インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 番外編 作:灰崎 快人
「お前というやつは……余計な仕事を増やしてくれたな。」
「悪かったな千冬、いや織斑さんの方が良いか。」
「こうなってしまったものは仕方がない、ここに来るまでに更識以外とはあったか?」
「いやあの人だけ、他には話をしていない。」
ならまだマシかもしれないな、いずれは学園内に広まってしまうだろうが……それまでにはこいつを守れるように何とかしておかないと。
「十年でここまで変わるものなんだな、友達できたか?料理とか上達したか?彼氏とか出来たか?」
「…………」
「千冬?」
友達というかある程度話は出来る人は作ることができた、料理に関してはほとんどしなくなってしまったな……ほとんどがインスタントのものだったり既に出来上がってるものだったりしたな。料理しなくてもこの学園には食堂があるから……うん。彼氏の有無には絶対に答えん。
「まあそれなりにはな。」
「そっか、じゃあ俺がそばにいなくても大丈夫になったんだね。」
「は?」
「それなりにいい人とか見つけたんでしょ?」
「いや……その……」
生徒の目の前でこんなこと言わせるなんてこいつは鬼か!
「織斑先生は黒神さん一筋ですよね~」
「山田先生っ!」
「……そっか」
なんてことを言うんだ彼女は!しかも当の本人の前で言うなんて。それにどこか千春自身も考えているように見える。
「十年後の千冬はわかったけど、束はどうしたの?行方をくらましてるって聞いたけど。それにISを開発したのも束なんだろ?」
「そこまでは聞いたんだな、束が唯一ISのコアを開発できるんだブラックボックスを作れるからこそ世界中から狙われている。」
「ブラックボックス……あれか。」
ISコアについて何かを知っているのか?いやそれは良いとして今はこの状況をどうするかだな。
「とりあえず部屋に戻っておいてくれ、私は授業が―――」
キーンコーンカーンコーン
授業時間が終わってしまった、気がつけば12時になってしまっていたとは……完全に私の調整ミスだ。
「午前の授業はここまでとする、皆休憩を取るように。」
「「「はーい」」」
授業を切り上げて生徒を解放する。とりあえず千春には食事を取ってもらうことにしよう、おそらく何も食べていないだろうからな。
「全く一時はどうなるかと思ったぞ?あまり問題を起こさないでくれ、ただでさえお前の存在が問題なんだからな。」
「ふむ……そうなのか。」
「とりあえず私は色々と準備があるのでな。ボーデヴィッヒ、デュノアこいつを食堂まで案内し食事を取らせろ。」
「「わかりました。」」
そう言うと銀と金色の髪色をした二人の女性が近寄ってくる、片方は左目に眼帯をしているけれど……そういった趣味なのか?金色のほうはさっき俺に名前を聞いてきた人か、なんか中性的な見た目の人だな。
「千春、万が一変な行為などされたら直ぐに私に言え。わかったな?」
「そんなことするのか?」
千春が二人に視線を向けて問いかける。私もしないと思っているから二人を選択したのだが……不安なことには変わりは無かった。
「自己紹介するね。僕はシャルロット・デュノア、未来の君に色々と救われたことがあるよ。よろしくね。」
「私の名はラウラ・ボーデヴィッヒ。未来のお前―――貴方に学びを得ることが出来たりシャルロットと同じように救われた経験がある。よろしく頼む。」
「未来の俺を知ってるんですね。あまり異性との話とかした事無いんで……よろしくお願いします。」
三人それぞれ自己紹介を交わす、その姿を見届けた私はその場を去って午後の授業の準備に取り掛かった。
「よし織斑先生行ったね、どうするラウラ?」
「無論過去の教官の話と副教官の話を聞くに決まっている、話をしてくれたことなどほとんど無いからな。」
「じゃあ食堂に移動しようか、はぐれないように手を繋ごうか?」
そう言って俺に手を差し出してくる。迷う可能性はないと思うのだが……もしかして子供扱いされてるのか?この歳で子ども扱いは嫌いなんだが。
「結構です、あと子ども扱いしてるならやめてほしい。」
「子供扱いはしてないんだけどな~」
「そう思われたということだろう、シャルロットは過保護だからな。」
「普通のことじゃない?」
会話を続けながらも食堂へと向かっていく、途中途中いろんな人から声をかけられる。だけど何か言われたのか逃げるように去っていく、何をしたんだこの二人は……
「ここが食堂だよ、基本的に何でもあるから好きなもの食べて良いよ。」
「食券機まで手が届くか?」
「ボーデヴィッヒさんとあまり身長変わらないから大丈夫。」
大体俺の身長が140後半の方でこの人と目線が大体同じだから、身長はあまり変わらない。俺は数ある料理の中から「から揚げ定食」「ひじきの煮物」を選択した、健康第一がモットーだからな。偏った食事はあまり取りたくないからな。
「なんか……一般的な食事って感じだね。」
「昔から無難なものを選ぶのだな、副教官らしい。」
いいだろ別に無難でも、俺が食べたいものにあまり触れないでほしいんだけど。そういう彼女たちだって健康的なものを選んでいる、俺がそんな事を言われる筋合いはない。出来上がったものを受け取り俺は外の風景が見える席に移動する、まだ彼女たちのものは完成していないのか受け取り口で止まっていた。
「いただきます。」
おなかが空いていた俺は一足先に食事を取る。昨日の夜から何も食べていないのだから少しくらいいいだろう。そう思い食事を取っていると、目の前から数人の女性が寄ってくる。楯無さんみたいな大人びた人たちだ、よく見るとあの人と同じ服装だ同じ年齢の人なのかな?
「ふーん……これが黒神千春ね?デマの噂だったってことかしら?」
デマの噂。何のことだろうか?少なくとも俺には心当たりがない、あったとしてもほとんどが千冬や束が関係していることが多い。こんな感じのやつは無視するに限る。
「こんなちんちくりんに織斑先生が惚れているとは思えない、きっと嘘だったんだろう。」
「そうよね、私たちの焦りすぎよね。」
この人達邪魔だな……早くどこか行ってくれないかな?目障りなんだけど。
「でも芽は潰しておかないとね?」
そう言って俺が食べていた食事を奪い取る。何がしたいんだこいつらは……
「くだらない……ガキかよ」
「今なんて言ったの?聞こえなかったのだけれど。」
「何も言ってない。」
「ガキかよ、そういったわよね?」
しっかり聞こえてるじゃん、何で確認してきたんだ?こいつらの目的がわからない、だが千冬が関係していると言う事はこれも面倒なことなんだろう。どうしたものかな?
「お前の方がガキなんだよ、そんななりで織斑先生の隣に居るなんて許されないんだよ。」
ふむ……どうやら彼女たちは俺が千冬の隣に居るのが気に食わないらしい、単なる嫉妬心というやつだろう。1番面倒なタイプだ。
そう考えていた瞬間、俺の頬を何かが通りすぎていく。頬を触ってみると赤い液体が付着していた、いやこれは俺から出ているのだろう。頬が徐々に痛くなるのを感じながら、彼女たちに視線を合わせる。よく見ると彼女たちの手元にはカッターナイフなどが握られている。これでわかった。彼女たちは俺に傷を負わせて動けないようにするのが目的だろう。
「呆れた。」
俺の口からそう言葉が漏れる、こういったことには何度もあってきたがここまでくだらない理由は初めてだ。
「お待たせ千春く―――どうしたのその傷!」
「まさかお前たちがやったのか!」
シャルロットさん達が食事を手にこの席へと戻ってきた。シャルロットさんは心配そうに俺の頬を触る、痛いからあまり触らないでほしい。ボーデヴィッヒさんは血のついた凶器を持っている人を問い詰めている、何が悪いのかというような表情を浮かべながらくだらない理由を何度も繰り返す。ボーデヴィッヒさんが声を荒げる、そのおかげで食堂内にざわめきが起こりはじめた。これ以上面倒なことにはしたくない。
「二人とも、大丈夫だから。そこまでしなくていい。」
「でも血が出てるし……しっかりと消毒しないと!」
「こんなふざけた理由で貴方を襲ったことが許せないんです!止めないでください。」
シャルロットさんはハンカチで俺の頬を抑えて止血している、だけどラウラさんだけは何とかして止めないと。直ぐにでも相手を殴り飛ばしてしまいそうな勢いだ。
「このくらい大丈夫だから、それにこんな低脳に付き合う必要はないから。」
俺の言葉が癪に障ったのか、一人の生徒がこちらにカッターを投げてきた。だけどそれは俺にではなくとなりのシャルロットさんめがけて飛んでいく。
「千冬が問題を起こすなといっていたのもわかってきたな。」
飛んできたカッターを投げ返す、投げてきたやつ肩に軽く刺さったみたいで悲鳴を上げていた。
「黙れ。」
うるさいやつを黙らせる為に俺はそいつの喉を潰す。痛そうに地面を転がっているが、喉を潰されたせいで声がでないのだろう。これで少しは静かになったな。
「あれから10年……たったこの世界でも人間は愚かなのかよ」
「千春君!こんなことしちゃ駄目だよ!」
「副教官が手を汚す必要はありません!」
「うん、でも少し黙って見てろ。直ぐに終わらせる。」
そう言って俺は突っかかってきたゴミを排除する、懐かしいな~千冬とか束をいじめてたやつもこうやって潰してたんだっけ?悲鳴をあげうことすら出来ずに何度も何度も地面に倒れこむ感覚ってどうなんだろうね?
「千春!何をしている!」
気がつけば千冬に動きを止められていた、いつの間に……もしかしてどっちかが呼んだのかな?
「千冬か、どうかした?」
「それはこちらの台詞だ!お前こそ何があったのだ、ここまで酷いことをするとは……」
「酷いこと?これは警告だ、今はまだこれで許してやるってな。本気だったら全員殺してる。」
半殺しにしてトラウマになるくらいのことを植えつけるんだ、こうすれば圧倒的な力の前に怯えるからな。
「―――あとで話がある。いいな?」
「わかった。俺は食事取り直すから、この状態が起きた原因とかはそこで失禁してる奴らに聞いてくれ。」
そう言って俺は食券機前までに移動し、再び同じものを手に食事を取る。
「この学園は変な生徒が多いんだな。」