マチカネフクキタルがサイレンススズカを救う話 作:モルモット(本物)
スズカさん
「幸運」に飲まれそうになった時、私を引き戻してくれた最高の友達
シラオキ様のお告げがありました
彼女は次のレースで厄災に見舞われる
彼女が、私の親友が
万全の体勢でレースに挑めるよう
無事に帰って来られるよう
全力を尽くしました
トレーニング後は一緒に、入念なストレッチ
オーバーワークの妨害
練習したいからと嘘をつき、連日彼女にマッサージを行い
彼女の利用するトレーニングコースから、小石を一つ一つ取り除き
スズカさん!このお守り、持って行ってください!
…どうか無事に、逃げ切れますように!
…ありがとう、フクキタル
行ってくるわね
さぁ、ここで抑えるような格好、あぁ、ちょっと 、サイレンススズカ! サイレンススズカに故障発生です!
何ということだ!4コーナーを迎えることなくレースを終えたサイレンススズカ! 沈黙の日曜日!
…欅を過ぎてからでした…
…快速の逃げウマに待っていた悲劇は…まさかこういった形で訪れるとは…思ってもみませんでした…
スズカさんは走れなくなってしまいました
その姿は抜け殻のようです
かつての私のような
フクキタル…
ごめんなさいね
あんなに気遣ってもらったのに
自覚はあったの
無理してるって
貴方もそれをわかって、色々助けてくれたのよね
それでも諦められなかった
もう少しで、最高の景色が見られたの
でも、もう…
謝らないでください
私は何も出来なかった
藁をもすがる思いで方々巡りました
彼女の脚を、元に戻すため
その中で耳にしたウワサ
『ガラスの脚なんて言われてたけど
今や超光速のプリンセスだ
次のレースでは故障からの引退確実、なんて噂されてたのにな』
『トレーナーが優秀ってのは聞いたが
それだけじゃなさそうだよ
ドーピング検査には引っかかってないが、色々やばい薬を扱ってるんだってさ』
…話を聞きに行こう
彼女を救う手立てがあるかも知れない
アグネスタキオンさん
サイレンススズカが、また走れるようにしてほしいんです
無理だ
この故障の仕方では、レース復帰は不可能だよ
まだ歩けるのが不思議なくらいだ
…余程普段から、リカバリーを心がけていたのだろうね
日々のケアを徹底していたからこそ
あの転倒でも、この程度で済んだのだろう
彼女のトップスピードで転倒したなら
そのまま亡くなっていても何ら不思議はない
…すまないが、私では力になれないよ
タキオンさんは、屈筋炎を発症して以来ガラスの脚と揶揄されていたそうですね
それが突然、故障確実と言われていたレースでの不自然な勝利
今や超光速のプリンセス
何でもいいんです
薬でも何でも
合法非合法は問いません
責任は全て私が負います
その方法を教えていただけませんか
私は彼女に救われたんです
彼女が救われるなら、何でもしますから
…明日、1人で研究室に来たまえ
誰にも言わずにだ
「笑わないで聞いてくれよ
「信用できないと思ったら、その時点で帰ってくれ
「この時計は、使用すると過去に戻れるんだ
「この学園には遠い昔、私のようなウマ娘が在籍していたようでね
「私は化学者だが、彼女は科学者だった
「偉大な先輩 の作品さ
「ウマソウルにウマムスコンドリア、タキオン粒子
「現代の科学や化学では存在が実証できないからと言って、存在を否定できるわけではない
「これもそんな一品だ
「確かに私はこれを使用した
「故障で大敗したレースを、勝利に塗り替え
「あとは聞いての通りさ
「それが正しかったとは思っていない
「あのレースで優勝したウマ娘は、私がこれを使用したことで敗退して
「引退し、二度とレースには出られなくなったのだから
「私が故障した世界線では、トレーナー君が責任を取らされてね
「故障に勘づきながら出走を強行し、才能を潰した無能なトレーナーだ、と
「強行したのは私だというのに、いくら言っても誰も信じてくれなかった
「辞職した後、彼は自責の念から自死した
「遺書は簡素だったよ
「あの時タキオンを止められなかった
「すまない
「君の事を何よりも大切に思っていた
「時計は4つあったが、残りの時計は2個だ
「1個は私が使用し
「1個は原理を解明しようと分解したが出来なかった
「これは仮説だが
「過去を変えたいと言う強い願いが、ウマソウルに働きかけ作用するのではないか、と考えている
「使用した場合、その事を認識できるのは君だけだ
「上手くいっても、報告はいらない
「私は時計が消えた事を不思議に思うだろうが
「それだけだ
「研究室のここに置いてあるし、そもそも鍵はかけていない
「これ以上は私は干渉しない、アドバイスもできない
「サイレンススズカが故障しない場合
「あの時のように運命を捻じ曲げられるウマ娘が出るのは確実なのだから
「私にとって、世界や運命よりトレーナー君の方が重かった
「君にとってのサイレンススズカ君がそうだというなら、使いたまえ
「私にそれを批判する資格はない
「話は終わりだ
「2度と、この話題を出さないでくれ
「健闘を祈るよ
「使用法は簡単だ
「想いを込めて
「叩き壊せ
ありがとうございます
スズカさん…
今度は私が、必ず貴方を救います