういえば月見さん、その荷物って何が入っているんですか?」

「お世話になっている方へのお土産ですよ。おそらくあなたも食べられるものです。」

「じゃあ俺も食べていい!?」

「むこうの許可が出たらいいですよ。」

 

そんな会話をしていると道が交差している部分が視界に入る。亡者の姿もちらほらみえている。

 

「あら~、月見先生じゃな~い。」

「この前の青汁スッゴい美味しかったわ~。」

 

門番である牛頭と馬頭が月見に話しかけてくる。

 

「こんにちは牛頭さん、馬頭さん。お体の調子はいかがですか?」

「もうバッチリよ~。なんなら昔よりパワーアップしてるわ~。」

「この前やったアーティスティックスイミングもキレがでてたわ~。」

 

その様子を見ていたシロが声をかける。

 

「二人共、月見さんと仲いいの?」

「あらシロちゃん。月見先生はね、相談したらその相手に合った健康食品をすすめてくれたり、作ってくれたりするのよ~。」

「おかげで私達、とっても毛並みとかがよくなったわ~。」

 

シロ達が門番二人と話しているとふと遠ざかるような足音が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

亡者が何人か、天国の門に行こうとしている。

 

「あら、お仕事しなくっちゃ。」

「お手伝いしましょうか?」

「本当?ありがたいわぁ~。」

「構いませんよ。…そうだ、柿助さん。」

 

直後、柿助に向かって風呂敷包みが投げ渡される。

 

「はい?っとぁ!?」

「おい危ねぇぞ。」

 

取り落としそうになるがルリオの補助もあり、受け止められたようだ。

 

「すいません。すぐに戻ります。」

「あ、あのって速っ!?」

 

牛頭馬頭と同じスピードで走り出す月見に驚く三匹だった。

 

 

 

 

「5人もいますが、自分は誰を狙いましょうか?」

「なら一番離れてる人をお願いしようかしら。」

「他は私達に任せてちょうだい?」

 

了解です、と答えた瞬間、月見が強く踏み込んで前方の柱に向かって跳ぶ。

 

「……目標捕捉……。」

 

朧気ながらに捕まえるべき相手を見つけた月見が何回も柱の側面を足場にして、さらに前へ跳んでいく。

 

「地獄なんて行ってたまるかぁっ!」

 

そうわめく先頭の亡者の頭上まで追い付いた。そのまま体を縦に回転させて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぺったん。」

 

ゴンッ

 

「ごはぁっ!?」

 

回転の力をのせた杵で亡者の頭をぶん殴った。

 

その場で沈む亡者と反動を利用して跳んで上手く着地したうさみみ付きの少年という光景に他の逃走者の足も止まる。

 

「あなた達~?そっちに行っちゃダメよ~?」

「月見先生のおかげで大分楽できちゃったわぁ~。」

 

その隙を門番二人が逃す筈もなく、残りの亡者もフルボッコダドンされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月見さ~ん!!」

「あっシロくnっわぷっ!?」

「すごかった!!あれどうやってやるのー!?」

「おいシロ!迷惑かけるなよ~。」

「月見さんうちのバカ犬がすいません…。」

 

興奮したシロが尻尾を振りながら月見に向かって跳びかかる。残りの二匹も荷物を持って近づいて来る。

 

「大丈夫ですよ、お二方。荷物ありがとうございます。」

 

シロを地面におろして荷物を受け取る。

 

「月見先生ありがとねぇ~。」

「助かっちゃったわぁ~。」

 

亡者の案内とお仕置きを終えた牛頭と馬頭が歩いて来る。

 

「いえいえ、お役にたててなによりです。」

「これからお仕事?」

「僕は個人的な用事で、お仕事はこの子達ですよ。」

「うん!白澤さんに届け物があるんだ!」

「あら、そうなのぉ~。」

 

なごやかに会話をしている一行。

 

「月見さん、そろそろ行きましょう。」

「そうですねルリオさん。」

「あらそう?だったらあんまり話してちゃダメね。」

「シロくん達もお仕事頑張ってねぇ。」

「うん、ありがと!」

 

そう言って一行は天国の方へと進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ。シロくん。」

「な~に~月見さん?」

「だいぶ脂肪がついてるようなんで、低カロリーのおやつでも紹介しましょうか?」

 

月見のその言葉にシロが石になったかのように固まる。隣で聞いていた柿助とルリオは思わず吹き出していた。

 

「?どうしましたか?」

「いやっ!?えっなんで!?なんでそう思ったの!?」

「シロくんが飛び込んできて抱えた時にお腹がぷにぷにだったので。」

「………ッ!」←口を押さえて我慢している柿助

「ククッ…おいシロ、一発でばれてんじゃねぇかww。」

「うるさいよっ!」

 

シロがルリオに跳びかかっていってじゃれついている。

 

「お二方、早く行かないと日が暮れますよ。」

(原因この人だよな…。)

 

善意で心配しているだけなため自分が原因であることに気付いていない月見だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれっ?」

「ん~?どうしたの桃タロー君。」

 

桃源郷にある薬局、「極楽満月」。そこの従業員兼修行中の薬剤師である桃太郎と店主の白澤が薬の下準備をしていた。

 

「いや…次に磨り潰して粉にする薬草がないんですよ。」

「どれのこと?」

 

問われた桃太郎が目的の薬草の写真を見せる。

 

「これなんですけど…。」

「あ~たしか昨日のやつで最後だったはずだよ。」

 

白澤の答えに焦る桃太郎。

 

「えっ!?じゃあ早く採りに行かないと!」

「無駄だよ。地獄に生えてるやつだから今から行っても今日中には間に合わない。」

「これの納期今日ですよ!?」

「大丈夫大丈夫。」

 

白澤がうさぎ達に500円玉を渡している。

 

「もうそろそろ届くから。」

「?届くってなにが……。」

 

 

 

 

トントン ガラッ

「失礼します。」

「ほらね。」

 

入り口から月見と桃太郎ブラザースが入ってくる。

 

「桃太郎~!遊びに来たよ~!」

「おいシロ…。」

「先に用事済ませるぞ。」

 

柿助とルリオから言われたシロが思い出したかのように白澤に近づいていく。

 

「そうだった!白澤さん!お届け物です!」

「はい、ありがとね。」

 

 

 

 

 

「それにこないだぶりだね月見君。」

「一年近く経ってますよ白澤様。お久しぶりです。」

 

シロが持ってきた荷物を受け取っている桃太郎が不思議そうに月見を見ている。

 

「あの~白澤様?そちらの方は?」

「そういえば会った事無かったね。」

 

白澤が月見の方を示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕の一番最初に出来た弟子、つまり君や芥子ちゃん、ここにいるうさぎ達の兄弟子だよ。」




月見さんの出張先は多岐にわたるため、危険な目にあう頻度が高いです。ただ、メリットもあるので止めたいと思ったことはあまり無いそうです。


次回予告
「つまりすごい人ってことだね!」
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