インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 番外編 作:灰崎 快人
ここはとある無人島、ここでは篠ノ之束が日々世界中のISの活動を監視しつつも新たな機体を作り出しているラボである。
本来ならばここは誰にも知られて居ないはずなのであるが、一人だけ唯一この島を知っている人物が居る。それは――
「やぁやぁくろちー、遅かったね」
「人目がきつくてな、抜け出すのに時間が掛かったんだよ。束もここを知られたくないだろ?」
黒い機体に身を包んでいる男は《黒神千春》。彼女の幼馴染であり唯一この島の在り処を知っている人物でもある。
それで何故ここに彼が来ているのかといえば答えは簡単である。黒式のデータを回収する為であり、彼自身の身体のためでもある。
黒式はISではなくIDと呼ばれる特殊な機体である。操縦者の思考回路や動きにダイレクトで動くというメリットがあるが、操縦者の身体を酷使してしまうと言うデメリットが存在する。
さらに異なる点がもうひとつある。ISには絶対防御という操縦者の命を保護する機能が存在するのに対し、IDはそれがオミットされている。つまり操縦者の命や危険を一切考えていないのだ。他にもさまざまな点がISとは異なるがそ、それだけ危険な代物を扱っていると言うことだ。
「もう少し安全に考慮した機体にて欲しかったがな」
「未完成な状態で渡したね、そう思って当然」
おー何と言うことだ、俺は未完成の状態でこの機体の扱っていたと言うのか……それで居て扱いやすいように改良を加えていたとしても、それ束にとって全て実験であったと言うことなのだろう。
絶対に許さない。
「それで黒式の案が三つあるんだけど、どれが良いかな?」
「三つもあるのか、見せてくれ」
そういうと束は大型スクリーンに黒式の完成型プランを三つ掲示する。一つは強襲型、一つは殲滅型、もう一つは普段と変わらずパッケージを変えて扱う汎用型の機体設計である。
まず最初の強襲型について解説しよう。この機体設計は実弾実刀によるエネルギー装備を一切載せず、機動に全てのエネルギーを振ることが出来る。それにより瞬間加速を多用できるようになった。装備に関しては実体のあるもののみで構成されている。
近接ブレードを基本装備に取り扱いしやすいハンドガンタイプの拳銃が二丁、腰にはハードポイントがあり予備弾倉を取り付けることが出来る。その他にも足裏に隠し武器であるショートブレードが接続されているため、足技でもかなりのダメージが与えられるようになっている。
肩と脚部には三連装のミサイルポッドが接続されている、打ち切り装備であるためパージすることが可能である。その他にも実弾のバズーカや腕部ガトリングなどが武装のプランに乗っている。
しかしこのプランにはデメリットが存在する。まず実刀はエネルギーで作られた刃よりも攻撃性が低く、それと対峙したときに簡単に折られてしまうということだ。コーティングをすればある程度耐久をつけることが出来るがそれでも、熱でゆっくりと溶けてしまう。また武装は実弾のみというのもデメリットになる。
ISの基本装備はエネルギーが主体になりつつある、実弾は鉛を銅で被覆しているが、1085℃を超える熱量を持っていれば簡単に解かされてしまう。
例としてセシリアのISに搭載されているレーザーライフルの熱量は1500℃である、これをサーベルに転用してしまえば実弾を溶かしながら接近してくる。ミサイルもその前に打ち落とされる可能性もある、メリットの裏には必ずデメリットが存在するからな。
ちなみに当たらなければどうと言うことはないという思想の元プランが決まったようで、盾などの防御装備は一切搭載されていない。
「エネルギー主体の機体と対峙したら厳しそうだ」
「まぁこれはプランの一つだから、二つ目のほうはどう?」
「二つ目……殲滅型」
二つ目のプランについて解説していく。この機体はエネルギー兵装を主に搭載しており、火力に振っている状態になる。
基本となるビームライフルから近接武装になるビームサーベル、腰にはレーゲンのレールカノンからデータを得た折りたたみ式のレール砲が二門左右に装備されている。
これだけは例外で小口径の弾丸を高速で電磁射出することが可能であり、弾がなくなってもプラズマを発射可能にもしている。ウイングは特殊形状で二門のビーム砲とビット兵器が4門搭載されている。
これ全て利用するフル・バーストが可能になっている。
ビームサーベルは腰のレール砲にマウントし、ライフルは背後にマウントが可能である。ちなみこちらのプランは被弾する可能性も含めてシールドが装備に入っている。
ではデメリットを紹介しよう。まずエネルギー兵装が多すぎることでIDの少ないSEを酷使してしまう、そもそもフル・バーストなど使用するのは論外だ。仮に使用したとしても、SEが直ぐに枯渇し一度きりの射撃になってしまう。
これを使用するには今よりも莫大なSEが必要になってくる。紅椿の単一仕様能力を用いれば何とかなるかもしれないが、それでは単体で活動できないという大きなデメリットになってしまう。
それにどこかで見たような姿だぞこれ。前に簪とロボットアニメを観賞したことがあるのだが、ガン○ムSE○Dという作品にて主人公が用いる自由な機体に似ているのだ。その機体は確か核をエネルギーにしていたはずだ、それならエネルギー切れしないのもおかしくないだろう。
「俺に扱えるのか?」
「その気になれば扱えるんじゃない?」
「んな無茶な……」
そして残ったのは今までとほとんど変わらない汎用型である。
この機体はエネルギー兵装から実弾兵装まで幅広く扱うことが出来る、とは言うもののそれをするには《パッケージ》が必要になってくる。現に今扱っている黒式は、俺自身が改修を加えたことでパッケージを扱えるようになった。
しかしパッケージの開発には難航がつき物である。俺が開発したパッケージは四つ、それぞれ特化しているものでもあるが欠点があったりなど改良が必要になる。
パッケージを装着していない状態の機体装備は、ビームサーベルにライフル、シールドに左右の腰に搭載されているショートブレードが二本だ。
基本的な装備で安心した、だがワイヤーと小型拳銃はオミットするしかないか……ワイヤーは便利だったが拳銃は確かに火力不足かもしれないな。刀は使えるときが来るかもしれないな。
パッケージのプランもいくつか仮で設計されている。
システム名《
それで仮設計されているのは以下の通りになる。
《DW/S》V.A.P.
これは近中遠に対応できる万能型のパックで、ティアーズとレーゲンそして黒式のコンセプトを一纏めにしている。
近接戦闘では刀を中距離からはレーゲンの発展型であるレールガンを、遠距離ではティアーズの発展型であるBT兵器を扱うことが出来る。刀はパックの左右に二本搭載されている。
レールガンは口径が二十口径とコンパクトになっているものが、二門搭載されている。
BTは小型化されて個数も六から四と減っているが、これは俺が開発したものとそこまで変わらない。
その他にも専用のシールドにはガトリングが搭載されている。
だがこれは果たして扱いやすいのだろうか?高機動にするために大型化したウイング、それに刀、レールガン、BT兵器全ての重量が伝わってしまう。重心が後ろに行ってしまうのは正直バランスは良くない。
それにシールドもガトリングを搭載したことによって重くなっている。これを武器として扱い続けることが出来るかと言うと今は無理だろう。
《DW/M》A.I.B.
これは甲龍とリヴァイヴ、黒式のコンセプトを一纏めにしているようだった。
まず特質しているのは無線で繋がれている二つの砲門だろう。これは龍咆を発展させたもののようで、これから不可視の衝撃を繰り出すことが出来るようだ。
BT兵器の利点をこちらにも活かしていたか、それでいてパイルバンカーが装備されている。ただ形が大幅に異なり、弾倉が大型化したため三十連は軽く出来るだろう。
近接戦闘では特に問題がなさそうだ、遠距離からは不可視の弾丸が飛び交うのか……中距離はライフルなどで補うのだろうか?
さて欠点だが、そもそもこれを使用するくらいなら最初のパッケージを扱ったほうがマシである。そこまで利点があまりないのが本音である。
「うーん、最初のやつ以外特に利点が無いんだよな」
「私も設計してて思った、だから実際に開発はしてないよ~」
そう思うなら最初から設計を止めろ!
利点のあるものや黒式の新たなる姿がしれてよかった、これなら傷つけることは少なくなりそうだからな。とりあえず万能型に収めたいところだな。
「それで?これは元からあったプランなのか?それとも即席か?」
「即席だよ、私は天才だからね~わが道を行く天上天下唯我独尊!」
「まぁお前より頭の切れるやつはいないだろうけど……」
天上天下唯我独尊とハッキリ言えるものだな。実際に束を超える天才は見たことは無いが、その内出会えるかもしれないな。
「じゃあくろち~」
突然束が甘えたような声で擦り寄ってくる、なにか別の目的でも合っただろうか?頭の中や心に問いかけてみても何も無かった、果たしてなんなのだろうか?
「ベットいこう?」
「なんで?」
「いいから行こう?あっお風呂はいってからにする?」
なんだその無駄な知識はどこで知ったんだよ。一度確認しないと駄目か?データベース確認しないとわからないよな?よしさっさと確認しないといけないな
「そんなことしないでお風呂行こう?」
「ちょっ!引っ張るなって!」
キーボードの前に居座ろうとする俺を束は無理やり引っ張り連れて行く、そこまでして見せたくないか?いやそんなわけ無いよな?まさかエ○同人とかAVとかで埋まっているファイルがあるとかじゃないよな?俺ですら持ってるのは……
いやそういう話じゃなくて!離してくれ~
俺は風呂に入りにここに来たわけじゃなくて、黒式の改修プランを見たかったから来たんだよ?お泊りする気で来た訳ではないんだよ?と言うか明日平日だし急いで帰らないと千冬になに言われるか堪ったものじゃないんだから!
「早く早く~」
「わかったから!わかったから引っ張らないで!」
服の袖を掴み強引にお風呂へとつれられて行く。島と言うこともあり海水をくみ上げ沸かしたお風呂になっていて、室内ではなく屋外の露天風呂になっている。
島からの絶景をしっかり見ることが出来る。と言っても水平線しかないんだけどな。
「じゃあ脱いで~」
「随分と楽しそうだな?」
「当たり前じゃん!二人っきりで入れるんだから、あの時は邪魔が入ったしね~」
邪魔……千冬のことか。いやあれは二人とも悪かったろ!俺がのんびり温泉を楽しんでいたときコソコソ入ってきやがって、挙句の果てにはっ――――もういいや。抵抗したり異論したりするだけ無駄になるか。
「意外と策士なんだな」
「策士なんて酷いな~私は天才だよ?それくらい考えて当然!それに――」
「それに?」
「負けられないからね」
「どういうことだ?」
「内緒!」
その後俺は束と風呂に入り何度も性交をしたのち、IS学園へと帰還した。
千冬に怪しまれたりして匂いを上書きされたのはまた別の話だ。
「負けないからね」
千冬3
束 5