インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 番外編 作:灰崎 快人
「まったくお前と言うやつは……やはり個室でおとなしくさせて置けばよかった。」
私はこれほどまでに後悔したことはほとんど無い、今回の件については完全に私の落ち度であった。こうして問題が起きてしまっている、彼のことは既に学園中でも広まってしまった。
「別に気にするなよ、お前の落ち度じゃないんだから。」
「しかし私はお前を危険な目にあわせてしまった、それは変わりないだろう。」
「昔とそんなに変わらないだろ?俺はそこまで気にしていない、まあ世間が変わってることに驚いてるけどな。」
そう彼はISが開発される前の時間軸の黒神千春なのだ、この世界が彼の存在していた世界とはまったく違う現状についていけていない。彼が昔好きな漫画で代用するのであればタイムスリップという言葉が正しいのだろう。
「ここが女子校?でISとか言うロボットが開発されているのは分かった。それで?俺はこれからどうすればいい?」
「とりあえずお前は私が指定した部屋で待機していてくれ、これ以上歩き回っていられれば問題が大きくなることは明確だからな。」
「はいよ。」
これ以上問題を引き起こされてはこちらの身が持たない、なのでコイツにはおとなしくしてもらう。
「千春さんて昔からあんな性格だったのかな……」
「いや私が聞いた話では、あそこまで過激なものではなかったと聞いている。」
ラウラは織斑先生から昔の思い出話とか聞いてるからわかるんだろうけど、僕らは千春さんの過去をそこまで知らない。だからある程度聞いているラウラの話を信じるしかなかった。
「でもあそこまで簡単に危害を加えることが出来る子供が居るとは思えないよ。」
「あぁ私もそう思う、それに教官から聞いた話とは矛盾していることが多い。」
「例えば?」
「そもそも副教官はそこまで喧嘩など問題事は引き起こさない主義だった、すべて話し合いなどで解決する主義であったらしいからな。だからこそ最初から手を出していると言うこと事態おかしな話だ。」
うーん正直言って昔の事柄は思い出補正とかで美化されていたりするから、あんまり信用できないってのが本音なんだけど。どうしようかな。千春さん本人に確認するって言っても僕たちは彼が何処に居るかもわからないし……織斑先生に聞いたら教えてくれるかな?
「二人とも食堂で何か問題を起こしたらしいな。」
「貴女達二人がそろってなんて珍しいですわね、何かあったんですの?」
気がついたら僕たちの後ろには箒とセシリアが立っていた、僕たちが何をしたのかまでは知らない様子だったし。ここは素直に話した方がいいのかな。
「実はね―――」
「そんな事があったのか、まさかそこまで大事になるとは。黒神さんは大丈夫なのか?」
「頬に少し切り傷があったけど、しっかりと止血して保健室で処置を受けたから大丈夫だと思うよ。」
「まさか上級生のみなさんがそんな事をするなんて……」
「僕も驚いてる、だけど今回のことが事だから先輩たちはみんな処分を受けたと思うよ。正直生ぬるいと思うけどね。」
「それでいま千春さんは何処に?」
やっぱり気になるよね、でも僕たちもどこに居るのかわからないんだけど。
「僕たちもわからない、だから織斑先生に聞きにいこうかと思ってる。」
「だいたい副教官を知っているのは教官しか居ないからな。」
「よく考えればそうですわね、ではみんなでいきましょう。」
僕たちは授業が終わったあと、織斑先生の元に行き千春さんの場所を聞くことにした。メンバーは箒、セシリア、鈴、僕、ラウラそして簪の六人と……ついでに織斑君。なんかついてきたんだけど何をするんだろう?
「だから、お前はおとなしくこの部屋に居てくれればいい。」
「それはわかった、だけどこのままってのも暇なんだが?」
「仕方ないだろう、いろいろと問題を引き起こされてしまっては堪ったものではないのだから。」
「はいはい、わかったよ。」
職員室に向かっていたとき、空き部屋から千冬さんの声が聞こえてきた。それに誰かと話している、たぶん内容からして千春さんだろう。僕たちは扉に耳を近づける。
「それにしてもそこまで成長するものなんだな?身長やら胸やら」
「あれから十年たっているんだ、色々と人は成長するものなんだぞ?」
「触っていいか?」
「たわけ、触らせるか。」
もしかして幼い千春さんて意外とプレイボーイ!?でもそのての話はそこまでしてないし、話を振っても話題を変えられたりするから苦手だと思ってたんだけど。
「それで?束は元気なのか?」
「色々と問題はあるが、とりあえず元気にしている。お前がそうなったのは束が原因だけどな。」
「……そうか。」
一瞬の沈黙があった、やっぱり幼馴染二人が第一だったのかな?
「それよりこれからなんだが―――」
「その話は少し後にしてくれ。」
「どういうことだ?」
「俺が今の現状を受け入れるのに時間がかかるからな、それまでは待っていてくれということだ。」
確かにこの現状を受け入れるのは難しいことだと思う、だから彼には時間が必要なんだ。そんな事を考えていると、いきなり扉が開かれる。扉が一気に開かれたことで僕たちは部屋に流れ込む形となってしまった。
「……デュノアさんとボーデヴィッヒさん?それに何人か知らない人が居るな。」
「「「あはは…………」」」
「今の話を聞いていたのか?盗み聞きとは趣味が悪いな。」
確かに盗み聞きはいけないことだけれど、好奇心には勝てなかったよ。だって気になるんだもん。
「そこで寝転んでないで入っていいよ、そのほうが気楽だろ?」
「「「お邪魔します。」」」
僕たちは千春君に連れられて部屋へと入っていく、中では織斑先生がこちらをにらみつけていた。
「まったく、何か気配を感じると思えばお前たちか。」
どうやら僕たちが盗み聞きしていたのは織斑先生にばれていたらしい。
「それで?なんでここに来たの?」
「千春君と話がしたくてね、何処に居るかわからなかったから織斑先生を探していたんだよ。そしたらちょうどこの部屋から先生の声が聞こえてね。」
「それで盗み聞き……」
「ごめんね。」
「かまわないよ、俺はね。」
俺はねと言った、つまり織斑先生は怒っているということだ。
「はぁ……これ以上面倒事を増やさないのであればいいが、わかっているな?」
面倒事を増やしたら確実に説教される。うん絶対に問題は起こさないようにしよう。
「千春君の過去が知りたくて、僕たちは今の千春君しか知らないからさ。良かったら教えてくれない?」
「別にかまわないが……未来の俺のことも話してくれよ?」
「勿論、ここにいる皆未来の千春君と関係があるからね。これからゆっくり話して行くよ。」
織斑君と箒、セシリア、鈴、僕、ラウラそして簪はこのIS学園で救われたこともあれば、幼い頃に関わったこともある。すべてを話すのは時間がかかるから、ゆっくりと一人ずつ話をしていこう。
「じゃあまずは俺からだな。俺の居たところではISなんてものは存在しない、普通の社会だった。」
千春君はゆっくりと言葉を続ける、千春君の世界ではまだISが開発されていない時期なんだろう。
「だけどテロとかいろんな世界問題とかが起きて、世界中は大混乱だった。世界中で戦争が起こっている中、新たな兵器が開発された。それはプロジェクト・モザイカと呼ばれた人工の人類を造り出すものだった。」
プロジェクト・モザイカ、彼の口から聞きなれないものが出てきた。人工的に造られた人類、それが何か問題を起こしたのかな?
「しかし突然暴走して、研究所の破壊や国の占領を開始した。これを受けて世界中では連合国がつくられ、世界対人工人類の戦いとなった。未だにこの戦いは続いている。とまあこれが俺の世界での話しだな。」
なるほど、だから人に危害を加えることにもためらいが無かったんだ。そしてもうひとつ分かった、僕たちと彼では住んでいる世界が違いすぎると言うことだ。僕たちの世界ではそんな大戦争など起きていない、彼が居た世界は僕たちにとって平行世界と言えるのだろう。
「その世界では私と束はどうなっているんだ?」
織斑先生が口を開く、僕たちもそのことは気になった。戦争が起きている世界ではどうやって過ごしているのだどうか?過去に起きた第二次世界大戦と同じように既存の防護壁などを駆使していたのだろうか?
「あぁ二人はね―――
―――俺の目の前で死んだよ。」
その言葉を聴いたとき、僕たちは息を呑んだ。