それでは、どうぞ
閻魔庁の入り口前の階段を一人の女性……岩姫が上がって行く。その足取りはほんの少しばかりそわそわしていた。
「鬼灯様、いるかしら……………それにしても騒がしいわね。」
その独り言の通り、目の前の扉の向こう側からは何やら騒ぐ声が絶えず聞こえてくる。岩姫は恐る恐る閻魔庁の扉を開き、中を覗き込んだ。
「亡者は~~外!」
「イケメンは~内!」
「亡者は~~外ッ!!」
(何か変な行事やってる!)
扉の先では多くの獄卒が男女関係なく手に持ったカカオ豆をばら蒔き、柱に縛り付けられた亡者目掛けて全力でカカオ豆をぶつけ、またあるところでは意中の人目掛けてこっそりカカオ豆を当てる女性獄卒もいた。そのため空中にもカカオ豆が飛びまくり、床にもカカオ豆が所狭しと散らばる始末であった。
「何で鬼に豆ぶつけられんだよォォォぶへぇあっ!」ズバンッ!!
「豆まきってやってみると楽しいな!」ブオンッ!
「い、今俺に豆ぶつけたの誰ーッ!?」キョロキョロ
「………ッ。」サッ
カカオ豆まきを楽しむ面々の中には桃太郎ブラザーズや小鬼達などの姿も見える。
「お、お香姐さん、俺に………!」
「あ~~~~カカオって甘くないんだ。」
「あ、おいシロ!お前犬なんだからカカオダメだろ!」
「閻魔庁がカオスなことに………。」
そんな中を歩く岩姫は呆然としながら周囲を見渡している。その途中、視界の端に見知った人物が二人揃っているのが見えた。
「…………ふぅっ。」
「あ!月見さんと美穂さんッ!」
「?……………あ、岩姫様でしたか。」
「ん~?あ、お久しぶりです岩姫様。」
いつもよりも鈍い反応をする月見にそんな状態の月見を後ろから抱いておっとりとした顔をする美穂に向かって歩き出す岩姫。しかし、その隣で眼鏡越しの目の前の風景から何かを一心不乱にメモしている紫式部を見つけた瞬間、その顔にはひきつった笑みが浮かんできた。
「……そ、そっちの娘は?」
「ネタ探しが勢いに乗り始めた作家の紫式部さんです。」
「向こう側の方々を題材にした真っ正面からの恋物語………?いや、あっちの方であったお互いに思いを馳せているのに素直になれない男女達の修羅場劇………あぁ、アイデアがどんどん湧いてきますね……!」ブツブツブツブツ
左手に持った本で見えにくくなっていたが、とんでもなく怪しげな笑みを浮かべている紫式部にドン引きしながらも話を続ける岩姫。
「ま、まぁこの娘の事は良いわ。それより、この騒ぎは何なの?」
「ん~そうですねぇ……私達は単純に怪我人が出た時の対処要員ですので~、詳しい事はカカオマシンガンを乱射しまくってる諾子さんの近くで困惑している閻魔大王を追い出して裁判台に立っている鬼灯様に聞いて下さいな……ね~月見~?」
「…………うん。」コクッ
「むふふ~。」ナデナデ
唐突にイチャつき始めた月見と美穂に対して額に青筋がたった岩姫だったが、一つため息をついて踵を返した。リア充特有の甘い空気とその隣で狂気的とも言えるような速度で右手のペンを動かし続ける紫式部の近くに居たくないのだろう。
「………それじゃあ私は鬼灯の所へ行ってくるわ。」
「はい、行ってらっしゃいませ~。」
「………ませ。」ペコリ
「いやまだ、無限の可能性が?しかし…………。」ブツブツブツブツ
最早自分の世界へとトリップしている紫式部を余所に、美穂は自分の腕の中にいる月見を愛おしそうに見下ろす。そして自分の着物の袖から一つの箱を取り出すと、そのまま月見に渡した。
「はい、チョコレート。」
「……朝にも貰ったけど?」
「だってまた徹夜して疲れてるでしょ?これ食べて元気だして。」
「………うん、ありがとう。」
ヒョイッ パクッ
そう言って包みを開けて入っていたチョコレートを口に入れる月見。美穂も後に続くように口に含むと、暫くの間無言で味わっていく。やがて口の中が空っぽになった月見はもう一つを手にとって食べたが、音を立てながら咀嚼していた最中、不意にその動きをピシリと止める。
「………ねぇ、美穂?このチョコレート、何か混ぜた?」
「………さぁ?どうだろうねぇ?」ニチャア
表情をほんの少し苦しそうな物に変える月見が後ろを見ようとするも、体は美穂によってしっかりと固定されているため動くことは出来ず、少しだけ艶やかな声になった美穂に寄りかかる。頭のうさみみは顔の前にペタンと倒れ、顔はほんのりと赤みを帯びていた。
「………………まだお昼だよ?」
「分かってるよ?
「………ッ。」
「あ、そうそう燃やそうとしたら~…………
ここでお返し、貰っちゃおうかな~♥️」
「ッ!それはッ…………。」
「大丈夫大丈夫、肌の色は隠してあげるから、ね?」
有無を言わさない美穂の言葉に反論出来なくなってしまう月見。その様子を見て満足気な美穂だったがふと隣の紫式部を見ると、目線が合った。ひたすらに無言かつ無表情でこちらを見つめながら手に持ったノートに何かを書きなぐっていた。
「おや、どうかされましたか?」
「……………お二人は夫婦でしたよね?」
「えぇ、月見は私の愛しい夫です。」
「成る程………また今度、貴女方に正式に取材を申し込みましょう。そのうちお二人を元ネタにした恋愛小説を書こうと思っているのですが……よろしいでしょうか?」
「大歓迎ですよ。」
そのやり取りの後、一拍置いてがっしりと握手をした紫式部と美穂を見て諦めの境地に至った月見は自分の内側から込み上げる熱に耐えながらボーッと目の前の景色を見始めた。暫くして、何やら一部が騒がしくなったことに気がついてそちらを見た。
(……………鬼灯様に向かってチョコの箱が飛び交ってる。)
そこでは裁判台にいる鬼灯に向かって周りの女性獄卒達が持ち込んでいたチョコレートの入った箱をさながら正月の賽銭のように投げ込んでいた。すると、何処からか小さく電子音のような物が聞こえてきた。
ピコン
『「鬼灯様………もしやかなりの主人公適正があるのでは?」そう考えた結果、次回として考えている恋愛漫画の主人公のモデルを鬼灯にするために奔走すると決めた紫式部であったのだった。』
「「……………。」」
とても真剣な顔で鬼灯を見る紫式部の隣に何やら吹き出しのような物が浮かんでいた。内容的に、紫式部の思っている事をそのまま写し出しているようだが、本人は特に気にしている様子はない、というよりも気がついていない。何とも言えない表情になった美穂はその吹き出しについて尋ねた。
「えっと……紫式部さん?」
「あ、はい、何ですか?」
「その中に浮かんでる吹き出し何ですか?」
「………………ヒュッ。」
質問の意味を理解したのか、紫式部はその顔を瞬時に青ざめさせて喉から変な音が出てくる。次の瞬間にはわたわたと腕をばたつかせ、「私、慌ててます」と言わんばかりの様子で口を開いた。
「わ、わ、すいません見ないで下さい~!」
「別に見ようと思って見てるわけでは無いですよ。向こう側は豆まきに熱中してるので気付く様子は無いですし……で、何ですかそれ。」
「うぅ………。」
そう美穂に尋ねられた紫式部はポツリポツリと言葉を漏らし始めた。
「………実は私、一時期安倍晴明殿に師事していた事がありまして………ひよっこではありますが陰陽術を習得してるんです。」
「へぇ……まぁあの時代はよく呪いが飛び交ってましたから護身術として学んでいても不思議では無いですけど。」
「安倍晴明さんとお知り合いなのですか?」
月見からの質問に紫式部は頷く。
「はい、私が仕えていた道長様は晴明殿を贔屓にしていたのでその縁で………陰陽術の取材を行った際に手解きを受けたのです。」
「へぇ、初めて知りました。」
「…………でも、私があの方に教えて貰った術の中で完全に習得出来たのは一つだけでして……それがこの『
「………初めて聞く術ですね。恐らく
先程までの月見へのデレデレな顔は何処へやら、少し真面目な顔で思考し始める美穂。ただし腕は月見を捕らえたままである。
「さっきの様子からして、他人の心情などを本人からは見えない吹き出しとして表示させる術ですか………中々凶悪な代物ですね。」
「は、はい……それと、かなり困った事がありまして……。」
「制御出来て無いですもんね。」
「私が未熟なばっかりに……いつの間にか勝手に泰山解説祭が発動するようになってしまい……最近は治まってきたと思っていたのですが、また暴発するようになってしまって………。」
「大変ですねぇ、思ってる事が誰彼構わず駄々漏れじゃないですか。」
顔を覆って落ち込み始めた紫式部にしみじみとした目線を送る美穂。その美穂に服の中に手を突っ込まれ始めた月見は首をかしげて尋ねる。
「制御方法は教わらなかったのですか?」
「勿論、どうにかしてほしいと相談しました!したんですが………
『そっちの方が面白そうだから』
と言って今も解決方法を教えてもらえず………今に至ります。」
「相変わらずなのですかあの人。一応美穂が暴れた際に結界を張って下さった恩もありますが……あの時も鬼灯様によって地面に埋められてましたから。」
「何やらかしたんですかあの方。」
「色々あったんです。」
しみじみと呟きながら頷く月見は少し遠い目になっていたが、頭を振ると話を戻す。
「それで、どうしますか?」
「……?どう、とは?」
「美穂が少し調節すればどうにか出来ると思いますけど……出来るよね?」
「うん、そういう呪符とか使えばいける。」
「本当ですか!?」
悲しみに暮れていた紫式部は驚いた顔で二人に詰め寄る。眼鏡がずれることも気にせず迫るその気迫に思わずたじろぐ月見と美穂だったが、向こう側はそんなこともお構い無しに美穂の腕に掴みかかった。
「本当に、本当にこれが生前からの悩みだったんです!どうにか出来る手段が有るとするのであれば、是非ともお願いします!最近は印税などがあるので大分稼げているのである程度ならお支払出来ますから!」
「分かりました、分かりました!取り敢えず落ち着いてください!」
興奮によるものか、捕まっている月見ごと美穂の体を揺する紫式部をどうにか落ち着かせようとしている所で、こちらに近づいて来る足音が2つ程聞こえて来た。
「楽しそうですね。」
「何やってんのかおるっち?」
「あ、鬼灯様、諾子さん。」
その手の中に沢山のチョコレートの箱を抱えた鬼灯とどこぞの帰還兵のようにマガジンが空になったカカオマシンガンを担ぐ清少納言に気が付いた月見は2人に向けて話しかける。
「もう向こう側はよろしいのですか?」
「えぇ、一先ず私はこれをしまってこようかと。」
「私ちゃんは補給がてら弾を変えようかなぁって………で、今どーゆう状況?」
「こういう状況です。」
一応月見はまだ美穂に抱きつかれた状態であるため、両手を美穂の腕と自分の体の間に入れ、揺らされながら話している。掴まれている美穂は兎も角、目がガンギマリになっている紫式部は未だに周りの状態が見えていないようだ。その様子を見た清少納言は足元に転がって来たカカオ豆を拾い上げると、左の掌に乗せてそのままデコピンで弾いた。飛ばされたカカオ豆は紫式部の頭めがけて吸い込まれるような軌道を描いた後、こめかみにクリーンヒットした。
「ぴあっ!?」
「おーい、戻ってこーいかおるっち~。」
「へ、あ!す、すいません美穂さんッ!」
「大丈夫ですよ………どれだけそれに困ってたかはよく伝わりましたし。」
「すいません、本当にすいません!」
美穂はそのまま土下座でもしそうな位の勢いで頭を下げる紫式部を宥めようとするも、逆効果だったのか更に謝罪が深くなっていってしまう。流石に見かねたのか清少納言がサングラスを額に上げながらしゃがみ、紫式部と目線を合わせると口を開いた。
「もういいじゃん?確かに迷惑かけたんだろうけど、相手はそれに対する謝罪に納得してるわけだし。」
「う、ですが………。」
「早く止めないと、私ちゃんによるくすぐりの刑がまってるぜ?」
手をわきわきと動かし始めたのを視界におさめたのか、おずおずと頭を上げる紫式部。その後、おもむろに懐から携帯電話を取り出すと、口を開く。
「……はい、あの、取り敢えず連絡先を交換していただけませんか?」
「良いですよ。その術の制御の仕方、探しときますね。」
「ありがとうございます!」
「そんじゃ、丸く治まったみたいだし、私ちゃんは弾をチョコレートに変えて寂しそうにしてる男共にぶちかますことにするぜぃ!あ、かおるっちもカモン!」ガシッ!
「へ?あ、ちょっと、引っ張らないで下さい!」
テンションを上げていく清少納言に引っ張られ、奥へと進んで行く紫式部を見送った鬼灯は、未だにくっついたままの二人に目線を向ける。
「それで、お二人はどうしますか?向こうに参加します?」
「何をおっしゃいますか鬼灯様。私が参加したらただひたすらに月見に向かってカカオ豆が入った枡をひっくり返すだけになるじゃないですか。」
「………それもそうですね。」
ニコニコと宣う美穂の言葉に少し考えた後、同意する鬼灯。容易に想像出来る事だったのか、早々に話題を変えようとしたところで更に強く自分の体に押し付けるように抱きしめる美穂によってずっと抜け出せずにいた月見は口を開いた。
「あの~、僕はそろそろ薬品の研究に移ってよろしいでしょうか?代わりの医務室職員はおりますので…………。」
「おや、どうされたんですか?」
「もうそろそろ昨日の晩から分解してた金魚草の成分の結果が見れるので、早くしないと変質してしまうかも………。」
「成る程、許可しましょう。ついでに今日は機能しそうに無い美穂さんも持って行って下さい。」
「…………分かりました。」
そう言うと、月見は一度ペコリと頭を下げると、自分を縫い止める美穂の腕を優しく握り、そのまま自室の方へと向かって行った。それを見送った鬼灯は踵を返し、自らの状態をどうにかする為に移動し始めるのだった。
「「…………………………。」」
互いに無言のまま自室の前へと戻って来た月見と美穂。月見がそのまま扉に手を掛け静かに入室し、二人共部屋の中に入った所で美穂が後ろを見ずに尻尾で扉を閉じる。その時、扉に光る幾何学模様が描かれたように見えたが、一瞬の間に消えてしまった。そんなことが起きているとは知らない月見は少し息を荒くしながら美穂の腕を優しく振りほどいて口を開く。
「はぁッ……………はぁッ………ねぇ、美穂?」
「なぁに?」
「そろそろ、薬を燃やしても良い?ちょっと…………苦しくなって来たから…………。」
「…………………。」パチンッ!!
先程まで掛けられていた美穂の幻術が解かれ、月見の赤みを帯びた肌が露になる。目はトロンと垂れ下がり、物欲しそうな目線を美穂に送ってしまっている。そんな月見の様子を見た美穂はニコニコと笑いながら着物がずれて露になった月見の肌をいやらしく手を沿わせる。
「ぁっ!……。」
「…………敏感になってるね。流石魔女の谷の媚薬。」
「ぁぅっ………みほっ……らめ……。」
艶やかな声が口から漏れる月見。慌てて自分の口を塞ぐが、美穂に肌を弄くられる度にその隙間から声が漏れ出てしまっている。そろそろどうにかしようと思ったのか、月見は自分の服をどんどん脱がしていく美穂の手を掴む。
「……………美穂、そろそろ、ね?」
「……………やだ。」
「そんな事言われても……んっ!?」
困ったような雰囲気になる月見だったが、無言で顔を寄せた美穂に対応することが出来ず、そのままキスを許してしまう。
「……んッ………んぅ……………ぁぅ……………。」
「……………………………………………………………。」
美穂によって口の中を蹂躙された月見は見開いた目を次第にトロンと溶かして行き、抗おうと力を込めようとしていた腕は力無く振りほどかれ、頭を押さえつけられ、最早抵抗の意思すら削られたようだった。数分後、顔を離した二人は互いに息を荒げており、完全に目の前相手しか見えていないようだった。
「みほ………みほぉ………くるしいの、あついの…………どうにかして。」
「あれ、月見、自分でどうにか出来るんじゃなかったっけ?」
「………………いじわる。」
「ほら、私だってそろそろ我慢出来なくなってきたんだから♥️なんて言えばいいのかなぁ?」
「…………………………。」
体を火照らせた月見は美穂の言葉を聞いた途端、俯いて黙り込んでしまう。
「あれ、月見?」
「……………………ッ!!」グイッ!!
「おっと!?」
俯いたまま美穂の手を引いた月見はベッドの近くまで歩くと、そのまま美穂をベッドに向かって放り投げた。そのまま少し驚いたように目を開いて倒れる美穂の上に股がると、口元を美穂の耳に近づけ、呟いた。
「美穂………一つだけ、お願いがあるの。」
「あっ♥️な、何♥️」
押し倒された美穂はこれから起こることに期待を寄せて息を荒くさせる。ただ、先程までの様子が嘘のように澄ました顔になった月見はあくまでも自分のペースで続ける。
「今からはしないよ?」
「えっ…………?」
「まだ………ね?」
手を出されないと分かった瞬間、美穂は絶望したような顔になり、頭の中で月見に襲いかかる事を思案し始めた。しかし、それを遮るように月見は提案し始めた。
「僕だってどうにかなっちゃいそうなんだよ?だけどね、まだやらなきゃいけない事があるから………。」
「じゃあさっさとヤろうよ♥️」
「でも、美穂はさっきいけない事をしたよね?」
「……ッあれは、月見と早くドロドロにイチャイチャしたくって…♥️」
「うん、そうだね。僕もしたいよ。」
「じゃあ早く「だからさ。」」
興奮する美穂の口に人差し指を当て、いつもであれば絶対に見る事の無い妖しい笑みをその顔に浮かべながら告げる。
「今日の夜までお預けだよ?そして、夜まで我慢出来たら………お互いにぐちゃぐちゃになるまで、愛し合おう?」
「………………ッ!」コクッ
「約束だからね?」
そう言って月見は美穂の口に軽くキスをするとベッドから退いてそのまま作業場へと向かって行ってしまった。一人ベッドに倒れたままの美穂はのっそりと起きあがると両手で顔を覆い、呟き始めた。
「はぁ……♥️何あの愛おしすぎる生物……いやらし過ぎるでしょ………♥️何?私の理性をぶっ壊すプロ?♥️あ、私の大切な旦那様だった♥️あ~、しゅきぃ♥️」
覆い隠された顔はこれ以上無いぐらい興奮しきってその目は今日の夜の事しか見えていないようだった。
「もう許さない♥️時間狂わせてこの部屋の中だけ一日が外で一時間進むようにしてやる♥️理性も月見を愛する事しか考えられないようにした責任を取って貰わなくちゃ♥️全部私で染めて、月見に染まるんだ♥️あああああ月見月見月見月見月見月見月見ィッ♥️!!!!!」
この後どうなったかは言うまでも無いだろう。
「……………………………。」
「お疲れ様です月見さん。」
「あ、どうもです……………鬼灯様……………昨日言ってた金魚草の成分の分析結果まとめておきましたので………………お納め下さい…………………。」
「声カッスカスじゃないですか。」
「あ、鬼灯様と月見さん!………あれ、美穂さんどこかにいるの?」
「美穂は部屋で化粧品の試作をしてます………………。」
「どうしましたかシロさん?」
「あれぇ?美穂さんの匂いが強いからいると思ったんだけどなぁ。」
「…………月見さん。」
「何ですか?」
「『ゆうべはおたのしみでしたね』」
「うるさいです…………。」
最後辺りの月見さんは自分に狂化をかけてチョコレートに入っていた媚薬の効果を押し留めてましたが、その代わり誘い受けの小悪魔となってしまいました。まぁ本人達が幸せそうならOKです。
感想でも質問されましたが、この世界線ではfateの紫式部と清少納言が原作のポジションにいると考えていただけたら嬉しいです。
時系列の順番としては、
清少納言が裁判を終えて数週間後に鬼灯がスカウト→記録課にて仕事を始めて頭角を現す→清少納言が記録課の仕事で紫式部の人生を巻物にした際、興味を持つ→紫式部の裁判が終わり、物書きとして活動し始める→秦広庁へ出張した清少納言が、そこに務める小野篁に取材兼裁判の際に庇って貰った事へのお礼をしていた所に遭遇→正式に交友関係が生まれる
といった感じです。紫式部からは少々複雑な憧れと尊敬を、清少納言からは滅茶苦茶可愛い後輩といった感情を向けあっています。
~一昔前にあった安倍晴明と鬼灯様のやり取り~
「ふむ………これは使えますね。」
「どうされました晴明さん。」
「おや、鬼灯殿。いえ、少しばかり素材採取をしていただけですよ。」
「………そこに付着した血痕ですか?」
「えぇ、かの帝釈天と美穂殿が戦った際に流れた帝釈天の血です。これを有効活用して、式神を作ってみようかと思いまして。雷神の力の再現、と言うものに興味はありませんか?拷問にも応用出来るかもしれませんよ?」
「…………お一つ確認させて下さい。」
「何ですか?」
「美穂さんが反応して暴れ始めません?」
「………………。」
「………………。」
「まぁ、結果的に帝釈天の分霊が出来上がるでしょうね。」
「では認可出来ません。また日本地獄を崩壊させたいんですか?」
「正直に言えばこの間はまともに見れなかったのでしっかりと観測したいです。あ、ご安心を。しっかりと私が結界を張りますのでこの前のような事は起きませんから。」グッ!
「貴方、美穂さんに勝てるんですか?」
「………………まぁ、何とかなりますよ!それでは私は早速作業に入りますので。」
「待て。」ガシッ
「グエッ……首は止めて下さいよ鬼灯殿。絶対に面白い事になりそ……ゲフンゲフン有用ですから。」
「………有罪ですね。」ドゴッ!!
「ぐはッ…………!?まさか………防御用の結界10枚を軽々割って直接攻撃ですか…………。」
「取り敢えず、考えを改めるまで埋めときましょう。」
「少し待ってくれ鬼灯殿。」
「何ですか晴明さん。頭から行くか頭だけ出すか、選ばせてあげましょうか?」
「拷問されるのはもう決定事項なんですか?」
「貴方みたいなロクデナシは一度思いっきり痛め付けておかないと、何かしらやらかしそうなんですよね。」
その後、晴明は取り敢えずで頭から埋められましたとさ。
晴明は日本版マーリンだと思って下さい。(公式設定)