閻魔庁の医務室うさぎ   作:ゲガント

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少々遅れてしまいました。新生活が始まったばかりで馴れてないので、お許し下さい。




それでは、どうぞ



聖人日記四頁目

ボリボリ    ボリボリ

 

部屋の中にひたすらあられを噛み砕く音が響く。

 

「これ美味しいね。さっき作ってたやつ?」

「そうですよ。乾燥させた餅が原料なので菜食主義のシッダールタくんでも食べられると思います。あ、これ手土産の餅です。僕の加護でカビとかが生えないようにしてるので保存も利きますよ。」

「アレンジしたら暫く食費節約出来そうだね。ありがたくいただきます。」

「それと、福引きやったら米80キロ当たったのでついでに置いときました。」

「当たったの!?」

 

月見が袋一杯の切り餅を渡し、それを嬉しそうに受け取るブッダ。その横では起き上がって胡座をかいた悟空とイエスがひたすらあられを貪っていた。暫くして一段落したのか、イエスはずっと気になっていたことを尋ねた。

 

「結局の所、この二人ってどちら様?」

「あ、そういえば詳しく自己紹介してませんでしたね。」

 

イエスの問いかけに対し、月見は被っていたキャスケット帽を外しながら答えた。

 

「僕は日本地獄閻魔庁医務室長兼医療部門の統括及び各庁医療関係の責任者をやらせていただいている、『月のうさぎ』の月見と申します。以後お見知りおきを。」

「………斉天大聖孫悟空、一応今は天部の一員だ。悟空でいい。」

 

ペコリと丁寧に頭を下げる月見と滅茶苦茶嫌そうに自己紹介をする悟空。しかしイエスは納得出来ない部分があるのか、頭に疑問符を浮かべている。

 

「うさぎ?」

「あ、分かりにくかったですか?少々お待ちを。」

 

月見が指を鳴らすと、一瞬だけ月見が青い炎に包まれる。その後、改めて頭を見るとうさぎの耳がピョコピョコと動いていた。

 

「取り敢えず今はこれで。それともうさぎの姿になった方がよろしいですか?」

「いや、大丈夫だよ。でも意外だなぁ、職場が中国の天部じゃなくて日本の地獄なんだっけ?」

「あ、いえ、元々は月天様の元で天部の仕事をさせていただいていたのですけど………桃源郷で医者や薬学の修行を終えた後、一役員時代の鬼灯様とご縁が出来まして。当時法整備されたばかりの日本地獄の閻魔庁で雇っていただくことになったんです。」

「丁度俺が釈迦に封印されてた時だな。ったく……その封印さえなければ俺も糞神どもと仕事しなくてすんだのによ。」

 

愚痴が止まらない悟空に対してイエスは意外だと言わんばかりの表情を浮かべて問いかけた。

 

「何と言うか、悟空くんってブッダの下で働いてる割には神様とかに尊敬の念が一切無いんだね。」

「それについてはちょっと色々あって……。」

 

ブッダが少しだけ言い淀んでいると、バリボリとあられを食べていた悟空は一度口の中に入れたものを飲み込むと、ため息を付いて話し始めた。

 

「単純に一部の神が大嫌いなだけだ。まだ釈迦の弟子は良いんだよ、こいつが絡むと馬鹿なことし始めるが基本的に一部を除いて常識的だ。釈迦もまだマシな方だな、何なら一番話が分かる。だがあの糞神どもはダメだ。」

「そ、そこまで言う?」

「こっちの話なんぞ聞きやしねぇ。個神差はあるが殆どの奴が我が強ぇんだよ。まともに取り合ってくれんの月天位だぞ?」

「まぁ、ウチの天部は基本的にゴーイングマイウェイだから………。」

「凡天さんとか弁財天さんとか凄いもんね。」

 

思い当たる節がある二人はそれぞれ何とも言えない顔をしている。

 

「俺に関しては釈迦との契約で働かされてるだけだからな。師匠と俺以外の部下二人は知らんが、俺自身はさっさと日本に移住してぇんだよ。してぇんだが……。」

「だが?」

「「仕事を全て終わらせてからにしてくれ」つってずっと仕事を持ってきやがる。大体何で俺の所に中国の地獄の仕事が来るんだよ。悪魔の討伐もやらされてるしよ。」

 

そこで言葉を切った悟空は深くため息をつくと、いつの間にか月見が用意していた緑茶を音を立てて飲み干した。中身の無い湯呑みをテーブルに置くと少しは落ち着いたのか、普段の調子が戻っている。

 

「ま、美穂に比べりゃ俺はまだマシだろうよ。被害の大きさも、抱えてる感情も。」

「あ~美穂さんかぁ……うん、まぁそうかも………いや被害に関しては君も相当だからね?」

「さぁて、なんのことやら?」

 

悪い笑みをうかべてとぼける悟空とそれに対して問い詰めるブッダ。しかしそれを端から聞いていたイエスは別の部分が気になったようであった。

 

「ねぇブッダ、さっきも話に出てた美穂さんって?」

「あ、そっか、イエスは知らないよね。」

「美穂は僕の妻です。今は仕事の補佐をしてもらってます。」

「へぇ……え、君結婚してたの?」

「はい、日本地獄で仕事をする前に。」

「2000年以上経った今でも新婚以上のレベルでイチャついてるバカップルってちゃんと付け足せよ。」

 

情報がどんどん出てくるが、イエスが気になっている所は別の部分らしく、続けざまに尋ねた。

 

「でも、その美穂さんって人何やったの?」

「天部に真っ正面から喧嘩売って半壊させた。まぁ俺も釈迦に止められるまで暴れて似たような事やってたけどな。まだあんたが生まれる前の話だぞ。」

「私が輪廻から解脱して百年位だったっけ?まぁ復興は大変だったなぁ。暴れるだけ暴れて本人はどっか行っちゃったし、人員も負傷で足りなかったから、僕も駆り出されたしね。」

「美穂がすいません。」

「いいよいいよ。一種の苦行だと考えれば悪く無かったし。跡形もなく破壊された場所を見て、諸行無常を噛み締めたよ……。」

 

両手を合わせて遠い目をするブッダに思わず謝る月見であった。その後、昔話等他愛のない話をしていると、不意にイエスの携帯電話から着メロが鳴り出した。

 

「ちょっとごめんね。はいもしもし……あれ、ペトロ?」

『あ、すんませんイエス様、お取り込み中でしたか?』

 

どうやら弟子の一人からの電話のようだ。

 

「いや、大丈夫だけど、どうかしたの?」

『あ~少しばかりやってほしい事がありまして、そっちに日本地獄の役員って居ます?』

「?まぁ月見くんならいるけど。」

『ちょっとその人に変わってもらって良いっすかね?』

「私は構わないけど……何かあった?」

 

イエスの問いかけに一瞬言い淀んだ電話の向こうの男……ペトロは言いにくそうに口を開いた。

 

『あ~…まぁ、何と言いますか。

四大天使様達が鬼灯って名前の鬼にしばかれてるんですよね。』

「ちょっと待って本当に何があったの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺も詳細は分かんないんですけど、なんか四大天使様方が現世の日本でやらかしたらしくて………。」

 

死後の魂が行き着く清廉な天界。その名所の一つである天国の門のすぐ近くにいたペトロは携帯電話に向けて話しかけながら今現在の状況を見ていた。目線の先には揃って頭にたんこぶを拵えた四大天使達が並んで正座しており、その前には睨みを効かせる鬼灯が仁王立ちしていた。ため息をつきながら素振りをして空気を斬る鬼灯に、無表情で背筋を伸ばすウリエル以外の三人は冷や汗をダラダラと流している。

 

「別に正式な理由があれば私達は何も言いません。が、勝手に新しく生まれる者に干渉されると困るんですよね。」

「で、ですが、我々はイエス様とブッダ様の安眠を守ろうとした次第でして………ぶふぉっ!?。」ガンッ!!

「ミカエルが埋まった!?」

 

反論をしようとしたミカエルが顔を上げたところで鬼灯はその頭に金棒を振り下ろした。結果、ミカエルは頭から地面の雲に埋まった。

 

「その結果、日本人である筈なのにその魂の管轄がそちらに移ってしまった事に何か弁明は?ちなみに言い訳を聞く気は特にありません。」

「一応私達かなり高位の存在なのですが………?」

「私は例え相手が神であろうと嘗めてかかって来た相手は磨り潰して金魚草の餌にしますよ。さぁ選びなさい、謝罪と共に今すぐに対処しに行くか、全員犬神家になるか。」

「ちなみに聞いておきたいんですけど、サンダルフォンは……。」

「日本の一寸法師の物語を聞かせたらすぐに謝罪してくれましたよ。足しか見えませんでしたけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

『とまぁこんな感じでして、俺も弟も巻き込まれそうなんで迂闊に近づけないというか………。』

「あ~……この間のかぁ。国際問題になりかけてるし、もう少し気を付けるべきだったね………。」

 

携帯電話をスピーカーモードにしたイエスは、流れてくる話に心当たりがあるのか気まずいような表情でそう呟く。共に仕事をしている月見は(いつも通りだなぁ……)と無表情のまま考えているが、仏教関係の二人は何とも言えない顔をしている。

 

「あまり他人事じゃないなぁ………そのうち凡天さんがやらかしそう。」

「おい釈迦、帝釈天の奴が何したのか忘れたのか?」

「そうだった……ウチもう既に取り返しが付かないレベルでヤバい事やらかしてるんだった………!!」

「あれは美穂も原因の一端なので………。」

「え、帝釈天さんって結構まともな方じゃなかったっけ。」

 

イエスは月見に慰められながら頭を抱えるブッダの今までに無いほど取り乱している姿に驚いているようで戸惑いながらも話が聞けそうな悟空の方へ尋ねる。しかし当の本人はその質問に対し若干不機嫌そうに答えた。

 

「あ?んな訳ねぇだろ、大体1000年位前に月見を自分の部下にするために日本地獄で暴れて今も出禁にされてんだぞあのゴミ。ま、月見は白澤の爺に会いに行ってたお陰か被害が無かったんだが、極度の神嫌い……というか俺以上に糞神に殺意を持ってる美穂と鉢合わせちまってな。そのままドンパチが始まって日本地獄の刑場が殆ど吹き飛んで街にも被害が出かけてたって話だ。」

「へ、へぇ。」

「まぁその後これ以上無い位ブチギレた月見にガチ説教されて、地獄の補佐官様に物理的に埋められてから労働力としてこき使われてたがな。いやぁ、無様だったわ。」ニチャア

 

擬音が聞こえてきそうな人の悪い笑みを浮かべる悟空にイエスは引き気味に受け答えをする。すると急に電話の向こうが騒がしくなる。

 

『ちょ、ちょっと待ってくだ……あ、ちょ!』

『すいません、そちらにイエス・キリストさんはいらっしゃいますか?』

「あ、はい、私です。」

『そうですか、それは丁度良かった。初めまして、日本地獄で閻魔大王の第一補佐官を務めている鬼灯と申します。この度はアポ無しで天界に訪れて申し訳ありません。』

「初めまして、お噂は良く聞いてますよ。」

『それが良い物であればよいですが。』

 

向こうで電話を奪ったのか、電話のスピーカーからは鬼灯の声がメインで聞こえてきた。後ろからはペトロとアンデレの戸惑う声がする気がした。

 

『さて、事情はこの電話を通して伝わっているとして話を続けますよ。』

「えぇまぁ、この度はうちの天使達がご迷惑を……。」

『まぁそれについてはもう精算したので構いません。で、本題なのですが………ブッダさんにも言えるのですが、ちょくちょく各地で奇跡起こされてますよね?自転車が浮いたり、ファンタが地中から湧き出て来たりと。あとなんですか、脇祭りって。』

「「あ……………。」」

 

鬼灯がそう告げたとき、二人の脳裏に駆け巡ったのは、自分達が現世でやらかした数々の奇跡や、天界や天部が巻き起こしたおかしなイベントである。中には人を物理的に昇天させかねない物だったり、多大なる影響を与える物だったりと、問題になりそうな事もあるのだ。

 

『処理に困るので現世への干渉はもう少し抑えていただけると助かるのですが。』

「本当にうちの者がすいませんッ!」

「奇跡に関しては自分でも制御出来ないですけど……出来る限り頑張ります。」

『まぁ言いたい事はそれだけです。イエスさん、ブッダさん、また機会があればお会いしましょう。』プツッ

 

ツー ツー ツー ツー

 

そう言いきった所でイエスの携帯電話からは通話が切れた音がする。

 

「何と言うか……凄い人だったね。」

「私からしたら「相変わらず」だよイエス。」

「あれ、ブッダ直接会ったことあるの?」

「日本地獄の裁判官には何人かこちらからスカウトされた人がいるからね、その時に会食をしたり月見さんの事もあってその後も何回か交流があったんだけど、自分の上司である閻魔さんを躊躇なくしばいてたから。」

「え、それって色々と大丈夫?」

「鬼灯様はずっと昔からそんな感じですよ。まぁ閻魔大王に対しては扱いが雑な気もしますけど。」

 

ブッダも立ち直った所で月見はそっと立ち上がると外していたキャスケット帽を被り直す。それを見た悟空も続くように立った。

 

「では用事も済んだのでそろそろ僕らはお暇しますね。」

「あれ、もう帰っちゃうの?」

「もう少しゆっくりして下さっても良いのに…。」

「早めに帰らねぇとあのゴミが嗅ぎ付けてくるかもしれねぇからな、ここら辺を更地にして補佐官サマの怒りを買いたくなかったら止めてくれるなよ。」

 

そう言って悟空はさっさと玄関から出ていってしまい、月見もそれに続くように扉の前に立つ。

 

「また餅が入り用になればご連絡下さい。差し入れとして持って来ますから。」

「わざわざ地獄からお忙しい中すいません。」

「いえいえ、それではまたお会いしましょう。」

 

礼儀正しく頭をペコリと下げた月見はそのまま外へ出ていき、玄関の扉は勝手に閉まっていった。階段を下って行く音が聞こえてくる為、遠ざかっているのが分かる。見送るために玄関まで来ていたブッダに対し、その後ろにいたイエスは話しかける。

 

「不思議な人だったね……あ、そうそう一つ思ってたんだけどさ。」

「ん、どうしたの?」

「月見さんのあのイケてる感じの包帯ってなんだったの?ちょっとだけ気になるのだけど……。」

「確かに君の感性にドストライクっぽい感じだったけども……!」

 

月見の包帯の巻き方を思い出し、少しばかりワクワクしたような雰囲気を出しながら尋ねるイエスは畳み掛けるように口を開く。

 

「最近ゲームで新しく出たキャラクターで、包帯まみれの格好いい人が居たんだよ!私の知らない何とかの聖遺物って名前の包帯らしくて封印とかの意味合いがあるらしいんだけど。」

「月見さんに特殊な能力は……あるけど、それとあの包帯は無関係だよ。あとファッションで巻いてる訳ではないからね?単純に火傷の跡を人に見せないようにする為だよ。」

「あ、そうなんだ。ずっと無表情だったけど話してて面白い人だったし、ペトロ達とも打ち解けそうだねぇ。今度オンラインゲームに誘ってみようかな。」

「うーん、でも彼忙しいからね……あんまし迷惑掛けられないからなぁ。」

 

そんな和気藹々と会話をしていた二人であったが

 

 

ドンドンドンドンッ!!

 

「うわぁっ!?」

「ちょ、何事!?」

 

突然玄関から荒々しいノックが響き渡り、近くにいた二人は思わず身を引いてしまう。しかしそのノックは絶えずなり続けていた。

 

「松田さん……じゃ、無いよね、あの人こんな事しないもん。」

「じゃあ一体誰が……?」

 

今までに無い経験に恐る恐る扉に手を掛けたブッダ。そうしてドアノブを回したところで、急に向こう側から扉が開いた。手からドアノブがすっぽ抜け、そのままの姿勢で固まったブッダに対し、怒鳴るような声がかかった。

 

「シッダールタッ!!ここに月見が来なかったか!?」

「た、帝釈天さん!?どうしてここに」

 

向こうに居たのは、アルマーニのスーツを身に纏い長い髪を器用に整えた青年……帝釈天であった。その目は血走っており、息を切らしながら目の前にいるブッダに立て続けに問い詰める。

 

「お前の原稿を梵天の代わりに取りに来ただけだが……いや、今はそんな事どうでもいい!中に月見の力の一片を感じる!匿ってたりしないだろうな!」

「さっき差し入れとして月見さんから餅が届いただけです!だから落ち着いて下さい!」

「何!?やはりここに月見が居たのか!何処に向かったか教えてくれ!」ガシッ!!

「凄い、こっちの話を聞いてるようで一切聞いてない……って、そろそろ離してあげてください!ブッダの残像が見え始めてる!」

 

ブッダの肩を掴み体を前後に揺らしながら問い詰める帝釈天を止めようとするイエスであったが、静止の声を上げても止まるどころか更に加速していく。揺らされまくったブッダもそろそろ限界に近づいており、とてもカオスな事になりつつあった。するとその直後、

 

「やめんか馬鹿たれ。」ガシッ!

「ふぐっ!?」

 

何処からともなく現れた男が後ろから帝釈天の首を掴み、そのまま締め上げ始めた。すぐに腕を首に回して固定し、チョークスリーパーを決めた男はそのまま帝釈天部屋の外へと引きずり出す。解放されたブッダはよろめきながら安定しない視界のなかでその男の顔を見ると意外そうな顔をした。

 

「あれ、月天さん?」

「久しいなシッダールタ、息災か?」ギギギギギギ

 

ゴキッ!

 

腕を更にきつくしながらなんでもないかのように問いかけるその男……月天はそのまま帝釈天を絞め落とした。

 

「すまないな、斉天大聖の奴に監視を頼まれていたのだが……梵天が鬼灯殿にスカウトという名の特攻を仕掛けに行こうとしてたから仕方なく沈めた結果見逃してしまった。」

「お疲れ様です……。」

「まぁ私はこいつの回収に来ただけなのだが………ついでに原稿も持っていくとしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、凄い美味しいねこのお餅。トースターで焼いただけなのに調味料無しでもいくらでもいけるよ。」

「それに加えて月見さんの加護が付いてるお陰で喉に詰まることが一切無いんだよ。天界では」

「安心だねぇ。」

 

数日後、トースターで焼いた餅をもそもそと食べる二人であった。そんなほのぼのと過ごしていると、イエスの携帯から着信音が鳴り響いた。手に取ったイエスが画面を見ると、自分の母からの電話であることに気が付く。

 

「もしもし?どうしたの母さん。」

『あ、イエスちゃん?』

 

電話の向こうから聞こえてきた声の主……マリアは少し声が弾んでおり、良い気分であるのが電話越しでも分かる。

 

『よく分からないけどさっき日本の地獄から贈り物が届いたの。それで中身が化粧品とかの詰め合わせと餅でね?付いてた手紙に「イエスさんにもお渡ししたので気兼ね無くお受け取りください。あと鬼灯様がご迷惑をお掛けしました。」って書かれてたの。他の皆の所にも届いたらしいし……イエスちゃんの何か心当たりある?』

「あ~、うん…………昨日色々あったんだよ。まぁ気にしなくて大丈夫じゃないかな?」

 

苦笑いしながら不思議そうな声を出すマリアにそう返すイエスと、会話を聞いて同じく苦笑いになるブッダであった。

 

「そういえば何で化粧品なんだろう?」

「月見さんの奥さんの美穂さんが化粧品の類いの販売をしてたけなぁ。」

 

そうして聖人二人は立川でほのぼのと休暇を楽しむのであった。




前回、イエスが引っ掛かったのが月見さんが福引きで当てた米です。

月見さんとブッダの関係として一番分かりやすいのは、「仲の良い親戚」ですかね。月見さんの行動が自分の前世として語り継がれているブッダからしたら月見さんは見習うべき相手ですし、自分の後輩かつ人間でありながら釈迦如来として人間に救いの手を差しのべるブッダは月見にとっては尊敬の念を感じる相手です。ただ、出家した際の息子や妻の扱いについては少し説教してますし、本人も反省してます。





~帰って来た後の話~

「月見、お帰………ッ!!」ガシッ!
「み、美穂、どうしたの?」
「ネェナンデアノゴミノニオイガスルノ?ネェナンデ?ネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェネェナンデネェナンデネェナンデネェナンデネェナンデネェナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ?」
「会ってないよ、恐らくすぐ近くまで来てたんだろうけど、美猴兄さんがシッダールタくんの家出てから瞬間移動で運んで貰ったから………。」
「フゥン?」ギロッ!
「アイツの気配がしたもんでな。形跡までは消せなかったが、月天の奴に頼んどいたから追っかけて来るとかは無いから安心しろ。」
「………………分かった、一先ず納得してあげる。」
「うん、それは良いんだけど……そろそろ離しても良いんじゃないかな。」
「何言ってるの?これから私の匂いで塗りつぶす為に明日までヤるに決まってるでしょ?」
「………今まだ18時だよ?」
「もうね、お洒落してうんと可愛くなってる月見を見てるとね、辛抱出来ないの。ぐちゃぐちゃのドッロドロにしたくて堪んないの。だから、ね?」ギュー
「まって「待たない。」美猴兄さん……。」
「んじゃ、師匠と悟浄と八戒に土産買って帰るわ。加減はしてやれよ。」

この後、月見さんは全身を残さず舐められたりしたそうな。
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