インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 番外編 作:灰崎 快人
休日、今日はフラガさんと買い物に出かける日だ。二人っきりと言うわけではなくその他にも蓮とネフィロさんが付いてきた。ネフィロさん日本の文化には少しだけ危ういらしく、道がわからないらしい。蓮はただの荷物持ちになりそうだけど大丈夫かな?
「じゃあ行こうか、行きたいところとかあったら言ってね」
「わかった」
「すまないなナツキ」
「構わないよ、それにここは数年前にリニューアルされたから……僕たちもちゃんと把握しておかないといけないしね」
数年前に大災害があって、この駅前のショッピングモールは大改修を余儀なくされた。だからここに入っていた小型店も変わってしまっているかも知ってない、唯一の救いだったのは死者が出なかったことだろう。あの時全国の代表操縦者、候補者が集ったことで何とかなったというレベルであった。行方不明者は黒神千春一人と言うことを除けば。
「それで二人はなにがほしいの?」
「私はシャンプーとか消耗品が欲しい、他にも必要なものがあるのだが……ちょっと言いずらくてな」
「私は日本の文化に触れたいから日本独自のものが食べてみたいな」
日本発祥の料理か……かなりの候補があるけど、オムライスとかエビフライとかコロッケかな?スイーツならレアチーズケーキとかカステラがあるしね。緑茶とかもそうかな。
「歩きながら探せば良いだろ、そうすれば他にも気になる物とか出てくるだろうからな」
「そうだね、じゃあ行こうか」
そうして僕らは最初の目的地である、トイレタリー商品を扱っている店舗を目指して歩き出した。
「ここの景色も変わったものだな、あの時とは大違いだ」
「そうだね~昔は千春さんとよく来たし」
ラウラとシャルロットはショッピングモールを眺めるように歩いている、つい先ほどまでは千冬や箒、セシリア達と集まっていたのだが自身の目的のために先ほど分かれた。
皆それぞれメモを持ち歩きながら欲しているものを探している、それに書かれているものはほとんど千春が使っていた日用品である。
未練だけが残りいつの日か添い遂げたいと願っていたとき、彼からのメールを見た彼女たちには一筋の希望が見えていた。そのせいなのか?はたまた元からなのか?彼女たちは千春が過去に身に着けていたものをひとつだけ手にしている。
シャルロット、セシリアは彼が好んでいた黒い腕輪を。
更識姉妹は彼が身につけていたネックレスを。
本音はこっそりと彼がつけていたグローブを。
束は彼が着飾っていたスーツを。
千冬は彼が使っていた愛車と拳銃を。
そしてラウラは彼が着ていた男物の服を今着ている。
彼が知ったら苦笑いは間違いないだろう。それでも彼の存在と気持ちを忘れないために彼女達がとった行動であるのであれば致し方ないのかもしれない。
ちなみに織斑一夏は、黒神千春から雪片を授かっているため完全な継承者となり日本の代表者となっている。千春自身、雪片を扱うのは荷が重かったらしく。それならば一夏に渡したほうが気も楽であり彼自身の覚悟にもなるとの事だった。
「相変わらず千春さんの服着てるよね、ちゃんと洗ってる?」
「無論だ、教官が使っていた洗剤で洗っている」
「そこまで完璧なんだ……」
千春が使っていた洗濯洗剤はラボンのフローラルシック、値は安いもののやさしい香りを好む彼にとってはベストなものだったらしい。匂いがキツ過ぎるのは彼自身に合わなかったようで、使用を拒んでいた時期もあった。
「そういうデュノアこそ、その腕輪かなり年季が入ってしまっているが……手入れしているのか?」
「うん、大切だから。傷つかないようにコーティングしてあるからね」
お互いに大切にするものがある、だがそれの保護や維持にドン引きするほどの手間をかけている。
「さっさと買い物を終わらせるぞ」
「そうだね、みんな待たせるわけには行かないし」
そうして二人はショッピングモールに消えていった。
四人は目的してある店舗に着きそれぞれ買い物をし始めた。気がつけばフラガと夏木、ネフィロと蓮とペアの形が出来始めていた。フラガが何故執拗に夏木に拘るのか、その理由は定かではないが更衣室に無断で入ってくるような人間は信用なら無いだろう。
ネフィロは蓮の本当の性格を知らない、彼のことを適当ではあるもののしっかりとした人間だと思っている。それを逆手に蓮は彼女を我が手中に収めるために行動し始めた。
(ゆっくりで良い、フラガには劣るがネフィロもなかなか良いスタイルだからな。時間をかけてゆっくりと俺のものにしてしまえば良い)
悪いことを考えているが決して表情には出さず買い物を続ける、その傍らで彼女は純粋にショッピングを楽しんでいた。少し純粋でありあまり性事情には詳しくなさそうだった。それを利用すればもしかしたら?ホテルに連れ込んだりしたらどうなるだろうか?悪いことしか頭の中に思い浮かばなかった。
「ナツキ、この洗剤はどんな感じなのだろうか?」
「この小さいボトルがその匂いを出してるから、試しに嗅いでみたら良いよ。あと漂白が強いと色落ちするからやめておいたほうが良いよ」
「なるほど……色落ちは勘弁して欲しいな」
昔漂白剤が強い洗剤で洗われたお気に入りの服が薄くなってしまったときの悲しさは計り知れなかった、それから漂白の無いものを手に取るようなった。たまに香りがあるものがあるが落ち着いている匂いがするものを好んでいる。蓮は真反対で匂いがしっかりしているものを好むみたいだった。
「ではこれにするか、ナツキは何か買わないのか?」
「僕?僕は特に無いかな、あるとすれば参考書くらいだし」
「参考書?」
「うん、ISについて知識を深めたいからね。それの参考書とか何か歴史のわかるものがあれば良いんだけど」
「それならば学園にある図書室に資料集があったはずだ、それを借りれば良いと思うが」
「うーんそれ以外にも企業とかそういったものも知りたいから、雑誌とかも集めたいな」
「ナツキの部屋がISの事だらけになりそうだな」
「実際にもうそうなってるけどね」
部屋にはISに関する情報が載っている雑誌などが多く保存してある。蓮は「こんなものどうするんだよ、ただの雑誌だろ?」と言うがそうでもない。
雑誌にはISを開発している企業のコメントや次世代開発の経過など、詳しいことが書かれていることがある。それをも逃さないように深く観察しておいて損は無いはずだ、ISのスーツ性能も他社によっては変わってくるからね。
「面白そうだ、たまに遊びに行って良いか?」
「大丈夫だよ。そのときは持て成すね」
「そんなことしなくとも良いのに……」
いやいや部屋に来るのであれば持て成さないとね?品性とか疑われたくないし。
「よし、私の方は終わったぞ」
「じゃああとはあの二人だね」
会計を済ませた僕たちは残り二人の買い物が終わるまで、アイスを食べて待つことにした。
「レン、アンタは欲しいものとかないの?」
「欲しいもの?うーん彼女かな」
「彼女は非売品だぞ、がんばって作れ」
「……ネフィロからして俺はどんな男だ?」
一回異性からの印象を聞いておかなければ今の俺がどう映っているのかな、最悪の場合クソ野郎だと思われていてもおかしくないかもしれないからな。
「アンタ?馬鹿だけどある程度ISをコツで動かしてるクラスメイトかな、異性としてはあまり意識してない。どちらかと言うとナツキのほうかな」
夏木のほうが異性として意識できると言うことか?どうして?あんな冴えないやつより俺のほうが劣っているんだ?
「ナツキはランクが低かったみたいだけど、それを知識でカバーしようとしている。しっかりとした努力家だよ。私はナツキみたいな人が好きかな、全てにおいて努力できる人が」
確かに俺は努力せずに夏木に頼ってきた状態だ、何も言い返せない。仮に今から努力してヤツに追いつけるだろうか?いやほぼ無理だろう。となれば俺が巻き返せるチャンスがあるのはISの実践のみ、アイツが知識ならば俺は実力で補うしかないだろう。
「そうか。夏木に言ったら喜ぶぞ」
「まぁナツキは私よりフラガのほうが気になってるんじゃない?」
罪作りな男だな!なんでそこまでモテるんだようらやましい!俺も見返すために努力するか!
その後買い物を続けていたらラウラ先生達と出会って、ダブルデートだと思われてしまった。
勿論そんなわけが無いのでやんわりと否定したとき、フラガさんの表情が一瞬暗くなった。デートじゃなくて買い物だよね?…………もしかして弄りられ慣れてないのかな?
まさかデュノア先生達と出会うとは思わなかったな、それでいてダブルデートだって思われてた。いや~恥ずかしいね、ネフィロとそこまで仲が良いように見えたか?って思ったらフラガと夏木の仲が良いかららしい。なんだよ、俺とネフィロはそこまで仲良く見えないってか?
まぁ実際にあまりよくない印象を持たれていたみたいだけどな……
それで夏木が違うと言い張ったとき、フラガは少し落ち込んでるしネフィロはため息をついたりで散々だった。