ハリーポッターと女王陛下の魔女 作:たはまらたはまさまたらた
陳謝します。
室内用の電話からモーニングコールが鳴り、晴れが珍しいロンドンにしては極めて貴重な美しい朝日が薄いレースのカーテンを通して柔らかく室内を照らす。
「んぅ…」なんていう可愛らしい声のあと大きなベッドからどこか色気のある少女が歳の割にメリハリのハッキリした裸体を隠すように薄手のガウンを羽織る。
眠いのか目をゴシゴシと手の甲で擦りつつコーヒーメーカーの電源を入れ枕の下に隠しておいた杖で棚に置かれたコーヒーカップを一つ…いや二つ用意していく。5分もすればカップには温かいコーヒーがなみなみと注がれていた。
エアコンがついているためもはやインテリアと化していた暖炉に緑色の炎が灯れば中から激しい咳をする男性と白衣の男性が同時に現れる。もっとも咳き込んでいる方はまだ少年と言えるだろう。
高級ホテルであるリッツロンドンの室内を微妙に汚しながら現れた彼らに思わず私は眉をしかめた。そもそもこの後はグリーングラス氏と下のカフェで会うのだ。服など汚されたくはない。
「Qに…次期Q…湿気た贈り物はもう貰いましたよ?」
「それはわかってるんだメアリー、ただ、あ〜…ほんの一時間前にどうやらこれがいることになりそうだとMが言ってね」
目の前に置かれた少し使われた感じのある…言ってしまえば特筆すべき点のないトランクを見て、私は随分と失礼な目線でQを見た。
「メアリー、君まで私をそのボケ老人を見る目で見ないでくれ…全く、師が師なら弟子も弟子だ。このトランクは検知不可能拡大呪文が使われた君専用の…はっきり言って武器庫。銃、暗器、私の発明品、そして君の好きなスマトラのコーヒー豆とコーヒーミル、その他諸々…ちなみにカバンの底をスライドさせるとナイフ、左右にはすぐに取り出せる変えのマガジン、二重の蓋には世界各国の通貨とカード、それからパスポートもある」
「Q、私の部屋入ったんですか?変態…」
「言うべきところはそこかね?全く、新しく買ったんだメアリー。何か他に欲しいものはあるか?」
「タバコ…フィルター無しのならなんでもいい」
そういえばQは一箱こちらに投げ渡してきた…キャメルだ。いや待ってほしい…一箱?たった一箱?!申し訳ないが足りない!
「Q!ホグワーツ内にタバコ買える売店なんてあるんですか?!」
「知らんが…多分ないだろう。Mからはこれを機会に健康な生活に戻れと言っていたよ…本部ビル!」
煤を吐き出す暖炉を見ながら私はこう呟かざるを得なかった。
「見習いとはいえ秘密諜報員って仕事の時点で不健康だし不健全でしょうに…」
一時間も経てば昨日のうちにクリーニングに出した服も届きシャワーを浴びてスッキリした身体をゆっくり解す。
これから行くのは学ぶためでも楽しむためでもない。
英国のためだ。
ゆっくりと息をして窓の外を見れば風に翻るユニオンジャックがある。
ベッドサイドの電話を取りフロントを呼び出す。
「フロント、グリーングラス氏は見えているか?」
『はい、ボンド様、20分ほど前にお見えに』
「ではあと少ししたら行くと伝えてくれ…朝食も同じテーブルで取りたい。費用は私持ちでいい」
『畏まりました、御用意させて頂きます』
ここは朝でも最低限ドレスコードがあり子供とはいえそれを破る訳にはいかないため失礼の無い程度の服装を整え、詳しく述べるならワンピースにそこまで高くないヒールの靴、上から薄い羽織をかける。
Qからもらったカバンに杖で全ての私物を押し込み枕の下の相棒は今回は身に付けられない。
男性ならシャツとジャケットの間に入れることもできるかもしれないが女の体だとそう上手く隠すことが難しいからだ。悲しいが今回は他の手荷物と一緒に押し込まれてもらう。
右につけた腕時計、小ぶりな女性用のオメガはQの施した改造で色々ついているのにも関わらず軽さとスタイリッシュでエレガントな…私の低い語彙力ではこうとしか言えないがそれを失っていなかった。
時刻は午前九時きっかり、少々相手を待たせる程度が良いがまたせすぎても良くないし…何よりホグワーツ特急は11時発である。不測の事態に備えたほうがいいだろうという感が勝った。
エレベーターボーイにチップを渡し、荷物を運んだボーイにチップを渡し…そんなことをしているうちにパームコートの端の席で優雅に朝食を取るグリーングラス氏が軽く手を上げて挨拶と場所を知らせてきた。
周囲の人間は微笑ましい家族の団らんと見たのか暖かい目で見て互いの話に意識を戻す。
軽く確認しても武装した人間や魔力のある存在は前のグリーングラス氏以外からは感じない。
ニコニコと人好きのする笑顔を浮かべる彼の向かいに座ると早速口を開いた。
「手短に言う、招かるざる客が30分でこちらに来る。それまでに話を纏めたい」
何処か焦って、そして怒った様子のグリーングラス氏を見ながら私は注がれた熱々のコーヒーが白い湯気を立てるのを見ながら内申でほくそ笑む。
大方魔法省…実質マルフォイ家だろうか、その辺りが動いていることは間違いない。何せほんの少しだけ、彼等に情報を渡してやったのだ。疑惑は一重にグリーングラス氏に向かう。
「わかりました、急ぎましょう。それで話というのは?」
とはいえ心の内を悟られるわけにも行かないのだ。深刻そうな表情をしながらしかし周りにはそう取られないように視線を送って促す。
「危険すぎる、報酬を増やして欲しい」
「私にその権限はありませんよ」
「君の言葉で確約を貰えるだけでもいい」
「不可能です、すでに振込もされたはずでは?」
「借金の帳消しに消えたよ」
「それはあなた個人の事情です」
「では協力出来ないっ!」
思わずといった調子で声を荒らげたグリーングラス氏に対して周囲からの目線が向き彼は決まり悪そうに少し浮かせた腰をこれまた座りが悪いのか何度かモゾモゾとしながら再び口を開く。
「とにかくこれ以上は付き合いきれない。払わないならこれで終わりだ」
目の前の男に対して結局抱いた感想といえば哀れの一言だ。彼が先程から飲んでいた紅茶は…Q特性だというのに。
「Mr.グリーングラス、本当に残念です。貴方は話が通じる方だと思っていました」
グリーングラス氏は何をっ!とも言いたげだったがそれは叶わない。私の目の前でグラリと体が揺れて朝食の盛られた皿の顔面から突っ込みそのままずり落ちる。
陶器の食器が割れる音が心地よい雰囲気だったその場に劈くように響き周りの目が少しだけ向いたと言うところを見計らって私はそっと涙を出してから。
「お父様っ!?お父様!」
そう叫びながらグリーングラス氏の体を揺する。そっと手首に指を合わせればしっかりと脈があることを確認してホッとした。
彼には生きていて貰わないと困るのだ。詰まる所この薬は超強力な筋弛緩剤といったところだ。
数分で先程荷物を運んだボーイと少し上の人間だろうものが掛けてきて
お客様!
と言いながら私をそっとグリーングラス氏から離す。そして耳元でボーイが
「メアリーさん、回収班が救急車に化けてきます。貴方は追手の排除を…Qからの伝言で41番駐車場に車があるそうです。着替えは一回の女子トイレ、3番目の個室を使うようにと」
「いつも皺寄せは現場ですね…チップ返してもらっても?」
「私のお小遣いです、宮仕えの身は給料が安くて」
「女王陛下に言ってくれ…それじゃ」
サクッとボーイに扮した諜報員から先程のチップを抜き取ってそれをしまいながら立ち上がり人目を避けてそっとトイレに入る。
タンクの中にある魔法薬と着替え、愛銃、車のキーを確認すればやることは一つ。
英国のために尽くすのだ
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いる
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そんなことより早く続き書け
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どちらかといえばいる